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ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート
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印刷2013/11/02 17:07

業界動向

ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート

ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート
 2013年11月1日,トークイベント「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾(十参)」が,東京都内で開催された。このイベントシリーズは,さまざまなゲーム関連企業に籍を置いてきたメディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏がゲストを招いて,ゲームを含むエンターテイメントのあるべき姿をポジティブに考えるというものだ。

 13回目となる今回のテーマは,「ゲーム実況者たちに訊く・・・」。数年前から盛り上がりを見せているゲーム動画の配信や実況などについて,ニコニコ動画などで活躍する実況プレイヤー3名と,かねてからこのシーンに注目して取材を進めていたという,ニュースサイト記者の池谷勇人氏がトークを展開した。

メディアコンテンツ研究家 黒川文雄氏

左から池谷勇人氏,実況プレイヤーのはるしげさんガッチマンさん,ゲーム実況グループ「最終兵器俺達」の実況者:ヒラさん


プレイ動画配信のルーツはかつてのファミコンブームにあった


 黒川氏がゲームプレイの動画配信や実況に着目したのは,東京ゲームショウ 2013にて行われたステージイベント「インディーゲーム×実況」がきっかけだったという。そこには,ゲームを「自分で遊ぶ」のではなく,「他人のゲームプレイを観る」ために多くの人──しかも大半が女性だった──が集まっていた。この新しいスタイルがどのような形で発展してきたのか,そして今後,どのように変化していくのかを考えようというのが今回の黒川塾というわけである。

ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート

 プレイ動画配信の成り立ちと現在に関しては,池谷氏によって解説が行われた。現在,ゲーム実況動画は,個人による配信に留まらず,メーカーの公式番組やプロモーションなどにも採用されている。また,それらの公式動画に出演する“プロ実況プレイヤー”が存在し,個人によるプレイ動画の配信を公認するメーカーやタイトルも現れた。
 さらに,次世代コンシューマゲーム機のPlayStation 4とXbox Oneには,プレイ動画共有機能が搭載される。つまり現在は,ゲームを提供するメーカー側も,積極的にプレイ動画配信に取り組んでいると言っていい状況である。

 他人のゲームプレイを見る楽しみというのは,1980年代にファミコンが大ヒットし,家庭でゲームが遊べる環境が構築された頃からあった。たとえば学校帰り,数人の友人が集まったとき,誰か1人がゲームをプレイし,それを残りの全員が見てああでもない,こうでもないと言い合って楽しむ光景が見られたし,ゲームセンターでも,上手なプレイヤーのスーパープレイを鑑賞するという文化が存在していた。

 なぜ他人のゲームプレイを見て面白いと思うのか。1つには,ゲームが複雑化し,誰もがストレスなくプレイを楽しめるわけではないタイトルが登場したことがある。また同じタイトルであっても,人によってプレイスタイルが違うことも挙げられるだろう。他人のプレイを見ることで,難度が高く自分ではクリアできないタイトルの攻略ヒントを得たり,また同じタイトルの別の側面を発見できたりするわけである。
 池谷氏は,こうしたゲームの楽しみ方が,インターネット環境の普及とインフラの充実により,プレイ動画の配信および実況解説という形に発展していったのではないかと語った。

ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート

 しかしプレイ動画の配信には,いくつか課題もある。まずは,動画を見ただけで満足してしまうという点だ。上記のとおり,プレイ動画にはゲームの面白さなどを伝えるプロモーション目的のものが多いのだが,動画を見ただけで「もういいや」となってしまい,自分ではプレイしない人達が確実に存在する。また,アドベンチャーゲームなど,ストーリーが核となるタイトルでは,ネタバレが起きてしまう可能性が極めて高い。

 そして最も大きな課題が,法的な問題である。各タイトルの映像や音声は基本的にメーカーの著作物であり,許可を得ずに一個人が動画サイトなどで誰もが見られる状態にしてしまうのは,本来,著作権の侵害に当たる。つまり現在,スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストX」など,公認されている一部のものを除き,プレイヤーが配信しているほとんどのプレイ動画は,メーカーが黙認しているものというわけだ。

 この問題に関して,池谷氏はメーカーが黙認している状態は望ましいことではなく,きちんとレギュレーションを提示して,許可するなり全面禁止するなり,態度を明確にするべきだと話した。
 というのは,黙認状態で何か問題が発生した場合に,配信したプレイヤーが責任を負うことになるからだ。後述するように,ゲームプレイ動画の中には再生回数が100万回を越えるものもあり,プロモーション的な影響は少なくない。そういう存在に対して,メーカー側が一切責任を負わないというのは,バランスが悪いのではないかというのが池谷氏の見解だ。


ゲーム実況はいかにして発生し,世間に広まっていったのか


 ゲーム実況の成り立ちと実態に関しては,はるしげさんが解説を行った。それによれば,ゲーム実況が認知され始めたのは2007年のことだという。それ以前も同好の士によって活動は行われていたが,2007年のニコニコ動画の登場により,現在の盛り上がりにつながるシーンが始まったという。
 当時の実況プレイヤーはわずか数人だったが,翌2008年からフォロワーが増えはじめ,さらに2009年にかけてプレイ動画の再生数も急増し,ゲーム実況はニコニコ動画内で一躍ブームとなった。前述のメーカー公式実況動画やプロ実況プレイヤーが登場したのも,この頃である。以降,ニコニコ動画の公式番組やイベントなどを通じて,ゲーム実況動画やゲーム実況プレイヤーの存在が広く認知されていった。

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 ゲーム実況のスタイルは大きく分けて「タレント型」「紹介/解説型」「企画型」の3タイプに分けられるという。タレント型は,実況プレイヤー自体の個性を生かすタイプで,プレイ中のリアクションや独特のツッコミ,声のよさなどが人気のポイントとなる。
 紹介/解説型は,タイトルそのものや攻略法,スーパープレイなどの紹介を行うというもの。今回の登壇者では,メーカーの公式動画やイベントなどにも出演しているガッチマンさんがこのタイプに当たる。

ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート ゲーム実況の歩みと現状,そして今後の展望とは。「黒川塾(十参)」聴講レポート

 企画型は,初見プレイや「○○禁止」のような縛りプレイ,あるいは足でプレイするといったように,プレイヤー自身に制限を加えるものを始めとして多岐にわたる。通常とは異なる遊び方を提案する部分や,達成したときにプレイヤーと視聴者が感じる一体感がポイントだ。

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 とはいえ,これらは厳密に区分できるものではなく,再生数が100万を越えるような人気実況動画のほとんどは,各タイプを組み合わせた形で構成されているとのことだ。そこに視聴者からのツッコミや応援などのコメントが合わさることにより,面白さが広がっていくのである。
 また,はるしげさんは実況する側の立場として,動画を撮るために丁寧にプレイするようになるため,各ゲームタイトルや登場キャラクターなどへの思い入れが強くなるとも話していた。


当事者が考えるゲーム実況の文化的発展や今後のあり方とは?


 文化としてのゲーム実況について,登壇したゲーム実況プレイヤー達は,現状のままで根付くことはないだろうと否定的だ。実況者:ヒラさんは,今後はタレントなどの有名人によるメーカー主導の実況動画が主流となり,自身のようなスタンスのゲーム実況は好きな人が趣味でやるレベルになっていくだろうと話す。

 また,はるしげさんは,環境の変化で実況動画の数が増えたことにより,動画ごとの再生回数が減っていることを指摘。ひいては新規の実況プレイヤーも減っているとし,今後は趣味としても衰退していくのではないかとの懸念を示した。

 しかし逆に,池谷氏は実況動画全体の再生回数はむしろ増えているとし,今後,次世代機の登場などで動画配信のハードルが下がることで,ゲーム実況が特別なものではなくゲームの楽しみ方として当たり前のものになっていくかもしれないと話していた。

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 ゲーム実況自体の今後という観点では,ガッチマンさんが,ゲーム実況が今のエンターテイメント寄りのあり方ではなく,各タイトルのプレイのイントロダクションとして,現在のチュートリアルに取って代わる形で残っていく可能性を挙げた。

 はるしげさんはスパイク・チュンソフトが「テラリア」の発売時に行ったプロモーションを例に挙げ,ゲーム実況にはまだ可能性があることを指摘する。このプロモーションは,実況動画を作るプレイヤーを事前に募集し,ゲームの発売と同時に一斉に配信させるという企画だったのだが,レギュレーションをクリアしていないものまで含めると,実に900本以上の動画が投稿されたという。

 こうしたメーカー側の取り組みに対しては,少し前まで「ユーザーコミュニティに企業が関わってほしくない」というプレイヤーからの反発が強かったという。メーカー公式番組にも出演しているガッチマンさんは,現状を「メーカーとプレイヤーが,お互いに深く踏み入らないようにしている状態」と表現し,今以上に両者がガッチリ組むようになってしまうと,本格的な広告企画のようになってしまうかもしれないとの懸念を示した。

 池谷氏は,笑ったり絶叫したりといった,実際にプレイしている人の姿が見えてこそゲームの本質が見えるとし,実況動画はプロモーションビデオとはまた違ったゲームの魅力を伝えるツールであると話す。
 その発言を受けた黒川氏は,映画でいえばプロモーションビデオは予告編であり,ゲーム実況は実際に映画を観た人の「感動しました!」といった感想を収録したテレビCMのようなものと語る。さらに氏は,「今の時代は単に商品を売るのではなく,“その商品を使っている人は格好いい”といったシーンを売っている」とし,ゲーム実況のように,実際のプレイヤーが抱いたポジティブな感想を広めて多くの人に共感させる手法の採用は,メーカーにとって必然であろうとまとめていた。

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