連載
インディーズゲームの小部屋:Room#44「とびうおじゃ〜んぷっ!」
頭になぜか水道の蛇口が生えている小学校3年生の女の子“なっちゃん”が,仲良しのとびうお“トビー”に乗って,「とびうお座」を見に行くというのが本作のストーリー。しかし,とびうお座が見られるのは南半球のみ。夏休みももう終わりというある日,なっちゃんとトビーは南の海を目指して旅に出たのだった……。
こうして大海原に泳ぎだしたなっちゃんとトビーだが,操作は方向キーを使って海中をスイスイ進むだけと,とても簡単だ。画面上部に,ゴールまでの距離(というか,そのステージでの現在地)と制限時間が表示されており,時間内にゴールに到達すればステージクリアとなる。また,勢いをつけて海面から飛び出すと,なっちゃんとトビーは大空を滑空できる。このときにスペースバーを連打すると,羽ばたいて飛行距離が伸びる。
海にはさまざまな種類の魚が泳いでおり,こいつをパクッと食べると,トビーのスタミナゲージが増え,スタミナがなくなるまでの間,食べた魚の種類に応じてトビーの泳ぐ速度がアップする。初期状態のトビーは泳ぎが非常に遅いので,好き嫌いを言わずに出てきた魚はなんでも食べるようにしよう。
頭に蛇口が生えているとはいえ,なっちゃんは人間なので,水中では呼吸ができない。長い間水中にいると,なっちゃんの表情が次第に苦しそうなものになり,そのまま放っておくと最後は溺れてしまう。こうなってしまうと,トビーが引き返してなっちゃんを助け出さなければならず,大きなタイムロスだ。なっちゃんがドザエモンになってしまう前に水面から顔を出すか,ジャンプするなどして息継ぎをしながらゴールを目指そう。
基本はアクションゲームの本作だが,ステージの前後で可愛らしいイラストのデジタル絵本が楽しめるのも魅力の一つ。このイラストが実に素敵で,すっかり筆者のお気に入りだ。ほのぼのとしたストーリーや,オルゴール調のBGMと相まって,温かい気持ちになれることだろう。全3ステージと小品ながら,全体的によくまとまった作品で,子供から大人までオススメしたい。本作は,アトリエとびうおの公式サイトから無料ダウンロードできるので,興味を持った人はぜひどうぞ。
ちなみに本作を制作したアトリエとびうおは,一般的なサークルとはちょっと違った面白いグループだ。基本スタンスは,「メンバー全員で一つの作品を共同で制作する」のではなく,「各自の仕事や創作活動をやりたいようにやる」というもの。普段はフリーのイラストレーター,玩具会社勤務のデザイナー,アニメーション作家,シナリオライター,漫画家など,十名前後のメンバーが自由にやりたいことをやっているという,なんとも楽しそうな雰囲気の集まりだ。今回紹介した「とびうおじゃ〜んぷっ!」は,アトリエとびうお創立一周年の記念に制作されたもので(といっても,本作は2004年の作品だが),その日々の活動の様子は,アトリエとびうおのブログで確認できる。
■アトリエとびうお公式サイト
http://www.atelier-tobiuo.com/- この記事のURL:
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