2022年6月26日に東京のesports 銀座 studioにて,
「Indie Games Connect 2022」(以下,IGC 2022)が開催された。
IGC 2022は,コナミデジタルエンタテインメント主催によるインディーズゲームの展示/即売会イベントだ。“インディーズゲーム開発者とゲームファン,またはクリエイター同士の交流の場”を作ることを目的に行われた同イベントには,60のブースで出展された全72タイトルの展示や試遊,出展者向けのゲーム開発相談やセミナーが行われた。
ジャンルはもちろん,リリースを想定しているプラットフォーム,ゲーム操作に用いる入力デバイスなども大きく異なる,多種多様なゲームが展示されていた各ブースにはクリエイターが待機しており,“作った本人”からレクチャーを受けながら試遊できるブースもあった。本稿では,筆者が現地でプレイして印象に残ったタイトルをいくつか紹介してみたい。
出展者,一般入場者ともに無料で参加できたIGC 2022。開場時間前から待機列が形成され,昼過ぎには入場規制がかかる盛況ぶりを見せていた
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音札(音札プロジェクト)
音楽ゲームに花札をモチーフにしたカードバトルを組み合わせたという,“対戦型音楽カードゲーム”。ブースでは,手作りの筐体による“アーケード版”と,スマートフォンやPCでプレイできる「おうち音札(仮)」という2つのバージョンが披露されていた。
音ゲー部分の操作方法は,ノーツにあわせて鍵盤(ボタン)を押すスタンダードなもの。おうち音札(仮)はフリック入力でプレイ可能だ。花札モチーフのカードバトル要素は未実装だったため確かめられなかったが,ゲームスピードの調整といったカスタマイズ要素があり,音ゲー部分の完成度の高さは感じられた。
なお本作は,大学の授業の一環として制作が始まった作品とのこと。アーケード版の商業化は目指していないとのことだったが,遊び心なのか,アミューズメントICカードにデータを記録する機能も備わっていた。
シューフォーズ(ブイブイラボ)
7月14日にPC(Steam)とSwitchでの配信が予定されている,UFOキャッチャーをモチーフにした1対1の対戦アクション。自機のUFOを操作してフィールドに現れるカプセルを破壊。勝利条件に設定されたターゲットアイテムが見つかったら,UFOキャッチャーのような要領でキャッチし,自軍側のゴールへ運んでいく。
アイテムの破壊や敵プレイヤーの攻撃を行う“ブッコワシ”と,アイテムを引き上げる“シューシュー”という2つのアクションを覚えるだけで,すぐに対戦が楽しめるシンプルさと,浮遊するアイテムを運ぶ際の“ままならなさ”が印象的だった。
パイロットクロス(パイロットクロス)
VRヘッドセットとコントローラでのプレイを想定したフライトレース。飛行しているプレイヤーを捉えて配信画面に表示するカメラや,配信用カメラのカットを編集できるクリエイティブモードなど,配信を意識したギミックが数多く搭載されている。
プレイヤーには主観視点での飛行を体験させながら,配信用の画面にはプレイヤーのアバターが飛び回る姿を“中継”して映し出すことができ,会場ではゲームプレイと配信用カメラに映ったゲーム画面の両方を見られた。VRヘッドセットをつけたままコメントが読めるほか,VRMファイルを取り込んでアバターの外見を変えられるといった,VTuber向けの機能もあるそうだ。
ブルーセイバーズ アーリーミッション(BLUE&WHITE)
3Dモデルで作成された自機,敵機,ステージを活用した演出を随所に挟みながら,アーケードライクな感覚で遊べるPC用縦スクロールシューティング。ゲームスタート時から通常ショットに加えて3種類の特殊兵器が使用でき,自機のシールドと特殊兵器のゲージを回復させながら攻撃を行う支援機も呼び出せる。高い火力で気持ちよく敵機を破壊していけるのが特徴的だ。
画面外の解説や長めのチュートリアルなど,あまりシューティングゲームを遊ばないプレイヤーに向けた心配りも目立つ作りになっていた。Steamではデモ版が配信されているので,気になる人はチェックしてみるといいだろう。
Miniature LAND -Four Seasons-(WarmingApp)
ミニチュアで作られた世界を主観視点で探索する脱出ゲーム。ブースには実際のゲーム制作で使われたミニチュアセットが展示されており,多くの来場者の目を引いていた。
試遊出展もされており,とある屋敷でその鍵を見つけ出すまでの謎解きパートがプレイできた。試遊範囲はゲームの導入部分と思われるが,複数の暗号の解読やアイテム収集など,なかなかのボリュームとやり応えがあった。ゲームは2022年秋にiOS / Android向けにリリース予定とのこと。
展示されていたミニチュアセット
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レーザーカッティングゲーム(ton)
赤外線の通過センサーを利用した体感ゲーム。筐体(?)の赤いボタンを押すとカウントがスタートするので,プレイヤーはセンサーの前で両手を30秒間振り続け,何回赤外線が切れたかを競い合う。おそらくこの日の会場で唯一のディスプレイを用いずに遊べたゲームだろう。シンプルかつ短時間で決着がつくルールだからか,親子連れをはじめとした多くの来場者がプレイする姿が見られた。
写真のハイスコアは昼12:00ごろのものだが,閉会間際の16:00までに4回ほど記録が更新されていた
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わんおぺ寿司(べすとまん)
“ワンオペレーション60秒回転寿司経営”と銘打たれたパズル要素の強いゲーム。すでにスマートフォン版がリリースされており,7月16日にはSteamにてPC版がリリースされる予定だ。
プレイヤーは来店した客がリクエストするネタの寿司を制限時間いっぱい握り続け,ハイスコア獲得を目指す。客から求められている寿司の種類と数の把握,寿司を流すベルトの進行方向,時間経過で腐る寿司,寿司の提供が遅れることで発生する注文の変化など,ワンオペ中は目まぐるしく状況が変化する。正確さ以上に手数の多さが求められるアクティブなパズルになっており,選んだ地方(店舗)によって寿司ネタや店のギミックも変わるのが特徴だ。
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インディーズゲームクリエイターのべすとまん氏は,2022年7月16日に配信を予定しているPC向けソフト「わんおぺ寿司」のSteamストアページを公開した。本作は,ニッポンの食文化が薄れゆく20XX年を舞台に,60秒という短時間かつワンオペレーションで回転寿司店を経営していくシミュレーションパズルゲームだ。
[2022/06/24 21:19]
本稿で紹介したタイトルを含むIGC 2022の出展作品は,同イベントの公式サイト内「ゲーム一覧」のページにて,PVとともに作品の詳細が確認できる(
リンク)。どのようなゲームが出展されていたか,気になる人はチェックしてみるといいだろう。
IGC 2022の協賛企業や団体のブースが並ぶサポーターエリアでも,さまざまなゲームやサービスが紹介されていた
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