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吉川氏はかつてカプコンに所属し,「ブレス オブ ファイア」シリーズや「デビルメイクライ4」など,さまざまなタイトルでキャラクターデザインを手がけてきた人物だ。2011年にはカプコンから独立しフリーランスとなり,アニメ「ブブキ・ブランキ」のほか,「夕暮れのバルキリーズ」「野狗子: Slitterhead」といったタイトルに携わってきた。
氏の作品群は,正確なデッサンによる人体に,羽根やリング,角といったパーツが加わることで,強い存在感と神秘性を併せ持っている。今回は紙への印刷ではなく,「メタルキャンバスアート」で表現されているのが見どころだ。
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この手法では,メタル板のキャンバスに最大32層のレイヤーを積層することで,最大1mmの凹凸でイラストを表現し,UV塗料を重ね塗りしている。メタルの風合いが天使や悪魔,鬼といった超自然的テーマにマッチしており,画面で見るのとは一味違ったイメージに仕上がっている。ファン必見の作品だ。
イラストは購入も可能で,吉川氏の直筆サインが入る。また,Tシャツやエコバッグセット,ポストカードセットといったグッズ類も販売されるので,こちらも要注目だ。
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個展の初日となる本日,在廊していた吉川氏に話を聞くことができた。今回展示されているイラストなどについて聞いているので,最後まで目を通してほしい。
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4Gamer:
よろしくお願いします。メタルキャンバスアートとなったご自身のイラストが並んでいますが,こちらについて聞かせてください。
吉川達哉氏(以下,吉川氏):
これらのイラストはもともとCGとして発表されたものです。その後,デジタルから紙に出力しようと思ったのですが,その過程で情報が失われてしまい,もとのイメージを表現するのが難しいのではないかという懸念がありました。そこにメタルキャンバスアートをご提案いただき,この手法なら,失われるものを補ってくれるのではないかと思ったんです。
実際にできあがったものを見てみると,メタリックな素地を生かした感じやレイヤーによる盛り上がりなど,紙に印刷されるのとは違った視覚情報があり,すごく面白いと思いましたね。
4Gamer:
素材を紙から変えることで,新たな魅力が生まれたわけですか。
吉川氏:
そうですね。デジタルだと色の表現はRGBという光の三原色で進めますが,紙に印刷するときは物質としてのインクを使うので,CMYKという別のカラースケールで表現することになります。また,ディスプレイはそれ自身が光っていますが,紙だと光を反射するといった違いもありますね。
メタルキャンバスアートはデジタルでないところをうまく使い,失われる情報以上のものを加え,手で触れるわけですから,他者の作品を見るように楽しめています。
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4Gamer:
展示されているイラストには天使や悪魔といったテーマが多いですが,これはなぜなのでしょうか。
吉川氏:
実は,天使や悪魔が描きたいと思って描いているわけではないんです。もともとこれらのイラストは,1枚の絵をしっかり仕上げるというテーマで描いたものでした。短時間で自分の気に入ったものをパッケージングするうえでは,描きやすくて気分も盛り上がる羽根や角,頭上のリングといった,プリミティブで昔からあるデザインが向いていたんです。
また,長い間ファンタジー系ゲームのデザインをしてきましたので,直感的に描けるデザインだという側面もありました。
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4Gamer:
個人的には,正確なデッサンによる肉体の存在感も印象に残ります。吉川さんが以前在籍されていたカプコンには「あやしい美術解剖図」(関連リンク)という人体デッサンのバイブルがあり,格闘ゲームブームのなかでも高いクオリティの作品を発表していました。カプコンで鍛えられたという部分も大きいのでしょうか。
吉川氏:
もちろんです。絵を見ていただく際,誰もがプリミティブに価値を感じ,好み,興味を持ってくれるのが,正しい人体デッサンだと思います。人体をできる限り正確に表現し,かつデフォルメを入れて見やすくなるよう実験をしているのが,これらのイラスト群なわけです。
ただ,デザインを仕事とするうえでは,人体デッサンにこだわって納期に遅れてしまっていいというわけではありません。だから,そこはデザインのあとになるという側面はありますね。とはいえ,人体デッサンを陰でしっかり練習しておかないと,デザインの価値も担保できませんが。
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難しいものでありつつ,基本なのが人体デッサンなわけですね。
吉川氏:
なので,自分が普段描かないようなポーズなどを扱い,ちょっとでも前に進めたらと思いながら描いたところはあります。
4Gamer:
まさに修業の日々ですね。
吉川氏:
デザインの仕事を長くしていると,人体の知識がおろそかになりますし,逆もまたしかりです。今回のイラスト群は研究結果ともいえるかもしれませんね。
4Gamer:
カプコンを退社して15年になりますが,独立されていかがでしたか。
吉川氏:
私は決して会社を辞めたかったわけではなく,個人作業の時間を増やしたいと考えて独立を選択しました。通勤の手間がないなど精神的にも楽ですし,懇意にしていただいている皆さんのおかげで頑張らせていただいているので,感謝しかないですね。
4Gamer:
フリーランスですと,自分で意識してインプットをしなければならないと思いますが,吉川さんはどのように取り組まれているのでしょうか。
吉川氏:
勉強したり,技術を磨いたりする時間を自主的に作れるので,会社員時代よりもインプットの量は多くなっていますね。会社で社会性を身につけ,その後に独立するというのはいいスライドだったのではないかと思います。
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4Gamer:
フリーランスだからこそ,自主的に修業を続けなければならないわけですね。では最後に,ファンの方とイラストレーターを目指している方にメッセージをお願いします。
吉川氏:
ファンの方には,僕の直近の作品を見て楽しんでいただきたいという思いです。
イラストレーター志望の方にとっては,今の時代はAIの台頭もあって難しいところもあるのは確かです。私の場合,独立したあとも絵がうまくなれたのはインターネットのおかげだと思っています。学生のころは資料も思うように手に入らず,古本屋で洋書をあさるようなこともありました。
しかし,今はインターネットがあるので,うまくなれるチャンスはすごく増えたと思います。自分の手でしっかりいいものを描きたいと思う人には,いくらでもチャンスはありますから,AIでは考えつかないような絵を描いて競ってみるのもいいかもしれません。表現を模索するのは,まさに人間の仕事ですから。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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