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東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介
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印刷2019/10/23 14:26

イベント

東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 現地時間の2019年10月17日から20日,ポーランドの古都として知られるポズナンにあるPoznań International Fairにおいて,ゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」(以下,GIC)と,一般人が参加するゲーム博覧会「Poznań Game Arena」(以下,PGA)が開催された。
 4Gamerは主催の1つであるGame Industry Conferenceの招待を受ける形で参加してきたので,まずはそのオーバービューをレポートしていく。

両イベントの会場となったPoznań International Fair
画像(002)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 GICの歴史は古く,第1回は「Gathering of Game Developers」という異なった名称で,2008年にゲーム開発にのめり込む学生たちがポーランド南部の都市・クラクフに寄り集まり,開催されたのが始まりだという。
 その後は首都・ワルシャワなどに場所を変えつつ開催されてきたが,2012年以降は,PGAに合わせて開催されるようになり,MTP Groupが運営するPoznań International Fairの軒を借りる形で発展してきた。

画像(003)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 今ではポーランド内外から3600人もの参加者を集め,ゲームデザイン,プログラミング,ビジネス,PR&マーケティングなど多岐にわたる講義が行われており,東欧,中欧,CIS(旧ソビエト諸国)といった,広い地域を束ねる重要なイベントにまで発展しているGIC。オンラインでのマッチメイキングシステムを生かした「MeeToMatch」と呼ばれる会合が随時行われているのがユニークで,参加者ならリストアップされた他の参加者の経歴や職種をチェックして,気になる人と個人的な会合を取り持つこともできる。
 若い人材がベテラン開発者に教えを乞うといったことから,ビジネス上の興味,さらにはリクルーティングも行われるなど,まだまだ若い産業であるポーランドのゲーム業界らしい,肩ひじ張らない交流も盛んに行われているのが印象的だった。

 また,開催地であるポズナンについても軽く触れておこう。ラテン語で「ポズナニア」(Posnania)という名称で記録されている,東欧でも古い都市の1つで,10世紀には現在のポーランド人の祖先であるレフ族が進出し集落を拡大。10世紀末にポーランドで最初のカトリック司教座が設置されていた(ポズナンに属していたグニェズノに設置)ことで,1025年に建国したポーランド王国最初の首都になった。
 ヴァルタ川に臨む河港市でもあることから,モンゴルの侵攻後には十字軍運動で多くのドイツ人が招かれることで人口が増加。さらにハンザ同盟の加盟都市として大きく発展していったが,一方で周辺国家の闘争に巻き込まれやすい都市でもあるようで,過去に何度も破壊と再建が繰り返されてきたという。いろいろな意味で日本の京都に近い雰囲気を持つ古都と言っていいだろう。

GIC主催のポズナン観光にも同行。なんと政府公認ツアーだけあり,歴史的建造物の多い旧市街地でもドローンを飛ばして撮影してくれた
画像(004)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

独特のペイントが施された狭い間取りのアパートが並ぶ旧市街地
画像(005)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 ここ最近では,ゲーム産業にその存在感を見せつけるほどに発展しているポーランドだが,古参のTechlandがヴロツワフ,CD Projektや11 bit Studiosはワルシャワというように,メジャーなゲーム開発会社は筆者の知る限りではポズナンには存在しない。ただ,歴史にも裏付けされた文明の交差点としての立地条件に加え,イベントの開催地であるPoznań International Fairの存在が,ポーランドのゲーム産業の発展に寄与してきたのは間違いないだろう。

画像(006)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介
ヨーロッパ最後の城となったドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の居城は1910年に建設。現在はシアターとして利用されているが,この地でポーランド人数学者たちによってドイツの暗号機“エニグママシーン”の解読が行われ,その記念碑も建てられていた
画像(007)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介
北欧からもたらされた赤い大理石と黄金の装飾が荘厳なポズナンのイエズス教会“ファラ・ポズナニア”の内部。正式名称は“Bazylika kolegiacka Matki Bożej Nieustającej Pomocy, św. Marii Magdaleny”
画像(008)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介
ポーランド料理はさまざまな文化が交じり合って食通にはたまらない。ちなみにポズナンの名物であるアーモンドクロワッサンはキロ単位で売られていた

 会期中にはGICの総合責任者であるヤクブ・マルシャウコウスキ氏(Jakub Marszalkowski)にも話を伺えた。氏曰く,「ポズナンは大きなゲームメーカーが存在しないが,ワルシャワや南部の都市,さらにドイツのベルリンまで2〜3時間ほどでつながる多文化の交差点であり,こうしたイベントを開催するには非常に適した場所である」という。
 また,英語習得率についても言及しており,「過去30年にわたって中学校以上の学生は第2,第3言語として英語を学んでおり,ロシアンマフィア風なアクセントはどうしようもないけれど,町の人はほとんど英語を話せますよ」とジョークを交えながら語っていた。
 実際,筆者もポズナンを観光したが,確かにレストランやショップでは40代以下の人なら普通に英語で会話できるという印象だ。もちろん,GICもポーランド人を対象にした講義であっても,ほぼすべてのセッションが英語で行われている。

会期中は忙しそうに走り回っていたGICの運営責任者のヤクブ・マルシャウコウスキ氏。ちなみにGICは“ギーク”と発音する
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 このようなゲーム開発者会議は,大手企業との協賛で運営されている場合が多く,GICもXsolla,Google,Epic Games,Huaweiといった企業のスポンサードを受けて運営されている。また,日本で言うところの経済産業省や文化科学省などとも提携しており,ポーランドのゲーム産業は政府の手厚い支援を受けている様子がうかがえる。なお,今回のイベントにも政府関係者が参加していたようでマルシャウコウスキ氏は,「ポーランドでは既にゲームはテレビや書籍といった他メディアや芸術のように,官民挙げて育成していくべき分野であるという認識は共有できている」と話す。

 さらにポーランドのゲーム産業にとっての追い風となっているのがヨーロッパ連合(EU)で,マルシャウコウスキ氏によると,「ポーランドに限った話ではないが,ヨーロッパの歴史や文化をテーマにしたメディアには振興予算が付きやすい」らしい。ここ最近,ポーランドを中心にしたメーカーから,世界大戦中の迫害や近代史をテーマにした作品が多くリリースされているが,その裏にはこういった事情があったのかと,妙に納得した次第だ。

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 もっとも,そういった公的予算でポーランドのゲーム業界が成り上がってきたのかと言えばそうでもなく,TechlandやCD Projektをはじめとした大手メーカーは,かなりの数が独自の成功によって開発資金を捻出しているという。
 また,近年ポーランドを沸かせている株式上場について,活動を支える資本を捻出するうえで期待しているが,ポーランドは発展途上にある国であることから海外の投資家があまり入っていないという。マルシャウコウスキ氏は今後の課題として,海外の投資家にもアピールするべく,「GICを国際的に認知させなければならない」と語っていた。

 マルシャウコウスキ氏はほかにも,「今後はゲーム開発に関する教育も大きな課題になっていく」と話す。ゲーム業界自体がまだまだ産声を上げたばかりであるため,ゲーム開発経験の豊かな人材は第一線で活躍しており,教える側の人材がほぼ枯渇状態であるという。言うなれば「需要に対し,供給ができていない」状況だ。そのため,ポーランドの大手メーカーは国外から人材を募るケースが増えているらしく,今後の開発を担う青少年に向けた教育・育成もあまりうまくできていない状況とのことだ。

画像(009)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 人口3840万,1人あたりのGDPは1万4900ドル,失業率は6%というポーランドは,EUの中でも下位にあたるが,ゲーム産業の育成は有効な外貨獲得手段になり得ると予想できる。アメリカのリサーチ企業・NewZooの発表したデータによると,2017年度のポーランドのゲーム産業は世界第24位,5億5000万ドルほどの価値があるという。4000万に満たない人口をターゲットにするよりも,世界的な視野を持つことは間違いなく大きな意義を持つはずだ。

現時点でEUの中でも突出した成長率を記録しているポーランドのゲーム産業。CD Projektの「サイバーパンク 2077」や,Techlandの「Dying Light 2」などがリリースされる来年以降,その存在感はますます輝きを増していくだろう
画像(012)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

 GICと併催されているPoznań Game Arenaについては,CD Projekt REDや11 bit Studiosのような地元のメーカーから,Microsoft Games,Nintendo,Ubisoftなどのグローバルなパブリッシャを中心にしたメーカーの新作ゲームが展示されており,それらを目的に,週末3日間で延べ7万6000人もの一般客が集まっていた。友人同士やカップル,親子連れからコスプレイヤーたちの一団たちが楽しそうに遊んでおり,ヨーロッパのイベントではお馴染みの光景が広がっているのが印象的だった。

画像(013)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介
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戦時中には駐屯地として利用されていたポズナンの北にあるツィタデラ公園には,ヨーロッパに多い軍事博物館も。76mm砲を搭載した初期型のT-34戦車などが出迎えてくれた
画像(016)東欧最大規模のゲーム開発者会議「Game Industry Conference Poznań 2019」が開催。ゲーム産業で地位を築き上げつつある文化の交差点を紹介

「Game Industry Conference Poznań 2019」公式サイト

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