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「誰だって,一度はマンガを描いてみたいと思ったことはあるだろう」簡単にマンガを作れるツール「コミPo!」をなぜか4Gamerで紹介してみる
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コミック作成ソフトということで,別にゲーム関係のツールというわけではないのだが,えーと,ほれ,これを使えばノベルゲームみたいなのだって簡単に作れる(ような気がする)。ということで,とにかく「コミPo!」発表会に行ってきたので,製品の概要や製品展開について紹介してみたい。
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とはいっても,コミPo!については,この2週間ほどのあいだで,すでにネット上ではリーク情報が出回っており,デモ版の動画はYouTubeで10万回以上の再生回数を記録しているほか,あちこちで話題になっている。知らなかったという人も,まずは動画を見ていただくのが一番分かりやすいだろう。
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一応,コミPo!におけるマンガ制作の過程とできることをまとめておこう。
1) 4コマかページマンガかを選択する
それぞれコマ割りもテンプレートから選択する。コマの大きさなどは,選択後に変更可能
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キャラクターを選んでコマにドラッグ&ドロップする。テンプレートからポーズを選択し,3次元的に移動・回転して構図を決める。
複数のキャラを配置したときには,レイヤーで前後関係を指定可能
3) 背景を指定する
背景テンプレートから,背景画像を選んでコマにドラッグ&ドロップする
4) セリフやマンプ(漫符),効果線などを配置
吹き出しもテンプレから好みの形を選び,大きさなどを調整して配置。セリフのテキストを書き込む。吹き出しはコマ内に収めることも,複数のコマの上にかぶせることも可能だ。
好みによって,特殊効果のマンガ的ビジュアライズ手法であるマンプや効果線などを加える
あとは2)〜4)を繰り返していけばよい。もちろん,ストーリーや全体的な構成などはある程度事前に考えておく必要はあるだろうし,構図なども凝りだしたらキリがないのだが,実作業部分は非常に簡単な手順で実行できる。
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コミPo!企画&プロデューサー田中圭一氏 |
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コミPo!開発ディレクター小野知之氏 |
ウェブテクノロジの社員でもあり,漫画家でもある田中圭一氏は,本製品の企画について,「以前から絵の描けない人にもマンガ表現,マンガを作る楽しみを味わってもらえるソフトを作れないかと考えていた」と語り,その構想をもとに2年ほど前からプロトタイプ版の試作に入ったのだという。開発ディレクターの小野知之氏は「この時代の日本で育った人なら,誰でも一度はマンガを描いてみたいと思ったことはあるだろう」と語る。とはいえ,作画力というのは非常に大きな壁であり,ツールの力でそれが克服されるというのは,多くの人にとって朗報といえるだろう。
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発売は12月,価格はパッケージ版9700円
先行体験版も11月から公開予定
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学園マンガセットには,生徒と先生が男女で表現できるようなボディのセットと顔が男女で3パターンずつくらい付属する模様。髪の毛やパーツの選定で,ある程度はキャラクターを描き分けることができるものになりそうだ。背景セットや小物なども学園マンガをテーマにしたものが用意される模様。
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それが「こみぽちゃん」こと小石川美保17歳。黄色いリボンとアホ毛(?)がトレードマークになっている。家族構成は,お父さん,お母さん,お兄さんに犬のモモ。性格は天真爛漫でちょっと天然入ってる……。などなど,スリーサイズやポリゴン数は聞き逃したのだが,コミPo!製作委員会ではこみぽちゃんに細かな設定を用意しており,これは「ツールを買ってはみたものの,なに描きゃいいの?」という人の背中を押す役割を担うものになるという。
こみぽちゃんは,12月に発売される学園マンガセットに登場するのはもちろん,今後も製品自体のイメージキャラクターとして使用されていく。
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学園マンガセットで使われたカントク氏による原画以外に,別のイラストレーターの手によるキャラクターというのも準備が進んでいる。現在,人気アニメーターの堀井久美さん,佐光幸恵さんによる追加キャラクターの企画が進んでおり,いずれも2011年春の発売予定だそうだ。
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今後は,ユーザーの要望に応じて,今回の「学園マンガ」のようなジャンル別の拡張パッケージが用意されていく。野球マンガやファンタジー系など,いろいろ候補はあるようだが,基本的にはユーザーの要望を見て決めるとのこと。
また,アップデートについては,細かなものは無料,ある程度大きなものは別途考えるということになるようだ。現状では,学園モノに対して,カエルのケロタンというキャラクターを現在作成中とのこと。こういった異質なキャラがいると,表現の幅が広がるということで企画されたものらしい。
今後は,ダウンロードコンテンツとして,服装パックなどの追加データが順次リリースされていく模様だ。
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余談だが,「学園マンガ」のようにあえてジャンルを絞った製品展開したことが,コミPo!を開発していくうえで重要だったようだ。こういったツールは,考えるだけなら誰だって思いついていた類のものだと田中氏は語る。
実際のところ,デモムービーを見て,その発想というよりは,キャラクターモデリングを含めて,全体に高い完成度で実用的な仕様に落とし込まれていたことに驚いた人のほうが多いのではないだろうか。
汎用でマンガを描けるツールを作るとなると,辞書を作るようなもので,ありとあらゆるものをデータ化して用意しなければならない。ジャンルを絞ることで,必要なアセットが限定され,製品化も実現できたのだという。今後はダウンロードコンテンツなどで,順次データが拡張され,表現の幅も広くなっていく。どのようなデータを用意するのかなどは,ユーザーの反響次第とのこと。
気になるライセンスは?
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ウェブテクノロジとしては,ゲームメーカーや出版社などにコミPo!用キャラクターの作成を持ちかけたり,企業のマスコットキャラを作成していくなど,さまざまな展開を考えているという。
ゲームキャラクターなどでは,データ流出が懸念されるところだが,コミPo!で現在使用されているファイル形式は暗号化された独自形式のものとなっているという。現状では,キャラクターはウェブテクノロジ側で作成していくという形だ。
とはいえ,自分で作った3DモデリングデータやGoogle 3Dギャラリーのような膨大な3Dデータライブラリを利用したいと思う人もいるだろう。これもユーザーの要望次第で対応……ということなのだが,すでにMMDのコミュニティあたりで話題に挙がっているようで,ウェブテクノロジにとっても,予想以上の反響だったとのこと。当初,3DCGをやる人とマンガの需要がどの程度重なるのかについて疑問を持っていたのだそうだが,この様子だと,今後はさまざまな3Dデータを取り込めるようにする方法も検討していく模様。
ユーザーデータが増えることは,製品の表現力の強化やコミュニティの活性化につながるものの,追加コンテンツ販売をビジネスモデルの一部としている同社としてみれば,無料データだらけになることは,望ましくない事態かもしれない。どのような落としどころになるのかにも注目したいところだ。
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今後,さらにライト層に向けたツールになるか,それともプロでも使えるようなツールになっていくのか? 会場にきていたプロマンガ家からは,すぐにでも,「もう自分で絵を描かずに,全部コミPo!に任せてしまいたい」くらいプロ用が切望されていた。
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コミPo!は,製品発売に先駆け,11月初旬から,製品版の全機能が使える先行体験版が公開されるという。先着500名限定ということだが,応募が多いときには抽選ということなので,まあ,反響を見る限り,ほぼ間違いなく抽選になるだろう。興味のある人はコミPo!公式サイトから申し込みを。
「コミPo!」公式サイト
また,かなりライト層でも使えるツールになっているコミPo!だが,さらにライトな層でも使えるコミPo!Petitというものも制作されるという。これは,Flashを使ったWebページ上のツールで,Windows以外の環境でも手軽に使えるものになる。
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初音ミクが登場したときには,それなりに話題にはなったものの,あのツールは普通の人が使うには少々手強すぎるものだった。多くの人の努力によって,現在はそれなりの位置を確立しているものの,用途は限定的である。
それに対し,コミPo!は,ムービーを見ても分かるように,まず間違いなく誰でも扱えるものに仕上がっている。加えて,日本のマンガ世代はすでにかなり高齢の層にまで達しており,多くのもので「マンガ」を受け入れる下地はできあがっているともいえる。今後は,さまざまなものがマンガに置き変わってくるだろう。個人的には,手書き文字からワープロへの移行と同じくらいのインパクトを持った製品ではないかと思っている。4Gamerのニュースだってマンガだらけで提供されるようになるようなことも,絶対にないとは言い切れない。
いろいろと話題の多いツールだけに,製品版の発売とその後の反響などが気になるところ。今後の動向に注目したい。
「コミPo!」公式サイト
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