北米時間2016年5月6日,NVIDIAは新世代GPU「
GeForce GTX 1080」を発表した。16nm FinFET技術を採用して製造され,72億トランジスタを集積する新GPUは,Pascal世代となる2560基のCUDA Coreを搭載する製品だ。
「新たな王者」(New King)とGeForce GTX 1080を位置づけたNVIDIAの総帥,
Jen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏によると,2GHz以上で動作するその単精度浮動小数点演算性能は9 TFLOPS。
性能は「GeForce GTX TITAN X」の2倍,消費電力あたりの性能では3倍に達し,「GeForce GTX 980」の2-way SLI構成よりも高速という。
Maxwell世代のGPUを圧倒するGeForce GTX 1080。Huang氏は1080を「Ten Eighty」と呼んでいた。スライドを見る限り,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力は180W前後か
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GeForce GTX 980の2-way SLIより速い
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組み合わせられるグラフィックスメモリはMicron Technologyの「
G5X」で,メモリクロックは10GHz相当に達するとのことだ。容量は8GBを確保している。
リファレンスデザインにおける外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4
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3,HDMI 2.0B
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1,Dual-Link DVI-D
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1。DisplayPort 1.4出力時は4K解像度の垂直リフレッシュレート120Hz出力に対応する。
GeForce GTX 1080の概要。GPUクーラーが空冷仕様であることをHuang氏は強調していた
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こちらはEpic Games製となる新作MOBA「Paragon」のデモを実行したときのGPU状況(※画像は@NVIDIAGeForceより)。GPUのコアクロックはブーストで2114MHz,メモリクロックは5508MHz相当,GPU温度は67℃となっていた
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搭載カードは
北米時間5月27日発売予定で,北米市場におけるメーカー想定売価は
599ドル(税別,約6万4150円)。ただし今回NVIDIAは,Huang氏が「
NVIDIA Designed Founders Edition」と呼ぶ特別版を,
699ドル(税別,約7万4860円)でも用意している。
GeForce GTX 1080は599ドルから。Founders Editionの詳細は明らかになっていないのだが,上のParagonデモにおけるメモリクロックが仕様より高いので,ひょっとするとデモで使われたのがFounders Editionという可能性はある
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またNVIDIAは,単精度浮動小数点演算性能が6.5 TFLOPSで,組み合わせられるグラフィックスメモリが従来型のGDDR5となる下位モデル「
GeForce GTX 1070」も,
北米時間6月10日に発売予定だ。北米市場におけるメーカー想定売価は
379ドル(税別,約4万590円)で,こちらにも
449ドル(税別,約4万8080円)の特別版がある。
GeForce GTX 1070の製品概要
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Huang氏はまた,GeForce GTX 1080の持つ機能として,「
Simultaneous Multi-Projection」(サイマルテイニアス・マルチプロジェクション)を披露した。これは,マルチディスプレイ構成時に,VR(Virtual Reality,仮想現実)対応ヘッドマウントディスプレイのような,自然な広がり感をもたらすものとなる。
Simultaneous Multi-Projectionの効果を示す例。これは見てもらったほうが早いだろう。通常のマルチディスプレイ表示(左)だと,手前のテーブルが横へ引き伸ばした感じなのに対して,Simultaneous Multi-Projectionによる表示では,正しい形状で描画されている
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