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日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
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印刷2013/08/07 14:55

インタビュー

日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について

 わざわざここで書くまでもなく誰もが知っていることだが,フィーチャーフォン(ガラケー)からスマートフォンへとマーケットが移行するにあたり,ゲームの「プラットフォーム」の舞台も,既存の2大巨頭独占ではなくAppleとGoogle(App StoreとGoogle Play)へと移行しつつある。

画像(014)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について 画像(015)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について

 業界人に限らず誰でも知っていることだが,少し前までの,絶好調だった2大巨頭の人材囲い込みバトルは激化の極みに至り,そのこと自体が業界の足かせになっていたことは否定できない。
 その激動期を終え,プラットフォームの主戦場も移り始めてはいるが,それら巨頭はまだ十分強力なプラットフォームであり,ブラウザゲームの人気が衰えてるわけでもなく,そのパワーが大きく減衰したわけではないのもまた,皆さんが知るとおりだ。とはいえ,若干なりともパワーバランスが崩れたことは,業界全体のマクロな視点から見れば,新しい方向へと踏み出すための第一歩だと言っても過言ではないだろう。

 しかし,バランスが変わったと喜んでばかりもいられない。一方でそれは,武器も防具も持たない状態で「より過酷な過当競争」へさらされることと同義なのである。クオリティアップのためのヘルプや,コミュニケーション機能の提供,プロモーションまで,なんでもやってくれるプラットフォームの庇護から外れた状態での敵は,既存のプラットフォームの中での競合タイトルだけではなく,数千とも数万とも言われるApp Store/Google Playのゲーム達なのである。
 ちょっとやそっと凝ったものを作ったくらいではApp Storeへのランクインも果たせず,人を呼び込むこともなく,いろいろなアイデアが練り込まれた良い作品が,知られないままに消えていくことも数多い。

 パワーバランス崩壊の足音を聞くやいなや,国内で数字を上積みしていくのは厳しいとばかりに,グリーディー・エヌ・エーが海外展開へと挑戦したが,当初の目論みは外れ,GREEは多くの海外スタジオを閉じてその規模を大きく縮小し,DeNAも順風満帆でないことは,誰もが知るところだろう。
 あれほどの規模のプラットフォーマーでさえ厳しいのであれば,では野良アプリの形での海外展開はもっと厳しい……のかというと,むろんそんなことはない。独自に海外展開を果たし,一定の(場合によっては十分な)成果を挙げている作品も数多い。最近だと「拡散性ミリオンアーサー」iOS / Android)は韓国マーケットで「超」が付くほどの成功を見せているし,独立系としては大きなデベロッパであるエイチームなどは,イチ早く海外への足がかりを作り,社内にも外国人を雇用し,着々と歩みを進めている。リリースや発表会などで表立って言わないだけで,海外展開を独自に進めて手法を模索しているデベロッパも数多い。

PS Vita版の配信も記憶に新しい「拡散性ミリオンアーサー」
画像(012)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について

 4Gamer読者に対してわざわざ言うことではないが,コンソールゲームやPCゲームと違い,誰もが非常に簡単に海外でパブリッシュ出来るのが,昨今のスマホゲームマーケットの最大の特徴だ。複雑怪奇な契約は要らないし,信頼できる代理店を血まなこになって探す必要もない。iTunes Connectで登録するときに,「Select All」(=対象となっているすべての国)を選択するだけだ。
 「そんなことは分かってる」と言われることは重々承知しているが,それでもなお,そんなに多くのデベロッパが本腰を入れてそれに挑戦しているわけではない。本腰を入れない状態で,なんとなくオマケ的に英語のメタデータを入力して「United States」を選択してパブリッシュしてはみるものの,結果が出ないので「やっぱ海外はダメだなぁ」と思ってはいないだろうか。

 「とにかく次々に新しいカードを出して,絵柄で釣ってひたすらガチャを回させればなんとかなった」時代が続いたスマホゲームマーケットにも,確実に変化が訪れつつある。スマートフォンが家庭用ゲーム機と同規模の(または「それ以上の」)ゲームプラットフォームになる(または「なっている」)ことは恐らく誰もが疑いようもなく,そのプラットフォームの中でこれからを生き残っていくには,ゲームのクオリティはもちろんのこと,海外展開が重要なファクターとなってくることは,容易に想像できる。
 では,自前でいろいろと用意できるほどの規模ではない会社が海外展開をするにあたっては,一体何を重要視してアクションを起こせばよいのだろうか。

画像(013)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
 そんなさなか,JETROでの講演のために,アメリカからPocket GemsJameel Khalfan氏Audrey Nakao氏が来日したという情報をキャッチした(Nakao氏はモバイルゲーミングに関する独立コンサルタントだが,今回はPocket Gemsのコンサルタントとして行動を共にしているとのこと)。Pocket Gemsは,日本ではいま一つ名の知られていないパブリッシャだが,北米では5本の指に入るスマホゲームのパブリッシャであり,先頃GMOゲームセンターと提携し,「幻想のミネルバナイツ」iOS / Android)を北米パブリッシュするリリースを発信している。

画像(034)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について

 せっかくのチャンスなので,アプリの海外展開について色々聞いてみようと思って取材のオファーを投げ,講演と会議の合間のほんの短い時間ではあるが,インタビューを受けてもらえることになった。
 業界の猛者達にとってはごく当たり前の情報かもしれないが,これから海外で展開しようと思っている新興デベロッパの方々の,なんらかのヒントになれれば幸いだ。

「Pocket Gems」公式サイト


画像(042)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Pocket Gems, Publishing&Business Development:Jameel Khalfan氏
画像(037)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Pocket Gems, Consultant:Audrey Nakao氏

4Gamer:
 とてもお忙しい中,お時間をいただきありがとうございます。来日したばかりだし,GMOとミーティングで忙しいのでは?(笑)

Jameel Khalfan氏(以下,Khalfan氏):
 そうですね。一日会議の日もありますよ(笑)。

4Gamer:
 いつも日本側の視点での情報が多いので,短い時間ではありますが,今日は違う視点でいろいろ聞かせてください。
 まず最初に,正直なところ,Pocket Gemsという会社は日本でそこまでメジャーではないと思うので,どんな会社なのか教えていただけますか。

Khalfan氏:
 確かに日本ではまだまだ無名かもしれませんね。これからがんばらないと。
 もしかしたら先日のGMOとの協業のリリースで名前を知った人もいるかもしれませんが,Pocket Gemsは,Free to Play(F2P)のゲームに注目している会社です。2009年にサンフランシスコで立ち上げられました。
 2011年には,App Storeで年間売り上げトップに躍り出て,社員は現在150人ほどで,今も成長しています。

4Gamer:
 そんなに成長著しい会社が,日本のソーシャルゲームをパブリッシングしようと思った理由はなんでしょうか。

Khalfan氏:
 日本では,スマートフォンが流行する前に……ええと,なんていうんでしたっけ。フィーチャーフォン……ガラ……。

4Gamer:
 ガラケー?

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Khalfan氏:
 そうです。ガラケー!
 スマートフォンが流行する前に,そのガラケーが主流でしたよね。その状態で,GREEとかMobageとか,フィーチャーフォン内でのゲームプラットフォームがあったために,ゲームプラットフォームからゲームをダウンロードして楽しむという文化が,すでに日本にはありました
 日本の方はそれを「当たり前」だと思っているかもしれませんが,アメリカではそうではないんです。AppleがApp Storeを展開して,サードパーティのデベロッパーがApp Storeを通して,自分のゲームをパブリッシングできるようになってから,アメリカのスマートフォンユーザーも,ゲームをダウンロードして楽しむようになりました。

4Gamer:
 なるほど。

Khalfan氏:
 つまり,単純に日本は,フィーチャーフォンの時代からモバイルゲームに皆が親しんでいて,それを開発するノウハウやスキルもあるんです。またお国柄なのか,とくにミドルコア/ハードコアのRPGに強いと思っています。

4Gamer:
 確かに私もそうですが,カジュアルであれコアであれ,RPGはみんな好きですね。

Khalfan氏:
 でしょう? 時代は変わって,ガラケーからスマホになり,ウェブアプリからネイティブアプリに代わっていっているのは皆さんご承知のとおりですが,フィーチャーフォン時代からアプリを開発していて,昔から積み重ねてきたノウハウを持っているため,日本の開発者は,アメリカの開発者よりも遥かに経験があるんです。
 そんな人達とパートナーシップを結びたい,というのがシンプルかつ明確な理由です。

4Gamer:
 では今回の来日の主目的も,GMOとの協業に限らず,そういう部分を探る感じで?

Khalfan氏:
 そうです。
 アメリカやヨーロッパに向けて自社作品を展開したい人達に向けて,どのようなサポートができるのかということがもっと知りたいと思っています。

4Gamer:
 しかしアメリカマーケットにおいて,日本のカード系ソーシャルゲームが人気だとは。噂には聞いていましたし頭では理解していたつもりでしたが,実際に現地の人に聞くと,なんだかちょっと不思議な感じがします。

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Audrey Nakao氏(以下,Nakao氏):
 日本のカードゲームは本当に人気がありますよ。北米マーケットにおいてランクインしている作品も少なくありません。やりこみ要素もあって,なにより細かいところまでよく作り込まれています。日本人が作るモバイルゲームは「さすが」としか言いようがありません。

4Gamer:
 今回は「幻想のミネルバナイツ」をローンチするとのことですが,数あるカードゲームの中からこの作品が選ばれた理由はなんでしょうか。

Khalfan氏:
 もちろんゲーム自体の出来にも惹かれましたが,むしろ我々はそれ以上に,どういう会社と組むのかということを重要視しています。どういうチーム構成で,どういう人達がいて,関係が長続きできるのか……。

4Gamer:
 GMOはその条件を満たした,と?

Khalfan氏:
 ええ。だからストラテジーパートナーシップを結んだのです。
 我々がリレーションシップを築くまでには何か月もかかるんですが,確かにその時間をかけて,双方が納得した上でしかパートナーシップを組まない,というのは非生産的にも見えますよね。しかしエンジニアリングチームやプロダクトチームがどういう構成なのか,ちゃんと一緒に働ける会社なのか,ということは,パートナーシップを結ぶにおいては一番大事だと思っているんです。

4Gamer:
 しかしそれだけ念入りに前段階があるということは,Pocket GemsがiOS版だけリリースするのにも,きっと何か理由があるんですよね。

Khalfan氏:
 よくぞ聞いてくれました。それは,GMOがAndroidのエキスパートだからです。

4Gamer:
 なるほど。役割分担をした格好ですね。


Pocket Gemsと組むメリットは,マーケティングが何より重要だから


4Gamer:
 しかし,App StoreやGoogle Playを使えば,誰でも世界に向けてパブリッシングできるわけですよね。実際に,日本のデベロッパでそうやっている会社はいくつもあります。日本のデベロッパは,わざわざ御社と組むメリットを,どこに見いだせばよいでしょうか。やはりマーケティングですか?

Khalfan氏:
 そうですね,まずそこは重要です。
 アメリカでのマーケティングのノウハウがあれば,独自でのパブリッシングでも確かになんの問題もないと思います。ただ,我々が4年以上かけて構築したインフラや,マーケティングのノウハウがあります。そこはメリットと考えていただいてよいんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 アメリカでのマーケティングはまったく違うものだと聞いたことがあります。

Nakao氏:
 日本での主なマーケティングは,電車内での広告やテレビのコマーシャルがポピュラーですが,アメリカでは,テレビや電車,雑誌などでのコマーシャルは,ほとんど効果はありません。モバイルでの宣伝や,モバイルアドネットワークのエコシステムのノウハウ,加えてそれらに対する理解がない限り,人気のゲームにすることはまず難しいでしょう。

4Gamer:
 広告はほとんど全部モバイルで?

画像(024)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Khalfan氏:
 全部モバイルですね。モバイル広告のみです。Pocket Gemsも,150以上のアドネットワークの評価をしており,そのうち50個ほどの一番良いネットワークをセレクトして,ゲームの広告を打ち出すようにしています。

Nakao氏:
 また,分析システムに特化した社員も20〜30人ほどいます。毎日毎日CPI(Cost Per Install)についての分析をしており,今日はいくらまで叩けるのかを調整しながら,モバイルアドを買っています。

4Gamer:
 なるほど。

Khalfan氏:
 そんなわけで,独力ですべてをやろうとするより,我々のようなエキスパートとパートナーシップを組むと,ゲームを人気ランキング入りさせられる可能性は高いと思いますよ。

4Gamer:
 現地の通信キャリアと組んで,端末自体にプリインストールしたりということは可能ですか?

Nakao氏:
 確かにApp Storeが公開される前は,キャリアとの直接的な関係性がすごく大事でしたよね。しかし,App StoreやGoogle Playが公開された後は,大きく変わりました。それによりデベロッパーは,AppleやGoogleといったパワフルな会社との直接的な関係性を持つということを重要視するようになりました。
 おっしゃるとおり,Java/Brewが全盛期だった時代は,プリインストールというのは重要でしたが,今は大きく変わりました。

4Gamer:
 なるほど。海外の端末を買うと,割とプリインストールアプリがたくさん入っていることがあるので,今でもそれなりの効果があるのかなと思ってました。

Nakao氏:
 例えば端末ベンダーと直接的な関係性を持っている場合は,プリインストールされる可能性もありますが,やはり昨今は,App StoreやGoogle Play,Amazonなどの,プラットフォームとの関係性を築くことがモバイルでは重要だと思います。


重要なことは「ローカライズ」ではなくて「カルチャライズ」


4Gamer:
 ゲームなどのコンテンツをパブリッシュするときは,国ごとに注意すべきポイントってありますよね。例えば,日本ではOKだけど,アメリカではNGということだったりとか。Pocket Gemsと組むと,そういう部分もすべてチェックしてもらえるんでしょうか。

Khalfan氏:
 とても良い質問です(笑)。
 我々の仕事はマーケティングがメインではあるのですが,それだけでなく,ゲームをどのようにしたらアメリカで人気が出るのかというのを一緒に考えることも重要な役割です。

4Gamer:
 例えばどんな部分ですか?

Khalfan氏:
 テキストの翻訳だけではなく,アートスタイルやサウンドなどといった部分も“翻訳”し,どうしたら人気作になれるのかということを,マーケティングの方面だけでなく,ゲームの開発部分からフィードバックします。

4Gamer:
 なるほど。「ローカライズ」ではなくて「カルチャライズ」ですね。何かここでパッと思いつく例はありますか。

画像(041)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Nakao氏:
 うーん……チュートリアルですかね。日本のチュートリアルはすごく長くて,5分,いやもしかしたらもっとかかるくらいのチュートリアルもありますよね。

4Gamer:
 ええ。個人的には,ちょっとうんざりします……。

Nakao氏:
 アメリカは,早くゲームを始めたい人が多いんです(笑)。しかしもちろん,チュートリアルは非常に重要です。入れなきゃいけないんですが,とにかく短くまとめるわけです。

4Gamer:
 なるほど。とにかくすぐ「本編」を触らせろ,と。確かにそういうことはよく聞かれますが,実際のところ,どれくらいの長さなら許容される,みたいなラインはあるんでしょうか。

Nakao氏:
 1分ほどですね。

4Gamer:
 短い!

Nakao氏:
 あとは,サウンドも結構大事なポイントです。
 例えば,最近お話しした日本の開発者によると,ゲームの売り上げを上げるには,声優さんを入れる必要があるとか。しかし,アメリカではそういうのはまったくもって重要ではありません。でも,もちろんサウンドは重要です。

4Gamer:
 効果音,という意味ですか?

Nakao氏:
 ええ。それも,ローカライゼイション……というよりカルチャライゼーションの一部ですよね。サウンドもグラフィックスもチュートリアルも全部そうです。

4Gamer:
 そういう部分のすべてにおいて,Pocket Gemsはフィードバックをしてくれるわけですね。

Nakao氏:
 そのとおりです。

4Gamer:
 ところで欧米マーケットにおいて,日本の「ガチャ」というビジネスモデルは,どのように捉えられてるんでしょうか。
 法律的な懸念点があるのかどうかも気になりますが,ユーザーが抵抗なく受け入れてくれるものなのか,それとも実はすでに普及しているのかどうか。そのあたりは日本のデベロッパにとってはとても重要な情報だと思うので,聞かせてください。

Nakao氏:
 ガチャのシステムは,ここ最近の欧米においては溶け込んだものになっています。形としては,ミステリーボックスみたいなやつだったり,スクラッチ式の宝くじだったり,そういった感じです。期日制限のあるイベントだったりスペシャルなイベントだったり,そういうものに関連付けられて販売される場合が多いですね。

4Gamer:
 あぁ,ではビジネスモデルについてはさして心配は要らないということですね。

Nakao氏:
 ええ,そういうことです。


スマホゲームのローンチは,どこをとってもeasy。「とりあえずやってみる」ことが重要


4Gamer:
 しかし昨今のスマートフォンゲームマーケットは,どういう部分に注力してアクションを起こすのがいいんでしょうか。
 昔は,日本のゲームを海外に持っていっても,マリオとかファイナルファンタジーとか,よっぽど特殊な例をのぞいては市民権を得るまでには至りませんでしたし,その逆に,海外のゲームを日本に持ってきても,よっぽどのものじゃないと根付かなかったものです。
 しかしスマホの時代になって,そういう前時代的な固定概念はすっかり崩れましたよね。それが逆に,どうすれば海外マーケットで生き残れるのかの指標が分かりづらい要因にもなってると思うんですよ。

画像(025)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Khalfan氏:
 例えばデベロッパにしてみれば,App StoreやGoogle Playを通してのワールドワイドでのゲームのローンチっていうのは,非常に簡単ですよね。昔のコンソールゲーム時代にはとうてい考えられなかったようなことが普通にできます。例えばiTunesに登録するときに「ワールドワイド」をクリックするだけです。

4Gamer:
 そうですね。

Khalfan氏:
 つまりそれは,何を成すのもeasyだということです。
 パフォーマンスを見ながら,何がいいのか,何が悪いのかを,すぐにトラックできますよね。良い物を高めて最善にして,ダメだった部分はリムーブ。バイナリファイルのアップデートをするのは,1〜2週間で行えることです。
 そこがかつてと大きく違うところで,つまり,「とりあえずやってみる」のが重要だと思うのです。

4Gamer:
 なるほど。その「やってみる」部分においてPocket Gemsが大きくHelpしてくれるのは理解しましたが,一方で,デベロッパに投資をして大きく育てるというinvestment方面からの動きというものは考えていないんですか?

Khalfan氏:
 それもとても興味深い質問ですね。
 我々としては,まず量より質を求めたいと思っています。多くのデベロッパをパブリッシングするのではなく,少ない数のデベロッパをパブリッシングしたい。それは,良好なパートナーシップを築きたいという思いから来るものです。
 極端な話,1000個の作品のパブリッシングも出来ますが,それでは時間や人手に無理が出ますし,一つ一つは手抜きになってしまうと思うんですよね。やはり,セレクトした数少ないパートナーのゲームをパブリッシュしていきたいので,我々としては現時点では「パートナーシップに投資したい」というのが答えです。

4Gamer:
 では投資絡みはとくに考えていない,と。

Khalfan氏:
 いやいや,待ってください(笑)。
 現在は,マーケティング方面の投資にフォーカスしていますが,もし,一緒に働きたいというゲーム会社が現れて,彼らが投資してほしいということであれば,もちろん検討しますよ!

4Gamer:
 ありがとうございます(笑)。
 しかしお話を聞いていると,Pocket Gemsがターゲットにしているのは中小のデベロッパである印象を受けるんですが,大手のデベロッパが御社と協業するという可能性もありますか?

Khalfan氏:
 Pocket Gemsは,会社の規模を気にしているわけではありません。我々のチームは,ゲームのクオリティと,一緒に仕事をすることになる相手方のチームを重視します。インディーズのデベロッパであれ,起業したばかりの会社であれ,大会社であれ,規模にかかわらずディスカッションするのは大歓迎ですよ。


どういう会社と働くのか,どういう作品に関わるのか。それが一番重要。契約フォーマットはその都度変わる


4Gamer:
 ではその将来の話はいったん置いておくとして,例えば今回のGMOとの話のような,提携をPocket Gemsとして,日本のデベロッパがPocket Gemsにパブリッシングをしてもらった場合,条件はどういう感じになるんでしょう。

画像(022)日本のスマホゲームは,海外でも十分通用するんです――北米トップクラスのパブリッシャが語る,スマホゲームの海外展開について
Khalfan氏:
 どんなことについて聞いてます?

4Gamer:
 例えば,IPの管理はどうするのかとか,ロイヤリティはどれくらいなのかとか,期間などはどうなりますかとか,そういった部分です。答えられる範囲で結構ですので,これを読んでいるデベロッパさんのためにも教えていただけると。

Khalfan氏:
 なるほど。でもご心配には及びません,答えは簡単です。Pocket Gemsには,パブリッシング契約にあたってのテンプレートというのは存在しないんです。

4Gamer:
 ええと……それはその都度作るということですか?

Khalfan氏:
 そうです。デベロッパごと,ゲームごとによって,変化します。その証拠……というのも変ですが,今までお付き合いのある会社や,パブリッシュした作品で,同じ契約は二つとありません。
 今回のGMOの話でも,GMOのためにターム(期間)やマーケティング手法などを,一つ一つ決めてドラフトを作っていったのです。

4Gamer:
 それはまた手間暇かかった契約ですね。

Khalfan氏:
 そんなわけなので,何度か述べているように,どういう会社と働くのか,どういう作品に関わるのか,というのが,我々の決定において一番プライオリティが高いファクターなんです。

4Gamer:
 作品であったり,会社であったり,チームであったり,状況であったり,そういったものに応じて,条件を変えてくれるということですよね。それは結構……なんというか,素敵ですね。

Nakao氏:
 でしょう?(笑)
 テンプレート契約みたいなものは,全然ありません。出来るだけフェアに,お互いにちゃんとプラスになるような,そういう契約にしたいと思っています。そうじゃないと,結局のところ長いお付き合いはできないですから。
 先ほどちょっと話に出ましたが,例えば今回のGMOにしても,先方が「Androidに関しては自分達でやりたい」ということだったので,Pocket GemsはiOSだけを担当しているんです。

4Gamer:
 なるほど。さっきの「iOSだけ」の件は,ここから来ているポリシーの一環だったんですね。

Nakao氏:
 そうです。デベロッパが何をしたいのか,何を必要としているのかが重要で,Pocket Gemsのパブリッシングチームが,それを一緒になって検討します。

4Gamer:
 iOSだけ,という話が出たので聞いておきたいんですが,「こことここに関してだけ手を組みたい」という交渉もアリですか? 例えば,ローカライズは自社でできるから,マーケティングだけやってほしい,とか。

Khalfan氏:
 もちろんできますよ。パブリッシャとして,かなりフレキシブルに動けると自負しています。
 とにかく重要なのは,我々は「パブリッシャとデベロッパのビジネスリレーションシップ」を欲しているわけではなくて,「パートナーシップ」を求めているということです。しかも長期的なパートナーシップを結びたいと思っているので,先ほどの話にちょっと戻ってしまいますが,そういった意味でも,数少ないデベロッパと一緒にやっていきたいと思っているんです。

4Gamer:
 では,Pocket Gemsのビジネスプランの中で,パブリッシュする作品数が決まっていたりとか,そういうこともないんですね。

Khalfan氏:
 そのとおり。パブリッシュするゲームの数という意味での目標はありませんよ。繰り返しになりますが,数少ないデベロッパとストラテジックパートナーシップを組むことが目標です。

4Gamer:
 ではジャンルに対する方向性とかは?

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Nakao氏:
 RPGなどの,ミドルコア/ハードコアのゲームにフォーカスしていこうと思っています。もちろんカジュアルでもいいですが,日本のデベロッパは,RPGなどを作るスキルも,完成品のクオリティも,すごく高いと思うんですよね。

4Gamer:
 Pocket GemsはF2Pゲームを扱う会社なので,インゲームでの課金がないもの(=売り切り)は,さすがに受け付けてもらえない感じでしょうか。

Nakao氏:
 おっしゃるとおり,Pocket GemsはF2Pの作品を扱う企業なので,すべてインゲーム課金のものになりますね。
 ただ,1ドルの売り切りゲームを持っている会社とパブリッシュについてディスカッションしたこともありますし,逆に例えば,売り切りのゲームをF2Pにするには,どうすればよいのか,などのディスカッションをしたこともあります。

4Gamer:
 割と受け入れの間口は広いんですね。
 しかしこれは私個人の問題かもしれませんが,自分がデベロッパだとすると,「数少ないデベロッパと組みたい」と言われると,ちょっと連絡が取りづらい……かなぁ。

Nakao氏:
 なぜ?

4Gamer:
 どうせダメだろうなぁ,と思ってしまって(笑)。

Nakao氏:
 今まで話してきたように,Pocket Gemsは,1年,2年,3年……と長期間にわたって遊べるゲームにフォーカスしています。

4Gamer:
 はい。

Nakao氏:
 2か月遊んで「はいサヨナラ,じゃあ次」っていう会社も多いですけど,Pocket Gemsはそうではありません。だからこそ,他社に比べてゲームの数も少ないんですけどね。
 でも,どのようにしてパートナーシップを組んで,どうしたら長期的に人気の出るゲームが出せるのかということを,パートナーと一緒に考える,そういう会社なんです。

4Gamer:
 ここまでの会話でそれは十分理解できました。だからこそ,逆に気が引けちゃうのかもしれませんけど。

Nakao氏:
 えええ(笑)。チームは小さいけど,朝でも夜でも深夜でも,連絡してくれれば,できるだけ早いペースで返信しますし,どんどん相談してもらえれば嬉しいです。
 ……なるほど,分かりました。日本の皆さんにひと言だけメッセージを伝えたいとすれば「Don't be shy.」ですね(笑)。

一同:
 (笑)

Khalfan氏:
 もちろん,検討してみて結果がダメなこともあるかもしれません。それはそれでいいじゃないですか。Why no try?
 今回がうまくいかなかったとしても,次のゲームがあれば,ぜひまた連絡してください。なにせ東京は好きなので,何度でも来たいですしね!(笑)

4Gamer:
 では,記事を載せるときに,連絡先を掲載しておきますね。
 本日は時間のない中ありがとうございました。日本のデベロッパさんに「Don't be shy.」というメッセージを,忘れずに残しておきます。

Nakao氏:
 ぜひお願いします!

Pocket Gemsのパブリッシング相談窓口
http://pocketgems.com/publishing/contact

――2013年7月24日収録

「Pocket Gems」公式サイト

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