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セガのキッズ向け遊具「え〜でる すなば」開発陣にインタビュー。“絵が出る不思議な砂遊び”を生み出したNプロ研究開発部の狙いを聞いた
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印刷2014/10/22 15:00

インタビュー

セガのキッズ向け遊具「え〜でる すなば」開発陣にインタビュー。“絵が出る不思議な砂遊び”を生み出したNプロ研究開発部の狙いを聞いた

写真は2014年9月に行われたアーケードゲーム内覧会「SEGA PRIVATE SHOW 2014 -AUTUMN-」で撮影したもの
え〜でる すなば
 2014年9月に発表され,アミューズメント業界を中心に大きな話題になったセガの「え〜でる すなば」。スウェーデンで開発された手に付かない砂と,マイクロソフトのKinect センサーを採用したプロジェクションマッピングによる映像投影を融合させた本製品は,“砂遊び”をハイテク技術で昇華させたキッズ向け遊具である。発表直後に行われたアーケードゲーム内覧会でも,オペレーターやメディアから大いに注目を集めていた(関連記事)。

 え〜でる すなばの開発は,昨年4月に設立されたセガの“Nプロ研究開発部”が手がけている。アミューズメント施設にとどまらず,新たな市場への展開を視野に入れているという開発陣にインタビューを実施し,その開発経緯や同部署の狙いなどを聞いてきた。

セガ Nプロ研究開発部 え〜でる すなば プロデューサーの杉森裕司氏(右),ソフト開発マネージャーの北村賢也氏(左)

「え〜でる すなば」公式サイト



ゲームではなく,砂場の性質を崩さない企画に


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは,え〜でる すなばを開発することになった経緯を教えてください。

杉森裕司氏(以下,杉森氏):
 最初は,キッズ向けの製品を何か作ろうという企画からスタートしたのですが,カードやメダルを集めるゲームとはまた違う,お子さんが遊び自体に夢中になれて,それを見守る親御さんも納得して遊ばせられるものにしたいとのコンセプトが生まれました。そこで,いくつかのアイデアの中から「砂遊び」を選びました。

4Gamer:
 昔ながらの砂遊びをゲーム化するというイメージですか。

杉森氏:
 いえ,ゲーム化するという意識はなく,どちらかといえば,砂場そのものが持つ「遊具」としての性質を崩さないものを作ることが目標でした。砂場は子供なら誰しもが熱中して遊べる場所でありながら,最近は衛生管理などの問題があり,安心して遊ばせられない状況になっています。それをなんとかして,現代の遊びに昇華したいと考えたんです。

4Gamer:
 当初からプロジェクションマッピングや距離センサーを使うアイデアがあったのでしょうか。

杉森氏:
 プロジェクションマッピングの技術は,社内の他部署も交えて検証を進めていました。話題性がありますし,この企画に採用することで面白いものになりそうだという確信はありました。ある意味,企画の柱だったと言っても間違いではありません。センサーも同じくらい重要な存在で,当初から導入することは決まっていました。

え〜でる すなば

4Gamer:
 センサーは砂の高低差を読んでいるんですね。

北村賢也氏(以下,北村氏):
 はい。高低差を読んだデータを元にして,リアルタイムに反映させています。

4Gamer:
 ボタンやチュートリアルがプロジェクションマッピングで映し出されているのは,とても斬新だと思いました。

北村氏:
 実は砂を使う企画なので,インタフェースにはできるだけ物理的なボタンを使いたくなかったという理由もありました。そこで製品の筐体にプロジェクションマッピングでボタンを映し出し,そこに手を重ねることで“ボタンを押す”という手法を採用しています。

杉森氏:
 せっかくの最新技術ですから,できる限りその利点を活かしたいと試行錯誤した結果です。物理的なボタンを使わないため,プログラムを変更するだけでボタンの数を増減できるというメリットもあります。

下から天井部を見上げたところ。Kinect センサーとプロジェクターが設置されている
え〜でる すなば
4Gamer:
 なるほど。センサーにはマイクロソフトのKinectが採用されていますが,その理由を教えてください。

北村氏:
 センサーの候補はいくつかありましたが,やはりこれまでの実績による信頼性の高さが決め手でした。また,マイクロソフトさんとは業務用マシンのOSなどで協力関係にあり,Kinectを使うにあたってもサポートしてもらえるという点も理由の1つですね。

4Gamer:
 同じハードウェアの面では,普通の砂にシリコン系化合物を加えたことで,形が崩れにくく手に付かないという「え〜でるサンド」を採用しています。こちらも早い段階で採用することは決まっていたのでしょうか。

杉森氏:
 いえ,基礎研究の段階では普通の砂でした。開発中にスウェーデンで特別な砂が開発されたと知り,急きょ検討して採用することにしました。
 普通の砂でも十分に面白いものになっていたんですが,いくつかの課題もありました。例えば,高低差を作りにくいので,そのぶんだけ砂場自体を大きくしなければならない。さらに水などを加えないと,しっかりした形になりにくいという点もありました。
 こうした課題の多くが,え〜でるサンドを見つけたことで解決でき,そこから完成形のイメージが一気に固まりましたね。

え〜でる すなば

4Gamer:
 え〜でる すなばには2種類のモードが用意されていますが,どのようにして仕様が決まったのでしょうか。

杉森氏:
 最初に,我々がやりたいと思っていた内容は「すなあそび」モードです。子供の自由な発想で好きなように楽しめる,つまり砂場そのものの遊び方ですね。
 しかし,え〜でる すなば自体は初めて体験する遊具なので,何をしていいのか分からないというお子さんもいるでしょう。その解決策として「できるかな」モードを追加しました。砂を盛ったり掘ったり,形を作ったりといった具体的な遊び方を伝えることで,楽しみながら製品の面白い遊び方を理解してもらえる内容になっています。

4Gamer:
 「すなあそび」モードでは,筐体に砂で作れる動物や植物などが表示されますね。

杉森氏:
 それは遊び方のヒントのようなものです。「すなあそび」モードでは春夏秋冬から好きな季節を選べますが,春なら桃,冬なら白ウサギといったように,砂を使った立体的なお絵かきもできるので,自由に遊んでほしいという提案です。

え〜でる すなば え〜でる すなば

4Gamer:
 砂を盛ると山になり,掘ると川や海になりますから,どうしても風景を作りたくなるのですが,もっと自由でいいんですね。

杉森氏:
 山や森を作って,そこに川を流す。これは砂遊びの基本ですが,もっといろんな発想で遊んでもらえるのではないかと思っています。

え〜でる すなば


新たな市場展開も視野に入れるNプロ研究開発部とは


4Gamer:
 お二人が所属されているNプロ研究開発部についてもお聞きしたいのですが,普段はどのような業務をされているのでしょうか。

杉森氏:
 Nプロ研究開発部は,セガの既存の商品やサービスとは違う,新しい製品開発にチャレンジしています。Nには「NEXT」の意味があり,昨年4月,次の新しいものを生み出すことを目標に発足しました。

4Gamer:
 それでは,え〜でる すなばがNプロ研の最初のプロダクトということですか。

杉森氏:
 そうなりますね。もともと,え〜でる すなばもゲームを作ろうとは考えていなくて,砂を使ったキッズ向けの製品を生み出そうというチャレンジでした。当初から,ゲームセンター向けという縛りもなかったんです。

4Gamer:
 聞くところによると,ゲームセンターだけでなく,住宅展示場やカーディーラーなどに置かれることも想定されているそうですね。

杉森氏:
 ゲーム以外の新たな市場への進出は,Nプロ研を立ち上げた目的の1つです。え〜でる すなばの場合,お子さんが親と一緒にいて時間を持て余してしまうような場所にぴったりではないかなと。
 確かに既存のお客さんではない市場を開拓するのは,容易でないことは自覚していますが,それでもこの製品はインパクトがあって,いけるかもしれないという可能性は感じています。おかげさまで発表後は,さまざまな方面から問い合わせをいただいています。

4Gamer:
 すでにロケテストを実施されていますが,お客さんの反応はいかがでしたか。

杉森氏:
 お子さんは筐体を見つけると,走り寄ってきて砂を触る。その後,親御さんも興味を持ってくれて,面白そうだからとお金を入れてくれるという反応が見られました。もちろん,遊んでいる最中も興味津々で,このゲームなら安心して遊ばせられると言ってもらえることもありました。

4Gamer:
 小さな子供が砂を持って帰ってしまう,といった心配はありませんでしたか。

杉森氏:
 実際,そのような懸念はオペレーターさんからも届いています。当然,起こりうる話ではありますので,正式リリースまでの課題として対策は練っているところです。どのような場所に置かれるかで,多少対策も変わるでしょう。
 ちなみにロケテストでは,砂を持っていかれるようなトラブルはありませんでした。親御さんの対応もしっかりしていた印象です。

4Gamer:
 大人が考えている以上に,子供達はちゃんとルールを守って遊んでくれるのかもしれませんね。


新機軸の製品ならではの難しさ


え〜でる すなば
4Gamer:
 筐体のデザインは,木をイメージしたシンプルなものに仕上がっています。どのようなコンセプトだったのでしょうか。

杉森氏:
 ゲームの筐体というと,ゲームセンターでいかに目立つかを主眼に置いてデザインが施されていますが,え〜でる すなばはオブジェとして置いても違和感がなく,さらに子供にも喜んでもらえるようなデザインを目指しました。
 実はデザインをシンプルにした理由としては,お店の人に独自の飾り付けをしてもらいたいという意図もあります。季節に合わせてデコレーションしてもらえるよう,ある程度自由度がある設計になっています。

4Gamer:
 それで,製品のロゴも控えめなんですね。

杉森氏:
 やはりゲームコーナー以外の展開を考慮し,ゲーム然とした筐体にはしませんでした。筐体に派手さはありませんが,ロケテストではお子さんが興味を持ってくれたので,結果的に良かったと思っています。

4Gamer:
 ちなみに開発期間はどのくらいですか。

杉森氏:
 企画段階から数えると,2年弱といったところです。

4Gamer:
 アミューズメントマシンとしては長期間ですね。

杉森氏:
 やはり前例のない製品ということで,企画書だけで最終的なイメージを社内で理解してもらうのが難しかったんですよ。基礎研究で実験を重ねていくことで,少しずつ企画を理解してもらえるようになりました。

4Gamer:
 しかし,アーケードゲームやアミューズメントマシンで新しい作品を生み出してきたセガだからこその製品だと思いました。

杉森氏:
 確かに,これまでのノウハウは随所に生きているとは思います。

4Gamer:
 それでは技術面で苦労された部分はありましたか。

北村氏:
 たとえば,「できるかな」モードの判定をどの程度まで認識させるかというバランス調整には苦労しました。厳密に判定すると難しくなってしまい,曖昧すぎると砂遊びの醍醐味が損なわれますから。また,お子さんの身長に幅がありますので,センサーが反応する高さも微調整が必要でした。
 あとはプロジェクターで映像を砂に投影しているため,あまりハッキリとしたグラフィックスが映し出せないのですが,その範囲内でどうすれば満足していただける表現ができるのか。このあたりは,とにかく試行錯誤の連続でした。

4Gamer:
 水面に魚が泳いでいたり,地面にヘリコプターの影があったりと,プレイヤーを退屈させない演出が随所に盛り込まれているのが印象的です。

北村氏:
 オブジェクトを細かく描いても,砂に映すのでよく見えないんですよ。雪の表現も,単純に白くするだけでは雪に見えないので,砂の高さによって階調を付けることで雪景色に見えるようにするまでが大変でした。

え〜でる すなば

4Gamer:
 大人の目にも非常に楽しい演出だと思います。

北村氏:
 そう言ってもらえると嬉しいですね。

4Gamer:
 これは大人の発想かもしれませんが,もっと広い砂場で遊びたいという気にもなりますが……。

杉森氏:
 そのような要望はあるでしょうね。実現できるかどうかは別として,我々もやりたい気持ちはあります。え〜でる すなばのほかにも,企画段階のアイデアはたくさんありますので,今後のNプロ研に期待していただければと。

4Gamer:
 まずは,え〜でる すなばの稼働が待たれるところです。

杉森氏:
 稼働時期は「秋」とアナウンスしていますので,寒くなる前にはお届けできるように調整中です。

北村氏:
 言葉や写真だけでは,え〜でる すなばの感触はなかなか伝わりづらいので,お子さんに限らず,大人の方もぜひ実際に触ってみてもらいたいと思います。

4Gamer:
 Nプロ研の今後の活躍に期待しています。本日はありがとうございました。

え〜でる すなば え〜でる すなば



 え〜でる すなばはキッズ向け遊具と謳われているが,実際に目の当たりにすれば,大人でもつい触りたくなってしまうはず。まったく新しいコンセプトの製品として,正式リリース後の反応にも注目したいところだ。
 また,セガの新しい開発部署であるNプロ研が送り出す今後の製品にも期待がかかる。今回,杉森氏は「今はボツになってしまう企画も,時代や状況が変われば実現することがある」と述べ,現在,眠っている企画がいくつかあるという。え〜でる すなばに続く,次の製品が発表された暁には,また話を聞いてみたい。

「え〜でる すなば」公式サイト

  • 関連タイトル:

    え〜でる すなば

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