連載
インディーズゲームの小部屋:Room#38「ふしぎな森のポコラ」
不思議な生き物とひたすら追いかけっこをするアクションゲームで,主人公は夏休みに田舎のおばあちゃんの家にやってきた5歳の女の子,夏美。都会で生まれ育った夏美は,お父さんと一緒に田舎で遊ぶのをとても楽しみにしていたところ,お父さんに急な仕事が入ってしまい,すっかり暇になってしまった。そこで夏美は,仲良しになった不思議な生き物“ポコラ”と鬼ごっこをして遊ぶことに……。
ということで,必死に逃げ回るポコラ達を猛ダッシュで追いかけ回して,制限時間内に決められた数のポコラを捕まえるのがゲームの目的。無事に目標数を捕獲すれば,ステージクリアだ。ポコラというのは,タヌキの体にウサギの耳が生えたみたいな,ずんぐりむっくりした生き物で,子供の前にしか姿を現さないらしい。何というか,武蔵野の森に住んでいるという例の生き物(?)のようなものだ。しかしこのポコラ,見た目の可愛らしさと裏腹に,それはもうもの凄いすばしこさで逃げ回るので,捕まえるのはなかなか骨が折れる。
夏美の操作は非常に簡単で,方向キーで走る向きを決めたら,走るボタンでダッシュするだけ。途中にある背の低い障害物やちょっとした段差などは,ジャンプボタンで飛び越えられる。また,走っている途中で走るボタンとジャンプボタンを同時に押すと,ダイビングキャッチの要領でポコラに飛びつけるほか,止まっているときに両方のボタンを同時押ししてから離すと,ロケットスタートができる。ただし,あまり勢いよく障害物に衝突すると気絶してしばらく動けなくなってしまうので,注意が必要だ。
温かみのあるドット絵で描かれたグラフィックスが本作の魅力の一つで,川が流れ,畑があり,お地蔵様が立っているという,田舎の風景そのものといった雰囲気のステージは,どことなく懐かしさを感じさせる。ステージ内には時折,おにぎりやお賽銭などの落し物があり,これを拾って,おにぎりならばお地蔵様,お賽銭ならお賽銭箱に届けると「ムテキ」状態になり,障害物にぶつかっても転ばなくなり,スピードなどの能力が一時的にアップする。切ったはったのゲームが多い中で,本作は子供にも安心して遊ばせられる,ほのぼのとした設定だ。
ポコラの中にはドングリを抱えて走っているものもおり,これを捕まえるとドングリが手に入る。このドングリを使って洋服や靴などを購入でき,夏美をさまざまに着替えさせられるのも,ちょっとしたお楽しみ要素だ。着替えをすると見た目が変わるだけでなく,最高スピードやコーナーリング性能などがアップする。また,ゲームを進めていくと,コポラの子供“コポコラ”を育てられるようになり,育てたコポコラの色によって異なるレアアイテムが入手できる。意外なほど多くのやり込み要素が用意されており,一回のプレイ時間も短めなので,ついつい繰り返しプレイしたくなってしまう。
単純明快なルールながらも,ゲーム全体の完成度は非常に高くまとまっており,子供から大人まで楽しめる作品に仕上がっている。リズソフトの公式サイトでは,本作のフリーウェア版が配布されているので,興味を持った人はさっそくダウンロードしてみよう。フリーウェア版はそれ自体で完結したゲームになっているが,このほかにステージ数やアイテム数が増えた「デラックス版」(税込み1575円)や,音声を追加する「ボイスパック+」(税込み525円)なども,ダウンロード販売されている。ちなみに,現在最終売り尽くしセール中のCD-ROM版は,デラックス版と同内容で980円(税込)とお買い得。販売期間は4月30日までなので,購入を検討している人はこの機会をお見逃しなく。
そして最後に,リズソフトでは現在,2008年夏までの完成を目標に,新作「フォーチュンサモナーズ」を開発中。こちらは仲間とのチームバトルがウリの横スクロールアクションRPGで,現在公開中のβ版では第一章がプレイできる。完成版ではさらに多くの要素が追加され,第二章は第一章の8倍以上のボリュームになるとのことなので,今から完成が楽しみだ。
■リズソフト公式サイト
http://lizsoft.jp/- この記事のURL:
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