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  • 発表日:2008/02/21
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グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
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印刷2008/03/21 21:16

テストレポート

グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

N9600GT-T2D1GJ-OC
メーカー:MSI
問い合わせ先:エムエスアイコンピュータージャパン TEL:03-5817-3389
実勢価格:3万5000〜3万9000円(2008年3月21日現在)
画像集#002のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
 GeForce 9世代の先陣を切って登場した「GeForce 9600 GT」。発売当初こそ割高な印象があったものの,その後すぐに価格が下がったことで,GeForce 8世代のミドルクラスGPUを置き去りにする3D性能が評価され,まずまずの人気を集めている。結果,各社からさまざまなラインナップが登場してきているが,そんななかMSIは,静音クーラー搭載のクロックアップモデルにして,かつグラフィックスメモリを1GB搭載したグラフィックスカード「N9600GT-T2D1GJ-OC」を市場へ投入してきた。
 この“全部入り”製品の2008年3月21日時点における実勢価格は3万円台後半。原稿執筆時点において最も高価なGeForce 9600 GTカードだが,果たしてリファレンスデザインの製品と比べて,どういったメリットがあるだろうか。今回はその点について少しチェックしてみたいと思う。


2スロット仕様のクーラーは非常に静か

動作クロックはMSIの公式情報をやや上回る


画像集#003のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
 N9600GT-T2D1GJ-OCは,MSI製品らしい赤い基板に,やはり赤いGPUクーラーを搭載している。2スロット仕様となるGPUクーラーは,2本のヒートパイプとアルミ製のフィンで構成されており,それを風洞となるカバーで覆う格好となっている。GPUと接触する,いわゆる枕の部分に銅を採用していないこともあり,外観のゴツさに反して実際の重量はさほどでもない。
 クーラーに組み込まれたファンは90mm角相当で,MSIが「Seaweed-Blade Fan」と呼ぶ,PWM(Pulse Width Modulation,パルス幅変調インバータ)制御タイプとなっている。

クーラーを外してみた。GPUの熱は2本のヒートパイプでフィンへ送られ,ファンの風で冷却される仕組みとなっている
画像集#004のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す 画像集#005のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

試用したカードはQimonda製の「HYB18H1G321AF-11」を搭載していた。1Gbit品で,スペック上の動作電圧は1.8V,動作クロック1.8GHz相当となる
画像集#006のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
 ところで今回,エムエスアイコンピュータージャパンから借用した個体は,同社のWebサイトに掲載されているスペックとは異なっていた。具体的な違いは表1にまとめたが,コアクロック,シェーダクロック,メモリクロックのすべてがカタログスペックを上回っているのだ。この件について同社に問い合わせたところ,この個体だけ高い(=市販の製品はカタログスペックどおり)という回答が得られたが,今回はテスト期間の都合により,3パターンの検証が精いっぱいだったこと,むしろグラフィックスメモリ容量1GBと512MBとの違いを見るのが主目的であることから,カタログスペックでのテストは省略している。N9600GT-T2D1GJ-OC製品版のスコアは,本稿でのテスト結果よりも間違いなく低めに出るので,この点はご理解いただきたい。

画像集#009のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

N9600GT-T2D1GJ-OCのカード背面にあるGPUクーラー固定用のネジがやや突出している。基本的には問題ないだろうが,NVIDIA SLI構成時には少々気をつける必要があるかも
画像集#007のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
 比較対象として用意したのは,GeForce 9600 GTリファレンスカード。もちろん動作クロックはリファレンスどおりで,グラフィックスメモリ容量は512MBとなる。
 このリファレンスカードに対して,N9600GT-T2D1GJ-OCがどのような形で優位性を示すかを見ていくことになるわけだが,純然たるグラフィックスメモリ容量の違いも見るべく,今回はN9600GT-T2D1GJ-OCのコア/シェーダ/メモリクロックをリファレンスカード相当にまで落とした状態のデータも取得することにした。以下本文ではとくに断りのない限り,入手したN9600GT-T2D1GJ-OCは「9600 GT 1GB OC」,リファレンスクロックに設定したN9600GT-T2D1GJ-OCを「9600 GT 1GB」,リファレンスカードを「9600 GT 512MB」と表記し,グラフ中は「9600 GT」の表記も省略する。

画像集#010のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠となるが,GeForce 9600 GTそのもののポテンシャルはすでに2008年2月21日の記事でお伝えしているので,今回は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06),「Crysis」「Company of Heroes」の3タイトルに絞って,「標準設定」「高負荷設定」のスコアを見ていくこととしたい。


1GBメモリの現実的なメリットはほとんどないが

クロックアップの効果はまずまず


 さっそく,3DMark06のスコアからチェックしてみよう(グラフ1,2)。さすがに9600 GT 1GB OCは頭一つ抜きん出ており,メーカーレベルのクロックアップ効果はかなり高い。一方,動作クロックを揃えた状態におけるグラフィックスメモリ1GBと512MBの違いは,まったくないといっていいだろう。

画像集#011のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
画像集#012のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

 続いてグラフ3,4はレギュレーション5世代で最も描画負荷の高いCrysisの結果だが,ここでもクロックアップ効果をはっきりと見て取れる。
 3DMark06と異なるのは,高負荷設定時の1600×1200ドット以上における同クロックの比較で9600 GT 1GBが9600 GT 512MBに差を付けている点。とくに1920×1200ドットでは2倍以上の違いが出ているが,実際のフレームレートはゲームプレイにならない値であり,現実的な解像度においては,やはり「変わらない」ということになる。

画像集#013のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
画像集#014のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

 また,Company of Heroes(Version 2.202)でも,9600 GT OC 1GBが突出したスコアを見せ,一方,同一クロックだとグラフィックスメモリ1GBの優位性は明確に確認できないという結果に終わった(グラフ5,6)。

画像集#015のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
画像集#016のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す


消費電力の上昇は許容できるレベル

GPUクーラーの静音性&冷却性能は高い


 Windows XPの起動後,30分間放置した直後を「アイドル時」,3DMark06を30分間連続実行し,最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」として,各時点の消費電力をワットチェッカーで計測した結果がグラフ7だ。アイドル時に,CPUなどの省電力機能はすべて無効化している。

 クロックアップモデルには,どうしても“電力食い”のイメージがつきまとうが,テスト結果を見る限り,9600 GT OC 1GBのスコアは性能向上度合いに見合った程度の上昇に抑えられているといってよく,十分許容できる範囲だ。リファレンスクロックで比較したときにメモリ容量の違いが消費電力にはほどんど影響していない点も興味深い。
 いずれにせよ,現在主流となっている定格500W級の電源ユニットを搭載した,標準的な構成のデスクトップPCなら,9600 GT OC 1GBを造作もなく動作させられるはずだ。

画像集#017のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す

 グラフ7の時点におけるGPU温度を,CPUID製のシステム情報ツール「HW Monitor」から計測した結果をまとめたのがグラフ8だ。
 2スロット仕様のGPUクーラーを搭載していることもあって,9600 GT OC 1GBの温度はアイドル時,高負荷時ともリファレンスカードより低くなっている。9600 GT OC 1GBの温度が高負荷時に9600 GT 1GBと比べて2℃しか上がっていないのは,ファン回転数がわずかに上がるためで,どうも60℃付近にファン回転数変更の基準点がある印象を受けた。
 もっとも,(筆者の主観ではあるが)回転数が上がっても動作音は低く,むしろCore 2 Duoボックスクーラーの動作音のほうが気になるレベル。よほど神経質な人でなければ,9600 GT OC 1GBの動作音は静かだと感じられよう。

画像集#018のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す


メモリ容量以外には価値アリも割高

2万円台の512MBモデルなら選択肢になり得るか?


DVI-HDMI変換アダプタや高解像度アナログビデオ出力ケーブルなどが付属する製品ボックス
画像集#008のサムネイル/グラフィックスメモリ1GB版GeForce 9600 GTカードを試す
 N9600GT-T2D1GJ-OCの価格は3万円台後半(2008年3月21日現在)。クロックアップ効果が高く,GPUクーラーの性能も高いN9600GT-T2D1GJ-OCだが,リファレンスモデルのGeForce 9600 GTカードの多くが2万円台前半で購入できること,そして3万円台後半なら,一部メーカーの「GeForce 8800 GTS 512」搭載カードに手が届くことを考えると,割高感が否めない。1GBというグラフィックスメモリ容量がメリットになっているどころか,コストパフォーマンス面で足を引っ張ってしまっている印象だ。

 ただ,本稿のテーマから少々外れることを覚悟で続けると,MSIはN9600GT-T2D1GJ-OCのグラフィックスメモリ512MB版「N9600GT-T2D512J-OC」を用意しており,搭載するクーラーや動作クロックは「両製品で共通」(エムエスアイコンピュータージャパン)。512MB版の実勢価格は2万5000〜2万8000円程度なので,「GeForce 8800 GT」搭載カードとの価格差がほとんどないこと,そして何より今回のスコアがカタログスペック以上の動作クロックによって出されたものであることは留意する必要があるものの,消費電力や冷却能力,動作音を総合的に見るならそう捨てたものではない。
 絶対的に“コスト対3D性能比”を重視する向きには,512MB版でもやはり微妙という点まで否定するつもりはもちろんないが,より扱いやすいミドルクラスGPUの選択肢として,N9600GT-T2D512J-OCが相応に価値を持っているとはいえるだろう。
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