「風来のシレン６」の楽曲を和楽器グループ「ファミ箏」が演奏。「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」のミニライブをレポート

　2025年12月6日に，4Gamer.netを運営するAetasが開催した「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」にて，「不思議のダンジョン 風来のシレン６　とぐろ島探検録」（PC / Nintendo Switch）のミニライブが実施された。
　このイベントでは，和楽器によるゲーム音楽演奏の第一人者である邦楽グループ「ファミ箏」のメンバーが，「風来のシレン６」の楽曲を演奏。また，ゲストとして招かれた作曲家のいとうけいすけ氏が，楽曲の制作エピソードなどを披露した。
　本稿では，当日行われた昼夜2公演のうち，昼公演の模様をお伝えする。

「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」ミニライブ 昼公演概要

■セットリスト：
01 宿場浜
02 そぞろケ浦
03 ダンジョンのお店〜店の商品が！
04 のどかな風景〜やさしい木漏れ日の中で〜一触即発〜おめっとさん！
05 風来のシレン６　メインテーマ

・アンコール
01 魃の砂丘

■出演（敬称略）：
芦垣雪衣（箏）
小池摩美（箏）
中嶋ひかる（箏）
浅野 藍（三味線）
大賀悠司（尺八・篠笛）
田辺 明（打ち物）
沖政一志（編曲・MC）

いとうけいすけ（作曲・ゲスト）

　「風来のシレン６」の楽曲は，もともと和楽器を使った和風の曲が主体であるため，ファミ箏の演奏とは極めて相性がいい。さらに会場が小さいこともあり，マイクを通さない生の和楽器の音色を堪能できるという，絶好の環境でのライブとなった。


　冒頭の「宿場浜」と「そぞろケ浦」を聴いたいとう氏は，「自分の曲じゃないような新鮮な響き。和楽器の持つパワーや，いろんな音色の表情に感動しました」と称賛。
　また，今回のライブのために編曲を手がけた沖政一志氏に，作曲したときの楽器の選び方を問われると，「曲の世界観や雰囲気，メロディに合う楽器を探して当てはめていくので，結果として曲ごとにフィーチャーされる楽器が出てくる。どちらかと言えば楽曲が僕を導いてくれたような形」と回答した。

いとうけいすけ氏

　沖政氏が「風来のシレン６」の発売日からずっと「宿場浜」を演奏したくて，プレイしながらずっとアレンジについて考えていたと話すと，いとう氏は「今回は演奏してもらうことを考えずに，コンピュータで作る音楽ならではの，実際の和楽器では弾けないけれどもカッコいい曲にしてしまった」と明かした。
　それを受けた沖政氏は「そのほうがチャレンジしがいがある。ゲーム音楽はそうじゃないと」と話していた。

沖政一志氏

　故・すぎやまこういち氏，松尾早人氏のあとを引き継いで「風来のシレン」シリーズの音楽を手がけることについて問われると，いとう氏は「一番最初に考えたことは，今まで曲を作ってきた方々が大切にしてきた世界観などを壊さないようにすること」とコメント。
　とくに「風来のシレン６」はシリーズ30周年という大きな節目にリリースされた記念作であるため，「すぎやま先生が30年前にメインテーマを作り，そこから土台として大事に作ってきたものを壊さず，そのうえで自分なりの新しい色を出すことにはプレッシャーがあった」とのことだ。
　しかしそのプレッシャーよりも，先達の築いた土台を受け継いで，新たに前へと進める機会を得られたことの光栄さのほうが勝っていたとし，「結果的には，敬意とチャレンジの両方を丁寧に込めることができた」と語っていた。


　3曲目と4曲目はそれぞれメドレーが披露されたが，これは「『風来のシレン６』をプレイする中で何度も聴いた楽曲を物語風につなげる」という，いとう氏からの提案によるものだったとのこと。
　3曲目の「ダンジョンのお店〜店の商品が！」に関しては，演奏前に沖政氏が「お店に行ったら，皆さん何します？　まさかアレをやっちゃうのか，アレを？」と紹介すると，会場からは笑いが起こった。


　4曲目に関しては，いとう氏が「一触即発」をどうしても生で演奏してほしかったという。和楽器の魅力を伝えるべく，各奏者のアドリブを交えた全5分くらいの演奏を考えていたそうだが，協議の結果，今回の形に落ち着いたと明かした。
　また沖政氏が「のどかな風景」の曲名について，「ストーリーの始まりで餓えに苦しんでいるときに流れる曲なので，意外な名前」と疑問を口にすると，シナリオを手がけた冨江慎一郎氏が名付けたと，いとう氏が明かした。


　作曲にあたって苦労した楽曲について問われると，いとう氏は「苦労したといえば，全部そうだった」とし，あらためてすぎやま氏の作った世界観と，自身の新たなチャレンジのバランスを取ることに苦心したと明かす。
　しかし，DLCに収録されている楽曲「風来街道」を作ったときに，初めてそのバランスが調和したと感じたそうだ。沖政氏は，まだ「水龍の洞窟」の14Fまでしか進めていないとのことで，「頑張って『風来街道』を聴きます」と意気込みを見せていた。


　ライブの最後を締めくくったのは「風来のシレン６　メインテーマ」と，アンコールの「魃の砂丘」。とくに後者は，原曲だとリズミカルなアコースティックギターがウェスタン調の旅情感を演出しているのだが，それを箏と三味線で見事に和のテイストに置き換えているのが，印象的だった。

　なお，「風来のシレン30周年記念 不思議のダンジョンストア」は，新宿マルイ メン 8Fイベントスペースで12月14日まで開催中だ。明日（12月11日）11：00より，入荷が遅れていた「風来のシレン6 ミニチュアレプリカ 秘剣カブラステギ」「風来のシレン6 パペットキーホルダー」の販売もスタートする。

「風来のシレン6 ミニチュアレプリカ 秘剣カブラステギ」（税込み6600円）

「風来のシレン6 パペットキーホルダー」（各税込み1760円）

　また，会場では12月7日より，原画の展示も行っているので，シリーズのファンはぜひ足を運んでほしい。