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「シヴィライゼーション」シリーズの未来を作る開拓者達。「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」のクリエイター6人にインタビュー
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印刷2014/07/24 13:39

インタビュー

「シヴィライゼーション」シリーズの未来を作る開拓者達。「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」のクリエイター6人にインタビュー

今回のツアーではシド・マイヤー氏に話を聞くことはできなかったが,ミーティングルームで行われたメディア向け昼食会に登場。現在,氏の名を冠した同社作品とはいえ,直接開発の陣頭指揮を執っているわけではないようだが,最近では「Sid Meier’s Ace Patrol」を手掛けている現役クリエイターである
 シド・マイヤー(Sid Meier)氏率いるFiraxis Gamesが,その前身であるMicroprose時代から手掛けるシミュレーションゲーム「シヴィライゼーション」シリーズ。同シリーズのファンが作品への愛着も込めて「Civ Addicts」(Civ中毒者)と自称することもあるほどに,ターン制シミュレーションでありながら,なかなか中断することができない「魔法の方程式」を秘めた数少ないストラテジーゲームだ。

 その新作となる「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」PC/Mac。以下,「Beyond Earth」)が,海外では2014年10月24日にリリースされる。「Sid Meier’s Civilization II」のスタンドアローンMODとして1999年にリリースされた「Sid Meier’s Alpha Centauri」の精神的な後継作であることは,すでに多くのファンが知るところだろう(関連記事)。

 このたび,Firaxis Gamesにてメディア向けのスタジオツアーが開催された。ゲームプレイの最新プレビューについては,7月23日掲載の記事で紹介しているので,まずはこちらを読んでいただきたいが,今回の訪問ではクリエイター6人に話を聞く機会も得られた。本稿では,開発チームの意気込みや現場の内情なども垣間見えるインタビューをお届けしよう。

Firaxis Gamesスタジオツアー開催。ストラテジーファン待望の「Sid Meier's Civilization: Beyond Earth」をさっそくプレイしてきた

「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」公式サイト


Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth


我々が追い求めているのは「スタートレック系」

アントン・ストレンガー氏(ゲームプレイ・デザイナー)


 インタビューのトップバッターは,ゲームプレイ・デザイナーという役職にあるアントン・ストレンガー(Anton Strenger)氏だ。2009年には神戸常盤大学のインターンとして公式サイトの制作に関わったという日本通で,カーネギーメロン大学卒業後の2011年5月,Firaxis Gamesに入社。以降は「シヴィライゼーション V」の拡張パックにプログラマーとして関わるなど,「プログラミングができるゲームデザイナー」という同社の伝統をしっかりと受け継いだ気鋭の若手クリエイターである。

4Gamer:
 ストレンガーさんは,「シヴィライゼーション V」の拡張パック「Gods & Kings」や「Brave New World」ではプログラミングやバランス調整の面で関わったそうですが,「Beyond Earth」はテーマがSFになったということで,ゲームの設計には大きな影響があったのでしょうか。

「Beyond Earth」ではゲームプレイ・デザイナーを務めるアントン・ストレンガ―氏。学生時代には日本に5か月ほど滞在した経験を持つ日本通で,JRPGのファンでもあるとのこと
アントン・ストレンガー氏(以下,ストレンガー氏):
 もちろん,ありました。「Brave New World」では,国連議会の開発を担当しましたが,国連がどんな機関なのかは,私もプレイヤーも多少なりと知識を持っていました。しかし,「Beyond Earth」ではそれがありません。我々が想像する「未来の政治システム」というものを,ゲームを通じてどうやってプレイヤーに伝えるのかが大きなチャレンジになっています。

4Gamer:
 だからこそ,まったく新しいものを創造できるというのが,未来を舞台にしている「Beyond Earth」ならではの部分ですね。

ストレンガー氏:
 我々が現実では不可能に思えることでも,「Beyond Earth」ではゲームの要素として組み込めるのは魅力を感じているところです。例えば,「Beyond Earth」には「Orbital Layer」(衛星)というものが存在し,プレイヤーは食料の生産性を向上させる熱線を放射したり,太陽パネルで蓄えたエネルギーを地上に送電したりすることができます。今回のプロジェクトでは,このようなゲームシステムとして面白くなる要素をデザイナーがまず発案してから,ライターが未来のテクノロジーとしてあり得るのかを後付けで考えているんですよ。

4Gamer:
 未来に現実性を求めてもしょうがないから,ゲームとして面白ければオーケーということですか。

ストレンガー氏:
 あまりに突拍子もないものだと,プレイヤーに信じてもらえないので採用しませんけどね。Orbital Layerで言えば,太陽光からエネルギーを生み出す「Solar Collector」はすでに現代でも実現可能ですから,これをベースにしてエネルギー生産のほかにもゲームで活用できそうな未来のテクノロジーを考えていくのです。「Beyond Earth」の企画段階では,サイエンスフィクションには2つの大きな流れがあるという話が出ました。それは魔術を未来風にした「スターウォーズ系」と,よりテクノロジカルな「スタートレック系」に分けられるということですが,我々が「Beyond Earth」で追い求めているのは後者です。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 そのOrbital Layerは,ゲーム中で何種類獲得できるのでしょうか。

ストレンガー氏:
 プレイヤーの初期カスタマイズや獲得するテクノロジーによって異なりますが,最短で30ターン前後には最初のものが利用可能になるでしょう。ただ,「Beyond Earth」にはプレイヤーが到達するよりも以前に惑星に降り立ったものの,生存することができなかった先遣隊が残した「Resource Pod」(遺跡)というものがランダムに存在します。Resource PodにはSolar Collectorを含むものもあるので,幸運なプレイヤーならば数ターンで最初のOrbital layerを獲得できるかもしれません。

4Gamer:
 「シヴィライゼーション V」の古代遺跡にしても,「Beyond Earth」のResource Podにしても,ゲーム内では同じでそれぞれの勢力の周囲に配置されるようになっているのでしょうか。

ストレンガー氏:
 いいえ,多少ランダムに発生するようになっていますね。ただし,平均値は設定されており,Solar Collectorを含むResource Podばかりが見つかるといったことにはなりません。このあたりはマップの自動生成にも関わってくる要素なので,非常に複雑な処理を行っています。そもそもプレイヤーがうまく探索しなければ,周辺にあるResource Podでも敵の勢力に獲得されてしまうこともあります。

4Gamer:
 それでは,Resource Podから獲得できるエネルギーや文化ポイントなどの数値は固定なのでしょうか。

ストレンガー氏:
 ちょうど私が先週まで調整していた部分ですね。もともと,エネルギーにしても文化ポイントにしても20ポイントで固定だったのですが,現状では15〜25ポイントといったように多少のランダム性があります。少しでもポイントが欲しい序盤のゲームプレイでは,プレイヤーが一喜一憂するようなバランスになったと思います。

4Gamer:
 これまでの話を聞いていると,シリーズ作品の中でも「ランダム性」が強調されている印象を受けます。

ストレンガー氏:
 そうかもしれません。「Beyond Earth」では従来の作品よりも,プレイヤーが自動生成されたマップや環境に「適応できるのか」という点に焦点を当てています。たとえば,プレイヤーがロシア文明を選択してプレイするとき,それに合わせて,拡張主義を取る,馬やウラニウムの生産拠点を重視するといったように,あらかじめ頭の中でプレイスタイルを思い描きますよね。しかし,「Beyond Earth」では自動生成されたマップを確認してから,「通常ならこういうプレイスタイルだけど,せっかくこんなにも資源に恵まれているから,これを利用するような進化を目指そう」といった臨機応変な対応が求められるのです。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 進化と言えば,「Beyond Earth」には「Affinity」(アフィニティ)という要素が採用されています。プレイヤーは選んだアフィニティによって,機械化によって発展を目指すのか,遺伝子工学を発展させるべきかといったように異なるテクノロジーを開発していくことになります。それぞれのアフィニティのユニークユニットは,どのようなものになるのでしょうか。

ストレンガー氏:
 簡単に説明するならば,「シヴィライゼーション V」と「StarCraft」の中間でしょうか。「Beyond Earth」では,「StarCraft」のようにプレイヤーの勢力によって,そのユニットのバリエーションやプレイルールがまったく違うものになることはありません。かと言って,特定のユニットだけで勢力を表現するのでもありません。

4Gamer:
 ユニットの見た目も変化していきますね。

ストレンガー氏:
 見た目だけでなく,その戦略性もアップグレードによって変化します。例えば,序盤で生産できるMarineは時代を経て生産不可能になるのではなく,それをベースにプレイヤーがアップグレードを施していくというシステムになっています。こうしたアップグレードにより,ユニットのプレイスタイルが変わるという点が,「Beyond Earth」のアフィニティの特徴です。
 アフィニティがHarmonyであれば,Miasmaというガスでもダメージを受けないように遺伝子工学によって強化されますが,Supremacyならグループで戦ったときに相手に与えるダメージが上がります。このようにアフィニティごとの特徴が追加されていく感覚です。Purityの場合は,最も強力なユニットに進化するものの,ほかのアフィニティでは得られる特性が少なくなっています。

4Gamer:
 なるほど。最後にマルチプレイモードについても教えてください。

ストレンガー氏:
 まったく新しいゲームモードを搭載する予定はなく,従来の「シヴィライゼーション」シリーズを踏襲していると考えてください。しかし,各プレイヤーのロードアウト(カスタマイズ要素)やアフィニティといった手の内が見えにくくなっていることで,より面白くなっていますよ。


プレイするたびに新しい発見があるようなものに

レナ・ブレンク氏(プロデューサー),アーニー・シュミッド氏(アートディレクター)


 続いて,「Beyond Earth」のプロデューサーを務めるレナ・ブレンク(Lena Brenk)氏と,Firaxis Gamesのアート部門を統括するアートディレクターのアーニー・シュミッド(Arne Schmidt)氏に話を聞いた。両氏ともにプロジェクトのリーダー格でありながら,微妙に職種が異なるので同時にインタビューするのは,聞き手にとっては難しいのだが,「ゲーム開発ひと筋」といった経歴ではない部分で共通しており,ここにFiraxis Gamesの企業文化が垣間見られるようだ。

プロデューサーのレナ・ブレンク氏(左)と,Firaxis Gamesのアート部門を統括するアートディレクターのアーニー・シュミッド氏(右)。それぞれ建築学専攻家と元警官という異色の経歴を持つ

4Gamer:
 まず自己紹介をお願いします。ブレンクさんは,女性としてストラテジーゲームに関わっていますが,これは珍しいことではありませんか。

レナ・ブレンク氏(以下,ブレンク氏):
 ええ。もともと「シヴィライゼーション」シリーズのファンだったので,こうしてFiraxis Gamesで働けることを非常に光栄だと思っています。私は故郷のドイツの大学では建築学を勉強していたのですが,イギリスに渡ってから任天堂の品質管理部門で仕事を始めました。その後,2K Gamesに移ってドイツ語のローカライズなどを担当したのですが,そこで「シヴィライゼーション V」に関わり,そのまま2011年にはFiraxis Gamesで拡張パックの制作に関わることになりました。本当に夢が実現したような気持ちですよ。

アーニー・シュミッド氏(以下,シュミッド氏):
 私はゲーム業界に入ってから15年ほどになりますが,Firaxis Gamesに入社したのは2008年です。それまでは,主にソーシャルゲームのアート制作に関わっていました。メリーランド州の出身なんですが,ゲーム業界に入る前は警官でした。

4Gamer:
 Firaxis Gamesには,さまざまなバックグラウンドを持った人が集まっている印象がありますね。「Beyond Earth」の開発チームはどのように構成されているのでしょうか。

シュミッド氏:
 「Brave New World」の開発は2013年末に終わったのですが,このチームは互いに刺激し合い,効率的に開発を進めることができました。そこで,開発チームをあまり崩さずに新しいプロジェクトに取り組みたいと思っていました。そんなときに浮上したのが,当時,私と共に「Haunted Hollow」というモバイルゲームの制作に関わっていたウィル・ミラー(Will Miller)デイヴィッド・マクダナー(David McDonough)の2人が,以前に会議で話題にしていた「Beyond Earth」だったんです。

4Gamer:
 モバイルゲームを中心に活動されていたシュミッドさんが,開発チームの中核を担っているというのは面白いですね。

ブレンク氏:
 ええ。ある意味では,Firaxis Gamesが作り上げてきた「シヴィライゼーション」というビッグタイトルを一度崩していく試みとも言えます。長年,同じスタッフだけで開発を続けると新しい企画が生まれにくくなります。「XCOM: Enemy Unknown」を開発したことでお分かりのように,我々のチームにはSFファンが多いのですが,「シヴィライゼーション」の方程式を残したまま,どこまで新しいことができるのか。これが新しいチームの意義であり,同時にFiraxis Gamesにとっても自然な歩みにも感じたのです。

シュミッド氏:
 「XCOM: Enemy Unknown」で得られた経験や知識を活かせるのは大きかったですね。同作の開発者が参加しているわけではないのですが,多くのインスピレーションを受け,採用されなかったアイデアやアートワークを再び見直し,「Beyond Earth」に活用することもできました。実に自然な流れとして,今回の新プロジェクトが生み出されたのは間違いありません。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 マイヤー氏は以前,「ゲームが始まって15分で内容を理解できなければゲーマーは離れてしまう」といった内容の発言をされています。「Beyond Earth」は未来の世界を舞台にしていることから,アートワークやゲームプレイの面でプレイヤーが取っ付きにくいということはありませんか。

シュミッド氏:
 それは,開発チームが最も注意している部分ですね。アーティストの観点としては,これまでになかったような地球外惑星を描いてみたいという欲望があるでしょう。どんな山岳地帯があるのか,どんな植生になっているのか,どんな資源が眠っているのか,こうした想像はどんどん膨らんでいきます。しかし,あまりにもプレイヤーの想像力を超えたものだと理解されませんから,そのあたりのバランス調整は慎重に進めています。
 「シヴィライゼーション V」では,大陸や環境によって植生に変化を加えるなど多様化していましたが,「Beyond Earth」ではシンプルになっています。これもプレイヤーを混乱させないためですが,ゲームをプレイするたびに新しい発見があるようなものに成熟させていきたいですね。

ブレンク氏:
 従来のファンには「難解な世界観だから簡略化している」とは思わせたくないですね。例えば,これまでのデモプレイやテストでは,コアなプレイヤーは問答無用で最初に近付いてきたエイリアンに攻撃を仕掛けます。おそらく,Barbarianと同じコンセプトのものと考えてしまうからでしょう。もちろんエイリアンを退治することは間違いではありませんが,さらにゲームを続けていくと,必ずしもエイリアンが襲ってこないこと,そして自分が選ぶアフィニティによってはエイリアンを活用できることが分かるはずです。従来のファンだけでなく,SFをテーマにしていることで興味を持った新規プレイヤーのどちらも楽しめる作品を目指しています。

4Gamer:
 今回のデモをプレイしたとき,巨大なエイリアン「Siege Worm」が近くに存在することに気付いたのですが,「いずれ危険になるから倒せ」というクエストで兵士を送り出したところ,戦闘結果の予想が「100%負ける」といったものでした(笑)。これでエイリアンの危険度が理解できたような気がします(笑)。

ブレンク氏:
 それは長期的に取り組んでいかなくてはならないクエストですね。新しい惑星での未知の生命体や自然に対する畏怖心は表現できていると思います。この世界では,プレイヤー自身がよそ者(エイリアン)ですから,新しい環境に適応するべきはプレイヤーであり,そこから学び,適応する必要があるということです。

シュミッド氏:
 エイリアンではなくて,ネイティブ(原生生物)と呼ぶべきかもしれませんね(笑)。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 今回のデモのマップでは,岩場やMiasmaが噴出している場所が多く,何体ものエイリアンが徘徊しているタイルも目立ちました。

シュミッド氏:
 どれくらいの頻度で資源や環境タイルが出現するのかは現在も調整中です。タイルの色彩なども含め,まだ最終的なものは決まっていません。確かにマップにはいろいろなものが配置されているように見えますが,Resource PodやMiasma,知的生命体が残した遺物,巨大生物の化石といったものは,ゲームを進めるにつれて開拓されて消滅します。また,キャニオン(大地の裂け目)は外敵の侵略を防ぐことができますが,飛行ユニットやホバークラフトが開発されると無効化されます。Miasmaに囲まれていたとしても,それがいずれはメリットになることもあるのです。

ブレンク氏:
 地球外惑星を新しい開拓地と定めたプレイヤーにとって,その環境は生易しいものではないということが表現できたと思います。獰猛なエイリアンの巣が近くにあったり,Miasmaで行く手を遮られていたりと,オブジェクトを多めに配置することでプレイヤーの行動を意図的に制限しているのです。

4Gamer:
 なるほど。それでは,「Beyond Earth」の開発で最も楽しいと感じることを教えてください。

シュミッド氏:
 私にとっては,「シヴィライゼーション」というFiraxis Gamesを代表するタイトルでありながら,史実に縛られることなく自分達の創造性をフルに活かせることに大きな喜びを感じています。

ブレンク氏:
 「シヴィライゼーション V」までは,いちファンとしてゲームに接してきたので,まったく新しいプロジェクトに携われる喜びを噛みしめています。皆さんには,良い作品になることを期待していただきたいですね。


これまでのシリーズにはなかった毎回異なるゲーム体験

ウィル・ミラー氏,デイヴィッド・マクダナー氏(共同リードデザイナー)


 「Beyond Earth」では,決定権のある重要なポジションを2人で分担するという非常に珍しい体制となっている。その共同リードデザイナーを務めているのが,ウィル・ミラー(Will Miller)氏デイヴィッド・マクダナー(David McDonough)氏である。両氏は大学時代から行動を共にしてきたという,まさに運命共同体とも言える仲の良い「チーム」なのだ。
 ちなみに,ミラー氏はE3 2014でインタビューに対応してもらっている(当時,マクダナー氏は奥さんが急に産気づいたため,自宅に戻っていた)。そこで,今回は2人が共同リードデザイナーになるまでの歩みを中心に話を聞いた。

学生時代に出会って以来,就職も再就職も,さらには再々就職さえも同じ会社だったという共同リードデザイナーのウィル・ミラー(左)氏とデイヴィッド・マクダナー氏(右)。その友情と高いモチベーションが,Firaxis Gamesの看板タイトルをリードしている

4Gamer:
 まずは,第一子が誕生されたとのことで,おめでとうございます。

デイヴィッド・マクダナー氏(以下,マクダナー氏):
 ありがとうございます。結局,ロサンゼルスから自宅に引き返したものの出産には間に合わなくて,飛行機で生後1時間の息子とビデオチャットすることになりました(笑)。

4Gamer:
 なんと(笑)。2人は大学時代からずっと行動を共にしているという話ですが,そのあたりを詳しくお聞きしてもいいですか。

ウィル・ミラー氏(以下,ミラー氏):
 ええ。我々の出会いは,ジョージア州の芸術大学に通っていた2000年までさかのぼります。当時,私は学士課程に在籍し,デイヴィッドは院生で,「Wizardry」のデザインで知られるブレンダ・ロメロ(Brenda Romero)氏の講義中にデイヴィッドを見かけました。なんとなく気難しそうで,年長ということもあって近寄りがたかったのですが,彼のプレゼンテーションに驚かされました。とてもレベルが高かったんです。

4Gamer:
 マクダナーさんにとって,ミラーさんの学生時代の印象はどうでしたか。

マクダナー氏:
 妙にイヤな感じの小僧でしたね(笑)。学士課程の生徒達は皆,自分のプロジェクトの世界観がどうだ,アートがどうだといった話をしていたのに,ウィルは1人でゲームエンジンを作ろうとしていたんです。その熱意が伝わったので,手を貸そうと思いました。

4Gamer:
 その作品はコンペなどに応募したんですか。

ミラー氏:
 いいえ。完成に至らず,人に見せられるようなものにはならなかったんです(笑)。それでも卒業することはできて,私はFiraxis Gamesにプログラマーとして入社しました。それから,デイヴィッドが私を訪ねてきたときにFiraxis Gamesのオフィスを気に入り,その日の夜に私のアパートで書いた履歴書を提出したんです。まだ在学中でしたが,その頃から「Alpha Centauriの続編を作りたい」といった話をしていましたよ。

4Gamer:
 おお,友情が感じられるエピソードですね。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

ミラー氏:
 ただ,その後にBig Huge Gamesでゲームデザイナーのポジションが空いていたため,その誘惑に勝てずに2人で転職しました。そのときに手掛けていたのが「Kingdoms of Amalur: Reckoning」です。最終的に親会社だった38 Studiosが倒産してしまったわけですが,あのプロジェクトのゲームデザインに関われたことには満足しています。

4Gamer:
 それは2012年初頭のことですね。そこからFiraxis Gamesに戻ったのですか。

マクダナー氏:
 当然,出戻りということで気まずさはありましたが,Firaxis Gamesは「プログラマーとデザイナーを兼任できる人材」を求めているという独特な社風があって,Big Huge Gamesでゲームデザインを経験したことがプラスに働いたんです。モバイルゲーム部門では「Haunted Hollow」の開発を手がけ,それが終わるや否や共同リードデザイナーとして「Beyond Earth」のチームに編入されたというわけです。伝統ある「シヴィライゼーション」シリーズのリードデザイナーとして名を連ねることに感動していますよ。突然,夢の扉が目の前で開いたようなものです。

4Gamer:
 それでは,「Beyond Earth」のプロジェクトは「Haunted Hollow」の開発が終了した2013年12月頃からスタートしたのですか。

マクダナー氏:
 スタジオのポリシーとして,どのようにプロジェクトが進行しているのかは詳しく話せませんが,我々が社内会議で「Beyond Earth」のプロジェクトをプッシュしてきたのは事実です。「Haunted Hollow」の開発が一段落したときに,スタジオのディレクターから「来週の会議で新しい企画の草案を出したいからまとめてくれる?」と言われ,我々にチャンスが与えられたと思いました。

ミラー氏:
 Firaxis Gamesには,Microprose時代からシドと共にゲーム開発を行っているベテラン中のベテランが何人も在籍しています。それなのに我々のような若手にリードデザイナーを任せてくれたのです。SFがテーマになっていることで,これまで彼らが培ってきたものをまったく新しい角度から破壊できる――このことが今回の人選に影響したのかもしれませんね。

4Gamer:
 しかし,これまでに蓄積されたノウハウが使えないため,その制作には大きなエネルギーが必要だったのでは?

ミラー氏:
 ええ。毎日のように2人で顔を突き合わせながら,さまざまな要素を練ってきました。「Alpha Centauri」は2300年頃からゲームがスタートするのに対して,「Beyond Earth」は2600年頃に設定しました。序盤に登場するユニットや居住施設などは,いかにもSF映画に出てきそうな現在の知識でも十分に理解できるものですが,徐々に「ハメを外していく」ことになります。

マクダナー氏:
 ゲームの終盤に登場するミュータントのような兵士や,生きた居住施設などから「人類の未来はこんな感じなのか」と感じてほしいですね。それまでに辿ってきたゲーム内の選択や道のりが,プレイヤーそれぞれのストーリーになることを期待しています。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 新要素の「テクノロジーウェブ」は,従来の「シヴィライゼーション」シリーズの常識では生まれなかったかもしれませんね。

マクダナー氏:
 でも,その発想自体は,すんなりと出てきたんですよ。

ミラー氏:
 そうそう,かなり初期の段階でアイデアが生まれました。未来に想定されるテクノロジーをリストアップし,それらを「これとこれが組み合わさると,このテクノロジーになる」といった要領で,従来のテクノロジーツリーのようなものを作成したのですが,自然にウェブ状の形状になっていったんです。

4Gamer:
 1回のゲームプレイでは,すべてのテクノロジーをアンロックできず,先のことを見据えて研究開発するというのも,プレイヤーに未来への選択肢を与える良いアイデアですね。

ミラー氏:
 おそらくゲームを10回ほどクリアすると,ようやくテクノロジーやそれぞれの効果の全体像が見えてくるでしょう。最初の50ターンでは,テクノロジーウェブになったことの影響は分からないかもしれません。それが中盤以降,1つ1つの選択が大きな違いをもたらすようになります。これは敵の勢力にも同じことが言えますので,これまでのシリーズにはなかったような毎回異なるゲーム体験を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 それでは,最後にお聞きします。もし27世紀の惑星探査団のリーダーになったとして,自分の文明の未来を選ぶなら,どのアフィニティを選びますか。

マクダナー氏:
 面白い質問ですね。私ならPurityを選ぶかな。哲学的な一徹さが興味深いと思います。「地球人としての自分を守るのか,そうでなければ潔く消滅しよう」という思想は,狂信的な面もありますが,人類とは何かを考えさせられます。

ミラー氏:
 それなら,私はSupremacyです。惑星を自らの力でもって制圧し,やがて地球に戻って,故郷を支配下に置いてしまう。SF的な観点では,最もワクワクする未来像ですね。


あれを超えるものは,もう作れないと思っていた

デニス・シャーク氏(シニアプロデューサー)


 さて,最後のインタビュー相手は,「シヴィライゼーション」シリーズのシニアプロデューサーを務めるデニス・シャーク(Dennis Shirk)氏だ。「Sid Meier’s Civilization IV」以降,10年間にわたってシリーズ作品のプロデュースに携わってきた。実際にはゲーム開発そのものに触れないのが管理職であるが,氏の情熱は現場のスタッフにも引けを取らないようで,開発技術からBGMに至るまでCivファンにとって興味深い話を聞くことができた。

4Gamer:
 長年「シヴィライゼーション」シリーズに関わってきたシャークさんなら,ご存じかと思いますが,世界中のファンから「Alpha Centauri」の続編を望む声が寄せられていたのではないですか。

シニアプロデューサーとして,「シヴィライゼーション」シリーズの実質的な後見役となっているデニス・シャーク氏。シリーズ作品全般について聞くなら,この人が最も適任なのかも
デニス・シャーク氏(以下,シャーク氏):
 そのとおりです。そして,社内で何度も計画が立ち上がっては消えていきました。しかし,今回は複数のプロジェクトが同時期に終了し,さらにウィルとデイヴィッドというやる気のある若手も出てきたことで,「精神的な後継作品」として新作プロジェクトが動き出したのです。

4Gamer:
 開発チームの規模を教えてください。

シャーク氏:
 時期によって流動的に変わることもあり,正確な数字は把握できませんが,35〜45人規模のチームですね。「Brave New World」のほぼすべてのメンバーに加えて,「Haunted Hollow」のコアチーム,そしてシヴィライゼーションの技術開発部門のメンバーが参加しています。「Beyond Earth」はレンダリングエンジンも作り直していることから,当初想定していたよりも大きなスケールのプロジェクトになりました。また,「シヴィライゼーション V」もヒットしていたことで,2K Gamesの手厚いサポートも受けています。

4Gamer:
 レンダリングエンジンを作り直すということは,DirectX 11にネイティブ対応するということですか。

シャーク氏:
 ええ。AMDの「Mantle」にも対応しています。先週もAMDから技術者を派遣してもらって,ゲームグラフィックスを大きく向上させることができました。今回のスタジオツアーで用意したデモでは,まだすべての要素が反映されているわけではありません。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 Mantle対応により,大きく変わるのはどの部分ですか。

シャーク氏:
 やはりパフォーマンスですね。同じRadeonグラフィックスカードを使ったとしても,Mantle対応になったことで80%程度のパフォーマンス向上が見られます。より多くのオブジェクトやグラフィックス効果をマップ上で表現できるようになりました。

4Gamer:
 なるほど。それでは,「Beyond Earth」のプレイアブル勢力は8つなのでしょうか。

シャーク氏:
 そうです。少ないと思われるかもしれませんが,「Beyond Earth」では勢力を選択した後のカスタマイズが大きな意味を持っています。

4Gamer:
 8つの勢力に絞る作業というのも,相当困難だったのではありませんか。

シャーク氏:
 ええ。「Brave New World」では,シリーズで初めてポーランドがプレイアブルな文明としてフィーチャーされましたが,同国では大きな話題となりました。専用パッケージもリリースされたほどです。そんな状況を目の当たりにすれば,やはり「未来にどの国が残っているのか」というのは,世界中のプレイヤーにとって気になるところでしょう。そこで我々のアプローチとしては,「どのようなストーリーで国家が連携したのか,新政府が誕生したのか」という観点で300年後の世界を作り出しています。

4Gamer:
 アメリカが企業政府になっていたり,アフリカや東アジアに共同体が存在していたりするのは,大惨事が起きた後のグローバリズムな流れとしては分かりやすいのですが,プレイアブル勢力の中では「Franco-Iberia」(フランス/イベリア)と「Brasilia」(ブラジリア)の2つが目立ちますね。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

シャーク氏:
 Brasiliaに関しては,私が話したこととは少し矛盾しますが,人口超過と南アフリカ唯一の経済大国という条件から,軍事政権が頭角を現したというユニークな設定を採用しました。こうした勢力にまつわるストーリーは,いずれ詳しく発表することもあるでしょう。もちろん,シヴロペディア(ゲーム内で読める百科事典)で解説文を読むこともできます。プレイヤーの間では現実的かどうかで議論になるかもしれませんが,我々としては納得できるセレクションになったと思っています。

4Gamer:
 「Beyond Earth」の話ではないのですが,Civプレイヤーとして気になることがあります。それは,「Gods & Kings」で宗教の要素が導入されましたが,登場する宗教の中でユダヤ教だけは,それを国教とする文明がなかったことです。これはなぜだったのでしょうか。

シャーク氏:
 文明を選択するときのミーティングでは,ソロモンやダビデを首長とする王国のアイデアはありました。ローカライズ担当者の意見を聞いたうえで,幹部の投票によって決定しているのですが,イスラエル王国がシリーズに登場することはありませんでした。それよりさらに突っ込んだものとしては,ネイティブアメリカンのプエブロ族を採用するという案もありましたが,最後の最後になって,リーダーの表現が適切でないという理由から不採用になった経緯があります。
 文明の描写や選択は,各国の歴史的な対立や背景なども考慮し,非常に気を使う部分ですね。その点,「Beyond Earth」はフィクショナルなテーマを扱っているだけに,我々に与えられた自由度は大きいと言えます。

Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth

4Gamer:
 「Civilization IV」のオープニングテーマがグラミー賞を受賞したこともあるように,「シヴィライゼーション」シリーズのBGMはクオリティが高いことで知られています。「Beyond Earth」でも期待していいですか。

シャーク氏:
 「Civilization IV」では,私がBGMの担当をしていたのですが,あれを超えるものはもう我々も作れないと思っていました。しかし,数週間前にプラハの交響楽団による「Beyond Earth」のサンプル収録が終わり,実際に耳にしたときには非常に感動しました。すばらしい楽曲を提供できるはずですよ。
 「Beyond Earth」が従来のシリーズ作品と大きく異なる点は,各勢力にBGMを割り当てるのではなく,マップの環境に合わせたBGMを制作していることです。このあたりはプレイヤーの皆さんにも,注意深く聞いてほしいところですね。本当に感動すると思いますよ。

4Gamer:
 もちろん,すべてを楽しみに待っていますよ。

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「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」公式サイト

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