金継ぎとは,漆を使って割れたり欠けたりした陶磁器のパーツを接着し,継ぎ目に金粉などを蒔いて装飾するものだ。
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BICの会場では,各ブースでどこの国の作品かすぐに確認できるように国旗が掲げられている。本作をプレイする前に,フランスという情報が頭に入っていたので,さすが芸術の国らしく,和を美しく再解釈した明るい世界観を構築しているな,と思った。
対応言語は英語のみだが,ほとんどテキストのない作品なので,問題はない。
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プレイヤーは右スティックで魔法の金を操作する。右スティックを弾けばそのまま金を飛ばし,壊れた足場を修復したり,壁に金を付着させて壁ジャンプの足場にしたりできる。
ほかの操作は,移動とジャンプくらいだ。金の操作はかなり直感的なので覚えることはない。
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美しい世界を楽しみながら,ほどよいパズルを解いていく。道中には鯉が滝を上っているシーンがあり,鯉に金を飛ばし,金をロープのようにして鯉と一緒に浮上する。途中で金の接続は切れてしまうので,タイミングよくほかの鯉に付けなおす必要があり,アクション要素もあった。ほかに,岩を動かしたり,鳥居を修復したりもする。
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言葉のない表現が,言語化されないまま,すっと心のどこかに入ってくる。現地で普段ゲームをあまりやらないという通訳の方も横で一緒にプレイしていたのだが「なんだかとても楽しいです」と言っていた。
本作は,Steamで無料配信中だ。プレイ時間は10分から15分程度。というのも,本作はあくまでバーティカルスライス(製品の一部分を完成時と同等のクオリティで作り込み,ゲーム全体の方向性を提示するためのサンプル)だからだ。興味のある人はプレイしてみよう。
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私たちのプレイを本作のリードプログラマ兼テクニカルディレクターのMaxime Corby氏が見ていたので,少しお話を聞いてみることにした。
ただ,筆者も当日の日韓通訳の方も英語がまったくできないので,翻訳機や簡単な日本語をベースに聞いてみた形なのはご了承いただきたい。
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本作は,フランスのIIM Digital Schoolに通う学生たちによる最終学年のプロジェクトだ。IIMは1995年創立の学校で,パリ,ナント,モンペリエにキャンパスを持ち,ゲーム分野ではGame Art,Game Design,Game Programming,そしてプロダクション&マーケティングの各専攻を擁している。
本作はその4専攻の学生が集まって作られたもので,開発期間は17週間,ピーク時には16人が関わっていたそうだ。
金継ぎというモチーフは,複数のコンセプトを考えるようにという教員の課題に対して出された案の1つで,当時チームにいたアーティストの1人が持ち込んだものだったという。非常にアーティスティックな題材,ということで採用が決まった。
そこからチームで金継ぎについて調べ,不完全さを受け入れ,そこに美を見出すという象徴的な意味を理解しようとした。調べる過程で仏教に由来することを知り,その哲学的な側面を作品に取り込んでいったそうだ。
ただ,できるだけ金継ぎの考え方に忠実であろうとしたが,本来の意図とは異なる解釈をしてしまった部分もあるかもしれないと,Corby氏は率直に語っていた。
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筆者は,本作は単なる修復ではなく,新しいものを作り直しているように感じたと伝えると,「まさにそれが伝えたかったこと」という答えが返ってきた。
Corby氏は,金継ぎとは,何かを直すためだけのものではなく,より美しいものへと引き上げる,増幅するためのものだと考えているそうだ。
なお,Corby氏自身は本作をアクションゲームとはとらえておらず,プラットフォーマーかつパズルというジャンルだと言っていた。
最も重視したのはナラティブで,強い世界観を提示しつつ,プレイヤーが難度に圧倒されないシンプルなゲームプレイを保てるジャンルとして,プラットフォーマーが選ばれたという。
プレイヤーには詰まってほしくなく,映画のように,ゲームの流れに身を任せて感じてほしい,と説明した。
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テキストがほとんどないのも意図的なものだ。あえて解釈の余地を残した謎めいた物語にすることで,プレイヤーそれぞれが自分なりの見方を持てるようにしている。チームの中には明確な方向性があり,何を感じさせたいかは精密に設計してはいるけれど,最後に何を受け取るかはあなた次第なのだ。
バーティカルスライスと聞いて,気になるのは,これがフルゲームとして完成する日が来るのかどうかだ。
現在のチームは約10人で,継続開発が決まっているわけではないというが,本人たちにはやりたい気持ちがあり,現在はパブリッシャ向けのピッチデッキを制作している段階だという。
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目指しているのは2時間半から3時間程度のフルゲームで,資金を確保できたとして,完成までには1年から1年半は必要になるという見立てだった。
作品からも,開発者の言葉からも,異国の文化に真摯に向き合い,大切に扱おうとする姿勢が伝わってきた。



















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