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「第1回 ガンダムカンファレンス」をレポート。「機動戦士ガンダム」シリーズのIPを用いたeスポーツ展開の強化やSDGsへの取り組みが発表に
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印刷2021/06/16 14:17

イベント

「第1回 ガンダムカンファレンス」をレポート。「機動戦士ガンダム」シリーズのIPを用いたeスポーツ展開の強化やSDGsへの取り組みが発表に

画像集#001のサムネイル/「第1回 ガンダムカンファレンス」をレポート。「機動戦士ガンダム」シリーズのIPを用いたeスポーツ展開の強化やSDGsへの取り組みが発表に
 バンダイナムコグループは2021年6月15日,「第1回 ガンダムカンファレンス」をオンラインで開催した。本イベントでは,同グループの主軸事業である「機動戦士ガンダム」シリーズの事業戦略や,同IPを用いた「持続可能な開発目標」(SDGs)への取り組みなどが発表された。また,SDGsの有識者をゲストに迎えたトークセッションも行われた。本稿でその模様をレポートしよう。

 イベントの前半では,バンダイナムコグループ ガンダムプロジェクト チーフガンダムオフィサー 藤原孝史氏が,ガンダム事業の今後の展開および取り組みについてプレゼンテーションを行った。
 「機動戦士ガンダム」は2019年,そのプラモデルである「ガンプラ」は2020年にそれぞれ40周年を迎えている。藤原氏によると,それらに伴う周年企画施策を日本のみならず海外でも行った結果,2020年におけるガンダム関連の売上はバンダイナムコグループ全体で950億円に成長したとのこと。
 また2021年4月にはグループ内における組織再編を行い,グループを横断して展開する「ガンダムプロジェクト」を発足しており,2025年にはガンダム事業の売上を1500億円以上に成長させる計画であることも明かされた。

藤原孝史氏
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 バンダイナムコグループにおけるガンダム事業は,「グループ横断による『ガンダム戦略強化』」「ガンダム×サステナブル」の2つをコンセプトとして掲げている。
 さらに前者の事業展開では3つの戦略を掲げており,その1つである「世界規模での話題創出戦略」では,現在国内68%,海外32%となっているガンダムの売上比率を,近い将来に国内50%,海外50%にすることを目指す。

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 具体的な施策の筆頭は,サンライズとレジェンダリー・ピクチャーズ,そしてNetflixの3社協同事業となる実写映画版「機動戦士ガンダム」で,藤原氏によると製作は着々と進行しているとのこと。

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監督を務めるジョーダン・ヴォート=ロバーツ氏から寄せられたビデオメッセージも公開された
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 2つめの施策は,2021年5月に発表された「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの新プロジェクト「GUNDAM SEED PROJECT ignited」である。このプロジェクトでは,2022年に20周年を迎える「機動戦士ガンダムSEED」シリーズを,続編となる映画を中心にさまざまな展開で盛りあげていくとのこと。

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 3つめの施策は,フラッグシップストアの世界展開強化だ。ガンプラの総合施設「ガンダムベース」は現在,国内5店舗,海外13店舗が展開しているが,今後もタイ,フランス,アメリカなどに拡大していくという。
 また新たな取り組みとして,eコマースを活用し,仮想空間でガンプラなどのショッピングができる「ガンダムベース Virtual World」も2021年夏にテスト展開する予定とのこと。

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 4つめの施策は,eスポーツ展開である。すでに「機動戦士ガンダム EXTREME VS. マキシブーストON」PS4)を競技種目とする大会「GGGP」(ガンダムゲームグランプリ)を展開しているが,今後は北米展開を中心に本格的なeスポーツ参入を目指すそうだ。またこの施策により,「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」PS5 / PS4)や「ガンダムブレイカーモバイル」iOS / Android)の海外比率を高めていくという。
 さらに既存タイトルだけでなく,eスポーツに特化した新作の開発も進めているとのことで,藤原氏は「続報を待ってほしい」と話した。

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 5つめの施策は,「ガンダム実物大立像プロジェクト」だ。藤原氏によると,2009年にお台場に設置されたRX-78-2ガンダム立像,その後継として2018年に同じくお台場に設置されたユニコーンガンダム立像,2020年に横浜に設置された動くガンダム,2021年5月に上海に設置されたフリーダムガンダム立像と,新しい立像が完成するたびに世界中から反響が寄せられるとのこと。バンダイナムコグループとしても,今後もガンダムの立像を展開していく予定だという。なお,すでに次のガンダム立像製作に着手しており,次回のガンダムカンファレンスで詳細が公開される予定だそうだ。

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 グループ横断による「ガンダム戦略強化」の2つめは,「国内活性化戦略」である。まずガンプラの国内売上はコロナ禍の巣ごもり需要で拡大しており,潜在的な需要が顕在化したという。しかし都道府県別のガンプラユーザー含有率を見ると,各地でバラつきがある。そこでガンプラユーザーの少ない地域では,タッチポイントを増やして潜在的なユーザーの活性化を目指す。またガンプラユーザーの多い地域では,コアユーザーに向き合い,しっかりとした情報を提供していくとのこと。

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 具体的な施策としては,まず2021年4月から5月にかけて大型イベント「GUNDAM docks at FUKUOKA」を開催した。またタッチポイントを増やす意味では,以前から展開していた「ガンダム マンホールプロジェクト」を本格化する。
 そしてコアユーザーを活性化する施策として,イベント「ガンダムワールド」を大幅にリニューアルし,新たなイベントとして全国巡回をするとのこと。その第1弾として初代「機動戦士ガンダム」と「機動戦士ガンダムSEED」の対比をテーマとする「ガンダムワールド コントラスト」を準備しているそうだ。

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 グループ横断による「ガンダム戦略強化」の3つめは,「ターゲット別&マーチャンダイジング(MD)連動型作品展開戦略」だ。これは展開エリアごとの戦略に沿って映像とMD展開を行っていくというもの。
 具体的には展開エリアを日本・中国・北米と分けたときに,それぞれのボリューム層が日本市場では初代「機動戦士ガンダム」を支持する40代であるのに対し,中国市場では「機動戦士ガンダムSEED」を支持する30代,北米市場では「機動戦士ガンダムOO」を支持する20代と異なっていることに着目し,ターゲットごとに戦略を変えていくという。

画像集#014のサムネイル/「第1回 ガンダムカンファレンス」をレポート。「機動戦士ガンダム」シリーズのIPを用いたeスポーツ展開の強化やSDGsへの取り組みが発表に

日本市場向けの映像作品「ガンダムビルドリアル」,グローバル市場向けの映画「閃光のハサウェイ」,北米市場に向けたデジタルとフィジカルの融合プロジェクト「ガンダムブレイカー バトローグ」が紹介された
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 ガンダム×サステナブルをコンセプトにした事業展開としては,まず2021年3月よりスタートした「ガンプラリサイクルプロジェクト」が紹介された。これはユーザーがガンプラを組み立てたあとのランナーや生産場で発生する廃プラスチックをリサイクルして,新たな商品「エコプラ」を生み出したり,廃プラスチックをリサイクルする際に出る熱エネルギーを電力に変換したり,あるいは新たなプラモデルの材料にしたりする取り組みである。
 現状の回収量は年間10トン前後になる見込みだが,藤原氏によるとまだまだ少ないそうで,「もっとこの座組みを拡大していきたい」と話していた。

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 また小学校教育現場においても,「ものづくりと環境問題」について楽しく学べる機会を創出していくプロジェクトを展開している。テスト展開はすでに始まっており,2021年秋からオンデマンドでの全国展開をしていくとのこと。

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 さらにガンダムを社会に介入させるプロジェクトとして,「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)をスタートする。これは「来るべき“現実の宇宙世紀”に向けて…」をテーマに,ガンダムを使ったサステナブルな活動を行っていくという取り組みである。

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 その取り組みの1つとして,今回はガンダムを使った人口問題・地球環境問題への新しい発想や技術を募集する企画「ガンダムオープンイノベーション」を実施することが発表された。これは40年以上も前に企画・放映された初代「機動戦士ガンダム」が,増加する人口や悪化する地球環境に警鐘を鳴らしたことを筆頭に,その後のシリーズでも宇宙進出と人類の関係を密接に描いており,人々が宇宙や未来,平和を考える契機を与えていることにヒントを得たもの。藤原氏は,「フィクションであるガンダムから生まれた新しい発想や技術が,現実に影響を与えるのではないか」と期待を述べた。

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 これらの取り組みにより,バンダイナムコグループでは,ガンダムをキャラクター中心のIPをより成長させ,社会的アイコンとして展開していくと藤原氏は語っていた。

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 イベントの後半では,SDGsの有識者をゲストに招いたガンダム×サステナブルプロジェクトに関するトークセッションが行われた。登壇者は,藤原氏と以下の3名である。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸氏(モデレーター)
ピクシーダストテクノロジーズ CEO 落合陽一氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江憲史氏


 最初のテーマは,発表されたばかりのプロジェクト・GUDAについて。藤原氏はガンダム×サステナブルプロジェクトを推進していく中,バンダイナムコグループだけでなく,ガンダムファンやいろんな業界の人達の協力を得ることで,これまで想像できなかったことが実現できているとし,「これはガンダムの力にほかならない」と表現。これから先もガンダムファンの知恵や考えを借りることで,「まったく新しい何かができるのではないか」と強く考えているという。今回のGUDAの発表により,世界中のガンダムファンが「自分にできることは何だろう」と考えて,行動に移してほしいと期待を語っていた。

 GUDAのように,キャラクターを使ってファンを巻き込んでいくSDGsの取り組みについて問われた蟹江氏は,日本ではそうした取り組みが足りていないという前置きをしつつ,「キャラクターを使うということは,ファッションモデルやアイドルがSDGsに取り組んでいるとアピールする流れの中にあるのではないか」と指摘。「非常に象徴的で広がりを期待できるので,SDGsを推進する立場としてはありがたい」と続けた。
 またファンやユーザーを巻き込むことについても,「パートナーシップというSDGsの本質に踏み込んでいる」と話していた。

蟹江憲史氏
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 ガンダムが長年にわたり人口増加と環境問題というSDGsに通ずるテーマを採り上げてきたことに対して,落合氏は1970年代の社会問題が背景にあり,その中でSF的な設定を考えたときに富野由悠季監督らが増えすぎた人口を宇宙に持っていくことに思い至ったというエピソードを披露。
 また自身が准教授を務める大学の工学部教授の多くが,ガンダムに憧れてロボットやコンピュータの研究を始めたことを明かし,「イノベーションを起こしているような人材が,実はIPのコアなファンであるということは大きい」とコメントした。

落合陽一氏
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 バンダイナムコグループが,SDGsの取り組みを通じてガンダムを単なるキャラクターから社会的な存在に成長させようとしていることについて問われた藤原氏は,「IP戦略として,単なる事業ということだけでなく,キャラクターの価値をどこまで上げられるかについて注力していきたい」と展望を述べた。
 そうした取り組みの1つであるガンプラリサイクルプロジェクトについては,「ファンやユーザーの皆さんが楽しんでいただいたあと,不要になったものをメーカーが回収するのは当たり前。しかしこのプロジェクトでは,皆さんが自ら進んでバンダイナムコの施設に不要なものを持ってきてくださる。そこがこれまでのリサイクルと違うところ」と新規性をアピールした。

 また1ユーザーとしてガンプラに親しんでいるという落合氏は,ガンプラリサイクルプロジェクトについて「一度金型を作ったあと,メーカーは原材料費さえ出していれば,あとはユーザーが勝手にガンプラを組み立ててくれて,不要なライナーはリサイクルに出せるという仕組みがすごくエコで面白い」と感想を述べた。
 蟹江氏も最初の取っ掛かりとしては良い試みだと評価し,次のステップでは原料をより環境に優しいものにするなどしてほしいと期待を語った。

 話題は,ガンダムオープンイノベーションにもおよんだ。岸氏によると,IPを使った大型のオープンイノベーションはあまり例がないとのこと。藤原氏はガンダムというIPが40年以上続いてきたことに言及し,「ガンダムという立場で考えると,バンダイナムコグループだけでなく,本当にいろんな人達が支えてくださってここまできた。今後のガンダムを考えるときにも,いろんな人達の知見を生かして『ガンダムを使えばこんなことができる』というアイデアが出てくると考えた」とコメントした。

岸 博幸氏
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 また自身のような若い層にとって,ガンダムを使ったオープンイノベーションが魅力的かどうか問われた落合氏は,ロボットやAIの研究者にガンダムファン憧れている人が多いことに改めて触れ,「横浜の動くガンダムを作ったような,面白い発想を持っている人達がプロジェクトに乗ってきてくれる可能性は高い」と見解を述べた。
 一方,蟹江氏はガンダムの世界観が基本的に「人間が地球に住めなくなって宇宙に進出する」というものであることを指摘し,「そういう世界にならないようにしようというメッセージを,イノベーションにつなげていってほしい」と話していた。

 今後の世界をガンダム的に見るとどうなるか問われた落合氏は,「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場する技術「サイコフレーム」を紹介。この技術は人間の意思を読み解いてロボットを動かすというものだが,脳波などを利用して機械を操作するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)などのリアルのテクノロジートレンドとも合致しており,ガンダムオープンイノベーションでもそういった方向性の発想や技術が出てくるのではないかと語った。
 またガンダムを兵器として見た場合,リアルの兵器は今やリモートでコントロールすることが主流になりつつあるので,ガンダムの世界のようにはならないのではないかとも話していた。

 ガンダムというバンダイナムコグループにとって極めて重要なIPをオープンイノベーションに使うことに対して,社内の反応はどうだったか問われた藤原氏は,「近年,社内では『IP軸戦略』を掲げているのだが,正直なところベストな回答にはたどり着けていない。キャラクターによっては,バンダイナムコグループだけではできないことがたくさんあることも事実。その中でガンダムは,繰り返しだが我々だけではできないことをどんどん実現している。それを踏まえるとIP軸戦略の本質は,我々ができることをしっかりやり,我々にできないことはキャラクターのためにどうあるべきかを本気で考えていくということなのではないかと,社内に呼びかけている」と回答した。

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 ガンダムオープンイノベーションにどんな提案をするか問われた落合氏は,かつて疫病が流行したときの公共事業として大仏が建立されたことを引き合いに出し,コロナ禍における実物大ガンダム立像の設置には同じようなコンテクストを感じるとコメント。自身もそういった方向で何か考えてみたいと話していた。

 トークの終盤,蟹江氏はGUDAに期待することについて「ガンダムが出発点や象徴であることに留まらず,社会に広がっていくことを大事にしてもらいたい。そこがうまく育っていった結果,社会に役立つビジネスが生まれると一番良いんじゃないか」と語った。
 最後に落合氏が,「ガンダムのIPを使ったところに,いろんな施策が関わってくる時代になった。それによってコンテンツを見る人が増えたり,環境問題について考える人が増えたりするのはすごく良い。可能なら工学やコンピュータを専攻してガンダムを作ってみたいと考える人が増えてくれたら,教育者・研究者の一人として非常に嬉しい」と期待を語って,トークをまとめた。


バンダイナムコグループ ガンダムプロジェクト
「ガンダム」を活用したサステナブルプロジェクト
「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION(GUDA)」始動!
〜社会的課題への新しい発想・技術を募集する「ガンダムオープンイノベーション」を実施〜

バンダイナムコグループは、IP 軸戦略のもと、ファンのみなさまとともに持続可能な社会の実現に向けたサステナブル活動を推進していく、グループのサステナビリティ方針を策定いたしました。(※1)
その一環として、チーフガンダムオフィサーを主宰としたバンダイナムコグループ横断プロジェクトである「ガンダムプロジェクト(※2) 」にて、「ガンダム」を活用したサステナブルプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION(GUDA)」を立ち上げ、人口問題・地球環境問題などのさまざまな社会的課題に対応する新しい発想や技術を募集する「ガンダムオープンイノベーション」を実施することをガンダムカンファレンスで発表しました。

■『GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION(GUDA)』とは
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「ガンダム」という作品は、1979 年に放送開始された『機動戦士ガンダム』から40 年以上に渡り、さまざまなシリーズ作品を通じて増加する人口や悪化していく地球環境に対して警鐘を鳴らし、人類の革新を促してきました。その象徴の一つが、人類の宇宙への移民の開始と共に幕を開ける、宇宙世紀という新しい歴の概念でした。広大な宇宙に対し、人類が一個人ではなく一つの種として対峙していくことも「ガンダム」シリーズの根底にあるテーマです。
バンダイナムコグループでは、「ガンダム」における人口問題や地球環境問題のメッセージは、これからの人類にとって、価値のあるものと捉え、宇宙世紀を教訓として、「ガンダム」を旗印により良い世界を目指し、世界中のファンのみなさまや外部パートナーのみなさまと手を組み、未来の子どもたちのためにさまざまなアクションを実行してまいります。
GUDA 第1 弾として、2021 年4 月より、バンダイナムコホールディングス、BANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、バンダイロジパルの4社による共同プロジェクトである「ガンプラリサイクルプロジェクト」をスタートいたしました。
「ガンプラ」を組み立て終わったあとに残るランナーをファンのみなさまから回収し、最先端技術であるケミカルリサイクルによって新たなプラモデル製品へと生まれ変わらせることを目指し、ファンのみなさまとバンダイナムコグループが一体となって、持続可能な社会の実現を目指していくものです。



■人口問題・地球環境問題への新しい発想や技術を募集する新企画「ガンダムオープンイノベーション」を実施!
画像集#027のサムネイル/「第1回 ガンダムカンファレンス」をレポート。「機動戦士ガンダム」シリーズのIPを用いたeスポーツ展開の強化やSDGsへの取り組みが発表に
バンダイナムコグループでは、2018 年、2019 年に、従来のビジネスモデルや常識にこだわることなく、次のステージに向けたCHANGE につながる事業アイデアを募集する「バンダイナムコアクセラレーター」を実施いたしました。
その「バンダイナムコアクセラレーター」が、装いも新たに、GUDA 第2 弾として「ガンダムオープンイノベーション」を実施いたします。
「ガンダムオープンイノベーション」とは、この現実世界において「宇宙世紀」を新たに捉えなおし、ガンダムの世界同様に現実世界が抱えている「社会課題」に対して、「ガンダム」と「未来技術」を掛け合わせることにより未来の夢と希望を現実化するプログラムです。
「ガンダム」の持つ壮大な世界観には、まだ実現できていない新しい技術や可能性がつまっています。私たちはその可能性を現実のものとしワクワクする未来に向かって発展していくためにたくさんの人々の創造力と知恵と情熱を結集していきたいと考えています。
「ガンダム」の世界同様に、私たちが向き合っていくべき課題である人口問題、環境問題、宇宙進出などの未来社会につながるサステナブルなテーマ/領域において、革新的なアイデアや技術などを幅広く募集いたします。

7月中旬に説明会及びエントリー開始を予定しております。詳細につきましては、今後、公式HP にて発表予定です。世界中のみなさまからのご応募をお待ちしております。

「ガンダムオープンイノベーション」公式ホームページ
http://www.bandainamco.co.jp/guda/goi/

※1:バンダイナムコグループのサステナビリティ方針につきましては4 月16 日付のプレスリリースをご参照ください
https://www.bandainamco.co.jp/cgi-bin/releases/index.cgi/press/10266?entry_id=7156

※2:ガンダムプロジェクトとは
バンダイナムコエンターテインメント常務取締役藤原孝史が務めるチーフガンダムオフィサーを主宰とし、バンダイナムコグループ全体でより効果的なガンダム戦略を立案・実行するためのグループ横断プロジェクト。「ガンダムプロジェクト」を中心として、ガンダムによるグループ事業強化と同時に、グループ外との連携も強化してグループ内リソースのイノベーションを図り、「機動戦士ガンダム」シリーズのIP 価値を向上させ、世界最大級のIP として成長させることに取り組んでいく。

権利表記:(C)創通・サンライズ



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