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viviONはインディーゲームとどう向き合うのか。新レーベル「viviON Lab」とゲームサービス「viviON GAMES」の狙い[BitSummit]
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印刷2026/05/26 16:23

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viviONはインディーゲームとどう向き合うのか。新レーベル「viviON Lab」とゲームサービス「viviON GAMES」の狙い[BitSummit]

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 京都・みやこめっせで2026年5月22日から24日まで開催されたインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」に,新たな取り組みとしてインディーゲームのパブリッシングや新しいゲームサービスを進めるviviONが出展していた。

 viviONと聞くと,電子コミックアプリ「comipo」やVTuberプロダクション「あおぎり高校」,あるいはグループ会社が運営する「DLsite」を思い浮かべる人も多いだろう。その同社が,2026年度よりゲーム事業に注力する。

 すでに発表されている取り組みは,大きく2つある。ひとつは,インディーゲームのパブリッシングを手がける新レーベル「viviON Lab」。もうひとつは,PCゲームをスマートフォンのブラウザから遊べるようにする販売サービス「viviON GAMES」だ。

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 名前は似ているが,役割は異なる。viviON Labは,クリエイターの作品を預かり,Steamをはじめとするプラットフォームで届けていくパブリッシングレーベル。
 一方のviviON GAMESは,クラウドゲーミングエンジン「OOParts Engine」を活用し,PCゲームをスマートフォン上で遊べるようにする買い切り型のサービスである。

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 では,viviONはなぜこのタイミングでゲーム事業に本格参入するのか。「BitSummit PUNCH!」の会場で同事業を推める辻 勝明氏まず語ったのは、ゲーム市場全体の見立てだ。
 「インディーゲーム市場は拡大している」と語られる一方で,開発者の現場からは別の声も聞こえるという。タイトルが増えるほど 「そもそも発見されない」「文脈ごと届かないので理解もされない」「だから選ばれない」 という,選択の手前で止まる構造的な問題によるものだ。
 氏は,viviONがゲーム事業に踏み出した背景には,グループ事業を通してクリエイターと長年取り組む中で得てきたこの認識があると話す。

 グループ会社・エイシスが営むDLsiteは長年にわたり,同人ゲームや漫画など,さまざまな二次元コンテンツを扱ってきた。そこで培ってきたクリエイターとのつながりが,同社の土台にあるという。
 加えて,ここ1〜2年のviviONグループとしての方針として,より幅広いユーザー層への訴求と海外展開により力を入れていく流れがあり,その中で「ゲーム」は大きな注力領域になったそうだ。

 さらに,viviONはクラウドゲーミング技術を持つOOParts Engineをグループに迎えている。辻氏は,こうしたプラットフォーム運営の経験や技術力を組み合わせることで,「ゲームの領域でも勝算があるのではないか」と話す。

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 ここで気になるのが,パブリッシングレーベルであるviviON Labと,販売サービスであるviviON GAMESの関係だ。パブリッシャであり,プラットフォームも持つという形は,見方によっては「自社サービスへの囲い込み」にも見えかねない。とくにインディーゲームは,クリエイターの自主性や独自性が大切にされる領域でもある。
 この点について聞くと,氏は「自社のプラットフォームで囲い込んでいこうとは考えていない」と話した。

 整理すると,viviON Labがクリエイターから作品を預かる「供給」,viviON GAMESがスマートフォンで遊べるようにする「体験の拡張」,そしてグループのDLsiteや,Lab経由で並ぶSteamなど各ストアが「需要との接続」――この3層が同じグループ内に並んでいる構図だ。
 個別機能で開発者を支援するパブリッシャや配信基盤は数多くあるが,発見・理解・選択までを一気通貫で設計できる事業者は市場でも稀だと辻氏は話す。「囲い込まない」という言葉も,この三層を持っているからこそ,Lab作品の出し先をクリエイターと一緒にゼロから選べるという文脈で語られている。

 viviON Labで預かったタイトルは,まずSteamをはじめ,作品に合ったプラットフォームで展開していく。どこで出したいのか,どういう形で届けたいのかは,クリエイターの意向を踏まえながら考えていくという。
 もちろん,PCゲームをスマートフォンでも遊べるviviON GAMESに置くという選択肢もある。ただし,それは「viviON LabのタイトルはviviON GAMESに出す」という話ではなく,作品を届ける手段を増やすためのひとつの可能性という位置づけだ。

 viviON Labのタイトル選定について聞くと,ジャンルやボリュームで一律に決めるというよりも「クリエイターの個性やニーズ」と,viviON側ができることのマッチングを重視していると説明する。

 インディーゲームのクリエイターは,作品をどう売りたいのか,どこにこだわりたいのかがそれぞれ異なる。パブリッシャ側の条件も会社によってまちまちだ。
 だからこそ,作り手が何を求めているのか,viviONが今できること,将来的にできることは何かを話し合い,ちゃんと噛み合うかどうかを見ていくという。

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 その背景には,同社内の“アンテナ”の広さもある。
 担当者によると,viviONグループにはゲームや漫画,二次元コンテンツに詳しいスタッフが多く,社内のネットワークを通じて「こんな面白いタイトルがある」「このクリエイターが困っているらしい」といった情報が集まりやすい環境があるそうだ。

 海外展開についても,同社はすでに一定の下地を持っている。
 海外対応を手がけてきたスタッフは80人規模で,中華圏,英語圏,インドネシアなど,さまざまな地域に対応している。各言語のネイティブスピーカーも多数活躍しているという。
 そんな中で,サイト自体も13言語に対応し,DLsiteの新規会員登録の約半数が海外ユーザーになってきているそうだ。

 また,個人クリエイターの作品からゲームメーカーの作品まで,のべ4万を超えるゲームを取り扱っており,海外向けに「ものが売れる構造」自体を運用してきた実績もある。
 つまり,viviONがこれから海外に出ていくというより,すでに海外ユーザーとの接点を持ち,培ってきたノウハウや実績を土台として,今回のゲーム事業を展開するというのだ。

 viviON Labでは,まず「明月の娘」「7 Days To Think About It」の2タイトルが発表されている。会場での話では,「7 Days To Think About It」は7月リリースが見えてきており,そのほかにも年内発表に向けて動いているタイトルがあるとのことだった。

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 一方,viviON GAMESは,PCゲームをスマートフォンのブラウザから遊べるようにするサービスだ。こちらはパブリッシングレーベルではなく,ゲームを届けるための新しい販売の仕組みと考えると分かりやすい。
 大きな特徴は,サブスクリプションではなく買い切り型であること。クラウドゲーミングと聞くと,月額制のサービスを思い浮かべる人も多いが,viviON GAMESはそこを買い切り型にしている。

 辻氏は,この点をかなり重要なポイントとして挙げていた。サブスク型の場合,最新タイトルをそこに預けることへの難しさや,クリエイターへの還元の問題が出てくることもある。買い切り型にすることで,そうした課題を解決しやすくなるという。

 もちろん,クラウドゲーミングである以上,サーバーコストの問題はある。しかしviviON GAMESは,外部のクラウドゲーミングサービスの上に乗るのではなく,クラウドゲーミングのシステム自体を自社側で構築している。そのため,コストを抑えながら長く運営できる見込みがあるそうだ。
 海外展開も見据えているが,クラウドゲーミングは国や地域によって通信環境やサーバーまわりの事情が変わってくる技術でもある。そのため,まずは日本国内での展開をしっかり進めていくという。

 「BitSummit PUNCH!」の会場では,viviON GAMES上で動くゲームの試遊展示も行われていた。看板を見て,「このタイトルがスマホで遊べるのか」と驚いた来場者や,スマホ移植のサービスかと尋ねるメーカーの関係者も多かったという。

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 氏によると,実際に遊んだ人からは,クラウドゲーミング特有の遅延や操作感に対する不満というより「このゲームはどう攻略するのか」といった,ゲームそのものに対する反応が返ってきたそうだ。つまり“遊べている”前提での会話ということである。

 同社としては,viviON GAMESはあくまで黒子であり,前に出るべきなのはゲームそのものだと考えている。その意味で,プレイヤーの関心がサービスではなくゲーム内容に向いたことは,手応えになっているようだ。

 もちろん,すべてのゲームに向いているわけではない。クラウドゲーミングである以上,弾幕系や,1フレーム単位の反応が重要になるタイトルなど,どうしても相性の問題はある。そうしたタイトルについては,クライアントには正直に説明しながら進めていくとしていた。

 また,viviON GAMESは“スマホ移植”ではない。PCゲームをスマートフォン向けに作り直すのではなく,クラウド上でPCゲームを動かし,それをスマートフォンのブラウザから遊べるようにする仕組みだ。
 そのため,クリエイター側に「スマホ版への変換料」のようなものは発生しない。

 理論上は,ゲームを預かってから短期間で配信できる。実際には,ゲームごとのキーコンフィグ設定やQAなどは必要になるが,通常の移植に比べれば,かなり短い期間で届けられる可能性がある。担当者は,将来的にはPC版と同時に「スマホでも遊べる」といった展開も考えられると話す。

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 さらに同社がこだわっているのが,ブラウザで遊べるという点だ。あえてネイティブアプリを入れる形にしないのは,配信者やVTuberとの相性を考えてのことでもある。
 たとえば,配信者がゲームを遊び,コメント欄に「このURLから遊べます」とリンクを貼る。視聴者はそのURLをタップするだけで,スマートフォン上でゲームを試せる。会員登録なしで一定時間遊び,気に入ったら購入して続きを遊ぶ。そうした導線を作れることが,viviON GAMESの面白さだと担当者は語る。

 国内ユーザーについては,まず「かつてゲームを遊んでいたが,今はなかなかPCの前に座れない人」が想定されているという。家庭環境や生活スタイルの変化でゲームから少し離れてしまった人が,スマートフォンで気軽にPCゲームに触れられるようになる。

 もうひとつのターゲットは,実況者やVTuberの配信を見ている若いユーザー層だ。スマートフォンのソーシャルゲームには慣れているが,買い切り型のゲームを購入する体験にはあまり触れていない人たちに対して,ブラウザからすぐ遊べる導線を用意することで,新しい入口を作れるのではないかという。

 配信を見て「面白そう」と思っても,そこからゲーム機を起動し,ストアを開き,タイトルを探して購入するまでには,いくつもの手間がある。その間に熱が冷めてしまうこともあるだろう。viviON GAMESが目指しているのは,その距離を縮めることなのかもしれない。

 viviON Labは,クリエイターの作品をどう広げるかに向き合うパブリッシングレーベル。viviON GAMESは,その作品に触れる入口を増やすための販売サービス。両者は別の取り組みだが,どちらも「作品をより多くの人に届ける」という点ではつながっている。

 担当者は最後に,クリエイターとの長い信頼関係と,新しく作り上げてきたクラウドゲーミング技術を組み合わせることで,ゲームユーザーにもクリエイターにも新しい体験を提供していきたいと語った。

 拡大するインディーゲーム市場の裏側で,埋もれてしまう作品と出会えなかったユーザーが同時に増え続けている現状を打破し,デバイスを越え,国境を越え,作品を届けていく。
 viviONのゲーム事業参入は,単なる新レーベルの立ち上げでも,単なるスマホ向けサービスの開始でもなく,同社がこれまで持っていたプラットフォーム運営や海外展開の力を,ゲームの領域にどう接続していくかという挑戦になりそうだ。

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