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印刷2009/01/05 18:37

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剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第116回:ナックラヴィ(Nuckelavee)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第116回:ナックラヴィ(Nuckelavee)
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 スコットランドの伝承には,しばしばシーリーコート(Seelie Court)やアンシーリーコート(Unseelie Court)と呼ばれる存在が登場する。前者は,善良だが怒らせると怖い妖精達で,後者は,常に人間に敵対心を燃やす危険な妖精達である。今回はアンシーリーコートに注目し,その中からナックラヴィ(Nuckelavee)という危険なモンスターを紹介してみよう。
 ナックラヴィは,海に生息する半人半馬の怪物だ。燃えるような赤い目(単眼との説もある)と,かぎ爪のある長い腕を持ち,口から毒の息を吐くとされる。さらにナックラヴィには皮膚がなく,血管や筋肉などが露出しており,かなりグロテスクな外見である。
 性格も非常に凶暴だ。海から出てきたナックラヴィは,毒息によって農作物を枯らし,長い腕で家畜や人間を皆殺しにしようとするという。これが群れで出現したらたまったものではないが,伝承によれば,基本的に単体で出現するようだ。
 なおゲームでは,「シャドウハーツ2」(ディレクターズカット版)に同名のボスが登場し,ブラインドリングやダークロアなどを得意としていた。

 

 ナックラヴィに関しては,次のような言い伝えもある。ある晩のこと,タマスという男が家路を急いでいた。その道すがら,湖と海に挟まれた場所を通りかかったとき,海で何かが長い腕を振り回している姿が見えた。その何かはタマスに気がつき,一直線に走ってきた。距離が縮まるにつれて,おぼろげだった姿がはっきりとしてくる。長い腕を持った半人半馬と,真っ赤に燃える目。タマスめがけて走ってきたのは,ナックラヴィだったのである。
 タマスは祈りの言葉を唱えて落ち着こうとしたが,ナックラヴィはあっという間にタマスの目前に来ると,長い腕を振り回して襲い掛かってきた。とっさにナックラヴィの腕を避けたタマスだったが,よろめいてしまい湖に足が入ってしまったのだ。そして水しぶきがあがると,ナックラヴィは海の方へと後ずさったのである。
 これを見たタマスは,海に住んでいるナックラヴィは淡水を苦手としているに違いないと考え,近くにあった河口を目指して走った。湖から川へと注ぐ小川を越えれば追ってこられないに違いない。死に物狂いで走ったタマスは,小川を飛び越えたところで気を失ったという。薄れる意識の中,小川の向こう側でタマスの帽子をつかんだまま奇声をあげるナックラヴィの姿が見えたという。
 ヨーロッパの民間伝承を考えると,タマスの行動は実に理にかなっている。というのは,流れる川には魔よけの効果があるとされ,悪霊の類は渡ることができないとされているのだ。とくに南方に向かって流れている場合は,聖なる力がより強まるといわれている。といっても油断は禁物だ。流れる川には魔よけの効果があるかもしれないが,うっかりしていると川を住処とするケルピーなどのモンスターに襲われるかもしれないのだがら。
 なお,ナックラヴィは妖精に分類されることも多いが,その場合は(妖精よけのおまじないとして有効とされる)ナナカマドやトネリコといった赤い実をつける樹木や,聖なるヨハネの魔よけとして使われるオトギリソウなども効果があるかもしれない。

 

ハンプティ・ダンプティ

 

■■Murayama(ライター)■■
掃除,とくに拭き掃除が好きだというMurayama。2008年末の大掃除でも,強力な洗剤を駆使して,家具や食器などを磨きまくったそうだ。そのせいか,最近“手荒れ”がひどく,奥さんのハンドクリームなどをこっそり使っているとのこと。「さすがに値段が高いだけあって効くね」などと言っているが,もうちょっと刺激の弱い洗剤に変えたほうが,なにかと都合がいいような気が……。
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