ドイツ時間9月4日,Acerは,ドイツ・ベルリンで9月6日に開幕する家電総合展示会「IFA 2019」に先駆けて,独自イベント「next@acer」を開催した。
本イベントでは,年末商戦を意識した幅広いジャンルの製品が紹介されたが,本稿ではゲーマー向けブランド「
Predator」の製品やサービスに絞って簡潔に紹介する。
GTX 1650搭載のエントリー市場向けノートPC「Predator Triton 300」
ノートPC新製品として登場した「
Predator Triton 300」(以下,Triton 300)は,GPUにGeForce GTX 1650を採用した15.6インチサイズのエントリー市場向け製品という位置付けだ。
CPUは第9世代Coreプロセッサの「Core i7-9750H」,あるいは「Core i5-9300H」で,ディスプレイに解像度1920×1080ドット,最大リフレッシュレート144Hz,応答速度3msの液晶パネルを採用する。
15.6インチサイズのノートPC新製品であるTriton 300。スライドには20mm以下とあるが,スペックシートでは22.9mmと記載されている。展示された実機も20mm以下には見えない
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メインメモリの容量は最大32GB。ストレージは,PCI Express接続で最大容量1TBのSSDを2台に加えて,容量最大2TBのHDDを内蔵できるという。エントリーモデルながら,Wi-Fi 6対応の無線LANモジュールである「Killer Wi-Fi 6 AX 1650」を採用するのもポイントと言えよう。欧州で10月の発売を予定し,価格は
1299ユーロ(約15万3000円)からとなっている。
Triton 300のキーボードは10キー付きで,ブロック単位でのRGBライティングに対応するという
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左側面のインタフェース。USBポートはUSB 3.1 Type-Aが2基とUSB 3.1 Type-Cが1基。HDMI出力は,フルサイズとmicroHDMIの2基を備える
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右側面のインタフェース。USB 2.0のほか,4極3.5mmミニピンのヘッドセット端子を備える
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15.6インチノートPC「Predator Triton 500」で最大リフレッシュレート300Hz対応の液晶パネルが搭載可能に
また,イベントのプレゼンテーションでは触れられなかったが,15.6インチ級のノートPC「
Predator Triton 500」(以下,Triton 500)において,最大リフレッシュレート300Hz対応の液晶パネルを採用したモデルが追加となった。
筐体は既存のTriton 500から変わらず,300Hz対応液晶パネルの追加が主な違いのようだ
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300Hz対応の液晶パネルを搭載したTriton 500は,欧州では11月,米国では12月の発売を予定し,価格は順に
2699ユーロ(約31万7400円),2799.99ドル(約29万8400円)の見込みとなっている。
超大型コックピット「Predator Thronos」にマッサージ機能付きの新モデルが登場
ゲーマー向けの大型コックピット製品「
Predator Thronos」(プレデター スロノス)のラインナップに,新モデル「
Predator Thronos AIR」(以下,Thronos AIR)が登場した。Thronos AIR最大の特徴は,セットに組み込まれたシート(チェア)部分に,
肩から腰までをカバーするマッサージ機能を搭載したことにある。マッサージ機能付きゲーマー向けチェアというのは,もしかすると史上初かもしれない。
ゲーマー向けコックピット「Thronos AIR」は,ディスプレイアームが可動するギミックを省いてコストを抑えた
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コクピット(キャビン)のサイズは270×310×200cmで,設置にはざっくり3.5〜4m四方のスペースが必要となるが,出入りするときに側面のドアを開け閉めする必要があるので,その分も考慮した方がよさそうだ。
本体の重量は約150kg。ディスプレイは最大3台,総重量15kgまで設置可能とのこと。シート部分の重量は30kgで,耐荷重は160kgまで。シート単独でのリクライニングは180度だが,コクピット内では最大130度に制限される。
Thronos AIRは,2019年第4四半期の発売を予定する。前モデルでは3万ドルだった価格は,
1万3999ドル(約149万3600円)とまだまだ高額ではあるが,半額以下に収まっている。
上下に動くアーム部分のギミックがなくなったので,左右のドアから出入りする
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湾曲型ディスプレイ3台を配置したゲームプレイの様子
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冷却性能を高める新素材「Power GEM」をゲーマー向け次世代PCに採用
Acerは,今後のPredator製品で冷却性能を高める新素材「
Predator Power Gem」(以下,Power Gem)の採用することも明らかにした。Acerによれば,より熱伝導率の高い素材を利用して,従来のようなベイパーチャンバーに頼ることなく,より効率的にCPUやGPUが発する熱をヒートシンクに逃がすことができるという。
保管箱からうやうやしく取り出されたPower Gem
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一般的な素材に比べてPower Gemの熱伝導率は高い。グラフの横にある銅との比較を見ると,熱源から離れるほど常温に近くなる銅に対して,Power Gemは熱源に接する一部を除いて,均等に熱が伝わっているような特徴を有するようだ
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カンファレンスで披露されたPower Gemが,どのような形で製品に組み込まれるのかは明らかになっていないが,2019年冬の発表を予定するデスクトップPC「
Predator Orion 9000」や,ノートPC「
Predator Helios 700」といった製品で採用するそうだ。
Power Gemは,従来のベイパーチャンバーのような仕組みと比べると,熱伝導率は3.83倍となり,これを冷却機構に利用した場合,CPUパフォーマンスが12.5%向上するとのこと
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プロゲーマーのレッスンが受けられるeスポーツプレイヤー向けサービス「PLANET 9」を発表
また,eスポーツタイトルをプレイするゲーマー向けに,ネットワーキングサービス「
PLANET 9」を提供することも発表となった。ゲーム内における成績の記録や,ユーザー間で交流できるサービスだそうで,プロゲーマーによるレッスンなどを,有料で受けられる点が最大の特徴といえよう。
Acerによると,地球上には13億470万人ものゲーマーが存在するが,そのうち,どれだけのプロゲーマーがいるのか?
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PLANET 9の概要。eスポーツプレイヤーとして活躍したいというゲーマーに向けたサービスとなる
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ゲームプレイにおける成績を記録する。画面はイメージだが,キャラクターのどの部分に相手の攻撃が当たっているか,マップのどの場所でやられているかなどの情報が表示される
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PLANET 9におけるプロゲーマーのというニュアンスは,ゴルフにおけるレッスンプロに近い印象を受ける。サンプル画面では,1時間あたり30ドルとの価格が表示されていた。ただし,これが既定値ではないそうだ。
トレーナーのプロフィールや対応できる言語,1時間あたりの価格などが表示され,ユーザーがどのプレイヤーにレッスンを受けるか選択できるようだ
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レッスンが可能なゲームタイトルは,いまのところ「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」,「League of Legends」,「Dota 2」とのこと
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プロゲーマーによるレッスンのデモンストレーション
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PLANET 9はすでにクローズドβテストの申し込みを受け付けており,2020年1月30日にオープンβへと移行する予定となっている。
クローズドβテストからオープンβテストまでのスケジュール
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