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前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー
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印刷2016/07/15 00:00

インタビュー

前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー

画像集 No.002のサムネイル画像 / 前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー
 スパイク・チュンソフトが2016年8月4日に発売予定のPS4用ソフト「ウェイストランド 2 ディレクターズカット」。本作は,核戦争後のアメリカ・アリゾナ州を舞台に,生存者の救援を目的する部隊「デザートレンジャー」の新人隊員となって,さまざまな任務をこなしていくというポストアポカリプスRPGだ。今回発売される「ディレクターズカット」版は,2014年にPCで発売された「Wasteland 2」(以下,「ウェイストランド2」)に新要素を追加した,決定版ともいえる内容となっている。
 4Gamerでは,開発元であるinXile Entertainmentのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。

 ファーゴ氏と言えば,共同創設者の一人として1983年にInterplay Entertainmentを立ち上げて以来,「The Bard’s Tale」(1985年),「Wasteland」(1988年),そして「Fallout」(1997年)など,これまでに50を超えるタイトルを手がけてきた人物。Interplayを離れたのちは,2002年にinXile Entertainmentを立ち上げ,本作ではプロデューサーを務めている。

inXile Entertainment ブライアン・ファーゴ氏
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「ウェイストランド 2 ディレクターズカット」公式サイト



「ウェイストランド」の中枢部分を引き継ぎ

現代のテイストに仕上げた「ウェイストランド2」


4Gamer:
 1988年に発売され,クラシックRPGの名作として高い評価を受けている「Wasteland」(以下,「ウェイストランド」)ですが,「ウェイストランド2」の発売は2014年と実に26年ぶりでした。これほどの時を隔ててウェイストランドブランドを復活させようと考えたきっかけは何だったのでしょうか。

ブライアン・ファーゴ氏(以下,ファーゴ氏):
画像集 No.003のサムネイル画像 / 前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー
 作りたくなかったわけではありません! かなり前から「ウェイストランド」の続編を作りたいとは思っていて,構想もできていました。しかし,当時は「ウェイストランド」の版権は他社のものだったので,代わりに精神的後継作となる「Fallout」を作ったんです。
 その後,「ウェイストランド」の版権を獲得できたのですが,その時にはどこのパブリッシャもこのゲームに興味を失っていました。クラウドファンディングが無ければ,続編をこうして世に出すことはできなかったでしょう。

4Gamer:
 「ウェイストランド2」では,Kickstarterを使った資金集めが行われたことにも驚きました。なぜ,本作ではKickstarterを活用しようと考えたのでしょうか。

ファーゴ氏:
 「ウェイストランド2」を作る意欲は十分すぎるほどあったのですが,パブリッシャはそれにまったく興味を示さないか,私達が作りたいものに共感してもらえないかでした。諦めかけていた頃,クラウドファンディングの話を聞き,「これだ!」と思ったんです。

4Gamer:
 Kickstarterキャンペーンでは,目標の90万ドルに対して,6万人以上の出資者から約300万ドルの資金集めに成功しました。これほど大きな成功を収めることを予想していましたか?

ファーゴ氏:
 まだ世界には,「ウェイストランド」のようなゲームを好きな人が残っていると信じていました。「ウェイストランド2」を開発できるだけの十分な金額を目標に設定したつもりだったのですが,それを大きく上回ったのは本当に驚きましたし,嬉しかったです。

4Gamer:
 「ウェイストランド2」の開発においては,オリジナルの「ウェイストランド」の開発メンバーを再集結させたことでも大きな注目を集めました。主要なメンバーのお名前(&役職)と,彼らに最初に企画を持ちかけた際の反応を教えていただけますか。

ファーゴ氏:
 「ウェイストランド」の主要メンバーは,ほぼ全員集めました。この話を持ちかけたときは,みんな興奮を隠しきれない様子でしたね。
 SF作家のMichael A. Stackpoleにストーリーの脚本・構成を,「ウェイストランド」の主要メンバーだったAlan Pavlish,Liz Danforth,Ken St. Andreには制作を担当してもらいました。また,「Fallout 2」でも有名なChris Avelloneにも制作に加わってもらい,「Fallout」と「Fallout 2」の音楽を担当したMark Morganに本作の音楽を担当してもらっています。

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4Gamer:
 「ウェイストランド2」の開発を決めたときに掲げた目標などはありましたか? また,その目標はどれくらい達成できたとお考えですか。

ファーゴ氏:
 私たちの目標は,「ウェイストランド」の中枢部分を引き継ぎつつ,現代のテイストに仕上げることでした。そのため,このゲームは,選択と結果,戦術的なターン制バトル,パーティ編成,そしてポストアポカリプスの世界で繰り広げられるストーリーに重点を置いています。当時,革新的だった「ウェイストランド」の評価された部分はすべて残したうえで,「昔のRPGが好きなゲーマー」と「今のRPGが好きなゲーマー」の両方が楽しめるようなゲームを作ることが目標でした。

4Gamer:
 「ウェイストランド」の精神的後継作とも言うべき「Fallout」シリーズは,その後,3Dグラフィックスへと進みましたが,「ウェイストランド2」では昔ながらのクォータービューとターン制の戦闘を採用しています。これはやはり,オリジナルの「ウェイストランド」を意識してのことなのでしょうか。

ファーゴ氏:
 私自身,アクションゲームより頭を使うゲームが好きで,クォータービューにしたのは,より多くのキャラクターを操作できるように,そして戦術的な戦闘を可能にするためです。
 確かに「ウェイストランド」とそのファンを意識していました。私達は,ゲームを完全に変化させるのではなく,進化させたかったのです。Kickstarterを始めたばかりの頃は,誰もこの種類のRPGを作っておらず,パブリッシャの間ではもう売れないと言われていました。しかし,私達の出資者やファン,および「ディヴィニティ:オリジナル・シン」などのタイトルの成功によって,まだまだこのジャンルも廃れていないことが証明されました。

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4Gamer:
 かつての戦友とも呼べる開発メンバーが集まり,さらには一般ユーザーに企画書を公開してアイデアを募集するなどして開発が進められた「ウェイストランド2」ですが,開発は順調に進みましたか?

ファーゴ氏:
 順調に進まないのがゲーム開発というものですが,それがまたゲームを面白くする要因なのだと思います。「革新的なアイデア」とは,「順調」という言葉から最も遠い場所で見つかるものです。
 ゲーム開発のような創作活動において,「完璧な計画」を練るというのは間違いだと思います。むしろプロジェクトを始める前に,ゲームの中枢となる部分を固め,実際にゲームに触ることで徐々に新しいアイデアが生まれ,ゲームが楽しいと感じる瞬間を探すことこそが大事だと思います。

 また,予想外な出来事がすべて悪いわけではなく,より良いゲームを作るチャンスにもなります。例えば,目標額の開発資金を大きく上回ることができましたが,それはつまりゲームの規模が大きくなることでもありました。もし支援者の協力がなければ,後半のマップは作れていなかったかもしれません。

4Gamer:
 一般ユーザーからの意見を採用したアイデア,Kickstarterの大成功を受けたことで実現できたアイデアなどはありますか。

ファーゴ氏:
 多くのアイデアや要望,とくにUI・デザイン・システムの調整などはゲームに反映しました。しかし,取り入れたアイデアの中でもとくに分かりやすい例を挙げるなら,ゲーム序盤の選択です。2つの町が同時に襲撃されているのですが,プレイヤーはそのどちらか片方だけを救い,もう片方を見捨てるという選択をしなければなりません。
 当初は,どちらかを必ず救わなければならないという仕様でしたが,ユーザーから,どちらも見捨てる選択肢があっていいのではないかという意見があり,その素晴らしいアイデアを採用することにしました。

 私達は本当に多くの人々に協力していただきました。Unityエンジンでゲームを作るということは,Unityのアセットストアを含む多くの素材が使えるということです。また,出資者やファンからも3Dモデルやテクスチャ等,多くの素材をいただきました。私達はこれらのサポートに感激すると同時に,本当にこのゲームを心待ちにしてもらっていると感じました。
 そして何より,Kickstarterの成功により,1周の平均プレイ時間が50時間を越えるような大規模なゲームを,何周もプレイしたくなるようなものに仕上げることができました。

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4Gamer:
 「ウェイストランド2」の世界観やゲーム内容をあらためて教えてください。プレイヤーはどのような立場で,何を目的としているのでしょうか。

ファーゴ氏:
 「ウェイストランド2」はアメリカのアリゾナ州を舞台にしたポストアポカリプスRPGです。生存者は誰も核が発射された真相を知りませんが,大戦の数十年後でも人々は荒廃し汚染されたウェイストランドで生きようとしています。
 プレイヤーは新人デザートレンジャーとなり,ウェイストランドの平和と正義のために凶暴なクリーチャーやレイダーと戦うことになります。しかし,小さな問題を解決していくうちに,人智を超えた大きな脅威の存在に気づき,その謎を解き明かしていくのが今作の目的となります。

4Gamer:
 「ウェイストランド2」では,前作「ウェイストランド」とのストーリー的なつながりはありますか? また,前作をプレイしていない人でも楽しめますか。

ファーゴ氏:
 ストーリー的にはつながっています。例えば,前作のパーティメンバーは全員今作にも登場します。ハイプールやAgセンターなどのように,前作の舞台も引き継がれていますが,「ウェイストランド2」は独立したストーリーとなっているので,前作をプレイしていなくても楽しめるようになっています。

4Gamer:
 「ディレクターズカット」版では,どのような追加・変更が行われているのでしょうか。

ファーゴ氏:
 「ディレクターズカット」版は,オリジナル版をさらにアップグレードしたものです。内容は同じですが,エンジンを「Unity 4」から「Unity 5」に移すことで光源処理やパフォーマンスを向上させ,キャラクターモデルやテクスチャなどのグラフィックスも向上しました。
 また,対応機種やコントローラも増やし,「精密射撃」などの新システムおよびキャラクターカスタマイズの新要素といった,ユーザーからの要望も取り入れた完全版となっています。

4Gamer:
 日本語版の予約特典には荒野を生き抜くための「ファーストステップガイド」が用意されていますが,ブライアンさんのお勧めのパーティ編成やスキル,初心者へのアドバイスなどはありますか。

ファーゴ氏:
 それぞれのスキルには,状況ごとに必ず有効的な活用法があります。このゲームを遊ぶうえで最も大事なのは,4人パーティで冒険するということを考慮し,それぞれが異なるスキルを習得することで,あらゆる状況に対応できるようにすることです。例えば,1人は会話スキルを持ち,もう1人は回復スキルを持ち,またある1人はメカニックスキルを持つといったように,キャラクターごとに役割分担をさせておいたほうがいいでしょう。
 また,それと同じくらい大事なのが,武器のスキルをキャラクターごとに使い分けさせることです。状況によって効果的な武器が異なります。でも強いて1つ挙げるとするならば,「トースター修理」は必ず覚えましょう!

画像集 No.007のサムネイル画像 / 前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー 画像集 No.008のサムネイル画像 / 前作から26年を経て登場した「ウェイストランド 2」。ディレクターズカット版の発売にあたり開発元inXileのブライアン・ファーゴ氏にメールインタビュー

4Gamer:
 「ウェイストランド2」で,とくにこの部分を楽しんでほしいというポイントを教えてください。

ファーゴ氏:
 私達は「ウェイストランド2」に詰め込めるものはすべて詰め込みました。このゲームを新しく始める人には,とにかく世界観にどっぷりはまりながら,いろいろなものを調べ,経験し,冒険し,行動してどのような結果が生まれるかを確認し,ゲームに詰め込んだあらゆる要素を楽しんでほしいです。目の前に赤いボタンがあるなら,必ず押して何が起こるか見てほしいですね。

4Gamer:
 ウェイストランドシリーズを今後も継続していく予定はありますか?

ファーゴ氏:
 常に新しいポストアポカリプスのゲームを作りたいと考えています。

4Gamer:
 最後に,発売を楽しみにしている日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。

ファーゴ氏:
 日本のゲーム業界には長く,誇らしいRPGの歴史があります。今は,新しいユーザーの皆様と,私の「RPGに対する愛」を共有できることにとても興奮しています!

4Gamer:
 ありがとうございました。

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「ウェイストランド 2 ディレクターズカット」公式サイト

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