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どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表
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印刷2012/08/02 00:00

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どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

 2012年8月1日,日本オンラインゲーム協会(JOGA)は,景品表示法などに基づく「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表した。
 これは消費者庁の提示した景品表示法に基づく,いわゆる「コンプガチャ」規制に則った運用の基準を示すもので,オンラインゲームで広く行われているガチャシステムによるビジネスモデル作成の基準となるものである。
 真に消費者保護という観点からいけば,確率の明示されていない1段めのガチャでさえコンプガチャと同等と思われるのだが,現状では法的に明確に規制されているのはコンプガチャなど「カード合わせ」のケースのみだ。ガイドラインでは,ガチャ自体の存在は許容しつつ,どういうケースでは問題があるのかを細かく解説している。
 なお,同種のガイドラインとしては,ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会(6社協議会)のものがすでに発表されている(関連記事)。そちらは法的な部分をなぞった内容ではあったものの,なにがOKでなにがNGなのか,いま一つ分かりにくい感じだったのだが,JOGAのガイドラインでは具体的な例示が豊富に用意されており,法令が禁じているものがなにかというのが分かりやすいものとなっている。

 いくつか例を見てみよう。まず,有料ガチャ(以下,ガチャ)で出てきた素材などを組み合わせて新しいアイテムを合成するといったケースだ。

画像集#001のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

 ガチャで入手したアイテムAとアイテムB,購入したアイテムC,ゲーム内で入手したアイテムDを合成して新たなアイテムを作り出すシステムがあったとする。これは結果的にコンプガチャと同等のものとみなされる。これはアウトだ。

 次に,ガチャで入手したアイテムAとゲーム内で入手した宝箱,そしてそれを開けるための鍵アイテムを購入し,宝箱からアイテムBを取り出して合成するといった複雑なシステムの場合,これはセーフとみなされる。

画像集#002のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

 なにが違うのか? 実は細かいシステムの部分は関係ない。ガチャで入手する素材が1種類ならセーフで,ランダムに得られる特定のアイテムが2種類以上必要だとカード合わせとみなされることになるのだ。
 同じような例でも,アイテムA,アイテムB,アイテムCのいずれか2個(同種も可)といったシステムであれば問題ないとみなされる。前者は,乱数が掛け算のかたちで導入されており,一定の組み合わせになる確率が極度に低くなる可能性があるのに対し,後者は乱数が足し算のかたちで導入されており,揃う確率自体はさほど低くならないとみなされているのだろう。現実の確率が保障されるわけではないが,システム的に見た乱数の掛け算要素を違法としているらしいことが分かる。

 簡単にまとめると,購入するアイテムについては,

 「乱数×乱数」の要素は不可

ということになるだろう。乱数+乱数のようなものは許容される。また,購入しないアイテムについての乱数要素は考慮されない。単にガチャを回すという行為に留まらず,一定のアイテムを購入して,それがランダムに抽選されるようなものはガチャと同じとみなされる。

 さて,だいたいの例は,上記の仮定で見ると非常に分かりやすいのだが,一つだけ例外がある。得られる結果がランダムになるアイテムについての例が次の図である。

画像集#003のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

 これはアウトの例なのだが,乱数によって得られる特定のアイテム2個から乱数で特定のアイテムを作り出すというものとなっている。当然,乱数×乱数×乱数となり,前半だけを見ても考えるまでもなくダメなのは分かるのだが,以下のようなものはセーフだとされているのだ。

画像集#004のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

 これは,ガチャで得られるいくつかのアイテムのどれか2つ(同種含む)を組み合わせることでランダムでアイテムが得られるシステムである。

 先ほどの仮定に準拠して考えてみよう。最初に出てくるアイテムが,ガチャで出てくるアイテムならどれでもよいという意味であれば,最初のガチャにランダム性はなくなるのだが,解説によると「類例4と同様問題ないと思われる」とある。はたして,類例4というのは,まさに1段めのガチャで1カテゴリのアイテム群しか出てこないシステムのことであり,そのうえで同カテゴリのアイテムの組み合わせとなれば,最初のガチャのランダム性は無視してよくなる。この範囲では,先ほどの仮定は有効である。

これが類例4
画像集#005のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表

類例5。これもセーフ
画像集#006のサムネイル/どのガチャはセーフなのか? 日本オンラインゲーム協会,「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表
 ここで問題になるのは,特定の組み合わせを用意する場合でのダメな例が示されていないことだ。ガチャを回させておきながら,どれの組み合わせでもよいというのは,運用上あまりありえない選択のようにも思える。
 さて,類例4の続きとして,最初のガチャで複数のカテゴリのアイテム群が出てくる類例5というものもあり,(特定のカードではなく)カテゴリの組み合わせで景品が出るものはセーフだとされている。しかし,得られる結果がランダムになるシステムに類例5などを適用した場合についてのことが明示されていない。
 結果として,カード合わせが同時的に発生している状況での「乱数×乱数」が明確に不可なのは分かるのだが,同時でない場合のガイドラインが示されていないのだ。世の中には,同時でなければ(確率的には同じでも)カード合わせではないという考え方をしているメーカーもあるようなので,JOGAではいわゆる「2段ガチャ」についてどのように考えているのかを知りたかったところである。

 そのほか,JOGAのガイドラインでは,ガチャの結果として得られる「経済的利益」として明確にアイテム以外の要素,すなわちパラメータの変化などにも言及しており,いわゆる「セット効果」はガチャで入手できるアイテムでは禁止されるものとなることが分かる。
 ごく一部に疑問点はあるものの,全体的に見れば非常によくまとめられた資料となっており,JOGA内部でさまざまなケースについて詳細に検討が行われていることが察せられる。これを生かしたよりよいオンラインゲーム運営が行われることを望みたい。

オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン(別紙3の部分)

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