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[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来
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印刷2010/02/16 10:30

インタビュー

[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来

大ヒットとなった「FarmVille」の姉妹作である「FishVille」。こちらはFacebookで展開されるソーシャルゲームだが,開始からたったの2日間で87万5000人のアクティブユーザーを獲得したという
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 海外における「Zynga」「Playfish」といった専業会社の急成長,国内においては「サンシャイン牧場」の爆発的な広まりなど,近年のゲーム業界を語るうえで外せないのが,いわゆるソーシャルゲーム市場の拡大である。
 とくに海外でその潮流は顕著で,昨年末に,世界で1,2を争うゲームパブリッシャであるElectronic Artsが,ソーシャルゲーム業界第二位のPlayfish社を,3億ドル(約275億円)プラス出来高払いの1億ドル(約92億円)の総額約370億円で買収。今後拡大するであろうソーシャルゲーム市場に向けて,ダイナミックな布石を打ったのは記憶に新しい。

 そんな状況のなか,国内最大手のソーシャルネットワーキングサービス「mixi」を運営するミクシィは,昨年8月,同社サイト上にて「mixiアプリ」を公開。1800万アカウントを誇るmixi上のユーザーに向けて,他社が自由にアプリケーションやサービスを展開できるようになり,日本国内でも,ようやくソーシャルゲームに関する大きな動きが見え始めてきた。
 2010年2月時点では,先にも例に挙げた「サンシャイン牧場」が約450万アカウント,続く「マイミク通信簿」は340万アカウントの登録を記録。海外に目を向ければ,ローンチから1年経たずして7500万人を超えるアクティブユーザーを獲得したという「FarmVille」の例など,ソーシャルゲームは,その圧倒的な集客力と伝播力によって,ゲーム市場の「次」として大きな注目を集めている分野なのである。

 今回4Gamerでは,2月17日に開催されるOGC 2010に先駆けて,同イベントで基調講演を行う予定のミクシィ代表取締役・笠原健治氏にインタビューを実施。同社が考えるソーシャルゲームの可能性やSNSの展望,そして来たるべきSNSの国際競争において,ゲームという分野がどういう位置づけになっていくのかなど,いろいろな角度から話を聞いてみた。

2009年8月より展開されている「mixiアプリ」。mixiプラットフォーム上でさまざまなコンテンツが提供されている
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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 まず「mixiアプリ」のサービスインから半年ほどが経ち,また昨年の10月下旬には「mixiアプリモバイル」も開始されたわけですが,mixiアプリの現状,またそれがmixi本体に与えた影響などについてお聞かせ願えますか。

ミクシィ代表取締役・笠原健治氏
画像集#003のサムネイル/[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来
笠原健治氏(以下,笠原氏):
 こちらこそよろしくお願いします。
 まずmixiアプリの影響についてですが,そちらに関しては,ページビュー(以下,PV)の飛躍的な増加,月間ログインユーザー数の増加など,思った以上に目に見える形で盛り上がっているなという感じですね。具体的な数値でいうと,PVがアプリ開始前より125億増,月間ログインユーザー数も順調に増えています。

4Gamer:
 それは凄いですね。月間ログインユーザーというのは,やっぱり既存のユーザーのログイン率が上がったという意味合いが強いのでしょうか?

笠原氏:
 mixiアプリを展開する前より,新規の登録者数自体も大分増えているのですが,PVへの貢献度という意味では,仰る通り,元からいるユーザーの皆さまが活性化したという方が強いですね。週に1〜2度しかログインしなかったユーザーさんが,毎日使っていただいている感じですね。

4Gamer:
 成功例としては,やっぱりサンシャイン牧場などの名前が挙がるだろうと思いますが,集客効果に関してはともかく,売り上げという面ではどうなのでしょう? これから参入しようと思っているゲームメーカーさんなどが気にしているのは,やっぱりそこだと思うのですが。

笠原氏:
 すでに月に4000〜5000万円の売り上げをたてているアプリが何本かあるという状況ですね。マネタイズについては,PVに応じて広告費をお支払いする形とユーザーさんからの課金システムを用意させていただき,決済手数料を除いた80%を還元させていただくという,二つのパターンを用意させて頂いているのですが,広告収入だけで3000〜4000万円というアプリも出てきています。
 

「GREEやモバゲーとは違うもの」――mixiアプリが目指す方向性


4Gamer:
 話が少し逸れてしましましたが,改めて。
 mixiアプリがスタートして,いろいろなコンテンツがmixi上で展開されるようになっていますが,やはりどうしても,GREEやモバゲーとの比較をされてしまうと思います。それらとの違い,あるいは差別化についてはどのように考えているのでしょうか?

笠原氏:
 GREEさんやモバゲーさんとの違いについては,今まさに「ちゃんと伝えていかなきゃ」と考えている部分ですね。ひとまとめに「同じカジュアルゲームでしょ」という見られ方をしている印象が強いんですが,そこは違うんです,と。

4Gamer:
 具体的にはどう違うんですか?

笠原氏:
 これは全然良し悪しの話ではなくて,純粋にコンセプトの違いの話だと受け取って頂ければと思うのですが,モバゲーさん、GREEさんは,基本的には“ゲームのコミュニティ”だと思うんですよね。Web(PC向けの)の世界でいえば,ハンゲームさんに近いといえばいいでしょうか。見ず知らずの人たちとゲームを軸に集まって,ゲームを軸にしながら知らない人と競い合ったり,コミュニケーションをしていくサービスだと思うんです。
 一方でmixiは,あくまでも「既知の友人,知人とのコミュニケーション」が“主”だと考えているんですよね。だから,ゲーム(アプリ)はあくまで“従”の位置づけで,同じゲームでも,mixiのそれは友人/知人とのコミュニケーションのためのゲーム,そういう違いがあると考えているんです。ある意味「非ゲーム的なゲーム」というか,友人/知人とのコミュニケーション,そこで沸き起こる感情が一番重要な要素になると思います。

4Gamer:
 なるほど,確かにそういうコミュニティの性質の違いは感じるかもしれませんね。

笠原氏:
 ええ。そういう違いを認識せずに,ほかのサービスと同じ感覚でmixiアプリを作ってしまうと,mixiならではの既知の友人・知人とのコミュニケーションという要素を活かすことができないと思うんですよね。だから,そこの違いはしっかり伝えていかないと駄目だなと。

4Gamer:
 サンシャイン牧場あたりは,プレイ自体が「知人とのコミュニケーション」になっているというか,そこの違いなんですよね。一見分かりづらいし,ソーシャルゲームの定義自体もまだ曖昧なんですけど(笑)。

2010年2月時点で450万超の登録者数を誇る「サンシャイン牧場」
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笠原氏:
 そうなんです。サンシャイン牧場は,ゲームの設計があくまでも「マイミクとのコミュニケーション」なんですよね。誰それの畑に水をやった,害虫を駆除したというのが,いわば足あと的な感覚のコミュニケーションになっている。よく知っている誰かにいたずらされたから悔しいとか嬉しいとか,よく知っている誰かの畑だから愛おしく感じるとか,そういうよく知っている友人だからこそ沸き起こる感情がちゃんと喚起される設計になっていると思います。

4Gamer:
 日記の延長というか,ゲームプレイを通した“より緩いつながり”とでも言うべき位置づけですよね。操作やアクション自体が,コメントを書き込む代わりになっているというか。

笠原氏:
 はい。普通のオンラインゲームみたいに,大きな目標があって,それを達成するためには人数が多い方が有利だから,そのためにコミュニケーションしながら人を集めて……というものではない。あくまでも「友人知人と遊ぶためのもの」なんだという違いですね。そこは大きな差なのではないかと考えているんです。

4Gamer:
 分かります。


ゲーム機戦争とSNS戦争の狭間で


4Gamer:
 日本国内では,mixi,モバゲー,GREEの3サービスが比較されがちだと思うんですけれど,一方でFacebookやMySpaceなどといった海外のSNSについてはどう思われますか?
 一般論で言えば,やはりそうした海外の巨大なSNSサービスに,mixiが飲み込まれてしまう危険性……といった話は言われていることだと思いますが。

笠原氏:
 海外のそうしたSNSサービスに飲み込まれてしまう危険性があるというのは,もちろん私共も認識しています。ですので,そうした海外のサービスと競争していけるだけの土台を今まさに作っているところですね。

4Gamer:
 海外のサービスへの具体的な対抗策,あるいはそれらと比較して「mixiはここが有利」とアピールできる点はあるのでしょうか?

笠原氏:
 世界展開については,大きな課題でもありチャレンジでもあると思っていまして,そこはぜひ挑戦していきたいと考えています。ただまぁ,詳細な戦略については,今はまだお話できる段階ではないです。

アカウント数1800万超。国内最大級のソーシャル・ネットワーク・サービスの「mixi」
画像集#020のサムネイル/[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来
4Gamer:
 これは“そもそも”のお話になってしまうんですけど,SNSは,英語圏ではFacebookやMySpace,中国ではQZone,そして日本ではmixiといったように,今のところは地域ごとに分断された状態ですよね。笠原さんの見立てとしては,今後これがFacebookなど一つ(あるいは少数に)統合されていくのか,それとも地域別に土着していく流れになるのか,大枠としてはどちらになると考えているのでしょうか。

笠原氏:
 今は土着の状態ですが,SNS自体そもそも一人勝ちしやすいモデルなので,どこか一社に収斂(しゅうれん)されても不思議ではないと思っています。なので非常に危険なわけですが,私らとしては,まずは世界の大手三社の一画を狙う,というくらいを目標にしたいですね。

4Gamer:
 mixiアプリは,そのための布石という意味合いもあるのですか? 個人的に一つ気になっていたのは,mixiアプリが「OpenSocial」(※)をベースとしている点なんですよね。デベロッパからすると,mixi用に作ったものを海外でも展開しやすいというメリットがありますけど,mixi側からすると,海外サービスとの差別化ができないというデメリットはないのでしょうか?

※Googleが提唱する,複数のウェブサイト間で使用可能なソーシャル・アプリケーション共通のAPI定義。海外では,MySpaceなどが対応を表明している

笠原氏:
 アプリという分野で見た場合は,悔しいですけど,Facebookが1歩も2歩も先をいっているというのが実情だと思いますし,そこは認めないといけませんよね。だから,海外のサービスとの差別化という意味では,また違う強みで勝負すべきだろうなと考えています。もちろん,mixiアプリが必要ないという話ではありませんけど。

4Gamer:
 なるほど。では,あともう一つ。
 SNSの国際競争,そしてそこで展開されるソーシャルゲームなどに思いを巡らせたとき,個人的には,「ゲーム機」とソーシャルサービスの関係ってどうなるんだろう?ってところに興味があるんですよね。

笠原氏:
 ゲームを遊ぶためのインフラとして,という意味ですか?

4Gamer:
 そうです。例えば,任天堂とはてなは,「うごメモ」というサービスをリリースしましたし,PlayStation 3には「HOME」というアバターサービスがあります。そしてXbox 360には「Xbox Live!」と,ゲーム機には,今や当たり前のようにコミュニティサービス/ツールが付加されていますよね。
 またゲーム機とネットサービスの連携の例でいえば,ニンテンドーDSiにFacebookと連動した写真投稿機能があったり,Xbox 360もFacebookやTwitterとの連携機能を実装しています。

笠原氏:
 なるほど。

4Gamer:
 そうした状況を踏まえたうえで,例えば,来るべき次世代の携帯ゲーム機戦争(据え置きより先に行われると思われる)の展開を考えてみると,ソーシャルサービスを含めたネットワークサービスをどういった形で盛り込んでくるのか――やっぱりそこが,大きな争点になる可能性は高いと思うんですよね。
 笠原さんは,そうしたゲームとソーシャルサービスの関係みたいな部分についてはどう思われますか?

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笠原氏:
 あくまで“個人的には”ですけれど,ゲーム機が単独で現実社会に即したソーシャルグラフ(既知の友人・知人関係)を作っていくというのは,やはりどこか無理があると思っているんですよね。そこはさっきお話したモバゲーさんやGREEさんとの違いの話に戻るんですけれど,ゲーム機はあくまでゲームを遊ぶためのもので,仮にそこでSNS的なサービスを内包したとしても,やっぱりそれはあくまでも「ゲームのためのコミュニティ」になってしまうんじゃないかなと。ゲーム機によってはソーシャルグラフを完全に作れるほど普及していないこともありますし。
 mixiが目指すSNSのあり方というのは,それこそ50年使い続けられるようなサービスというか,実社会での人間関係を維持するためのツールというか,一つの社会基盤として根付かせるような方向なんです。

4Gamer:
 でも一方で,ゲームとコミュニティって強い結び付きがあって,やっぱり「友達と一緒に遊びたい」みたいな需要はあると思うんですよね。

笠原氏:
 私らは,「ソーシャルグラフ」と「バーチャルグラフ」って言い分けているんですけど,その「一緒に遊びたい」というニーズって,どちらもあると思うんですよね。学校の友達と一緒に遊びたい(ソーシャルグラフ)と思うのと同様に,ゲームを通じて誰か知らない人と出会いたい,そして遊びたい(バーチャルグラフ)という欲求は,並び立つものだと思うんです。

4Gamer:
 そうですね。そういえば,笠原さんはニンテンドーDSの「トモダチコレクション」って遊ばれました?

笠原氏:
 ええ,遊びました。

4Gamer:
 トモダチコレクションは,ネット上での話題はそれほど大きくないはずですが,それでも現時点で270万本とかという売れ方をしていて,まだまだクチコミで広がりを見せている。あれを見ていると,ネット側には未だ十分に,実世界にあるようなクチコミ感,人間関係感というのでしょうか? そういうものを持ち込めていないんじゃないかって少し感じるんですよね。

笠原氏:
 とてもよく分かります。そうですよね。ただ一方で,例えばそのニンテンドーDSが,「バーチャルグラフ」のニーズを捨てきれるかというと,それはやっぱり諦めきれないんじゃないかなとも思うんですよね。ゲーム機にとっては,ソーシャルグラフとバーチャルグラフのニーズって,どっちか片方だけというよりは,どちらも必要だと思いますので。
 私らとしては,純粋に「ソーシャルグラフ」を提供している会社として,ゲーム機メーカーさんとうまく組める存在ではないかと思ってます。

2010年2月時点で,270万本を超える大ヒットとなっているニンテンドーDSの「トモダチコレクション」。2009年に発売された中でも,とくにエポックメイクなタイトルの一つだと感じるのは筆者だけではないハズだ
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ソーシャルサービスの今後。15歳以下にある未開拓市場へのアプローチ


4Gamer:
 そういえば,笠原さんのインタビューを昨年いくつか拝見したのですが,そこで「まだ35歳以上の層が未開拓だ」というお話がありましたよね。

笠原氏:
 ええ。例えば,日本の40代におけるmixiの利用率って,10%以下でしかないんですよね。裏を返せば,残りの90%がまだmixiを使ったことがないんです。
 
4Gamer:
 PCのWeb自体の年齢層が,10代後半から40歳前後が中心というイメージもありますしね。しかし一方で,15歳以下の層というのも,Webサービス/ソーシャルサービスという意味では,まだまだ未開拓なんじゃないかとも思うんですよね。

笠原氏:
 携帯電話のおかげで,若年層にもだいぶ“ネット環境”が普及したとは思いますけどね。
 
4Gamer:
 でも例えば,少なくとも日本の小学生とかは,まだソーシャルサービスというものにあまり触れてないと思うんですよ。
 そこでさっきの携帯ゲーム機の話に戻ってしまうのですが,次の携帯ゲーム機が仮にネットを前提,あるいはよりネットを重視したものになって,そこにソーシャルサービス的な機能を盛り込んだとしたら……。それって今あるものよりも,さらに敷居の低いコミュニティサービスになり得ないだろうかと。

画像集#005のサムネイル/[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来
笠原氏:
 十分あり得ますよね。ただそこは,私も先ほどの話に戻るのですけれど,ソーシャルサービスというのは,他の産業を補完できる存在だと思っていて。実社会ベースの友人知人が繋がっている(ソーシャルグラフを持っている)のが最大の武器だと考えているんですよ。
 だからそれを,既存の産業と組み合わせて行くことで,様々な価値を提供できるのではないかなと。例えば,ゲーム機とは少し話が外れますけど,テレビとソーシャルグラフが融合して,同じ番組を見ているマイミクがテレビの画面上でピコピコっとアナウンスされて,そこからテキストなりボイスなりでチャットできたりして,お茶の間的な感覚を体験できるようにするんだとか。もちろん,これはぱっと思いつく程度の一例に過ぎませんけれど,ゲームも含めて,いろいろなものに(ソーシャルサービスならではの)新たな価値を提供できるのではないか。私どもとしては,ソーシャルグラフをどう使ったら便利なのか,あるいは面白いのか。いろいろな応用方法を日々考えています。


「登録制はむしろ招待させるためのもの」
             ――登録制に移行する真意とは



4Gamer:
 お話を聞いていると,mixiが目指す方向性というのは,やはり「実名寄り」のSNSサービスという方向なのでしょうか?

笠原氏:
 そうですね。「実際の友人知人」というソーシャルグラフは,やはりmixiの大きな強みだと思います。
 
4Gamer:
 しかしそう考えると,今後予定されている「登録制への移行(※)」という施策は,そうした方針と矛盾しているように思うのですが……

※これまではすでに登録している人からの招待状が必要な「招待制」の方針を貫いてきたmixiだが,2010年3月から自分一人でも参加できる「登録制」を導入することがアナウンスされている

笠原氏:
 ああ,これもちゃんと説明させて頂きたい部分なんですけど,我々が考えている登録制というのは,むしろ“招待をより活発にするため”の取り組みなんですよね。

4Gamer:
 それはどういう意味ですか?

笠原氏:
 というのも,現状のmixiには約1800万人のユーザーさんがいらっしゃるわけですけど,裏を返せばまだ日本人の一億人以上がmixi を触ったこともない方達です。「招待制だけではどうしてもリーチできない層」というのが確実にいると思っているんですよね。先ほどの40代云々のお話じゃないですけど,mixiという名前自体はどこかで聞いていて興味はあるのに,周りで使っている人が一人もいない――そういう状況は決して少なくないと思っているんです。

4Gamer:
 確かに。

笠原氏:
 ですので,そうした好奇心旺盛なユーザーさんに対して門戸を開くことで,その人が中心になってまず登録をして頂き,更に周りを招待して,これまでmixiに触れてこなかったようなお客さん達の間に広まっていってほしい。そういう思い,そういう仕組みを登録制には盛り込んでいるんです。

4Gamer:
 それは興味深いですね。

笠原氏:
 ですから,登録にあたってのインターフェースもその流れが実現出来るように慎重に作り込んでいますが,実際に機能が実装されたのを見て頂ければ,登録制に関する皆さんの懸念が杞憂だったと感じて頂けるんじゃないかなと。

4Gamer:
 分かりました。あと,先ほどソーシャルテレビ(?)のお話がありましたけれど,今後のmixiというか,オンラインサービス,ここではあえてWebではなくそう言ってみますが,サービス全般の流れとしては,そういうリアルタイム性/同期性みたいな部分は重要だとお考えなのでしょうか?
 最近だと,Twitterもそうですし,ニコニコ生放送やUstreamなど,リアルタイム性を押し出したサービスが人気を博していますよね。

笠原氏:
 同期/非同期のコミュニケーションにはそれぞれ需要があると思っているので,特別にリアルタイム性を,という意識はないですね。リアルタイムのコミュニケーションは,臨場感がある半面どうしても“重いコミュニケーション”になってしまいがちですし,そこは使い分けだと思います。
 
4Gamer:
 Twitterについてはどう思われますか? これもmixiとよく比較されるサービスの一つだと思いますが。

笠原氏:
 Twitterに関しては,現状,知り合い同士で連絡を取り合うSNS的な使われ方をする一方で,不特定多数に向けた使い方,言うなればちょっとBlogに近い方向に偏りつつあるかな?という印象があります。弊社のmixiボイスなどと使われ方の差を注意深く見ているんですが,やっぱり使い方がちょっと違うかな。
 
4Gamer:
 確かにTwitterは,内輪向けよりも外側に向きつつある印象は少しありますね。

笠原氏:
 まぁまだ様子見が必要ですけれど,mixi日記とBlogというように棲み分け(使い分け)されていく可能性はあるように思いますね。

4Gamer:
 分かりました。それでは,そろそろお時間ですので,最後にゲームメーカー,そしてユーザーさんに向けてコメントをお願いします。

画像集#002のサムネイル/[OGC 2010]「ゲームとSNSは良い関係を築ける」――ミクシィ代表取締役・笠原健治氏に聞くSNSとゲームの未来
笠原氏:
 まずゲームメーカー/mixiアプリに参入を検討されている会社さんに向けてですが,これも繰り返しになりますが,mixiは,あくまでも「知り合いとのコミュニケーション」を軸としたサービスであり,そこが他社さんのサービスとは違うという点です。そこをご理解頂いたうえで,「mixiアプリならではのコンテンツ」をぜひ一緒に作っていければと考えております。
 mixiアプリは,既存のオンラインゲーム市場などに敵対するような存在ではないと考えておりますし,むしろ弊社がご協力させて頂くことで,ゲーム会社さんのビジネスチャンスを広げられるのではないかと思う次第です。
 また,いつもご利用頂いているユーザーの皆様にも,改めて御礼申し上げます。今後ともより快適で便利な,そして楽しいソーシャルサービスを目指して行く所存ですので,これからもどうか宜しくお願い致します。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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 さて,mixiアプリの話を中心に,mixi自体のことやソーシャルネットワークサービス全般の話題,そしてゲームとコミュニティの関係についてなど,多岐にわたった今回のインタビューだが,国内最大のSNSを運営するミクシィ,そしてそれを率いる笠原氏の考え方,方向性の一端がうかがい知れたのは収穫であった。

 インタビューでも触れたことだが,ゲーム業界の側から各種コミュニティサービスを考えた場合に,ゲームとコミュニティの関係をどう捉え,サービス/ゲーム内容に落としこんでいくかは,昨今,よりその重要さが増しているように思えてならない。コンソール市場が苦戦を強いられる一方で,携帯電話向けのゲームサイトの隆盛,そしてソーシャルゲーム市場の急激な拡大など,ゲームの遊ばれ方や広まり方,ひいては売られ方が,大きく変化してきているからだ。

 そうした状況のなか,SNSというサービスがどういう立ち振る舞いをし,ゲーム産業にどう関わっていくのか。業界関係者の注目は,しばらく続きそうだ。


ソーシャル・ネットワーキング・サービス「mixi」


OGC 2010公式サイト


 
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