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触感技術のImmersion,Android端末向けツール「HD Integrator」を発表。携帯端末の触感技術は新世代に
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印刷2012/03/22 15:31

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触感技術のImmersion,Android端末向けツール「HD Integrator」を発表。携帯端末の触感技術は新世代に

画像集#005のサムネイル/触感技術のImmersion,Android端末向けツール「HD Integrator」を発表。携帯端末の触感技術は新世代に
 2012年3月22日,Immersionは都内でAndroid搭載端末に触感フィードバック技術を搭載するためのツール「HD Integrator」を発表した。これは「HD Haptics」という技術に対応したもので,主に携帯端末製造業者が利用するツールである。

 「Haptics」(触覚学)という言葉を聞きなれない人も多いと思うが,振動を利用した体感機器などに使われる技術といえばピンとくるだろうか。Immersionは,振動素子でさまざまな触感を表現する技術「Haptics」の分野で広範な特許を押さえる企業である。PlayStation 3やXbox 360などのゲームコントローラやスマートフォンでも同社の技術は幅広く採用されている。

関連記事 Immersion,フォースフィードバック技術「Haptics」の開発プラットフォーム「MOTIV」をAndroid向けに展開


Immersionマーケティング担当副社長Dennis Sheehan氏
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 発表会では,Immersionのマーケティング担当副社長であるDennis Sheehan氏から,同社Haptics技術の新しい展開とビジョンなどが紹介された。
 スマートフォンでは,従来のBasic Haptics(画面のキー部分を押すとクリック感代わりに単純な振動を発するようなもの)やProgramable Haptics(タッチする部分によって,違った触感に相当する振動を発するもの)が多く使われていたのだが,HD Hapticsでは再生される触感がより多彩になり,定義された波形だけでなく,操作中の状態に応じて触感が変化する「ダイナミック」なエフェクトを実現するものとなっているという。
 この技術を搭載した製品としては,CES 2012でPantechからElementというAndroidタブレットが発表されている。世界初のHD Haptics対応デバイスである。これと同様の機能を各種Android端末に搭載するためのサポートツールとなるのが今回のHD Integratorということになる。

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 発表会ではHD Hapticsではどのようなことができるかのデモがいくつか行われたのだが,マラカスの動きを再現するアプリでは,スマートフォンを振るとマラカスの音が再生され,手の中でなにかが転がるような触感が再現されていた。
 ダイナミックエフェクトの例では,メール着信リストで一覧をスクロールしていると,「重要」指定がされている送り主のメールが近づくとちょっと引っかかるような振動が発生し,近づくにつれて引っかかりが重くなっていくような実装例が示された。触感に訴えて注意を促すUIの提案である。

 ゲームなどへの応用では,ダイナミックなエフェクトを使うことでコンテンツに対してリアリティを与えることができるとのこと。こういった振動によるエフェクトは複数のものを重ねて実行することも可能とのことなので,ゲームでの銃撃や爆発の感触なども不自然になることはなさそうだ。発表会のデモでは,各種銃器の発射音に応じた振動を再生するAndroidアプリ「Guns and Explosions」が紹介された(iOS版もあるようだ)。
 試したところ,リアル……とは思えないのだが,AK-47とショットガンでは確かに違う触感が再生されていた。

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 これらが従来の単純なHapticsと大きく異なるのは,ユーザーが期待している触感を「メンタルモデル」として取り入れていることであるという。タッチスクリーンを主体としたスマートフォンでは,一般的な携帯電話と比べても触感によるフィードバックが乏しい。一方,現実世界にある各種機器では,ユーザーは操作に応じた感触を期待しつつ,触覚によるフィードバックを得て,入力の確認などを行っている。それに近いものを再生することにより,操作による期待感が創出されて,実際の操作とのギャップを埋めるのだという。

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イマージョン ジャパン 代表取締役 小林剣護氏
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 Sheehan氏は「現在のスマートフォンは,どれも「四角くて黒くて薄い箱」であり,ハードウェアによる差別化は困難になっている。差別化はソフトウェアによって行うしかなく,豊かな触感を備えた端末は優位性を持つ」と語る。
 Immersionの日本法人であるイマージョン ジャパンの代表取締役,小林剣護氏によると,以前は同社の日本での顧客はゲーム業界か自動車業界などに限られていたのだが,近年は全社を挙げて携帯電話事業者へのアピールを開始し,飛躍的な売り上げの伸びを見せているという。現時点では世界的に見ても最も急拡大している市場とのこと。
 小林氏は,日本マーケットはガラパゴスなどと呼ばれていても,新技術的の取り入れには非常にアグレッシブであるとして,世界的に見ても最先端のHaptics機器が研究されていることを示唆していた。NDAもあって具体例は挙げられなかったが,近くHaptics的に「世界初」な日本製機器が続々と登場してくるという。

 さて,今回発表されたのは携帯電話の製造業者向けのツールキットということで,実際のゲームなどといったアプリケーション開発のためのSDKとは異なる。また,現在公開されているSDKはProgramable Hapticsレベルのものであり,HD Hapticsレベルのものではない。とりあえず,端末の差別化に向けた需要に対しての製品を発表し,それに続いてSDKのバージョンアップ版を投入してくるようだ。同時に発表されないことは残念だが,IPビジネスを主体とする同社としては当然の戦略なのかもしれない。
 新次元の触感を生かしたゲームが登場してくるのは,新たなSDKが発表された以降になりそうなので,まずは今後登場するであろう触感を生かした端末で感触を確認しつつ,今後の展開に期待することにしたい。

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