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「自分の知らない人が,自分の関わっているゲームをプレイしてくれているのを見ると,すごく嬉しい」――コスプレ好きの若き社長が語る,中国ゲームマーケットとXDという会社
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印刷2018/10/19 18:21

インタビュー

「自分の知らない人が,自分の関わっているゲームをプレイしてくれているのを見ると,すごく嬉しい」――コスプレ好きの若き社長が語る,中国ゲームマーケットとXDという会社

ラグナロクオンライン

 昔から4Gamerを読んで,PCのMMORPGを遊んでいたような人であれば,最近その名を聞いたことがあるかもしれないX.D.Network。多くの人にとっては「どこそれ?」という感じかもしれないが,「ラグナロクオンラインのスマホ版を作ってるところ」として名が通っている。でも実はそれだけではなく,「ドールズフロントライン」(少女前線)の中国運営元であり,「交響性ミリオンアーサー」の(日本以外の)パブリッシャでもあり,最近ではAimingのスマホ向けMMORPG「CARAVAN STORIES」の中国/韓国でのパブリッシャでもある。意外にも日本のプレイヤーとの接点が,ある意味とても多い会社なのだ。
 デベロッパでもありパブリッシャでもある,巨大な会社であるX.D.Networkは,遡ること15年以上前の2002年に立ち上がった会社だ。中国企業のほかの例に漏れず,最初は単なるWebサイトのビジネスを営む会社だったが,6年前にブラウザゲームで大ヒットを飛ばして一気に方向転換,ゲーム会社として成長を始める。
 2016年にゲーム配信プラットフォームである「TapTap」に出資し,その次の年には,中国台湾韓国で「ラグナロクオンラインモバイル」が大ヒットとなり,このあたりで日本のゲーム業界にも名前が聞こえ始めてきた。ゲーム業界に参入してわずか6年ではあるが,時の流れが異様に速い中国においてはそれは問題にならず(むしろベテランの仲間入りだ),あっと言う間に「巨大ゲーム企業」として中国にその名をとどろかせる。
 最近では,TapTapとのコラボレーション状態をうまく使ったインディーズ作品にご執心のようで,その流れがそのまま日本にも来て,「ICEY」「Muse Dash」と立て続けのスマッシュヒットを飛ばしている。

 そんなゲーム会社X.D.Networkは,実は東京ゲームショウにも頻繁に出展しているのだが(今年も出展していたので4年連続だ),なかなか創設者にはお目にかかれず,今回ついに,会議の合間を縫って本国で少しだけ時間をもらうことが出来た。中国の「イケてる会社」独特のブイブイ言わせる感じがしない,ちょっと物静かな感じの創設者“Danger Dai”氏のインタビューの模様をお届けしよう。

X.D.Network公式サイト


X.D.Network Co-Founder&President 戴 云杰(Danger Dai)

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 このインタビューの日程を詰めているときに,彼(同席していたXDの広報さん)に「社長ってどんな人?」と聞いたら「コスプレ大好きな人です!」といって写真が送られてきたんですが,イメージがちょっと違いますね(笑)。

戴 云杰(Danger Dai)氏(以下,Dai氏):
 そんなことまでメディアさんに……(笑)。ただのプログラマーですよ!

会社の忘年会が,社員全員コスプレ参加とのことで,「社員」ではない社長もみんなに言われて渋々コスプレ……と思いきや,この気合い。社員に言われた社長が仕方なく片手間でやってる感が微塵もない(ノリノリだったらしい)
ラグナロクオンライン ラグナロクオンライン

4Gamer:
 ただのプログラマーは,気合い入ったコスプレもしないし,英語名に「Danger」とか付けないと思うんです……。
 それはさておき,まずお聞きしたいのはこのXDという会社についてです。

Dai氏:
 といいますと?

4Gamer:
 我々メディアから見ての話なんですが,XD.com,X.D.Network,X.D.Global……といくつもの名前があって,どれが会社でどれがブランドなのかが分かりづらくて……。

Dai氏:
 あぁなるほど(笑)。まず「X.D.Network」という,本社に相当する会社があります。ここの主な業務は,ゲームの開発や中国国内での運営ですね。X.D.Globalは,海外でのスマホゲームの運営がメイン業務です。

4Gamer:
 では,XD.comは? ブランド名ですか?

Dai氏:
 そうですね。厳密にはサイト名ですが。

4Gamer:
 なるほど。ということは,会社としてはX.D.Networkがあって,その下にX.D.Globalがあるという理解で合ってますか?

Dai氏:
 そうですね。X.D.Globalの資本は,一部X.D.Networkが出していますし。

4Gamer:
 あれ,一部なんですか。では残りはどこから……? VCとかファンドとかでしょうか。

Dai氏:
 いいえ。残りは,X.D.Globalのメンバーが個人出資してるんです。

4Gamer:
 おお,なるほど。それは……素晴らしいですね。
 でも,そういうことは中国ではよく行われるんですか? 完全に新規で作る会社ならまだしも,大きな会社から分離させるときにそういうことをするのは,日本ではあまり聞かない話です。

Dai氏:
 中国では結構ありますよ。よくそういう話を聞きます。

4Gamer:
 社員のモチベーションが上がっていいですよねえ。

Dai氏:
 はい,私もそう思ってます。

ROで名を挙げた会社には,やはりROモチーフのものが多い。レゴ製プロンテラの街も,エントランスにでかでかと
ラグナロクオンライン ラグナロクオンライン

4Gamer:
 先ほど自身を「プログラマー」とおっしゃってましたが,技術系の人がそのまま社長になると,経営の知識やノウハウ,ヒューマンリソースのハンドリングなどの経験がないので,そっちでつまづいちゃってうまくいかないこともあると思うんです。元々そういう畑の人ではないので仕方ない部分もあるんですが。
 でもChinaJoyに何年か通っていろいろな人と話をして思ったんですが,中国では意外と技術系の人たちが一番トップにいることが多いですよね。XDもそうですが。これは,何かコツがあったり,文化の違いがあったりするんでしょうか。

Dai氏:
 中国ではとてもよく見られる光景なので,なぜ成功している人が多いのかは私にも分からないですね(笑)。独立して会社を立ち上げるというのは,中国の若者の中には普通によくある考え方だから……かもしれません。日本ではそこまで多くなさそうですよね。

4Gamer:
 そうですね。民族性の違いなのかな。

Dai氏:
 「若いときからリスクを背負って何かを成し遂げたい」という考え方が,中国の若者の中には根付いているからではないでしょうか。

4Gamer:
 その空気感は,部外者の僕でも分かります。でもその成し遂げたい「何か」というのは,「お金を稼ぎたい」「有名になりたい」「世の中に名前を残したい」などいろいろあると思いますが,中国ではどれを目標にする人が多いんでしょうか。

Dai氏:
 うーん……それぞれに理由はあると思いますが,私の感覚だと「儲けたい」という考え方は,最近ではほとんどいませんね。自分の興味関心のある分野を追求したい,力を注いで名を成したいという考えが多いのではないでしょうか。例えば,Alibabaの創業者ジャック・マー(馬 雲)さんは,eコマースに将来性があると見込んで力を注いだ結果大成功しましたよね。

4Gamer:
 なるほど。そういう考え方はジェネレーションによって違いがあると思いますか?

Dai氏:
 特に大きな違いはないように感じます。どの年代でも「自分の夢を実現したい」という人が多いのではないでしょうか。ジェネレーションで違いがあるとすると……例えば1970年代生まれの人は,30歳ぐらいで独立してうまくいっている人が多いです。なぜならその時代は,マーケットの競争がそこまで激しくなくてチャンスがたくさん転がっていたからです。
 1980年代生まれ,つまり今の30代も,独立して成功した人がたくさんいます。日常でよく使われているアプリの制作者も,大体この年代です。でもやはり,年代が進んでいくにつれてチャンスが少なくなっていく傾向にはありますね。ゲーム業界で会社を立ち上げた20代,30代の人は成功者が多いですが。

4Gamer:
 Daiさんは今おいくつですか。

Dai氏:
 36歳です。

4Gamer:
 なかなかいい世代ですね!


自分の知らない人が,自分の関わっているゲームをプレイしてくれているのを見ると,すごく嬉しいですね


4Gamer:
 これは完全に日本人の――もしかしたら僕だけの――誤解なのかもしれませんが,「中国の人は社会主義経済から資本主義経済に変わっていく過程でお金が大好きになった」というイメージが強いんです。なので,とても失礼な言い方なのを承知で言いますが,「事業を興すのはお金儲けがしたいからだ」という感覚がどうも抜けなくて……。

Dai氏:
 おっしゃることは分かりますし,実際にそう思っている人も多いと思いますよ。もちろん,そういう部分がゼロだったかというと,そうとも言い切れないと思いますし。
 でも40代,50代の人でも,お金だけではなくて自分たちのやりたいことを突き詰めるために会社を作った人もいます。例えば有名どころではHuawei(ファーウェイ)がそうですね。レン・ツェンフェイ(任 正非)さんのHuaweiは,いまでは巨大なグローバル企業になっています。

4Gamer:
 なるほど。

Dai氏:
 当然,中国には会社を興す人がとにかくたくさんいるので,比率だけで見るならば「お金を儲ける」ことを第一に考えている人は圧倒的に多いと思います。そこは否定しません。ただ,中国で歴史に名を残すような企業や,世界的に影響力のある企業の創業者の中に,自分の掲げた理想に向かって走っている人たちが多いのも,まごうことなき事実です。

3階建てで,横にやたら広いXDの社屋を,真ん中の吹き抜け部から。「もう手狭なので引っ越します」とのことで,成長度合いが半端ない
ラグナロクオンライン

4Gamer:
 そう言っていただけると理解できます。では,そんなDaiさんの理想/理念はなんでしょう?

Dai氏:
 実は弊社は,はっきりとした目標や理念があって立ち上がった会社ではないんです。

4Gamer:
 でもそれは,紙に書いて社長室に貼ってあったりしないというだけで,根っこにある「基本コンセプト」のようなものはきっとありますよね。

Dai氏:
 ……確かにそうですね。会社の立ち上げ当時は,まだインターネットのテクノロジーも貧弱でしたし,日常生活も豊かではありませんでした。映画を観たくても映画館が周囲になかったり,音楽を聴きたくてもCDショップがなかったり。
 そういう背景の中で,自分が持っている技術で多くの人のライフクオリティを上げられるのではないかと思ってVeryCDというサイトを作ったんです。多くの人が喜んでくれて,達成感もありました。

4Gamer:
 なるほど。

Dai氏:
 今はゲームの運営をしていますが,自分の知らない人が,電車の中とかで自分の関わっているゲームをプレイしてくれているのを見ると,すごく嬉しいですし,インターネットでの口コミやBBSでユーザーからのフィードバックを読むのも嬉しいです。ゲームに対する評価が上がったり,ユーザー数が増えたりすると,もっと嬉しいですね。

4Gamer:
 あれ,技術屋さん出身ではありますが,「サービス」を作ることに向いてるんですね。

Dai氏:
 確かにずっとサービス業ですね(笑)。

4Gamer:
 私たちの仕事も同じく,自分の書いた記事がどう読まれているかが気になります。というか,それを気にしない人はそもそも,この仕事には向きません。ちょっと似てますね。

Dai氏:
 ということはお互い「サービス業」なんですかね実は(笑)。

4Gamer:
 そうなのかもしれません(笑)。


国ごとのゲーマーの特徴のようなものも,今後はだんだん融合していくでしょう


4Gamer:
 さてそんなXDですが,日本のコアゲーマーの間では「ラグナロクオンラインモバイル」(以下,ROモバイル)の会社としてもともと名前が知られていますが,最近ではICEY然りMuse Dash然り,日本での展開を強化し始めたように見えるんですが,実際のところどうなんでしょうか。何か方針の転換があったりとか。

「ラグナロクオンラインモバイル」の日本サービスに向けて,関係各所が動いているところだ。たぶん,もう少しで,日本での動きが……
ラグナロクオンライン ラグナロクオンライン

Dai氏:
 方針が変わったというよりは,ROモバイルより前のものは,海外のマーケットに出すのはふさわしくないと思うタイトルだったので,すべて国内の運営にとどめていたというだけです。ただROモバイルに関しては,会社が投資したお金も一番多かったですし,中国だけでなくアジア全体に向けて配信するというイメージで進めていました。日本のゲーマーたちがROモバイルの動向を追ってくれていることは私も知っていますし,関心の高さを肌で感じています。
 今後についてはROモバイルだけではなく,日本のIPを中国に導入したり,日本の開発チームと提携して新しいゲームを開発したりして,日本,韓国,台湾のマーケットに進出したいと思っています。

4Gamer:
 いやあ,ROモバイルはぜひ早く……といっても,おそらく御社運営でやるわけではないでしょうけれど。

Dai氏:
 まぁそうですね。そのあたりは追々……(笑)。

4Gamer:
 これ以上聞いても無理でしょうから話題を変えて,では日本のゲームマーケットそのものについては,どういう感想を持たれていますか?

Dai氏:
 そうですね……個人的には2つのイメージを持っています。
 1つ目は,韓国や台湾,中国とはまったく違う独特のマーケットが形成されているということです。ほかのマーケットではいまでもMMORPGが主流ですが,日本はそうではありません。2つ目としては,ビジネスモデルがまったく違うということです。
 しかし長い目で見れば,これらの各国ごとの特徴はだんだんと融合していくのではないかと思っています。例えば,課金のシステムであるとか,ゲームの習慣であるとか。

4Gamer:
 フィーリングの問題についてはどうでしょうか。

Dai氏:
 フィーリングと言いますと?

4Gamer:
 プレイヤーが最初に見るのは,ゲーム画面の写真だったり,ムービーだったりすると思うんです。それを見たときに「イマイチ」だと思ったら触ってもくれないですよね。ご存じだと思いますが,かつて日本は欧米のゲームをあまり前向きには受け入れない傾向にありました。同じく,昔の中国のゲームも合いませんでした。こういう部分も融合――融合というより塗り替えかな――していくと思われますか。

Dai氏:
 最近の日本は,日本の伝統的なセンスとまったく違うゲームも受け入れられてきています。なので,そこはあまり心配していませんよ。

4Gamer:
 御社がリリースした「ICEY」や「Muse Dash」なども結構な人気ですしねえ。

ラグナロクオンライン
「ICEY」
ラグナロクオンライン
「Muse Dash」

Dai氏:
 え,そんなに受け入れてもらってるんですか?(笑)

4Gamer:
 あれ?(笑) 御社のPR担当はもっとちゃんと社長にアピールしたほうがいいですね……。
 それにしても,あの2つをチョイスして日本で展開しているというのは,何かそういう「フィーリング」の部分が分かっているXDの人がいて,その人が中心に動いてるのかな? と思っていました。

Dai氏:
 この2本は,恐らくビジュアルからお分かりだと思うんですけど,日本のメーカーが開発したものではありません。でも,開発チームは日本のセンスに影響されて作っていますから,そういう部分が受け入れられたんでしょうか。

とくにICEYのセンスは日本人にとっても違和感がなく,スマッシュヒットを飛ばしている
ラグナロクオンライン ラグナロクオンライン

4Gamer:
 いや,正直な見解ですが,「ICEY」は中国のメーカーが作ったゲームだとは分からないです。一昔前のゲームだと,私たち日本人は「これは中国製,これは韓国製」となんとなく分かったんですが,もう今ではまったく分からないものもありますね。

Dai氏:
 「少女前線」(邦題:ドールズフロントライン)なんて,もっと日本のセンスに近いから全然分からないでしょう(笑)。

4Gamer:
 ええ。「アズールレーン」なんかもそうですね。

Dai氏:
 それらに比べると「ICEY」は,特別日本のセンスを盛り込んだ……という感じではない気がするんですけどね,個人的には。どう思います?

4Gamer:
 いやあ……中国の方は皆さんそうおっしゃいますが,実際にはなかなかすごい感じですよ。

Dai氏:
 でもそう思っていただけているなら,「ICEY」は成功と言えますね(笑)。


美術スタッフは100人いますが,まだまだ日本のアートレベルには追いつけていないですね


Dai氏:
 しかしそれは,日本語のローカライズがうまくできていたからとか,そういう理由ではないんですか?

4Gamer:
 おっしゃることは分かります。海外のゲームの日本語は,たいがいの場合ちょっと違和感ありますからね。でも,それだけではないですよ。色使いとか,バランスとか……いま咄嗟に言葉でうまく表現できないんですが,「センス」ですね。

Dai氏:
 なるほど。

4Gamer:
 中国の方はみんな「まだ日本っぽくない」「全然追いついてない」「修行が足りない」と言うんですが,私たちからするともうけっこう見分けがつかないところまで来ているわけで,これはつまり,日本の「センス」も追いつかれつつあるのかな? とか。

Dai氏:
 これだけ大量の開発者と,多額の資金を投入しているので,テクノロジーの面で追いついたのは,ある意味当然のことだと思います。しかし,アートやビジュアルなどの美術的なセンスは,まだまだ追いついていないと個人的には思っています。確かに,さっき名前が挙がったような一部のゲームだけを見れば,日本のセンスに似たゲームを作ることも可能だと思われるかもしれませんが,あのレベルでゲームを作れる人は,この広い中国にもほんのわずかしかいません。
 弊社にはコンソールゲームのアートスタッフも100人ほどいますが,全員が日本のアートレベルに達しているということは絶対にありません。全体で見ると,まだまだ日本のレベルには追いつけていないんです。

4Gamer:
 「まだまだ少ない」とおっしゃいますが,総人口は日本の10倍ですから!

Dai氏:
 確かにそうですね(笑)。今も美術スタッフの人数は増やしていますし,投資もしています。今は100人ぐらいですが,毎年50人〜100人ぐらいを募集していて,もうこれ以上はこの近辺には人材がいないのではないかというところまで来ています。しかも,業界全体の傾向として,美術スタッフの給料は毎年上がっていますし,なかなか難しいところです。

4Gamer:
 毎年……?

社内の風景。描くときの資料用に洋服なんかも置いてあるんですねーと聞いたら「いえあれは社員のコスプレ用です」との返答。仕事のときにコスプレしてるの……?

Dai氏:
 みんなどこも儲かってるので,どこの会社も毎年給料を上げてるはずですよ(笑)。
 中国は,日本に比べてユーザーが持っている端末のスペックに大きな開きがあるので,どの端末でもゲームが動くようにしなければいけません。なので,以前のゲーム開発は技術的な部分を非常に重視して投資をしていました。その投資の結果,確かに技術的な面での大幅なレベルアップはあったんですが,いざ海外市場に進出しよう思ったときに,アートのレベルが圧倒的に足りていないことに皆気づいたんです。

4Gamer:
 でもそれもここ数年の話ですよね。相変わらず変化が早いです。

Dai氏:
 そうですね。追いつかないと一瞬で取り残されますから。
 とくに若者は,根本的なゲームの面白さより「キャラクターの顔が可愛い」とか「自分のセンスに合ってる」とか,ゲームのビジュアルを重視する傾向があります。そういったニーズが多いので,これからもビジュアルに力を入れていく必要があります。

4Gamer:
 しかし海外市場という話であれば,例えば「欧米に打って出る」なら一番いいプラットフォームはコンソールだと思うんですが,これからそちらに力を入れて行く予定はありますか?

Dai氏:
 国内では,今のところ特に計画はないですね。欧米については,PCやNintendo Switchなどで気に入ったゲームを契約して展開していきたいと思っています。PCのSteam市場についても気になっていてこれからも拡大していくと思うんですが,中国のコンソール市場は現状維持にとどまって,ここから大きく成長することはないと思っています。

4Gamer:
 Steamはこの後も中国で順調に巨大化していくと思いますか。すでにかなりの市場ですが。

Dai氏:
 国の政策で規制されなければ,確実に成長していくと思います。ある程度成長したら,国は必ずコントロールをかけてくると思いますけどね。

4Gamer:
 しかしコンソールゲームがあまり流行しないというのはどういった要因からくるものですか?

Dai氏:
 最近の中国は生活が豊かになってきていて,良いPCを買えるようになってきています。そして,PCを1台買えばコンソールゲームより良いゲーム体験が普通に楽しめてしまいます。また,スマホの性能も,コンソール並に――見方によってはコンソールより――良くなってきているのも要因として考えられます。スマホユーザーはコンソールゲームよりはるかに多いですから,コストパフォーマンスの面を考えてもコンソールで遊ぶ人は少ないと思いますよ。

4Gamer:
 なるほど。2年前のChinaJoyで,いろいろな偉い人に「コンソールは売れると思いますか」という質問をしたら「あんなの売れない」と言う人が大半でした。でも昨年のChinaJoyで同じ質問をしたら「コンソールは絶対売れるよ」と言う人だらけになってました。

Dai氏:
 今年はどうでした?

4Gamer:
 今年は半々ぐらいですかね。

Dai氏:
 私は,PS4もNintendo Switchもゲーム用のPCも持っていますが,昨年一番長く遊んだのは実はSwitchでした。Switchは,テレビやモニターにつないで大画面でゲームを楽しめますし,持ち運びもできます。また,本体にセーブデータを保存できるので便利です。
 ただ,現在ではVitaレベルの性能と呼んでも差し支えないスマホも登場してきますし,テレビやモニターにつないで遊ぶという,今のスマホが実現できていない点も順次解決されていくと思っています。やはり将来的には,コンソールゲームは難しいと思いますよ。

4Gamer:
 お話を聞いていると,夢見がちではなくて割とクールに業界を観察している印象を受けるんですが,そんなDaiさんは,この業界の中でXDをどのような会社にしていきたいと思っているんでしょうか。

Dai氏:
 うーん……先ほどもちょっと触れましたが,弊社は「○○を目標にしてみんなでがんばろう!」というスローガンや目標は特に決めていないんですよね。でも,XDをこんな風にしたいという夢はあります。

4Gamer:
 それはどんな?

Dai氏:
 ゲーマーから「XDはちゃんと心を込めてゲームを作ってるな」と思ってもらえる会社になること,そして「ゲーマーから要望されるより先にニーズをくみ取って実現する会社になる」ことの2つです。
 私を含め,会社の管理層はバリバリの技術者が中心なので,内に秘めた夢はあるんですが,営業職みたいに「がんばろう!おー!」とかそういったことはあまり言わないんです(笑)。

4Gamer:
 なるほど(笑)。思いを心に秘めて日々活動しているんですね。

Dai氏:
 はい,その通りです。

4Gamer:
 XDをどんな人が動かしているのかがなんとなく分かりました。本日はどうもありがとうございました!


――2018年8月6日収録
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