2017年6月29日22:00,AMDは,Zenマイクロアーキテクチャベースのビジネス用デスクトップPC向けCPUシリーズ「
Ryzen PRO」を発表した。
発表に合わせて登場してきたのは
表のとおりの6製品。デスクトップPC向けにはまだ発表されていない,4コア4スレッド対応のプロセッサが
Ryzen 3 PROとしてラインナップに加わっているのが注目すべき点と言えよう。
Ryzen PROシリーズは,2017年後半にPCメーカー向けの出荷を開始する予定とのことだ。
表 Ryzen PROの主なスペック
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Ryzen 7 PRO 1700X |
Ryzen 7 PRO 1700 |
Ryzen 5 PRO 1600 |
Ryzen 5 PRO 1500 |
Ryzen 3 PRO 1300 |
Ryzen 3 PRO 1200 |
製造 プロセス |
14nm |
14nm |
14nm |
14nm |
14nm |
14nm |
コア数, スレッド数 |
8C16T |
8C16T |
6C12T |
4C8T |
4C4T |
4C4T |
| ベースクロック |
3.4GHz |
3.0GHz |
3.2GHz |
3.5GHz |
3.5GHz |
3.1GHz |
| ブースト最大クロック |
3.8GHz |
3.7GHz |
3.6GHz |
3.7GHz |
3.7GHz |
3.4GHz |
| L2キャッシュ容量 |
512KB×8 |
512KB×8 |
512KB×6 |
512KB×4 |
512KB×4 |
512KB×4 |
| L3キャッシュ容量 |
16MB |
16MB |
16MB |
16MB |
8MB |
8MB |
| TDP |
95W |
65W |
65W |
65W |
65W |
65W |
通常版Ryzenと比べたときのRyzen PROが持つ最大の特徴は,全モデルでシリコンレベルのセキュリティ機能が有効になっているところだ。この「全モデルで」というのがAMDのアピールポイントで,いわく,IntelのビジネスPC向けセキュリティおよび管理機能である「Intel vPro Technology」(以下,vPro)は,Core i3 vProだと有効になっていないが,Ryzen PROであれば最も安価なモデルでも必要なセキュリティ機能を実現できるとのことだ。
Ryzen PROのラインナップと主な仕様。暗号化やセキュリティ関連の機能を全製品が備えている
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性能面では,競合となるvPrp対応版Core プロセッサと比べて,より多くのCPUコアもしくは同時実行スレッド数を有している点が特徴とされている。たとえば「Ryzen
7
PRO
1700」の場合,「Core
i7
-7700」と比べて,最大で62%も優れた性能を発揮できるという。
8C16TのRyzen 7 PRO 1700と,4C8TのCore i7-7700の性能を,各種ベンチマークテストで比較したスライド。暗号化処理ベンチマークテストの「TrueCrypt」では,73%も高い結果を残したという。ただ,総合ベンチマークテストの「SYSmark 2014」では,Core i7-7700よりも4%低い結果になったようだ
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6C12TのRyzen 5 PRO 1600と,4C4TのCore i5-7500での性能比較。こちらはすべてのテストでRyzen PROが高い結果を残している
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4C8TのRyzen 5 PRO 1500と,4C4TのCore i5-7500での性能比較。コア数が同じで性能差が縮まったためか,「PCMark 10」では8%の差に留まり,SYSmark 2014では2%低くなってしまったが,全般的にはRyzen PROのほうが優秀というわけだ
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4C4TのRyzen 3 PRO 1300と,2C4TのCore i3-7100での性能比較。Ryzen 3 PROシリーズでは,SMT(Simultaneous Multithreading,サイマルテイニアス マルチスレッディング)が無効になっている
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ターゲットする市場からして,Ryzen PROは,ゲーマーにはほぼ無関係といっていいCPUである。ただ,今はまだ姿の見えないデスクトップPC向けRyzen 3の仕様を想像できる製品が発表されたという点では,注目に値する話題ではないだろうか。