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Access Accepted第702回:Steamでは販売禁止に。ブロックチェーンゲームの現状
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印刷2021/10/25 10:30

業界動向

Access Accepted第702回:Steamでは販売禁止に。ブロックチェーンゲームの現状

画像集#007のサムネイル/Access Accepted第702回:Steamでは販売禁止に。ブロックチェーンゲームの現状

 ここ数年,“ブロックチェーン”“NFT”という言葉が経済やIT関連情報を賑わせているが,実はゲーム業界にも少々かかわりのあるテクノロジーである。いろいろな問題も囁かれているが,つい先日,SteamにてNFTおよびブロックチェーン技術を使ったゲームの公開が禁止された。今回は,Steam上で公開されていたブロックチェーンゲーム「Age of Rust」の仕組みを紹介しつつ,Steamで販売禁止となった理由,ブロックチェーンへの風当たりの強さについても考えてみたい。



NFTベースのブロックチェーンゲームの勃興


 オンライン配信システム「Steam」を運営するValveが,パブリッシャ/デベロッパ向けのガイドライン外部リンク)の改定を行ったことが,ゲーム業界内外でちょっとした話題になっている。具体的には「暗号資産またはNFT(非代替性トークン)の発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション」「Steamで公開すべきではないもの」追加したのだ。言い換えると,Steamではブロックチェーンゲームは実質,販売禁止となった。
 これまで“ブロックチェーンゲーム”である「Age of Rust」をSteamで販売してきたSpacePirates Gamesの開発者が,このガイドラインの変更を公式Twitterで取り上げたことで拡散。さらに,Epic Gamesのティム・スウィーニー(Tim Sweeney)氏が,「Epic Games Storeでは法律にのっとったブロックチェーンを利用しているゲームは歓迎しますよ」とツイートしたことで,多くのゲーマーの関心を引くこととなった。

「Age of Rust」の公式Twitter(外部リンク)で拡散されたSteamの開発者向けガイドラインの「販売すべきではないゲーム」項。少なくとも8月末の時点では,個人情報の悪用やアダルトコンテンツを中心にした12項しかなかったという
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 NFTを簡単に説明すると,デジタルデータに所有者の情報を記録し,ブロックチェーンによる分散型台帳に記録するというもの。データは特定のサーバーではなく,P2Pネットワークで管理され,改ざんや盗難が不可能であるとされる。要するに,改ざんが非常に難しい証明書が付属したデータだ。これを利用することでそのデータを誰が所有しているのかを明確にできる。「自分がオーナーである」ということ以外に価値を見出せるかどうかは,その所有者自身の捉え方によるわけだ。

 一人称視点型のパズルアドベンチャーである「Age of Rust」の場合は,NFTの1つである「Enjin」プラットフォームで作動しており,ゲームをプレイするにはモバイルアプリの「Enjin Wallet」をダウンロードして紐付けしておく必要がある。ミッションを遂行することでレアアイテムを獲得し,それを他のプレイヤーとトレーディングするだけでなく,暗号資産であるEnjinコイン(ENJ)やビットコイン(BTC)を入手することもできる。
 高度なミッションになるほど成功報酬も大きくなるが,プレイするには“ミッションカード”を購入する必要があるというシステムなうえ,タイムリミットがあるパズルの難度も高い。EnjinのCEOであるマキシム・ブラゴフ(Maxim Blagov)氏によると,現在開催中の「Age of Rust」のシーズン1では総計で2億円相当の報酬を得ることができるという。

Unityベースの美しいグラフィックスが持ち味の「Age of Rust」は,今年4月から「シーズン1」としてβテストがスタートし,Steamで販売が行われていた。機械にコントロールされた人間が奴隷と化している未来のディストピアで,覚醒した主人公のQuinn 7が過去の秘密を暴くというストーリーだ
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 デベロッパのSpacePirates Gamesは,NFTの黎明期である2017年にブロックチェーンゲームの開発元としてEnjinに認証された6つのメーカーのうちの1つであり,その創設者はNASAでネットワークエンジニアをしていたというクリス・ロバーム(Chris LoVerme)氏だ。
 「Age of Rust」は今年に入ってシーズン1という形でβ版が始動したが,獲得したENJは他のゲームでも利用できるという「マルチバースNFT」化が行われる計画もあるとされていた。

 NFTを利用して,ゲーム内アイテムに価値を付けるという試みを行う「Blonkos Block Party」については以前に何度か4Gamerでも紹介している。また,大手ではUbisoft Entertainmentが「Ubisoft Entrepreneurs」外部リンク)というプログラムを発足させて,ブロックチェーン技術の応用などに投資するなど,ゲーム産業では将来性が見込まれている分野の1つである。


販売禁止の理由はギャンブル問題?


 SpacePirates Gamesは,公式Twitterで「Valveとは長く対話を続けてきた」とする一方で,「すでに戦いには敗れました」とも発信している。実際,「Age of Rust」はSteamストアページに「パブリッシャーからのリクエストにより,Age of RustのSteamでの販売は終了しました」との記述があり,新規プレイヤーはベータ版に参加できない状態で,Steam内の検索機能を使っても出てこない。今のところ,Epic Gamesストアで販売を開始するという情報もないが,ゲーム自体は今も稼働しており,10月22日からは新しいイベントも開催されている。

まだデータは残っているものの,すでに販売は中止となっている「Age of Rust」のSteamストアページ。現時点では英語のみで謎解きのハードルも高いが,今回の件で注目を浴びる結果になっているようだ
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 ではなぜValveはNFTを利用したゲームを禁止するのだろうか。その一番の理由と見られているのが,Valveが法人拠点を置くワシントン州での1つの訴訟だ。
 2018年,Big Fish Gamesが,ソーシャルゲーム「Big Fish Casino」を巡る集団訴訟を起こされた(外部リンク)。ワシントン州では,違法な賭博行為によって失った損失を取り戻すための法的処置が認められているという。
 この訴訟はつまり,Big Fish Casinoで使用されるゲーム内通貨が,現実的な価値を持っており,ゲームの結果によってそれが増減すれば,その行為はギャンブルなのではないか,ということを焦点に争われ,Big Fish Gamesは「仮想アイテムに価値はない」と主張していたようだが,今年に入って1億5500万ドルの和解金で調停している。

 「Age of Rust」は,ミッションカードを購入して冒険に出かけ,うまくいけばビットコインを獲得できる。このゲームの流れを“ギャンブルである”と言われてもおかしくはない。
 すべてのブロックチェーンゲームがそうであるというわけではないが,往々にしてNFTアイテムは最終的に法定通貨で取引される傾向にあるため,Valveがそれらに付随するリスクを避けるために禁止した可能性もある。
 先に紹介したように,ティム・スウィーニー氏は「ブロックチェーンゲームを歓迎します」と発言しているが,それも「法律にのっとった」と前置きしてるように,法的に問題がないことは大前提なのだ。

 ブロックチェーンやNFTを使ったゲームは可能性より,今はまだ付随する問題の方が大きいという印象を受ける。必要以上に電力に依存したシステムであるがゆえに,環境負荷の問題として取り上げられることも少なくない。どのように成長していくのか,現状では想像し難いが,ゲームを通じてこうしたテクノロジーに触れる機会は増えていくことになるだろう。

Enjinは,自前のソフトウェア技術「JumpNet」に乗り換えることでをCO2排出量を大幅削減するとしているが,そもそもデータマイニングのカーボン・フットプリントは,金鉱やファンション業界とは比較にならない程度であるというジャブを利かせたデータを公開している (Enjin公式ブログより https://enjin.io/blog
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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