連載
インディーズゲームの小部屋:Room#573「Dawn of Man」
実写版青いハリネズミの姿にいろいろな意味で衝撃を受けている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第573回は,Madruga Worksの「Dawn of Man」を紹介する。本作は,原始時代の人類に指示を与え,集落を発展させていくというシミュレーションゲームだ。まさか,こんなにモフモフだったなんて……。
原始時代の生活というと,穴の開いたでっかい石のお金をゴロゴロと転がして歩いたり,両端に骨が突き出た謎の肉を食べたり,マンモスに踏みつぶされてペラペラになったり,獲物を狩って帰らないと母ちゃんがものすごく怖かったりするというイメージがあるが(?),本作の場合はそこまでほのぼのとしているわけではない。
本作には,旧石器時代,中石器時代,新石器時代,銅器時代,青銅器時代,鉄器時代という6つの時代区分があり,ゲームは約1万2000年前の後期旧石器時代から始まる。この頃の生活は,もちろん狩猟・採集が中心だ。放っておくと人々は焚き火の周りにぼさっと立って何もしないので,まずは集落の近くにワークエリアを指定し,食料となる木の実や,枝や石などの素材の採集,魚取りなどをさせよう。
狩りをする場合は注意が必要だ。動物から反撃されて,へたをすると死んでしまうこともあるからだ。テッコンキンクリート! などと叫んで目を回している場合ではない。TABキーを押すと,周囲にいる動物や採集可能な植物がハイライト表示され,動物の場合は色によってその強さが分かるので,道具が貧弱なうちは危険な肉食動物を避けて,なるべく狩りやすい草食動物を狙うのが安全だ。
またゲーム内には四季があるので,狩猟・採集と並行して,冬を越すための準備も少しずつ進めておきたい。取ってきた毛皮はそのままでは服などに加工できないため,皮を乾燥させるための台を作り,肉や魚がより長持ちするように干し台を設置するのだ。人々は新しい動物を狩ったり,植物を見つけたりすることで知識ポイントを獲得し,これを使ってテクノロジーツリーで新たな技術を習得できる。
陶器の技術を発見すると,時代は次の中石器時代に進む。この時代になれば,木や石だけでなく,骨製の道具なども作れるようになっているだろう。集落が十分に潤っていると,外から移住者がやって来たり,子供が生まれたりするので,それに合わせて居住用のテントを建て,集落を大きくしていくべし。ときおり,なぜか行商人がやって来ることもあるので,必要な物を物々交換で分けてもらってもいい。
そして穀物の栽培方法を発見すると,新石器時代の幕開けとなる。テクノロジーツリーを開放すれば,ヤギやヒツジを飼い馴らすこともできる。いよいよ農耕・牧畜の始まりだ。これまで,マンモスを狩ろうとして返り討ちにされたり,飢えや病気に苦しんだりといろいろあったが,思えば遠くに来たものだ……。
時代が進んでも見た目はやはり地味なままだが,旧石器時代から鉄器時代まで,1万年にもおよぶ人類の歩みを体験できるのはゲームならでは。人々がちまちまと働く姿を見ているだけで楽しく,マイクロマネジメントが好きな人にはたまらないゲームとなっている。自分の手ではじめ人間達の生活を豊かにしてあげたい人に,ぜひオススメしたい。そんな本作はSteamにて,2570円で発売中だ。
■「Dawn of Man」公式サイト
http://madrugaworks.com/dawnofman/- この記事のURL:
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