プレイレポート
[プレイレポ]底が見えない「紅の砂漠」の世界のすごさ。戦闘は歯ごたえがあるものの,キャラの成長で乗り越えられる難しさだ
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[プレイレポ]自社ゲームエンジンで描かれる「紅の砂漠」の圧倒的なグラフィックス。先行プレイで分かったゲームの仕様を紹介しよう
Pearl Abyssが3月20日にリリース予定のアクションアドベンチャー「紅の砂漠」は,自社の「ブラックスペースエンジン」で制作されたシングルプレイ専用の最新作だ。これまでの情報で,描画を含めてクオリティの高さは見られたが,実際にどのような世界が作り上げられているのだろうか。
戦士「クリフ」を中心とした,規格外のスケールを感じさせるストーリー
紅の砂漠は,「灰色たてがみ」の実力ある戦士「クリフ」とともに,散り散りになってしまった灰色たてがみの再興を目指していく物語だ。「再興」に伴ってさまざまなことができるようになり,サイドクエストなどの豊富さも見えてくる。
基本的にはクリフ視点で操作するゲームではあるが,ストーリーが進むと操作できるキャラクターが増える。彼らとパーティを組むといったわけではないようで,それぞれが単独行動を行っており,任意でプレイキャラを切り替える形になっている。
ちなみに,プレイの仕方にもよるのだろうが,筆者は70時間以上プレイしてもストーリーのクリアに至らず,まだ中盤のように感じられた。そんな,規格外のスケールを感じる作品だ。
歯ごたえのある戦闘だが,キャラのスキル育成で乗り越えられるバランス
本作を購入するか迷っている人の中には,「戦闘難度」を気にする人が少なくないはず。そこで,まずは戦闘面のシステムから解説を始めたい。
紅の砂漠はこれまでのティザー映像や試遊で「ボス戦闘風景」を多く見せてきた。ボス戦闘をアピールするゲームは「死にゲー」ライクなハードな作品も少なくない。本作も「どの程度難しいのか? 自分がプレイできるレベルなのか?」ということが気になっている人もいることだろう。
紅の砂漠のストーリーは「章」ごとに区切られており,その章の中でボス戦闘があるので,ボスを避けて通ることはできない。
どの程度難しく感じるかはプレイヤー次第であると思うが,筆者の率直な印象としては「それなりに難しいが,よく言われる『死にゲー』ほどではない絶妙なバランス」と表現したい。
ボスの攻撃はなかなか苛烈で,一回攻撃を食らうと連続して食らってしまうなどのシビアさはある。ストーリーを最短で進めようとするとそれなりに苦戦するとは思うが,様子見しつつ,しっかりと立ち回れば,なんらかの攻略の糸口が見える印象だった。
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重要なのは,ボスとの戦闘が難しい場合の「救済措置」が,いろいろと用意されている点だ。アクションゲームなのでボスの攻撃パターンを理解することは重要だが,ある程度の力押しもできるバランスになっている。
例えば,クリフなどの操作キャラクターにはレベルこそないものの,さまざまなスキルを習得できる。スキル振りでは,HPである「生命力」や,攻撃や回避のためのリソースである「気力」,スキルに使う「精神力」を上げられるので,これは実質的な成長要素だといえる。
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もちろん,スキル振りのためのポイントがカツカツだったらあまり意味がないが,これが日頃の探索や戦闘などでけっこう手に入る。
スキルポイントである「アビスアーティファクト」は,「冒険日誌(クエスト)」のクリアや,フィールドで発見できる「封印されたアビスアーティファクト」に設定されたチャレンジ要素をクリアすることで入手できるほか,雑魚戦闘などで稼げる仕組みがある。
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また,装備の強化ができ,回復アイテムを何十個もストックできる。生命力を回復する主なアイテムは「肉」なのだが,店で買うほかに自分でシカや鳥などを狩猟して焼いてもいい。たくさん集めて焼くと上級のアイテムになり,回復量が増す。時間をかけて高級な肉をたくさん集めれば,回復に困ることはなくなるというわけだ。
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このため,ひたすら死んで覚えるタイプのゲームよりは懐が深い印象だ。敵の攻撃をタイミングよく弾いたり,回避したりといったアクションが苦手な人も,散策や雑魚戦闘を通じて装備を鍛え上げ,回復アイテムをたっぷり携帯してボスに挑めば,いわゆる「ポーションがぶ飲み」のスタイルでクリアしていくスタイルも取れると思う。
筆者はそれなりに「死にゲー」をやってきたが,あまりに覚えゲーなタイトルだとクリアを目指せず諦めてしまったこともあった。そんな自分でもゴリゴリにハマれたのは,「もう一度挑戦するか,一旦帰って整えるか」の選択肢があるからだ。
つまり,難度の選択はゲームオプションでなく,自分の中にある。今の所持品のままリトライし続けて勝ってもいいし,一旦退いて装備などを強化したりして整えて簡単にしてもいい。
歯ごたえと感覚は名作「エルデンリング」を彷彿とさせるが,執筆時点の進行度では,それよりは易しいかな,という印象だ。
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「黒い砂漠」との関連性やゲーム性の違い
タイトルからしてMMORPG「黒い砂漠」の精神的な続編のように思える本作だが,黒い砂漠の「冒険者」ならではのアドバンテージはゲームシステム的にはとくにない。未経験者でもまったく問題なく遊べるし,ゲームの話題で交流できるはずだ。
ただし,システムや設計思想として,黒い砂漠から引き継いでいる要素はいろいろと存在する。
まずは黒い砂漠でおなじみの「知識」だ。登場人物や土地,生物などの名を聞いたりすると対象の「知識」が手に入る。集めた知識はあとからいつでも見直せる。ゲームを進めている最中はなんとなく聞き流していたフレーズや人物も,話が盛り上がってくると振り返りたくなる要素だ。
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「どこへでも行ける」という点も黒い砂漠と似ている。序盤からかなりいろいろな場所に行ける制限の低さは,オープンワールド好きを唸らせるだろう。黒い砂漠では手が届く範囲ならどこでもよじ登れるフィールドデザインが特徴だったが,本作はそれに加えて壁を登るし,超上空に浮かぶ謎の空間「アビス」からダイブして地上に戻ることだってできる。
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また,基本的に個人宅は鍵がかかっているので入れないのだが,鍵を入手して侵入できる。本作には盗みなど「犯罪」の要素はあるが,鍵を使って勝手に入ったり,「取ってOK(のフラグ)」のアイテムであれば,勝手に取っても犯罪にならない。一軒一軒の家にさまざまなアイテムが置かれており,装飾だけでなくきちんとインタラクトできる。
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基本的に馬での移動やファストトラベルとなるが,紅の砂漠では空中に存在する「アビス」という浮島のようなエリアが用意されている。アビスに一旦ファストトラベルして,空中から落下する形で敵の砦に突入したりもできる。このダイナミズムがたまらない。
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生活要素は釣りのほかに,馬車を使った交易や,労働者の代わりに灰色たてがみのメンバーを派遣して資材を得るなど,黒い砂漠で人気だったコンテンツが改良されてシステムに取り込まれている。
農場,牧場の建設などもある。生活要素もシングルプレイ化によって表現力が上がった分,世界観をより楽しむことができるだろう。
本作は自然の情景の再現にもかなり力が入っていて,とにかく多様な動植物が生息している。犬や猫はペットになり,動物や魚は食料に,虫は錬金術などに使える。これらのグラフィックスのレベルも十分に高いが,動物の鳴き声などもきちんと用意されており,耳から入ってくる情報も大きい。
野生動物のハンティングもできるが,ただ殺生をするだけでなく,畜産動物は牧場で育てられるようだ。装備の染色システムもある。
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また,黒い砂漠でできなかったことや,MMORPGで向かなかったことをたくさん盛り込んだ印象も強い。
まずは,戦闘アクションは黒い砂漠とはまったく別の設計で,視点を相手に固定するロックオンシステムによって,ゲームパッドで気持ちいい戦闘ができるシステムになっている。
黒い砂漠は3D格闘ゲームのような操作デザインで,コンボを絶え間なく繰り出して戦うゲームだが,紅の砂漠はスキルこそあれど,ずっと攻撃コンボを回すことはできず,リソース管理の比重が高い。
一太刀の重さやリアリティに重点が置かれている印象で,雑魚戦闘ではフィニッシュのキメがあり,通常攻撃でも気持ちよい戦闘を演出している。ボスもよく動き,アクション性が高い仕上がりだ。
一方,黒い砂漠らしいスキルも存在する。さまざまな武器が登場し,状況に合わせた攻撃スタイルを取れる。
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ゲームパッドに最適化されたことで,戦闘以外のミニゲーム体験もクオリティアップを感じられた。例えば,本作独自の魔法要素である「摂理の力」だ。ワイヤー状の腕のような魔法で,離れた対象を掴み,押し引きしたり,回したりもできる。「アビス」のパズルの解読では,この動きがスティック操作にフィットしていて面白く,3次元空間でパズルを解く楽しさがあった。
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当然,ゲーム進行のスピード感もシングルプレイタイトルなので早い。建設などを進めていると,待機時間が「18時間」などと表示されたりするが,これはあくまでもゲーム内時間であり,ベッドで眠ったりして早められる。
ゲーム開始からの日数と,現在時刻の概念があり,自分の時間軸で物事が進んでいく。プレイヤー間で「何日間でどこまで行けた」という競い方もできるし,「何日間この世界で過ごした」と振り返るときにも役立つ。
細部まで作り込まれたグラフィックス,アニメーションと良質なサウンド
グラフィックス面では,黒い砂漠にくらべて遠景のポップアップなどがかなり目立ちにくくなっており,ゲームエンジンの技術的な成熟が感じられる。
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キャラクターのアニメーションも細かく作られており,クリフを含め登場人物がフルボイスでしゃべることで,カットシーンのレベルは比べるまでもなく上がっている。
クリフは「灰色たてがみの実力者」というポジションから,容姿や渋い英語ボイスがぴったりマッチしており,頼りがいのあるリーダー像を確固たるものにしている。
本作は日本語吹き替えはないのだが,逆に英語ボイスがもたらす「字幕で洋画を見るような感覚」を与えてくれる。ただ,映画と違うのは字幕を読みつつ戦闘する必要があるということで,すべての情報を拾いきれないという懸念はあるかもしれない。
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紅の砂漠にはゲーム開始時のキャラメイクはないので,黒い砂漠と比較して残念に思う人も少なくないようだ。ただ,キャラクター造形を固定したことでこの高品質なアニメーションが実現されていることは間違いない。
そして,サウンドの本気度も感じられる。ゲームで一番最初に鳴る音,タイトルBGMはオーケストラのチューニングのような響きで世界観の幕を開ける。街に入れば世界観にマッチした民族風のストリングスサウンドが雰囲気を与える。
料理のときには楽し気でキャッチーなサウンドが流れ,激しい戦闘の合間のリラックスタイムを演出する。森では鳥の鳴き声が聞こえ,耳を楽しませてくれる。
伐採時に木が倒れるほか,倒木の橋を渡っていたら崩れ始めたり,斜面で足元の砂利が滑り崩れるといった細かな演出もある。草や砂利についてはすべての場所が対象ではないのだが「そこまで作り込んでいるのか」と印象に残る。
PC版における設定や動作満足度
今回はRyzen 7 9800X3DとGeForce RTX 4090の環境で,Steam版をプレイした。
オープンワールドゲームとして相応の重さはあるものの,同系統のゲームと比べて軽めに仕上がっている印象は受ける。とくにVRAMの使用量が低く抑えられており,ゲーム内のパフォーマンスモニタを見る限り,4Kネイティブのウルトラ設定(上から2番目)+レイトレーシングONで,8GB前後に収まっていたのは驚きだ。
とはいえ,テクスチャ解像度がそこまで高くないように見える部分もあるので,魔法がかかっているわけではなく,見えない部分の最適化がしっかり行われていることの表れだろう。
画質面ではシャープな絵作りも相まってやや粗い仕上がりを感じる面もあるが,アクションゲームとしては激重高精細よりもフレームレートが非常に重要なわけで,幅広いプレイ環境に対応する現実的な落としどころだと感じる。
![]() グラフィック「最小」設定。反射や遠景の表現は最低限となるが雰囲気は十分保たれている |
![]() グラフィック「ウルトラ」設定。影やブルーム,遠景などが精細に描かれる |
オープンワールドファンへ捧ぐ,プレイ必須の超大型タイトル
筆者は無類のオープンワールド好きで,とくに戦闘と生活要素が絡み合ったイマーシブ(没入)系のタイトルを好んでいるのだが,本作はまさにそういったコアゲーマーのニーズに正面から応えるような作品だ。
オンラインゲームではなく,シングルプレイだからこその展開や進捗のスピード感も嬉しい。
また,謎解きについてもPearl Abyss特有のクセの強さ,良い意味での垢ぬけていない感じがあり,そこもまた味わい深い。
冒頭でも述べたように,かなり遊んでいるのにも関わらず,筆者のストーリーの進捗は,まだ半分程度のようだ。1つのボスでずっと詰まっていたわけではなく,ボスの準備を整えながら効率よく進めたつもりでもこのくらいだったのだが……。
マップもまだ全然拓けていないし,コレクション要素などをじっくり楽しむプレイスタイルでは,間違いなく100時間でも収まらないだろう。
ゲームのストーリーをクリアして「終わった」となるゲームはいろいろあれど,「まだまだ浸っていたいから終わらないでくれ」と願うゲームは少ない。本作はそんな一握りのゲームに入りそうだ。
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Copyright (C) Pearl Abyss Corp. All Rights Reserved.
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