連載
インディーズゲームの小部屋:Room#236「Widelands」
まず軽く本作のゲームモードから紹介すると,本作にはゲーム全体の大まかなルールや操作方法を学べるチュートリアルのほか,シングルプレイ用のキャンペーンや,インターネットやLANを使ったマルチプレイなどが用意されている。3つの勢力はそれぞれ独自の歴史的背景と経済システムを持っているが,勢力による大きな有利/不利はないので,どれを選んでも構わないだろう。
本作における経済システムとは,言い換えれば物流システムのこと。例えばBarbariansの場合,農場で採れた小麦がパン屋でピタパンに加工され,それが宿屋に運ばれて今度はレーションが作られ,さらにそれが鉱山に届けられて炭坑夫達の食料になるといった具合に,物資が順繰りに流通していく。また当然のことながら,これらすべての施設は道路でつながっていなければならない。
そしてこの場合,炭坑夫はレーションの供給が行われるようになって初めて,採掘作業に取り掛かってくれる。つまり,本作では単純に施設を建設しただけでは,何も生産されないことがあるわけだ。勢力ごとの経済システムの違いとは,この物資の流れるルートや,中継拠点となる施設の名称の違いにある。そのため,あれこれ手を出すと混乱の元となるので,まずは1つの勢力に絞ってプレイし,物資の流れを把握することに努めたほうがいいだろう。
さて,炭坑で採掘された鉱石は,その後,製錬所へと運ばれて鉄になり,さらにそれが鍛冶職人によって武器に加工され,ようやく兵士達の手元に届けられる。まとめて説明されると難しそうに見えるかもしれないが,実際にはこれらすべてを一度に行う必要はなく,必要に応じて少しずつ施設を追加していけばいい。本作では他勢力との戦闘より国づくりに重点が置かれており,急いで軍備を整える必要性は薄い。また,全体的にゲームペースがゆっくりしている(スピード変更は随時可能)ので,慌しい操作が苦手な人でも問題なく楽しめるはずだ。
肝心の国家建設だが,本作ではどこでも好きな場所に施設を建てられるというわけではなく,地形上に表示されたシンボルによって作れるものが制限されている。例えば,旗のシンボルが立っている場所には道,緑色の建物のシンボルにはすべての種類の施設,黄色の建物のシンボルには中規模以下の施設,赤い建物のシンボルには小規模の施設が作れる。これらのシンボルは,Spaceバーで表示/非表示の切り替えが可能だ。
また,自勢力の支配範囲は木の柵によって表現されており,境界付近に見張り小屋や砦などの軍事施設を建設することで領土を拡大できる。もちろん,大規模な軍事施設ほど多くの兵士を駐屯させられ,一度に広い範囲を支配できるようになるのは言うまでもないだろう。こうして徐々に領土を広げながら,自分の国をより大きく発展させていくのだ。
本作はオープンソースプロジェクトとして開発されており,つまり誰でも無料でプレイできるので,興味を持った人はさっそく公式サイトをチェックしてみよう。
■「Widelands」公式サイト
http://wl.widelands.org/- この記事のURL:
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