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インディーズゲームの小部屋:Room#114「FATALE」
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印刷2009/12/02 17:13

連載

インディーズゲームの小部屋:Room#114「FATALE」



画像集#002のサムネイル/インディーズゲームの小部屋:Room#114「FATALE」
 「インディーズゲームの小部屋」の第114回は,オスカー・ワイルドの有名な戯曲「サロメ」を題材にしたショートアドベンチャー「FATALE」を紹介する。

 ご存じの人も多いかと思うが,「サロメ」とは二本足で歩いたり言葉を話したりするケンカが強い野良ネコで,赤塚不二夫作品に欠かせないマスコット的存在だ……って,そりゃニャロメだった。と,隣の席にいる松本が自信たっぷりに話していた。ウソだと思うかもしれないが,これが実話だからほとほと困る。あまりに大真面目に話すものだから,途中まで聞いて危うく信じそうになった筆者も筆者だが,いいから仕事の邪魔をしないでいただきたい。

 そうではなくて,「サロメ」とは,死んだ女の手のように白い月光の下,ローマ皇帝の使者を招いて催された宴での幻想的(あるいは怪奇的)な出来事を描いた運命悲劇だ。ユダヤの王エロドは王女サロメの妖しい美しさに魅入られており,サロメに踊りを所望する。サロメは七つのヴェールを使った踊りの見返りとして,預言者ヨカナーンの生首を銀の大皿に乗せて差し出すことを願いでるというストーリーだ。学生時代に一度読んだ原作を本棚から引っ張り出し,つい先ほど読み終わったから間違いない。

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 ゲームは一人称視点のショートアドベンチャーで,状況から見て,主人公は首をバッサリ切られてしまうヨカナーンだと思われる。移動や視点変更などの基本的な操作は,ほぼすべてマウスで行うが,左クリックで前進,右クリックで後退となっているなど,やや独特なものになっている。慣れればこれもこれで本作に適した操作方法であることが分かるのだが,W/A/S/Dでの移動方法も用意されているので,どうも遊びにくいという人はそちらを併用しよう。

 一応,分類上は本作をアドベンチャーゲームと紹介したが,あまり正確とはいえないかもしれない。本作は,物語に積極的に介入して謎を解いていくゲームではなく,「サロメ」で描かれた幻想的な一夜を,ゲームというメディアを通じて体験するという内容になっているからだ。そのため,独特な操作方法とあいまって,最初はどうやって遊べばいいのかが非常に分かりにくい。

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 ゲームはまず,薄暗い水槽に閉じ込められているところから始まり,水槽内を歩き回ってメッセージを集めていく。やがて黒衣を着た首切り役人が現れ,バッサリとやられてしまってからはサロメがいるテラスに舞台を移し,幽霊のようにフワフワと空を漂いながら,あちらこちらに灯ったロウソクの火を消していく。本作がゲームらしいゲームであるかは別として,絵画的なざらついた質感のグラフィックスと,物悲しいBGMによって描きだされた妖しげな雰囲気は見事というほかない。

 原作の「サロメ」がそうであるように,ゲームの内容もごく短いものだが,公式サイトでは7ドル,Steamでは6.99ドルとお手ごろ価格にてダウンロード販売されているので,興味を持った人はぜひプレイしてみよう。ちなみに,ゲームを最後までクリアすると,次回のゲーム開始時に半裸のサロメのダンスが見られるぞ。

■「FATALE」公式サイト
http://tale-of-tales.com/Fatale/

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