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「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?
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印刷2009/08/21 10:30

インタビュー

「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?

画像集#015のサムネイル/「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?
 冒険活劇オンラインRPG「グランディア オンライン」のオープンβテストが,8月10日から開始された。4Gamerでもお伝えしてきたとおり,本作は3回のテクニカルテストとクローズドβテストを経てオープンβテストに至ったわけだが,実際にプレイした人達の評価には,厳しい意見も少なくないようだ。もちろん,スタンドアローンのRPG「グランディア」という原作の存在との比較だからこその,さまざまな意見も出ていると思われる。
 そこで,そうした意見をどう受け止め,今後どのように改善していくのか,ガンホー・オンライン・エンターテイメント 開発事業部 部長代理 岩田容賢氏に聞いてみた。


さまざまな調整の不足はきちんと認識。適切な改善のために,さらなるプレイヤーの報告が必要


開発事業部 部長代理
岩田容賢
画像集#024のサムネイル/「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?
4Gamer:
 本日は,よろしくお願いします。グランディア オンラインではすでに4回にわたるテストを行って,今,オープンβテストの段階ですが,反響などはいかがでしょう?

岩田容賢氏(以下,岩田氏):
 非常に多くのプレイヤーにご参加いただいております。今後への期待や要望も含めて,反響は大きいですね。一番ご意見が多いのは,操作性の部分です。これは,今まで各プレイヤーさんがプレイしてきたゲームとは若干異なるキーバインドになっていることが理由です。

4Gamer:
 そうですね,個人的にプレイして気になったのも,一般的なものとはやや異なったキーバインドになっている点でした。ほかのゲームなら通常は移動に使うであろうキーに,特殊な機能が割り振られていたりしますよね。

岩田氏:
 ええ,確かにそういったご意見があります。おそらく,キーコンフィグが実装されれば解決できる問題なのですが,今までのテスト段階では,まだ実装していませんでした。
 また戦闘では,スキルを選んでからターゲットを選択するという仕様にもご意見が集まっています。これは1対複数の戦闘を見越した仕様なのですが,いまターゲットしている相手に,そのまま連続してスキルが使用できるようにならないか,というお問い合わせが多いですね。こちらは,そういったモードを用意して対応することになります。キーコンフィグもそうなのですが,プレイヤーが選択できる幅を増やしていきます。

4Gamer:
 なるほど。キーコンフィグはぜひ実装してほしいですね。戦闘に関してなのですが,パートナーキャラクターについても,攻撃してもらうためには命令(の選択)とターゲットの選択が必要で,毎回指示を出すのは大変そうだと感じたのですが。

岩田氏:
 そうですね。パートナーキャラクターの動作については,自動で攻撃してくれたりするモードがほしいというご要望をいただいています。例えば,パートナーキャラクターは常にプレイヤーが攻撃した相手に追従して攻撃するモードですね。
 ただ,それを単純に実現しようとすると,今度はパートナーキャラクターを魔法使い系にした場合でも追従して直接攻撃をすることになりかねません。適宜スキルを使うのか,その場合でもSPが切れたときはどうするのかといった,さまざまな分岐が生じます。どういった状態でも継続して戦えるようなAIの仕様を,今ちょうど詰めているところですので,近日中のアップデートでお見せできる予定です。
 そこで実際に触っていただいて,不足な点や改善すべき点などについて,皆さんのご意見をうかがうことになります。

※8月14日に,公式サイトで「パートナーキャラクターのAI」のOBT中実装が発表,19日に「パートナーオートバトルモード」が実装されている

4Gamer:
 なるほど,AIが実装予定なんですね。では,パートナーキャラクターのAIモードは,プレイスタイルに合わせて選択できるようになりますか? 原作「グランディア」では,「正々堂々」や「他力本願」といった選択が可能でした。

岩田氏:
 はい。現状の自分で行動を選択する仕様も含めて,いくつかあるパターンの中からAIを選択する形になります。

4Gamer:
 分かりました。オンラインゲームなので,「十人十色」(キャラクターの性格による行動)は難しそうですね。パートナーキャラクターに「性格」というパラメーターが追加されて……とか,ちょっと妄想してましたが(笑)。

岩田氏:
 参考にさせていただきます(笑)。

プレイヤーキャラクター,パートナーキャラクターの作成。プレイヤーは,「冒険者コード」という重複不可の仮の名前(?)と,ゲーム内でキャラクターが使う重複可能な名前を付けられる
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4Gamer:
 話を戻しまして,移動の操作に関しては,移動時に地形に引っかかって動けなくなるケースも多いように感じられました。とくに障害物にぶつかって完全に動きが止まってしまうことがあります。

キノコの傘を階段にして段差を移動するのだが,慣れるまでちょっと大変
画像集#021のサムネイル/「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?
岩田氏:
 はい。ご指摘のとおり,クライアントの挙動で一部そういったことが起きています。具体的には段差があって移動しづらい,あるいは普通に歩いていても引っかかるという指摘をいただいています。こちらで検証してみたところ,プレイ環境によって発生しているものも含まれていることがわかりました。
 つまりPCスペックや回線の関係で,画面上に見えているものと実際の処理のタイミングが異なっているのです。またキャラクターの種別や,体格の大中小で感じ方が異なるケースもあると判明しています。
 この問題については,例えばグラフィックス上では段差になっているけれども,処理はスロープと同等にするというような方法で,スムースに動けるよう調整していきます。

4Gamer:
 ハードウェアの差はどうしても出てきますね。プレイの快適さに直接つながるので,この点は早期の解決を期待したいです。ハードウェアといえば,プレイヤーの反応を見ていると,クライアントが重いという話も挙がっているようですね。

岩田氏:
 まだまだクライアントのプログラムも,チューニングの余地があります。グラフィックスカード一つとっても,GeForce系なら問題ないのに,ATI Radeon系ではなぜか不具合が発生するというようなこともあります。通信関係も,まだまだ調整しきれていません。もちろん,そういったことは我々も重々承知しています。
 またPC環境はプレイヤーさんによって千差万別ですから,我々が把握していない不具合が発生しているおそれもあります。もし,なんらかの不具合に遭遇されたときは,ぜひ「こういう構成で,こういう不具合が起きた」という情報をお寄せください。

4Gamer:
 テストであることを考えれば,この時期の運営へのフィードバックは大切ですね。そのほか,プレイヤーから指摘のあった点はありますか?

岩田氏:
 そうですね,「称号」など,こちらで用意したシステムは,概ね受け入れていただけていると捉えています。
 全般的には,日本向けにローカライズされた海外製のタイトルと比較した場合に,作り込みが甘いといったご指摘が多いです。またコンテンツに関しても,ほかのタイトルにあるようなものを実装する予定なのかどうかといったものもあります。
 つまり,ほかのタイトルと比較して「グランディア オンライン」はどうなのか,といった内容がほとんどです。中には「あのタイトルはこういった処理を行っているので,参考にしてみてはどうか」といった助言などもあって,非常にありがたいと感謝しています。

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「ガイアの鼓動」をはじめ,各コンテンツの企画・開発には“協力せざるを得ない”状況を意識


4Gamer:
 ゲームの進行上,「冒険者協会」に入るにはレベル20になる必要がありますよね。そこまでがゲームの序盤かと思うのですが,実際にレベル20になるまでには,同じクエストを繰り返して受けないといけなかったりとか,若干コンテンツの薄さを感じます。

画像集#027のサムネイル/「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?
岩田氏:
 まず,「グランディア オンライン」の世界を知ってもらいたいため,テクニカルテストでレベルに関わらずどこへでも行けるようにしてみました。しかし,そうなるとプレイヤーが集まるゲーム内の場所がなくなってしまうんですよ。ある程度のレベル制限を設けることで,同レベル帯のプレイヤーが一定期間足止めされ,そこにコミュニケーションを取る余地が生まれます。今後,上位レベルマップの実装やコンテンツの充実に伴って,序盤の制限を撤廃する可能性はありますよ。

4Gamer:
 始まったばかりだからこそ,プレイヤー間のコミュニケーションを促すためにあえて制限を課している,と。

岩田氏:
 そうなります。また現状,実装しているコンテンツ量は多いとはいえませんので,MMOマップでモンスターを狩ったり,あるいはクエストを受けてMOマップを利用したりする必要があります。今後,同レベル帯のクエストを一通り達成すれば,次のレベル帯に移行できるようなバランスで,とくに序盤でのクエストを重点的に追加していく予定です。

4Gamer:
 では,クエストをこなしているだけで,レベル20になるようなイメージでいいのでしょうか。

岩田氏:
 それに近い感覚になると思います。ただ,クエストを増やすとはいっても,向かう場所と倒すモンスターが違うだけでは面白くありませんよね。
 そこで,MMOマップではモンスターを倒したときに,一定確率で「ガイアの鼓動」と呼ばれる特別マップへの入り口“光の柱”が開くというギミックがあります。
 これは入り口を開いたプレイヤーだけでなく,周囲にいるプレイヤー全員にマップへ移動できる権利が与えられるというものです。これを重点的に試してみようということで,現在実施しているイベント「ガイアの鼓動」では,倒せば100%“光の柱”が出現するモンスターを定期的に出現させています。

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4Gamer:
 ガイアの鼓動では,特別なモンスターが出てくると聞いています。

岩田氏:
 ええ,ここにしかいないモンスターや,非常に強いモンスターが出てきます。経験値も通常より高くなっていますし,またレアアイテムも入手できます。光の柱を通じて,一緒に中に入った皆さんで,一時的にパーティを組んでもらえれば,突発的なイベントに参加したという気分を実感してもらえるのではないでしょうか。もちろん,それだけで終わりというのもなんですから,今後もイベント的にガイアの鼓動を上手く活用していきたいと考えています。

4Gamer:
 なるほど,システムで発生する簡単なイベントと捉えれば良さそうですね。イベントだからこそ,その場にたまたま居合わせたプレイヤー同士で,協力できそうです。

岩田氏:
 はい,そうなって欲しいです。レベル上げやレベル制限に話を戻しますと,単純に成長曲線を緩やかにするという手段もあります。しかし,そうやって成長を速めるほど,プレイヤー同士が触れ合う機会が減ってしまう傾向にありますから,イベントでコミュニケーションを促し,その場でパーティを組んでボーナス経験値を獲得してもらうような方向で考えています。常にパーティメンバーを募集しているような土壌が形成できればベストなのですが,実際はソロでも遊びたいという要望が多いです。それを踏まえて,現状のようにしているというわけです。

4Gamer:
 日本ではソロプレイが好まれがちですからね。ちなみに,ガイアの鼓動への入り口は,どのくらいの確率で開くのですか?

岩田氏:
 現在は,おそらく数百分の1くらいだと思います。決して高い確率ではないですね。

4Gamer:
 そうすると,狩場にもよりますが,1日に1回出くわすかどうかといった感じでしょうか。ガイアの鼓動に入ると,自動的にパーティに編入されるのですか?

岩田氏:
 いえ,そういうわけではないんです。パーティを組んでいただきたいというのは,こちらの期待ですので,もちろんソロでも遊べます。ただ,今のガイアの鼓動は10分間の時間制限があって,その中でトリガーとなるモンスターを倒すと,再抽選が行われるようになっています。当選すれば次のガイアの鼓動へ移行できますし,外れれば元のマップに戻るという仕様になっているので,できればほかのプレイヤーと協力して,できるだけ長くガイアの鼓動に留まれるように,挑戦してほしいです。

4Gamer:
 一人では,すべてを倒しきれないかもしれないですね。しかし,10分というと,パーティを組むのに手間取ったら,あっという間にタイムアップになってしまいそうです。

岩田氏:
 そうですね。そういったご意見もいただいているので,調整の検討はしています。とはいえ今のところは,ある程度のレベルのプレイヤーが集まっていれば,10分以内にトリガーモンスターを倒せているようです。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに,再抽選の当選確率は,さすがに何百分の1ではないですよね?

岩田氏:
 ええ,これは別の計算式を使っています。パチンコなどでいうところの,確率変動の概念も入れていますので,一概に数字を出すことはできないのですが。仕様上,ガイアの鼓動の連続発生に制限はかけていないのですが,現実的には10回以上続けられたら都市伝説クラスかなあ,とは思います。

4Gamer:
 では実際には,3〜4回続けば,かなり運がいいという感じですか。

岩田氏:
 はい,そんなところです。将来的には,連続発生した場合でしか入れないスペシャルマップや,そこでしか入手できないようなアイテムなどの導入も考えています。
 また現状のルールでは,高レベルのプレイヤーが一人いれば,力任せでトリガーモンスターを倒せてしまいます。そこで,一定時間複数の拠点を守らなければならないというモードなどを入れて,プレイヤー同士の協力が必要になるような,遊びの幅を持たせたいとも考えています。

4Gamer:
 どんなモードが追加されていくのか楽しみです。

この光の柱が“ガイアの鼓動”への入り口となる
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冒険によって「同じ空間,同じ時間で,気持ちや感動を共有」してもらいたい


4Gamer:
 今後グランディア オンラインがこうなっていくというお話があれば,ぜひ聞かせてください。

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岩田氏:
 MOマップは主に一人で遊びたいというプレイヤー向けですので,複数のMOマップをまたいで一つのストーリーが続いていき,最終的に何かがあるというようなものを考えています。
 また複数のプレイヤーが搭乗できる乗り物も,今後実装されます。例えば,皆で乗り込んで出発したあとにモンスターに襲われるかもしれません。そうなれば,乗り合わせた冒険者――プレイヤーのみなさんで力を合わせて,その乗り物を守らなければならず,もし力及ばず乗り物を壊されてしまったら,皆が遭難マップに放り出されるなんて流れもあります。
 そこから元の世界に戻るには,遭難したプレイヤー同士で協力する必要があるといったような,冒険的な“協力せざるを得ない”状況をそこかしこに埋め込んでいけたら,と考えています。みなさんに“同じ空間,同じ時間で,気持ちや感動を共有していただく”というのが一つの狙いになっています。

4Gamer:
 乗り物関係でアクシデントに遭遇するのは,冒険の基本(?)ですよね(笑)。そういえば,本作では武器が複数種類用意されていますが,相互のバランスはどうやって取っているのでしょう?

岩田氏:
 「精霊石」システムがあるので,例えば20の力を持つ精霊石を入手すれば,どの種類の武器でも20の力を付与することができます。そうなると,遠距離から攻撃できる弓が一番強いということになりかねません。そこで,弓のスキルはほかの武器と比較してあまり強くしないという形でバランスを取っています。

4Gamer:
 なるほど,武器のスキルでバランスを取るわけですね。ちなみに現在は,格闘が強いという声が挙がっているようですね。

岩田氏:
 ええ,パワーファイター系ですので,ソロで戦って最短時間で敵を倒すというプレイスタイルには格闘が向いているということでしょう。しかし,本作の武器には,「叩く」「斬る」といった「スタイル」が存在します。今後,格闘に対して,高い防御特性を発揮するモンスターも登場しますから,必ずしも今の状態が続くとは限りませんよ。

4Gamer:
 では,格闘の天下は今だけかもしれない,と。

岩田氏:
 かもしれません。とはいえ,単純に特定のスタイルが効かないモンスターを作ってしまうつもりもありません。それは穴をふさぐような行為で,我々としては簡単なのですが,実際に遊んでいるプレイヤーにとってはあまり面白くないでしょう。
 そこでモンスターそれぞれに弱点を用意しています。この称号でこのスタイルなら,この弱点を持つモンスターを倒していくと比較的楽にレベルアップできますというような形で,できるだけみなさんに自由に楽しんでいただける環境を目指しています。

4Gamer:
 武器が職業などで縛られているわけではないですし,パートナーキャラクターもいるので,その辺りは臨機応変にプレイすれば良いわけですね。

岩田氏:
 はい。とはいえ,そこまで楽しんでいただく以前に,優先して調整しなければならない課題がたくさんあります。今は着々と準備を進めている段階です。

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“グランディアらしさ”は,連携などを使った“戦闘のメリハリ”として表現


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4Gamer:
 ところで,やはり本作は「グランディア」シリーズですから,原作のイメージを期待するプレイヤーも多いと思います。改めて,「グランディア オンライン」における“グランディアらしさ”とは,どのようなものと考えていますか?

岩田氏:
 やはり,まずは世界観ですね。
 またシリーズ共通の特徴は,「アルティメットアクションバトルシステム」と呼ばれる「IPゲージ」を使った戦闘です。しかし,原作のそれはスタンドアローンならではのシステムで,複数のプレイヤーが1体のモンスターに挑むこともあるMMORPGには向いていません。
 そこで本作ではボスモンスターに「IPゲージ」を持たせています。これはボスが強力なスキルを使うために詠唱するというイメージで,ゲージがMAXになるとスキルが発動してしまいます。そこでプレイヤーがスキルを使って攻撃すると,ゲージを減らすことができます。

4Gamer:
 なるほど。初代「グランディア」における,敵の行動/詠唱をキャンセルするシステムと同じですね。

岩田氏:
 そうです。またパーティの連携に関しても,グランディアらしさを意識しています。それは,IPゲージを見てこのタイミングで待機状態になって,次の人が連携スキルを発動させるべきであろうとか,あるいはボスの弱点となる属性の武器を持っている人がメインアタッカーになるべきであろうといったような部分です。シリーズでも自分と敵のIPゲージを見比べながら,どのキャラクターで攻撃すべきか,どの攻撃なら大ダメージを与えられるかという,その場その場の状況判断が戦闘を面白くし,爽快感を強めるという要素がありました。

4Gamer:
 初代「グランディア」では,うまく敵の行動の前に“クリティカル”攻撃を行って,敵の行動を遅らせて,みんなで一方的に攻撃してみたりといった戦術もできました。本作はオンラインゲームですから,プレイヤー個人の状況だけではなく,パーティ全体がどうなっているか把握する必要があるわけですね。

岩田氏:
 はい。また,ボスモンスターの中には複数部位を持っているものがおり,それらを破壊すると思考パターンが変わるという要素も入れています。さらに,そうした戦略性や戦術がある半面,特定のモンスター以外は何となく叩いているだけで倒せてしまうという簡便さも考慮しています。そういったような「戦闘におけるメリハリ」が面白いと受け止めてもらえるようなものを目指しています。

4Gamer:
 ただ,それはボスモンスターとの戦闘を経て,初めて実感できることですよね? チュートリアルにも部位を持つ敵が登場しますが,ボスとの戦闘を体験できるというものではありませんでしたし。

岩田氏:
 ええ,本当のボスに出会うまで体験してもらえません。当初は,通常のモンスターにもIPスキルの概念を採用しようとしたんです。しかし,初心者のプレイヤーは何が起きているのか分かりかねない状況になってしまい,今のようにボスのみに採用することにしました。

チュートリアルで登場する謎の敵キャラクターと,プレイヤーキャラクターを導く“リエーテ”。チュートリアルではファンには嬉しかったり,ニヤリとするような演出も多い
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4Gamer:
 なるほど,いろいろ考慮していることは分かりました。しかし,それが初代「グランディア」を求めている人達に伝わっているかというと,必ずしもそうではないと思います。

岩田氏:
 そうですね。人によっては「グランディアはこういうもの」という定義を持っていて,なぜそうなっていないのかという要望や意見をいただきます。

4Gamer:
 そもそも初代「グランディア」の戦闘は自分の番になると戦闘が停止するターン制のようなものですが,「グランディア オンライン」はリアルタイム制ですからね。

岩田氏:
 ええ,それはもうどうしようもない部分です。例えばボスと対峙したときに,今の仕様ならワイワイガヤガヤと楽しめますが,果たしてターン制にしていたらどうだっただろうという疑問もあります。
 オンラインゲームの特性上,リアルタイム制が最適と考えこのような戦闘方法になっておりますので,ユーザーの皆様に受け入れていただけるために,さらにどのようなものを実装すべきかを検討していきたいと考えています。

4Gamer:
 初代「グランディア」の世界観を持つゲームではあるけれど,本作は「グランディア オンライン」というシリーズ最新作である――と考えたほうが良いかもしれませんね。そのほかに,プレイヤーからの要望に対して,こうしていくといった部分はありますか?

岩田氏:
 そうですね……やはり,ほかのMMORPGやオンラインゲームにあって,「グランディアオンライン」にないコンテンツに要望が集まっています。例えばアイテムの精錬やPvPはできるのか,あるいはギルドはそのうち実装されそうだけど,ギルド戦のようなものはあるのか,といったようなものです。
 もちろん,それらがすべて入っているのがベストだとは思うのですが,果たしてほかのゲームでできることが,「グランディア オンライン」でもできるからといって本当に満足なのか,という疑問も出てきます。
 そこで精錬もペットもありませんが,その代わり“こういうシステム”を採用している,あるいはシリーズをリスペクトしたイベントや遊びを用意しようと考えています。

4Gamer:
 ほかと同じではなく,「グランディア オンライン」ならではのコンテンツを目指すわけですね。

岩田氏:
 はい。例えば対人戦への要望ですが,プレイヤー同士で戦いたいというよりも,何かを競い合いたいという欲求のほうが強いのではないでしょうか。それならば直接戦うのではなく,何か「グランディア オンライン」でしかできない形で競争の場を提供したいです。
 もちろん,誰の目から見ても入っていなければおかしいという要素は,きちんと揃えなければいけませんが,その上で,もし独自性を出せる余地があるのであれば,そのほうが良いだろうと考えています。ほかと比較して足りない部分はあるけれども,ここが楽しいから「グランディア オンライン」を遊ぶ,と言っていただけるようにしたいですね。

4Gamer:
 分かりました。では,今後,ゲーム内の世界はどう広がっていくのでしょうか?

岩田氏:
 まず「グランディア オンライン」に存在する,それぞれ特徴を持った国が順々にアップデートで追加されていきます。そこは分かりやすく進めていきます。

4Gamer:
 まだ現在は,森の国とカラクリの国の二つでしたね。そういえば,初代「グランディア」を遊んだプレイヤーからは,「中心」がどうなっているのか気になっている人も多いのではないでしょうか?

岩田氏:
 「中心」を含め,本作では初代「グランディア」にあったあの場所には何があるのか――という思いを抱きながら冒険を進めていただくことになります。先ほどおっしゃられていたように,「グランディア オンライン」と初代「グランディア」の世界観は同じですが,世界そのものが同じわけではありません。初代「グランディア」で描かれたものが,本作ではどうなるのか,今後の展開を楽しみにしてください。

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実は一番原作っぽい? ブラウザゲーム「グランディア オンライン クロス」


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4Gamer:
 話は変わりまして,オープンβテストと同じタイミングでWEBゲーム「グランディア オンライン クロス」が始まりました。これが意外……といっては失礼ですが面白いですよね。もっと簡単なミニゲーム的なものを考えていました。

岩田氏:
 やはり,どうしてもPCのスペックが足りずに本編を遊べないという方もいらっしゃるかと思います。ずっとシリーズを遊んできたのに,「グランディア オンライン」だけプレイできないというのも寂しい話ですから,せめてチャットだけでも交わせないかと考えたのが企画の発端です。WEBゲームで溜めたポイントで,パートナーキャラクターの経験値アップアイテムと引き換えられるので,ぜひ両方プレイしてほしいですね。

4Gamer:
 そう,本編ではパートナーキャラクターのレベルがプレイヤー自身よりも上がりにくくなっていますよね。これは逆に,本編を遊んでいる人にWEBゲームを遊んでもらうための仕掛けなんですか?

岩田氏:
 現在はシミュレーションRPGの「クエストモード」と,自動でゴーレムがダンジョンを探索してくれる「探査モード」の,2モードを遊ぶことができます。「探査モード」では1,6,12,24時間のルートがすでに導入されていますので,「朝に仕掛けておくと夜に成果を確認して本編で使用してもらう」といったような,ライフサイクルに合ったプレイができるように構成されています。
 またクエストモードのシステムは初代「グランディア」を踏襲する形で開発されていますので,実はこれが一番原作っぽいといった声も頂いております(笑)。

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4Gamer:
 たしかに,戦闘におけるキャラクターの移動順など,初代「グランディア」を思わせる部分が多々あって,そう思いました(笑)。ところで,パートナーショップでは,現在は経験値アップアイテムしか入手できませんが,今後アイテムは増えるのでしょうか?

岩田氏:
 パートナーショップのアイテムラインナップについては,現在,検討段階です。それこそ,パートナーショップでしか入手できないパートナーキャラクター用装備がほしいというプレイヤーさんもいるでしょうし,また別のものがほしいという意見もあるでしょう。
 いろいろ考えてはいますが,WEBゲームは始めたばかりですから,もう少し動向をみたいですね。予想以上に多くの方に,現在遊んでいただけているので,ぜひご意見やご要望をお寄せください。

画像集#022のサムネイル/「グランディア オンライン」開発スタッフインタビュー。オープンβテストの現状,そして今後の展開はどうなる?

4Gamer:
 分かりました。それでは最後に,「グランディア オンライン」に期待している人や4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします。

岩田氏:
 我々が伝えきれていなかった部分は,今回のインタビューで明らかになっているかと思います。「記事を読んだんだけど」という内容でも構いませんので,ぜひ「こうしたらいい」「こうならないか」というご意見を,私どもにお寄せください。よろしくお願いします。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました。


 今回インタビューして感じたことは,岩田氏をはじめとする「グランディア オンライン」の開発スタッフが,プレイヤーの評価や意見を極めて真摯に受け止めている事実だ。岩田氏の話し振りからは,こうすればゲームとして面白くなるというアイデアがたくさんあり,実現できるビジョンがあることもうかがえるのだが,いかんせん,それ以前に解消しなければならない基礎的な課題も現状としてある。
 ガイアの鼓動を使ってプレイヤー同士の繋がりを強化したり,連携を駆使してボスモンスターを攻略したりと,オンラインゲームとして,また純粋にゲームとして面白そうな内容になっているだけに,今後のアップデートは気になる所だ。

 さて,8月24日に本作のオープンβテストは終了する。そのあとのスケジュールは追ってガンホーから発表されるが,現在認識されている問題が早々に解消され,本来目指すべきグランディア オンラインとなっていくことに期待したい。

(8月12日収録――)
  • 関連タイトル:

    グランディア オンライン

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