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印刷2020/09/07 00:00

業界動向

Access Accepted第659回:オンラインイベントから見えた北米ゲーム業界の現状

画像(001)Access Accepted第659回:オンラインイベントから見えた北米ゲーム業界の現状

 デジタル化した「gamescom 2020」を以て,2020年5月から4か月近く続いたオンラインイベント「Summer Game Fest」が終了した。この期間,何百という新作タイトルの制作発表や新情報の公開が行われてきたが,やはり広報戦略の変更が急すぎたのか,正直なところカオスな状況だった気がする。今回は,そんな数々のイベントにからめて筆者が感じた北米ゲーム市場の現状をまとめてみたい。


変化への対応を迫られるゲームメディア


 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて,3月に開催されるはずだった「Game Developers Conference 2020」がキャンセルされて以降,ほぼすべてのゲームショウやカンファレンスが中止またはオンライン化を余儀なくされるという,かつてない状況に陥った2020年。次世代コンシューマ機となるPlayStation 5Xbox Series Xが年内に市場投入されるという,欧米ゲーム業界にとって非常に重要な一年でもあったため,各社とも広報戦略において,早急かつ大きな軌道修正を求められた。

「gamescom 2020」は北米の大手ゲームメディアIGNとの協賛で実施されたストリーミング配信が多く,ほかのメディアにとってはやりにくかったかもしれない。来年の「gamescom 2021」はドイツのケルンメッセで行われることがすでに発表されたが,正直な話,状況は流動的だろう
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 アメリカ在住の筆者は,一年を通じてアメリカやヨーロッパで行われるゲームイベントに参加して取材を行い,注目タイトルに触れたり,開発者に話を聞いたり,知られざる原石のようなゲームを見つけたりしては,それらを記事という形で読者にお届けすることが長年のリズムになっていた。とくに春先から秋かけては,年末のショッピングシーズンにリリースされる作品を発表するイベントが多く,例年は多忙だったのだが,今年はそうした予定がすべてキャンセルになり,自宅のディスプレイに向かって座っているだけの状況が続いている。

 2020年は超大作からインディーズゲームまで,ほとんどの新作がYouTubeやTwitchなどで配信されており,毎年大手パブリッシャが行うメディア向けの説明会や個別インタビューなど,足を使って移動し,取材する必要がない分,肉体的には楽だったのだが,一方で,機械的に作業をこなしているような精神的な疲労は大きかったように思う。

 例えば,「gamescom 2020: Opening Night Live」では約2時間の配信で38タイトルが紹介されている。つまり1タイトルあたり3分ほどという計算で,あらかじめ用意されたトレイラーが立て続けに流されるというスタイルだった。同時にリリースが配信されるタイトルもあるにはあったが,多くのメディアにとってはほとんどが情報不足で,発表されたトレイラーそのものを速報として読者に伝えるしかなかっただろう。

 通常なら,1人または複数のジャーナリストがゲーム1本につき短いもので15分,長ければ1時間ほどのデモを紹介してもらいつつ,同時に質疑応答するような形の取材になる。もちろん,カバーできる作品の数は少なくなるが,ゲームの内容を十分に理解したうえで記事を書くことになる。これが仕事だと考えていた筆者は,オンラインの「広く」「浅く」の傾向にはどうしても物足りなさを感じてしまうのだ。

「gamescom 2020」のYouTubeアカウントには約75本の映像がアップされているが,ビュー数は数百から数千程度に留まる。結局,映像配信とは別のルートでの情報拡散が重要になってくることは間違いない
画像(003)Access Accepted第659回:オンラインイベントから見えた北米ゲーム業界の現状

 ストリーミング配信を使った発表会は以前から行われていたし,ゲーム業界がさらに成長するにつれ,ますますその需要は高まっていくだろう。
 というわけで,今年5月からスタートした「Summer Game Fest」が,すべてのスケジュールを消化したこのタイミングで,北米ゲーム業界の現状を筆者の立ち位置からまとめてみたい。
 日本ではまだ,今年最後の大規模デジタルイベントと呼べそうな「東京ゲームショウ2020 オンライン」の開催が控えている。以下の情報が何かの参考になれば幸いだ。

4Gamer「Summer Game Fest」掲載記事一覧

4Gamer「gamescom 2020」掲載記事一覧



北米ゲーム市場の好景気はいつまで続くのか


 まずは,北米ゲーム市場の概要を見てみよう。「あつまれ どうぶつの森」「バイオハザード RE:3」「DOOM Eternal」「Ghost of Tsushima」など,2020年上半期は,外出自粛の影響もあってか,予想以上のヒット作が誕生した。アメリカのリサーチ会社The NPD Groupの報告によれば,2020年第2四半期はゲーム市場全体で前年比30%の拡大,すでに大きくなっていた2020年第1四半期と比較してもなお7%の売上アップという,記録的な成長を遂げたという。

 ただし,経済全体の停滞が続けば,この好調がいつまでも続く保証はなくなる。
 北米では新型コロナウイルスの影響で2000万人を超える失職者が生まれ,その多くが店員やレストランの従業員など,サービス業に関わる若い層だという。筆者の住むサンフランシスコだけでも,5000件近くの小売店やレストランが3月以降,休業もしくは廃業したとされており,全米一と言われた家賃が急落するほど郊外や州外への引っ越しが増えている。

 ゲーム業界の好景気が次世代ゲーム機の市場投入まで続けばいいが,景気が悪化して娯楽に回す余裕が先細りになってくると,ゲーム市場の将来はいきなり不透明になってくるだろう。

北米の調査会社Deloitteが,新型コロナウイルスの感染拡大以降,ストリーミングやゲーム市場がどれだけ拡大したのかを調査した。約1000人に対して行われたアンケートによれば,自粛期間中の娯楽の第3位に入ったのがゲームだったという。とはいえ,景気停滞の影響による消費の低下も懸念されている
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次世代を感じられるゲームが意外と少ない?


 読者が「次世代ゲーム」に期待することはなんだろうか? 2Dゲームが主流の時代に初めて3Dゲームをプレイしたときの衝撃をまだ覚えている筆者のような世代もいるだろうし,MMORPGやオンラインFPSなど,ゲームがインターネットに移行したときに驚きを覚えた人も多いはずだ。あるいは,スマホのタッチ操作やVR対応のヘッドアップディスプレイでゲームを遊んだときに,未来を感じた人もいるだろう。

 しかし,オンラインのゲームイベントを視聴する限りでは,次世代コンシューマ機の可能性が強く感じられるような,つまり,分かりやすくワクワクできるタイトルは意外に少ない。フルHDが4K解像度になり,リアルタイムレイトレーシングでビジュアル面で向上したことはすごい。けれどそれは,ゲーム体験に根本的な変化をもたらさない。たとえるなら,Google Stadiaで新たなクラウドゲーミングの時代が始まったが,「アサシンクリード オデッセイ」のStadia版を遊ぶのも,PC版やコンシューマ機版を遊ぶのもまったく同じ,といった話だ。

Bloober Teamの新作「The Medium」は,精神世界を透視できる霊媒師が主人公。ゲーム世界の見た目を瞬時に切り替えるという,次世代コンシューマ機ならではのゲームシステムが採用されている
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 リリースが予定されている次世代コンシューマ機向け新作タイトルで,次世代的なプレイを実現していると筆者が感じたのは,Insomniac Gamesの「Ratchet & Clank: Rift Apart」と,Bloober TeamがPCXbox Series X向けの開発を発表したホラーゲーム「The Medium」だ。どちらもローディング時間が圧倒的に短縮される次世代SSDの特性を生かし,前者は瞬時に別の世界に移動し,後者は環境のテクスチャやパーティクルを瞬時に切り替えて別次元と交差するという,現行機種では実現が困難なゲームメカニズムを使っている。

 今のところ“次世代コンシューマ機専用”ではなく,現行機種だけでなく次世代コンシューマ機にも対応するという形のタイトルがメインなので,移行期には仕方のないことではあるが,今後,上記2作にインスパイアされた開発者達が,さらに面白いアイデアを盛り込んだ新作を次々に発表していくことを期待してみたい。


ジャンルやテーマの新たな傾向


 ジャンルやテーマに目を向けると,ゾンビをテーマにした新作タイトルが急に減ったように感じられる。ゾンビに代わってスポットライトが当てられているのが,「サイバーパンク 2077」などの「サイバーパンク」ブームだ。「gamescom 2020」で発表されたものだけでも,「Ghostrunner」「Gamedec」「The Raid」,そして「Aerial_Knight’s Never Yield」といったタイトルがあり,それぞれが未来のオーバーテクノロジーが生み出したディストピアを描いている。

 また,偶然だと思われるが,Obsidian Entertainmentのスマッシュヒット作品となった,ミニチュアサイズのプレイヤーが裏庭でサバイバルする「Grounded」に似た設定のゲームが2つほど発表されている。1つが食物連鎖の底辺の存在として大自然を生き抜く「SMALLAND」で,もう1つが,人類が消えた世界を舞台にフクロモモンガとして大自然を生き抜く「Away: The Survival Series」で,植物や動物が巨大化した世界もちょっとした流行になっている。

 作品の動向を握るもう1つのキーワードは,「日本」だ。「Ghost of Tsushima」は,日本のメーカーでもあまり選ばない鎌倉時代を描き,多少のアレンジはあるものの,日本人でも納得できる世界観と,オープンワールド型アクションゲームの面白さをもれなく集めたようなゲームシステムが高い評価を得た。
 オンラインイベントで発表されたタイトルの中にも日本的なゲームシステムやジャンル,アニメの要素などを盛り込んだ新作は実に多く,「gamescom 2020」ではJRPGを謳う「Cris Tales」やスペイン生まれのニンジャアクション「Aragami 2」,そして怪獣とロボットが大乱闘を繰り広げる「GIGABASH」が発表されており,このほか「Nour: Play With Your Food」「Necrobarista」「Star Renegades」「RAWMEN」「Calico」,そして「Edo no Yami」など枚挙に暇がないほどだ。
 「サイバーパンク」「小動物」,そして「日本」と,これらの中から本物のブームはやってくるだろうか。

2020年の期待作「サイバーパンク 2077」は,未来都市を支配する大企業の1つとして,日系のArasaka Corpにも焦点が当てられる。最近の海外ゲームを見ていると,日本文化や歴史の理解が進んで,「外人の考える変な日本」を脱却して,日本という独自性の強いコンテンツをうまく咀嚼してきたと感じることのほうが多くなった
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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