連載
1月末に掲載した「PCゲーム新作ガイド2008」では,過去3年間で最高となる,60本もの新作を紹介した。Will Wright(ウィル・ライト)氏やJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏など名物開発者の新作,「Battlefield 3」や「Tomb Raider: Underground」といった人気シリーズの続編,さらに「Mirror's Edge」や「FreeRealms」のような独創的な作品など,バラエティ豊かなラインナップだった。だが,2008年内に発売が予定されているゲームは,まだまだあるのだ。今回は,そうした作品の中から注目すべきものをピックアップして紹介しよう。
「PCゲーム新作ガイド2008」は,1ジャンルにつき紹介タイトルを7〜8本と設定しているために,悩んだ末に泣く泣く掲載を諦めたタイトルがある。
さらに,アメリカでは1月に株主総会が行われることが多く,その関係で,新作ゲームが発表される月でもある。Electronic Artsは「The Lord of the Rings」の新作を発表し,Ubisoftもトム・クランシーシリーズの世界観を利用したフライトコンバットシムを企画していること匂わせるなど,詳細不明ながらも,さまざまな情報が飛び交っている状況だ。今回は,「PCゲーム新作ガイド2008」執筆時点での“スタメン発表”に間に合わなかった新人8本を紹介しよう。
All Points Bulletin
「All Points Bulletin」は,「Grand Theft Auto」の開発者David Jones(デイビッド・ジョーンズ)氏がWebzenと組んで開発中のMMOである。1年半ほど前に発表されて以来,公式画像を含め,新情報はほとんど公開されていないものの,現在でもリリースは2008年中となっており,日本でのサービスも予定に入っているようだ。
All Points Bulletinは,架空の都市の治安を守る警察チームと,好き勝手な行動ができるギャングチームに分かれて戦いを繰り広げる。RPG性は低く,アクション部分に主眼が置かれており,どれだけサーバーで時間を費やすかよりも,マルチプレイFPSのようにプレイヤー自身のテクニックが重要になりそうだ。
Battlefield Heroes
- 開発元:DICE
- 発売元:Electronic Arts
- 発売予定日:2008年夏
Electronic Artsが基本料金無料でゲームを提供するということで話題になっている「Battlefield Heroes」は,プレイヤーが自分専用のキャラクターをオンライン登録し,ほかのプレイヤーのキャラクターと戦っていくマルチプレイ専用のFPSである。すでに同社がアメリカで販売を手がけているValveの「Team Fortress 2」,そして韓国で次々に登場しているタイトルなどと,真っ向から市場争いすることになり,オンライン対戦のゲームシーンに大きなインパクトをもたらしそうだ。ゲーム内広告やアイテム課金方式などが採用される見込みで,マッチメイキングやオートパッチに対応した,専用サーバーでプレイすることになるという。
Dead Space
Electronic Artsのもう一つの新作が,宇宙を舞台にした三人称視点ホラーアクションの「Dead Space」である。2007年10月に発表されていたが,2008年になってPC版のリリースが明らかになった。
Dead Spaceの主人公は,鉱物資源発掘用の宇宙船に搭乗しているエンジニアIsaac Clarke(アイザック・クラーク)だ。人間の体に寄生して宿主を意のままに動かす能力を持つという未知の生命体Necromorphsが,なんらかの事故により船内に繁殖してしまう。プレイヤーはアイザックとなり,事故の原因を突き止めなければならない。まだゲームの内容は,詳しく公表されていないが,「DOOM」よりも「バイオハザード」のノリに近く,プレイヤーの恐怖心を煽ることが主眼となるゲームになりそうだ。
Just Cause 2
2006年9月にリリースされた「Just Cause」は,大きなマップを好きなように動き回ってミッションをこなしていく,自由度の高い三人称視点のアクションアドベンチャーだった。その続編「Just Cause 2」も,前作同様政権転覆のスペシャリストであるCIA諜報員リコ・ロドリゲスが南太平洋の架空の島国パナオを舞台に大暴れする。
Just Cause 2は,マップのサイズこそ前作よりも小さくなるものの,内容はボリュームアップされ,パラシュートによる降下や,動く車の屋根の上に乗って敵を撃つといった,派手なアクションにはさらに磨きがかかるようだ。また,顔についた傷までもが細かく描写されるというゲームエンジンにも注目したい。
Legendary: The Box
「Legendary: The Box」は,現代のニューヨークで,狼男やミノタウロスといった,伝説に登場するモンスター達と戦うFPSだ。美術品を専門に狙う泥棒である主人公が,窃盗を依頼されたパンドラの箱をうっかり開けてしまったために,モンスターが出現してしまうという設定。主人公は,箱を開けたときに,倒した敵から生命エネルギーを吸い取れるようになっており,体力を回復しつつ,迫り来る無数のモンスターと戦っていく。
また,開発元のSpark Unlimitedは,同じくニューヨークを舞台にした「Turning Point: Fall of Liberty」という,ミリタリーFPSも発表している。同じ街を舞台としたFPSタイトルだが,どのように描き分けられるのかも気になるところだ。
Lego Indiana Jones
レゴ誕生から50周年ということもあってか,アメリカではレゴブロックの人気が子供達の間で再び人気を得ている。2005年にLucasArtsがライセンスを獲得した後に発売された,「Lego: Star Wars」はマルチプラットフォーム化が功を奏して,シリーズ三本の累計販売本数は1200万本と,大ヒットしている。
その最新作が,映画「インディ・ジョーンズ」をテーマにした三人称視点アクションの「Lego Indiana Jones」である。Star Warsシリーズ同様,映画のストーリーがコミカルにアレンジされている作品だ。マルチプレイもサポートされており,Co-opモードを搭載しているが,インディ以外に登場人物の少ない本作で,ほかにどんなキャラクターが登場するのだろうか。
Multiwinia
仮想コンピュータ世界を舞台としたストラテジー「Darwinia」を開発した,Introversionの新作「Multiwinia」は,Darwiniaをマルチプレイヤー用にしたゲームである。自分の身を守ることを学んだデジタル世界の生き物(?)ダーウィニアンは,何も知らない無垢の状態から,環境や社会について理解できるほどに進化した。しかし,同時に部族社会を生み出して,お互いが争うようになってしまったのだ。
Multiwiniaは,Darwiniaのゲームシステムを継承し,4人までのオンライン対戦ができるように開発されている。前作に出てきたウイルスのような外敵が再び登場するというが,それがマルチプレイモードにどう関わってくるのかは明らかにされていない。
Savage 2: A Tortured Soul
「Savage 2: A Tortured Soul」は,1月16日にアメリカでダウンロード発売が始まったS2 Gamesの作品だ。しかし,独立系のメーカーということもあって,なかなかスポットライトを浴びる機会がなく苦戦している。2月22日に発売されるコレクターズエディションで,巻き返しを狙いたいところだろう。
このシリーズは,FPSにリアルタイムストラテジー,そしてRPGの要素をミックスした複合型のゲームで,二つの勢力に分かれて,相手の砦を攻略するのが最大の目的だ。戦闘は,「Battlefield 2」をファンタジーにしたような感じで,全体を統率するコマンダーや,スクワッドを指揮して戦うオフィサーなどの役割に分かれてのチーム戦が楽しめる。
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