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[CJ2023]ゲームショウに“銀行”がブースを? 「中国建設銀行」をはじめ,中国大手の八行五保が狙いにいくターゲットとは
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印刷2023/08/01 15:34

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[CJ2023]ゲームショウに“銀行”がブースを? 「中国建設銀行」をはじめ,中国大手の八行五保が狙いにいくターゲットとは

 中国のゲームショウ・ChinaJoy 2023(CJ2023)に,「中国建設銀行」がブースを出展していた。銀行が,ゲームのお祭りにだ。

 同銀行は,中国大陸でトップクラスの銀行および保険会社を指す,八行五保の一角に数えられている。日本で言うなら,三菱UFJ銀行,三井住友銀行,みずほ銀行といったメガバンク級の立ち位置であり,上海の町中に立ち並んでいるドデカいビル群の一角も占めている。
 同行してもらった現地在住の通訳によると「(ゲームとか関係なく)誰でも普通に使ってます」とのことで,なじみも深いらしい。

 それにしても,なぜゲーム市場に,銀行が参入するのか? いくつかの狙いは想定できたが,気になったので話を聞いてきた。

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 中国建設銀行のブースは,いかめしい感じは皆無の作りだった。輪投げにサイコロ転がしに,パフォーマーによるダンスステージなども設けられていて,スタッフたちも会場の空気に浮かれている。

 そこら中で目にする「公安」の文字も,CJ2023というお祭りムードにあってよくなじんでいる……ように見えるのは現地人だけだろう。

 さすがにゲームの出展はなかったが,「LINE」「bilibili」とのコラボが押し出されていて,若い来場者も多く立ち寄っていた。

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 東京ゲームショウなどと違い,CJには「メディア受付」のようなインフォメーションがないブースが多く,というより,あるブースがない。
 だから,基本はそのへんに立っているスタッフにガチャ感覚で話しかけていくわけだが,ここでは幸先よく銀行員を捕まえられた。

「中国建設銀行は,なぜゲームショウに出展してるんですか」

「とにかく若い層にリーチしたいからです」


 とのことだった。事前に予想していたのは「ゲームショウという場で,資金難のゲームメーカーに融資の相談をさせる」という禁断の錬金術のための狩り場であったが,「“今回”は違います」と言われた。

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 中国建設銀行が若年層にリーチするために行っていたのは,主に「クレジットカードの宣伝」であった。カードにはアニメ,ゲームのコラボデザインが豊富で,最近だと中国発のSF小説として世界中のその界隈を騒がせた「三体」ともコラボしたんだとか。

 さらに,通常のクレジットカードでは年齢制限や法的問題があるため,“未成年向けのカード”も用意しているという。
 こちらは使用方法や限度額などが抑えられていて,いわば「調子に乗っても大きな負担にはならない」よう,金銭面での事故を極力減らすための工夫が施されているようだった。もので言えば,プリペイドカード的な安心安全重視の区分と言えるのだろう。

 しかし,中国ではそもそも「スマホゲーム内での未成年者の課金は法律で禁止」されている。ゲームで合法的に使えないなら,どこで使うのか。自販機もコンビニもカフェもあらゆるところでキャッシュレス化が進んでいるため,おそらく“決済アプリ用の登録カード”として活用するのだろうが,そこは現代の文化まで取材しないと不明だった。

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 先方に,若いカードユーザーは実際に増えたのかと尋ねると「増えた」と返答された。また,この手法は中国建設銀行ならではなのかと聞くと「あっちに上海銀行もいますし,みんなやってます」と言われた。

 中国ではこのように,大手銀行が“ゲームユーザーを新規顧客”と見込んでいる。それを成すのは,総人口の母数あってのことだろうが,銀行同士も競争しているわけではなく「よりカードに親しみを持ってほしい」という思いで,今は助け合いの精神でやりくりしているのだとか。

 日本でも,銀行やECサイトのプラットフォーマーが人気作品とクレジットカードでコラボする例は少なくないが,「東京ゲームショウに出展してまでユーザーを集めようとする姿勢」はさすがにない。

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 ……と,ここまでなら「中国の銀行は攻めがすばらしい」と見習うところがあるだろうが,上の写真を見てほしい。これは「個人情報くれたら,取材を受けますよ!」と最初に言われたときの図だ。

 私は中国語なんてGoogle(は使えない国だが)レンズを逐一利用しなければ話を進められなかったので,ここでは代わりに同行していた通訳に,個人情報を入力してもらうことになった。
 しかも,差し出す情報は氏名や住所はおろか,「(マイナンバー的な)身分証番号」に「親の生年月日」など,長ったらしくも事細かな要求であった。この作業もまた,ブース来場者へのノルマらしい。

 こうして他者に個人情報を出させるのは忍びないと感じたが,通訳当人は「ぜんぜん問題ないです。中国ではよくあることです」とし,「むしろこっちでは個人情報を気軽に交換しますし」と言った。
 事実,CJ2023会場を取材し回っていると,誰もが名刺代わりにWeChat(日本で言うLINE的な存在)を教え合っていた。個々人のパーソナルや連絡先が,本当に名刺感覚で差し出せるらしい。

 こうしたことを日本でやったら,個人情報保護などの観点から問題が起きる可能性がありそうだ。つまるところ,こうした銀行ブースの出展は,個人情報に対する忌避感が薄く,見知らぬ人ともいきなり連絡先を交換できる国ならではの取り組みとも言える。

 とはいえ,日本の銀行やECサイトのプラットフォーマーもこれくらいの攻勢に出れば,新たな顧客を開拓できるかもしれなかったり。

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「ChinaJoy 2023」公式サイト

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