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「ZERO PARADES: For Dead Spies」試遊インプレッション&インタビュー。ストーリーテリングを重視したシステムで描かれる,スパイの心理[GDC 2026]
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印刷2026/03/16 15:52

プレイレポート

「ZERO PARADES: For Dead Spies」試遊インプレッション&インタビュー。ストーリーテリングを重視したシステムで描かれる,スパイの心理[GDC 2026]

 ZA/UMが,開発中の新作「ZERO PARADES: For Dead Spies」PC / PS5)のデモ版が「GDC Festival of Gaming 2026」に出展されていた。

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 本作は,同じくZA/UMが2019年にリリースした名作「Disco Elysium」と同じ系統に属するRPGだ。
 「Disco Elysium」は,RPGというジャンルから戦闘を取り除き,会話や状況判断に特化するというストーリーテリングを重視したゲームシステムが特徴で,インディーゲームのシーンに大きな影響を与えている。
 その後にクリエイティブディレクターをはじめとする多くの人材がZA/UMから流出したというエピソードはファンであればご存じであろう。

 現在は少なくとも4つのスタジオが「精神的後継作」を開発中で,中でもZA/UM自身が紡ぎ出す「ZERO PARADES: For Dead Spies」に対するファンの期待は高い。今回,GDCの会場でデモ版のプレイと開発者インタビューの機会を得たので,詳しく紹介しよう。

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ゲームシステムで「スパイ」のプレイスタイルを表現


 「ZERO PARADES: For Dead Spies」の主人公は,スパイネーム“カスケード”ことハーシェル・ウィルク。彼女は,5年前の諜報活動の失敗によって多くの仲間を失ってしまい,自らも組織に軟禁されて抜け殻のように暮らしてきた。そんなとき,かつての上官であるマエストロに謎の任務へと召集される。

 召集された任務では,共産主義者や国際銀行家テクノファシズム支持者,疑心暗鬼のテレビ司会者などさまざまな思想の支持者や勢力が絡み合っており,その中で,ハーシェルが参加した5年前の任務が何かのカギを握っていることが明らかになる。ハーシェルは自らの価値を証明するため,新たな任務へと参加することになる。

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 物語の舞台となるのは,1990年代になっても冷戦の影響が色濃く残るラテン国家の都市ポルトフィーロだ。油性ペイントを塗りたくったような「Disco Elysium」のアートスタイルを継承しつつ,より南国風の明るく雑多な雰囲気と,どこか潮風や錆の匂いも感じられる寂れた情景が描かれている。

 キャラクター設定画面は「Disco Elysium」の雰囲気を留めながらも,本作の主人公は“刑事”ではなく“スパイ”であるため,キャラクタータイプやスキルセットが異なる。

 キャラクタータイプは活動力に秀でた「KINETIC」,対人工作が得意な「CHARISMATIC」,そして状況判断に卓越する「ANALYTIC」という3種類が用意されている。
 また,スキルは「行動」「人間関係」「知性」という3系統に6種ずつが用意されており,キャラクター制作時にそれぞれにポイントを追加できる。

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 本作がユニークなのは,このスキルがそれぞれ「疲労」「心配」「混乱」という3つのパラメーターと関連している「Exertion(エクザーション)」というシステムだ(※既報の「Conditioning (コンディショニング)」と同じものと思われる)。

 行動を起こして失敗すれば疲労のパラメーターが上昇し,知性に関する誤った判断をすれば混乱のパラメーターが増えていく。ゲームの序盤でハーシェルは,自分の過去の呪縛により状況がうまく理解できておらず,冒頭の会話ではどんどんと心配メーターにポイントが加算されていく。

 これがある程度溜まると,状況によっては正常な活動ができなくなり,さらに最後までメーターが振り切ってしまうと,強制的に自分のスキルポイントを1つ減らさなければならない。
 「Disco Elysium」の「思考キャビネット」のように即座にゲームオーバーになるのではなく,失敗してもゲームが進行していくのは好感触だ。自分の身を削っていくのは,スパイとしての自信を無くしているハーシェルの精神面での不安定さを表しているわけだ。

 もう1つ,「ZERO PARADES: For Dead Spies」で追加された新要素が「Tactical View(タクティカルビュー)」だ。こちらは,敵と遭遇するなどの危機的な状況に遭遇すると,画面がモノトーンになっていくつかのオプションだけがカラーで表示されるというもの。
 今回のデモでは,バザールで懐にピストルを持つ人物に待ち伏せされているのに気づいたハーシェルが,強行突破するのか,それとも怪我を覚悟で階下に飛び降りてみるかという2つのオプションを与えられるシーンがあった。

 どちらも失敗すると疲労ポイントが蓄積するのは間違いなさそうだが,その成功確率は事前に表示され,最終的にはサイコロを振ることで決まるというのは,「Disco Elysium」でもおなじみのゲームメカニックである。
 ただ,今回はこうした緊張感のあるシーンでは何度もサイコロを振ることとなり,1つ1つの判断が大きな失敗につながるかもしれないという,スパイの思考が表現できているように感じた。

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ZA/UMクリエイターインタビュー。スパイとして生きる主人公の複雑な心理表現


 ここからは,現地で「ZERO PARADES: For Dead Spies」のデモを解説してくれた,ZA/UMの開発陣へのインタビューをお届けしよう。リードライターの“コズモ”ことSiim “Kosmos” Sinamäe(シーム・シナマエ)氏と,同じくライターのHoney Watson(ハニー・ワトソン)氏が応じてくれた。

ZA/UMのリードライター,シーム・シナマエ氏(右)と,同じくライターのハニー・ワトソン氏(左)
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4Gamer:
 よろしくお願いします。「Disco Elysium」は非常に大きな成功を収めました。「ZERO PARADES: For Dead Spies」において,新しさを取り入れつつ「らしさ」を維持するバランスについてはどう考えていますか。

シーム・シナマエ氏(以下,シナマエ氏):
 私たちにとって「新しいもの」は,常にどこかに「親しみやすさ」を含んでいるものでなければなりません。つまり,「Disco Elysium」で私たちが最も気に入っており,ゲーマーの皆さんに評価され,さらに深く掘り下げたいと思った要素を抽出するところから始めました。
 例えば,インベントリ(持ち物)画面も,多くのゲームでは似通ったものですが,本作ではスパイという設定に合わせて「紙の資料」的な見せ方をしています。システム自体を,「Disco Elysium」の“刑事”から今作の“スパイ”という舞台設定に適応させる必要があったのです。

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4Gamer:
 主人公のカスケードについて教えてください。

ハニー・ワトソン氏(以下,ワトソン氏):
 「カスケード」というスパイネームを持つハーシェル・ウィルクは,先進国の中産階級として育ちましたが,学生時代に左派政治に傾倒し,社会主義の蜂起に参加しました。
 その後,亡命して共産主義国家へと渡ります。彼女はその土地で生まれたわけではなく,大人になってからそのイデオロギーを「選択」した人間なのです。

4Gamer:
 なるほど。複雑な生い立ちなわけですね。

シナマエ氏:
 その後,彼女は国家のスパイとなり,物語の舞台である都市「ポルトフィーラ」に送り込まれました。
 そこで,彼女は「ホース(馬)」と呼ぶ協力者グループを作り上げますが,任務は悲惨な失敗に終わります。彼女はすべてを台無しにし,本国“ノヴェサ”に呼び戻されて5年間も書庫に幽閉されていました。いわばスパイとしての“窓際族”です。

 今回の任務は,彼女にとって再起をかけたチャンスであり,組織だけでなく自分自身に対しても能力を証明するための戦いなのです。
 彼女が共産主義国出身だからといって,必ずしもそのイデオロギーに賛同しているとは限りません。それはプレイヤーが決めることです。スパイになるような人は,イデオロギーのため,金のため,達成感のため,あるいは変わった世界の見方をしているからスパイになるのを選ぶわけですから。

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4Gamer:
 彼女は5年前の出来事を覚えているのでしょうか。

ワトソン氏:
 ええ,克明に記憶しています。ただ,直視したくないだけなのです。物語の序盤,彼女は「またすべてが失敗に終わるのではないか」という強い恐怖を抱いています。その不安が彼女を蝕んでいるのです。

4Gamer:
 世界設定の構築において,現実世界からどのようなインスピレーションを得ましたか。

シナマエ氏:
 美学的な面では,私たちが育った「90年代」の影響が大きいですね。アナログ技術と,新しく台頭してきたデジタル技術が都市に混ざり合っている感覚です。
 それからストーリーの面では,実際の歴史上のスパイ事件を参考にしていますが,それは大成功したスパイの活躍ではなく,「大失敗した,あるいはどこにも辿り着かなかった事件」です。現実で失敗したスパイの話は,フィクションよりもずっと奇妙で何かがおかしいですからね。スパイの存在が明るみに出るのは,決まって彼らがヘマをした時なわけですし。

4Gamer:
 舞台となる「ポルトフィーラ」はどこか特定のモデルがあるのでしょうか。

シナマエ氏:
 特定の場所をモデルにしているわけではないですが,ポルトガルの「ポルト」からわかるようにラテン国家のインスピレーションを得ています。

 ポルトフィーロは(今回のインタビューが行われた)サンフランシスコのように非常に高低差がある都市で,本作のマップにも垂直性があり,ケーブルカーが至る所を走っています。複数の市街地と島々で構成された都市国家という設定なんです。
 「Disco Elysium」よりもずっと人口密度が高く,活気のある街が描かれており,憂鬱な雰囲気ではありません(笑)。

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4Gamer:
 新システムであるエグザーションが良かったです。リソースを消費して成功率をギャンブルのように操作するのは非常に緊張感がありますね。

ワトソン氏:
 その通りです。スパイにとっては,バザールを歩くといった日常的な行為さえも極めて緊張感のあるものになります。捕まれば国家が助けてくれることはなく,刑務所ではなく秘密施設で拷問される運命が待っているからです。
 常にハーシェル自身にパラノイア(被害妄想)と不安がつきまとう感覚を再現したかったのです。それから,本作は,いわゆる“パワーファンタジー”ではありません。何かで優位に立ちたいなら,何かを犠牲にしなければならないのです。

4Gamer:
 まさに身を切るプレイですね。

シナマエ氏:
 「Disco Elysium」では,ダイスを振る前にセーブして,良い目が出るまでやり直すプレイヤーがいました。
 本作ではエグザーションによって,プレイヤーが自らの意志でダイスの結果に介入する機会を与えているわけです。「全力を尽くしたがダメだった。次は別の方法を試そう」と,失敗も含めてゲームプレイの一部として楽しんでもらうという意図があります。

 「Disco Elysium」では,アルコール依存症で記憶喪失の刑事がスポンジのようにアイデアを吸収していく様子を描いていましたが,「ZERO PARADES: For Dead Spies」では,スパイの精神を仮面のコレクションのように捉えています。

 今日の任務にはどの仮面が必要なのか。そのため,思考の従順に新たな方法が求められました。特定の仮面を強化するのか,それとも投げ出して新しい仮面で装うのかはプレイヤーが判断することです。

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4Gamer:
 会話シーンでは,スパイらしさを出すためにどのような工夫をしたのでしょうか。

ワトソン氏:
 主人公は常に正体を隠しているのが任務です。「Disco Elysium」の主人公のようにバッジを見せて情報を要求することはできません。すべてのNPCに対して,「目的を隠しながら情報を引き出す」という二重の駆け引きが必要です。
 さらに,相手もスパイかもしれないという疑念も常にあります。自分の内なる対話,目の前の相手への態度,そして別のNPCへの態度……もしNPC同士が会話して,あなたの言動の矛盾に気づいたら? プレイヤーは,常に多くのことに気を配らなければならないのです。

4Gamer:
 「Disco Elysium」は「自分が何者なのかを見つける」物語でしたが,「ZERO PARADES: For Dead Spies」は「自分ではない何者かを演じる」物語なのですね。

ワトソン氏:
 ええ,まさにその通りです。良い表現ですね。まだ英語のみのサポートですが,プレイヤーにデモを体験してもらうのが本当に楽しみです。
 私たちは長い間,このプロジェクトに取り組んできました。再び,別の角度から「人間であるとはどういうことか」「人間であることの代償とは何か」を深く問いかける作品になっているので,皆さんに興味深くプレイしていただけると思っています。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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 「ZERO PARADES: For Dead Spies」は2月後半に開催されたSteam Nextフェスでプレイアブルデモが公開されており,2026年のリリースに向けて開発も軌道に乗ってきた。
 現時点でSteamストアページには,英語のみのリリース予定と記載されているが,日本語で入念にストーリーを楽しみたいという人はウィッシュリストに追加して,日本からの興味を示していくといいだろう。

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