業界動向
PC&コンソール市場は2023年に2.6%成長,今後も緩やかな成長が続く見込み。プレイ時間の大半は6年以上前のタイトルが占める
調査会社のNewzooは2024年4月2日,「Newzoo’s PC and Console Gaming Report 2024」(PCおよびコンソールゲームについてのレポート2024年版)を公開した。レポートでは,プレイ時間の減少傾向など市場の状況について分析している。本稿ではレポートのキーとなる部分をピックアップしよう。
・プレイ時間は減少傾向。6年以上前のタイトルがプレイ時間の60%を占める
・2023年の新規ゲームプレイ時間の60%は,毎年新作をリリースするフランチャイズ
・新興市場におけるプレーヤーの増加は、既存市場を大きく上回る
Newzoo「The PC & Console Gaming Report 2024」(英語)
PC&コンソール市場は2023年に2.6%成長。緩やかな成長が続く見込み
2023年は,多くの期待作や延期されていたタイトルが販売され,ゲーム市場にとって大きな年となった。PCおよびコンソールのゲーム売り上げは2.6%増え935億ドル(約1.44兆円)に達し,今後も緩やかな成長が続く見込みだ。※買い切りゲームの売り上げがけん引役となったものの,ライブサービスとのカニバリゼーションを起こし,時間とサービスを奪う結果となっている。
※以下は全て,2024年4月4日のレート,1ドル=151.72円で計算している
また,2023年のPCおよびコンソールゲームの収益に占める,買い切りゲームの取引の割合は最も高い。「ディアブロIV」のように,その年の収益のほぼ半分を稼ぎ出した有料ライブサービスの立ち上げが成功した場合でも,定期的な収益よりも買い切りの収益の方が多かった。
2026年までの市場成長率は141億ドル(約2.13兆円)と予想され,パンデミック前より控えめな成長レベルとなる見込みだ。成長の大半は,コンソールのインストールベースの拡大と,噂となっている任天堂の新デバイスによるものとされている。
プレイヤー数の伸びも鈍化が予想され,新規獲得が課題となる。「フォートナイト」や「Roblox」では,多くのプレイヤーベースを獲得しており,特定のコンテンツをローンチするたびにMAUを大幅に増加させてきた。限られたプレイヤーや時間のシェアを巡って,これらのゲームとの競合が避けられない状況となっている。
プレイ時間は減少傾向。6年以上前のタイトルがプレイ時間の60%を占める
パンデミックの衰退に伴い,ゲームのプレイ時間が減少し始めた。四半期の平均プレイ時間は,2021年第1四半期から26%減少しており,2024年も継続が見込まれる。また,6年以上前のタイトルがプレイ時間の60%を占め,プレイヤーを長時間夢中にさせる新作ゲームを作ることが,難しくなってきていることが明らかになった。
6年以上前のゲームのうち,上位5タイトルが全プレイ時間の27%を占めており,これらのタイトルには「Roblox」「リーグ・オブ・レジェンド」「マインクラフト」「グランド・セフト・オートV」などが含まれる。
2023年の新規ゲームプレイ時間の60%は,毎年新作をリリースするフランチャイズ
新作ゲームに費やされたプレイ時間のうち,毎年リリースされる「Call of Duty」「NBA 2K」などのタイトルの割合は,60%を占めた。これは総プレイ時間の約15%に当たる。これらのタイトルからプレイ時間を奪うのは至難の業だ。
総プレイ時間における,新規タイトルの割合は8%のシェアに留まる。このうち上位5タイトルは「ディアブロIV」「ホグワーツ・レガシー」「バルダーズ・ゲート3」「エルデンリング」「Starfield」だ。
ジャンル別では,アクションRPGを除き全ジャンルでエンゲージメント時間が減少している。
全体としてプレイ時間は減少傾向にあり,古くからの人気作品とフランチャイズタイトルが大半を占め,新作には限られた時間とマーケットしか残されていない厳しい状況であることがわかる。
新興市場におけるプレーヤーの増加は,既存市場を大きく上回る
今後数年間,PCおよびコンソールゲーム機市場に新規参入するプレイヤーの大半は新興ゲーム市場からの参入となる。プレイヤー数は既存市場でも新興市場でも伸びるが,後者の伸びは前者を大きく上回り,PCでは23倍,コンソールでは2倍以上になると予想されている。新たなプレイヤー層にリーチするための適切なメッセージングや流通チャネルを見つけることが,今後の重要な成功要因となるという。
Newzoo「The PC & Console Gaming Report 2024」(英語)
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