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オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
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印刷2013/03/25 00:00

インタビュー

オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた

「オンラインゲームとして成り立つ」ぎりぎりを見極める


4Gamer:
 文字や画面上に出す情報って意味でいうと,チャット機能の割り切り具合も,とても興味深いなと僕は思ったんですよ。正直,コアなプレイヤーからするとちょっと不便なんですけれど,あれは意図的にやってるんですよね?

藤澤氏:
 はい。先ほども少しお話させて頂きましたが,「ここまであれば,オンラインゲームとして成り立つ」というぎりぎりのシンプルさを目指していて,それ以上の機能は,むしろばっさりと切り捨てています。

4Gamer:
 それでいて,バージョン1.2では,操作していないときにチャットが流れた場合,最後の吹き出し表示が画面に残るようになるなど,細かい改善が繰り返されていますよね。

画像(021)オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
藤澤氏:
 ええ,“画面の情報量は少なく”,“操作はシンプル”という二つの条件の中で,どうやったら最大限便利になるかということは,常にプランナーと一緒に試行錯誤していますね。  

4Gamer:
 やっぱりコアなプレイヤーの方の意見を聞くと,「チャットが使いづらい」って話をよく聞くんです。でも,それを普通のオンラインRPGのように,別途ウィンドウを作ってログを表示してしまう……みたいな方向で修正をしようとはしない。そこに,ドラクエならではの“こだわり”を感じるんですよね。

齊藤氏:
 そのあたりのこだわりは,長年「ドラゴンクエスト」というものに携わってきた藤澤ならではですよね。

4Gamer:
 ところでWii U版だと解像度が上がりますから,表示できる情報量も増やせますよね。一般的なタイトルなら,情報を増やす方向に進むと思うのですが,「ドラゴンクエストX」ではどうなりますか?

藤澤氏:
 情報量はまったく変わりません。ただ,解像度が高くなることで,画面に占める情報の割合が少なくなりますので,これまでの“ドラクエ”より,メニューが小さくなった印象を受けるかもしれません。だからと言って視認性が落ちることはありません。

4Gamer:
 うーん,なるほど。興味深いです。

藤澤氏:
 あと,ドラクエとして外せない要素に,“安心・安全”があります。今や「ドラゴンクエスト」はお子さんから年配の方まで,幅広いプレイヤーさんが遊ぶことを前提としたゲームです。小学生のお子さんが遊ぶときに,どうやったら「ドラクエだから安心」と感じてもらえるのか,徹底的にこだわった結果として,チャット周りの仕様にもかなり配慮をしています。
 さきほどの「tell」がないことの最大の理由は,必要がないからではなくて,“安心・安全”の観点から,相互認証がない状態での1対1のチャットはあえてできないようにしています。実はベータテスト期間中は,トレードのような特定の操作中なら1対1でもチャットが可能だったんですが,製品版では全部カットしました。そこを悪用されて,お子さんから個人情報を引き出されるようなケースがあってはならないので。こんな風に一つ一つ,危険な要素を潰していった結果として,今の「ドラゴンクエストX」のチャットの形があるんですよ。

4Gamer:
 今のお話のような開発上のやり取りは,齊藤さんと藤澤さんの間で頻繁に行われるんですか?

齊藤氏:
 いえ,こういう方針で行こうと決まってからは,私はあまり口を出していません。とくに「ドラゴンクエスト」というシリーズに関しては,藤澤のほうが長く携わっていますから。僕が言うのは,「オンラインゲームとして,ここだけは」という部分くらいですね


堀井雄二氏がドラクエXで掲げた使命


4Gamer:
 先ほど,「リアルタイムバトルのドラクエなんか作れない!」というお話がありましたけど,堀井さんと齊藤さんがリアルタイムバトルを推していたのには,何か理由があったんですか?

画像(023)オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
齊藤氏:
 一言でいえば「時代に合わない」ということですね。
 例えば,私が以前手がけた「クロスゲート」というオンラインRPGは,従来のドラクエのような完全ターン制バトルを採用していました。「パーティ全員が30秒以内にコマンドを入力してください。30秒後に一斉にバトルが始まります」というようなシステムだったんですが,正直なところ,そういうシステムのオンラインゲームが今の時代に受けるかというと,やはり厳しいだろうというのは,肌で感じて確信していました。今って,何だかすべてが「早い」じゃないですか。「他者を待たせる」「自分が待つ」ということが,正直なところ今の時代には合わないなと。

4Gamer:
 なるほど。堀井さんも,同様の見解だったんでしょうか。

藤澤氏:
 堀井さんは,オンラインゲームの面白さをドラクエファンに届けるという使命を掲げていらっしゃいました。だから,「そのときどきでスタンダードとされるオンラインゲームでシステムをまとめるのが自然だろう」とおっしゃっていて。

齊藤氏:
 堀井さんは「ファイナルファンタジーXI」や「クロスゲート」,そして少しジャンルは違いますけれども「モンスターハンター」などもプレイされていますから,どのくらいのオンラインゲームが世間一般で遊ばれているのかよくご存知です。その中での,ドラクエファンに向けた落としどころとして,コマンド式だけどリアルタイムでのバトルというものを選択したんじゃないでしょうか。

藤澤氏:
 ちなみに4Gamerさん的には,「ドラゴンクエストX」のバトルシステムってどう思われます?

4Gamer:
 僕個人の感想でいえば,まったく違和感はないですね。むしろ,ターン制とリアルタイム制の落としどころというか,その「さじ加減が絶妙だな」とさえ思いました。普通のドラクエっぽい感覚で遊ぶこともできる一方で,後衛が呪文を詠唱している間,前衛がモンスターを押さえて盾になれたり,敵が強力な攻撃が発動するときに走って離れて回避できたり。難しすぎない程度にちゃんと戦略性があるのがいいですよね。

画像(005)オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた

藤澤氏:
 「身体で敵を止める」というアイデアは,まさにリアルタイムバトルはやりたくない,でもリアルタイムバイトルのシステムを作らなければいけないという状況になったとき,一番最初に考えたアイデアなんですよね。

齊藤氏:
 実はあれ,サーバー泣かせなんですよ。リアルタイムで同期を取って,一つ一つコリジョン()の判定をしますから(苦笑)。

※ここでは,3DCGにおける物体の衝突判定を指す

藤澤氏:
 でも,ドラクエのバトルをリアルタイムにするにあたって,グラフィカルに表現するのは必要だと思ったんですよね。と言うのも,既存のオンラインRPGのバトルシステムは,文字情報に頼った構造になっているものが多くて,「画面上になるべく文字を出さない」「常駐ログを表示しない」という,さきほどお話した方針と相容れませんし。

4Gamer:
 どういう意味ですか?

藤澤氏:
 平たく言うと,バトル中に発生した見た目だけでは表現できない事実情報を,テキストで補っている作品が多いなと思うんですよ。逆に言えば,テキスト以外の画面上の情報だけでは,今何が起きているのか,プレイヤーに分からないと思うんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。

藤澤氏:
 それは非常にオンラインゲーム的なお約束であって,僕は,その違和感を含むお約束を「ドラゴンクエスト」に持ち込みたくなかったんです。
 なので,キャラクターの行動を画面から直感的に把握できるようにすれば,結果としてテキスト依存の構造から脱することができるだろうと考えました。

4Gamer:
 それで「身体で敵を止める」というアクション/表現を取り入れたんですか。

藤澤氏:
 そうです。実際,あまり僕達から「身体を張って敵を止められます」と強くアピールはしなかったのですが,ごく自然に使っていただけているようでよかったなと思っています。
 あと実は,僕が元々「ドラゴンクエストX」用に考えていたバトルシステムが,先に「ドラゴンクエストIX」に採用されることになった経緯もあって。そこから新しく考え直した結果,今のシステムが採用されたという流れもあります。

4Gamer:
 おお,そんな経緯もあったんですね。

齊藤氏:
 「ドラゴンクエストX」は内部的にはターン制バトルですし,そこまでシビアにリアルタイム性を求めていませんから,“ドラクエ”のバトルとしてはいい仕上がりなんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 個人的には,オンラインゲームだからといって,戦士や魔法使いで,役割分担があまりに明確すぎるのも,難しさにつながるのでよくないなと思うんですよね。その意味でも,「ドラゴンクエストX」のバトルシステムはとても良い案配だと感じます。

齊藤氏:
 私は元々オンランゲームが大好きで,かつてはWoWで毎日ダンジョンに行ったり,一人でストーリーを進めたりしていました。DPS()を気にしながら,Buff(強化効果)/支援魔法を常に絶やさず,最大効率を求めるような遊び方の面白さや,前衛と後衛できっちりと連携し,強力なボスを打ち倒す楽しさなどは理解しているつもりです。

※Damege Per Secondの略。秒単位の平均ダメージ効率を指す

4Gamer:
 ただ,それを「ドラゴンクエストX」でやるのかという話で……。

画像(020)オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
齊藤氏:
 ええ,やっぱり違うだろうって思うんですよ。いや,もちろん,日本でオンラインRPGがもっとメジャーで,誰もが遊んでいるような状況ならば,違う選択肢もあると思うんです。
 だけど,堀井さんが本作で掲げた使命が「オンラインRPGの面白さを,まだやったことがない人に知ってもらう」である以上,そこは段階を踏まないといけないんだろうなと思っています。

4Gamer:
 著書などを読むと,堀井さんは,1980年代からすでにオンラインゲームに大きな関心を示しているんですよね。

藤澤氏:
 そうですね。たとえば,2000年に発売した「ドラゴンクエストVII」に採用されている「仲間会話システム」は,当時の「Ultima Online」で,プレイヤーがパーティメンバーと相談しながらゲームを進める部分を“ドラクエ”的に表現したものです。もっとさかのぼると,「ドラゴンクエストIV」のAI設定には「めいれいさせろ」がないので,クリフトがボス戦でザラキを連発したりしますが(笑),それは自分では操作できない他のプレイヤーとプレイしている感覚に近いですよね。
 そういった意味では,「ドラゴンクエスト」は“人と一緒に遊ぶこと”をずっとシミュレートしてきたと言えると思います。その流れから考えると,こうして「ドラゴンクエスト」がオンラインゲームになったのは必然だったのではないでしょうか。最初は反対していた自分が言うのはおこがましいですが(笑)。

4Gamer:
 なるほど,長い時間をかけて,一つのあるべき姿が実現したと。ちなみに,堀井さんがとくにこだわっていた部分ってどのあたりだったんですか?

齊藤氏:
 プレイアビリティを含めて,本当に細かい手触りの部分にこだわっていましたね。ですから,私達もバトルを含めてかなりの部分を直しました。
 たとえば,今,画面左下のミニマップに,自分が向いている方向を示す三角マークが表示されますよね。あれの形状,大きさにもこだわっていました。あとは移動ルートを示す点線を開発チームが入れたら,「すごくいいね」と誉めてくださったんですが,後で「点線の色を黄色から白に変えてほしい」と指摘されたり(笑)。

4Gamer:
 本当に細かいですね(笑)。

藤澤氏:
 今のミニマップは,テイク6とか7とかいうくらい変更を重ねています。堀井さんには大方の方針を決めるより,むしろ「プレイヤーさんは,ここを不便に思うんじゃないか」と思う部分をどんどん指摘していただいています。

4Gamer:
 「ドラゴンクエストX」を始めるまでの手順についても,堀井さんは相当こだわったと聞きました。

藤澤氏:
 オンラインで遊ぶまでの手続きの部分は大変でしたね。ある日,堀井さんに開発中のバージョンを見ていただこうと,4時間のスケジュールを確保したのですが,スクウェア・エニックスアカウントを作ったり,クレジットカードの手続きをしたりする部分の説明と議論で,3時間も使ってしまったんです。確かに開発が難航した部分ではあったのですが,堀井さんは実際に触りながら「これは,ないな」と。

4Gamer:
 製品版では,そのあたりでつまづくことってあまりないですよね。

藤澤氏:
 はい。堀井さんの指摘を受けてから,徹底的に作り直したおかげで,今,その部分でつまづくプレイヤーさんはほとんどいません。とにかく堀井さんは,不便なところやつまづきやすいところを気にされていました。もう15年以上,一緒にお仕事をさせていただいているのですが,今回,あらためて堀井さんのこだわりを学びましたね。

齊藤氏:
 堀井さん絡みの話をすると,「ドラゴンクエスト」をオンラインゲーム化するにあたっては,「ドラゴンクエストI」が日本にRPGを広めたときのことを意識しています。オンラインRPGは,オンラインゲームの中でこそ最大と言っていいジャンルですが,世間一般にはメジャーと言い切れる存在ではありません。その状況を変えるのは,やはり「ドラゴンクエスト」しかないだろうと。
 ファミコン版の「ドラゴンクエストI」の記録した累計145万本のセールスは,「ドラゴンクエストX」でも目標となるところですね。

4Gamer:
 堀井雄二さんは,日本にRPGの面白さを広めた「伝道師」として知られていますけれど,今度は,オンラインRPGで同じ事をやろうと考えていらっしゃるんですね。

藤澤氏:
 そうですね。ただ,あらためて振り返ると,世間のオンラインゲームへのアレルギーは,想像以上に大きいですね。

齊藤氏:
 とは言っても,世間で言う“オンライン”の意味も変化していると思うんですよ。爆発的にはやっているソーシャルゲームも,同期/非同期の違いだけで,要はオンラインゲームですからね。そういう意味では,「テレビの前でしか遊べない」などの障壁を取り去ることで,遊んでくださるプレイヤーさんは増えていくでしょう。ですから,まだまだ私達にもやれることがあると考えています。

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