ネクソンは2019年6月22日,PC用MMORPG「
メイプルストーリー」のオフラインイベント
「Maple Community Day」を,東京のネクソン本社で開催した。
事前応募で当選したプレイヤーを招いて行われたこのイベントは,メイプルストーリーに関わる仕事を紹介しながら運営を身近に感じてもらおうという,通常のオフラインイベントと異なる趣旨で行われた。
運営チームによる「パネルディスカッション」や,ゲーム内の「称号」をデザインするワークショップ,オフラインイベントでお馴染みのプレゼント抽選会,さらに最新のアップデート情報の公開などが行われた,イベントの模様をレポートしていこう。
司会担当の岸大河さん(左)とメイプルストーリーGMミネラル姐貴氏(右)
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最初に,デザインチーム,WEB企画チーム,マーケティングチーム,ローカライズチーム,運用チームという5つのセクションの関係者が登壇してパネルディスカッションを行った。
パネルディスカッションで登壇した運営チーム
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デザインチームの仕事は,運用チームからどういうアイテムを実装するのか,そのお題をもらってデザインしていく流れになるという。ゲーム内アイテムの「ゆるうさぐるみ」を例に説明されたが,完成に至るまでには紆余曲折があったようだ。
最初に「かわいいJK,JCが持っていそうなアイテム」とテーマが指定されたものの,いろいろな“かわいさ”があり,ギャルやロリ系なのか,サブカル系なのか,かわいいの方向性を決めながらラフデザインを描いていく必要があったという。
ゆるうさぐるみのラフデザイン案。数多くのデザイン案を出すうちにデザイナーが迷走し始める様子もなかなか興味深い
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可愛いアイテムを得意とするメイプルストーリーだが,デザインチームによるとセクシー路線のアバターは苦手としているようだ
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デフォルメされたキャラクターなので,当然といえば当然だが,水着など肌の露出があるアバターのときは,身体のラインを見せないデザインにしたり,ドットに影を入れて細身に見えるようにしたり,「メイプル式着やせ術」でうまく工夫しながらデザインしているそうだ。
会場では,来場者からの要望に応えて,メイプルキノコに独自のアクションを付ける試みも行われた。「焼いてほしい」「目が光ってほしい」「ロケットで飛んでほしい」「中からカリアゲが出てきてほしい」など,自由奔放な意見が飛び交うが,イベントの最後には,これらの意見を汲んだメイプルキノコのアクションが披露された。
WEB企画チームからは,WEBディレクターの仕事内容が紹介された。どんなWEBサイトにするのか考えるのが主な仕事ということで,何をどんな構成で載せるのか,どんなデザインにするのか,どこにリンクを張るのかを検討することが主な業務だ。
バーニングメイポンのWEBページ。イベントはすでに終了している
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アップデートやイベントごとに専用のWEBサイトが用意されるが,「みんなが見てくれない」ことが大きな悩みだという。そこで今回は,メイプルストーリーのWEBサイト内の隠しコンテンツや注目のポイントが紹介された。
具体例として挙げられた「BlackMage」アップデートのときに行われたWEB企画「バーニングメイポン」では,音声と合わせた演出も用意されていたそうだが……あまり見てもらえなかったとのこと。ちなみに,バーニングメイポンでは,豪華な報酬アイテムも用意されていた。イベントやキャンペーンの際は,WEBサイトもチェックして隠しコンテンツを探してみよう。
マーケティングチームからは,業務の具体的な内容が紹介された。マーケティングという言葉から具体的な仕事のイメージがなかなか掴めないかもしれないが,実際には,生放送の企画や広告バナーの制作などその業務は多岐にわたっている。
オフラインイベントの運営もマーケティングチームが行っている。「MapleParty2019」の開催は11月9日となり,過去最大規模で実施するとのことなので,続報に期待しよう。
続いて,ローカライズチームの仕事内容について。ローカライズチームは,韓国で開発されたメイプルストーリーのコンテンツを日本でプレイできるよう翻訳することが主な業務だ。実際に翻訳を行う際は「情報収集の徹底」「日本実装時の文言チェック」「単純な日本語化ではなくローカライゼーション」といったことを注意しているとのことだ。
翻訳業務の具体例として紹介された「BlackMage」アップデートでは,文字数にして34万字程度,原稿用紙換算で850枚ものボリュームだったという
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細心の注意を払って翻訳を行っているが,長い歴史のなかで「これ何?」と思ってしまうような誤訳アイテムも存在している。すでに修正されているが「レであってポピッの玉」を覚えている人もいるのではないだろうか。ちなみに,誤訳ではあるがすでにプレイヤーの間で定着している「浄水シリーズ」や「胸幅のあるホブ」を修正する予定はないとのことだ。
パネルディスカッションの最後は,運用チームの担当者が登壇して発表を行った。運用チームの仕事は,運営の各セッションのチームと連携しながら,プレイヤーにアップデートを届けることだと説明する。そして,次の大型アップデートの情報も公開された。
次期大型アップデート「アドベンチャー」は,2019年7月10日より実施される予定で,さまざまなミニゲームが追加されるほか,新規職業「パスファインダー」が実装される。パスファインダーは,機動力が高く使いやすいスキルを持つのが特徴で,唯一無二のレリックゲージを所持しているという。なお,アップデート予定日の7月10日からパスファインダーの事前作成キャンペーンが行われ,このキャンペーンが終わる7月24日から実際にプレイ可能になるようだ。
また,アップデートが待ちきれないプレイヤーのために,6月26日からゲーム内イベント「アドベンチャーボックス」が実施される。モンスターを倒して「ボックス」を入手し,そのボックスからランダムでコインが(一部のコインは低確率で)当たるイベントとなるそうだ。集めたコインは7月10日以降にオープンとなるコインショップでアイテムと交換ができるようになる。さらにWeb企画「アドベンチャーメイポン」も実施予定で,新機能も追加されるようなので楽しみにしておこう。
パネルディスカッションは以上となるが,イベントの後半では,ゲーム内の「称号」をデザインするワークショップが行われた。来場者はいくつかのグループに分かれ,オリジナルの称号のデザインと名前,付与されるステータスをデザインし,ネクソンによる審査の結果,「大賞」の評価を得た称号はゲーム内に実装される。デザインチーム賞,(運用チームの)細田ヒカル賞を取った作品も前向きに実装を検討するとのこと。
和気あいあいとしながらも,真面目にワークショップの課題に取り組む参加者達
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大賞「放置中」
今までになかったタイプの称号であることが評価された作品。放置中やAFKをモチーフにした作品は複数あったが,そのなかで一番バランスが取れていたと説明された。8月から9月頃の実装を目指すとのこと
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デザインチーム賞「ナス同盟」
面白さとコンセプトがきちんと統一されていることが評価された作品。ただし,付与されるステータスは運用チームからNGが出ていた
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細田ヒカル賞「天国での約束」
ストーリー上の人気が高いスウとオルカが描かれたこの作品に,細田氏は「泣きそうになった」とコメント
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イベントの最後は,WebMoneyやメイプルストーリーに関わるアイテムが当たるプレゼント抽選会も実施され,サプライズ発表を含め盛りだくさんな内容となった「Maple Community Day」は幕を閉じた。
プレゼント抽選会では,一点モノのレアアイテム「ゼロの剣」も出品された
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