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印刷2024/02/26 18:00

業界動向

Access Accepted第785回:コンシューマゲーム機の終焉は意外と早い?

画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第785回:コンシューマゲーム機の終焉は意外と早い?

 いきなりキャッチーな連載記事のタイトルを否定するが,コンシューマゲーム機はすぐになくなるわけではない。それは,すでにMicrosoftが次世代ゲーム機の開発を公式に認めていることでも明らかだろう。その一方で,これまで“エクスクルーシブタイトル”で差別化を図ってきたMicrosoftやソニー・インタラクティブエンタテインメントが,マルチプラットフォーム化により“最後の潜在的市場”であるライバルのサービス向けにも展開する準備を始めているが,その行き着く先はいったいどこになるのだろうか。


リスクが高いコンシューマゲーム機のビジネス


 2024年2月16日にストリーミング放送された「Updates on the Xbox Business | Official Xbox Podcast」において,MicrosoftはXbox向け独占タイトル4作を,PlayStation 5及びNintendo Switch向けにも順序リリースしていくことをアナウンスした(関連記事)。それら作品は後日,公式ブログ「Xbox Wire」で,「Pentiment」「Hi-Fi RUSH」「Grounded」「Sea of Thieves」の4タイトルと明かされたが,まずはこれらをテストとして,今後の“非エクスクルーシブ化”のトレンドを占っていくものと思われる。

 ストリーミング放送では,Activision Blizzardの買収完了に合わせて「ディアブロ IV」など同社の作品が,サブスクリプションサービスのGame Passに順次追加されていくという聞き逃せない情報が発信されたが,さらにXbox部門社長のサラ・ボンド氏「次世代ゲーム機の開発」について言及し,ゲーマーコミュニティを大きく賑わせた。

 この発表は,「Microsoftがハードウェアビジネスから脱却しようとしている」というウワサを打ち消し,同社がゲーム産業に引き続き投資を行っていくことを強く印象付ける目的があったのは疑いない。ボンド氏は,「1つの世代間という意味においては,(Xbox Series X|Sと比較して)皆さんが目撃したことのないほど技術面で飛躍したもの」と説明しているが,詳細はまったく明らかにされていない。

エクスクルーシブタイトルをほかプラットフォームで出すことについて,「ハードウェアビジネスから撤退するのではないか」というコミュニティの心配や批判を受け,新たな戦略を公開したMicrosoft
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 コンシューマゲーム機は最先端のテクノロジーを盛り込むために独自の製造ラインを構築するという特性上,プラットフォームホルダーにとっては非常にリスキーなビジネスである。Bloomberg誌に,ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)のPlayStation 5が黒字化したという記事が掲載されたのが2021年8月4日のことなので,1年9か月ほどかかったことになる。Xbox Series X|Sの現在の販売台数については,Microsoftは率先して公表することはないものの,かなり後塵を拝しているとみていいだろう。

■ゲーム機の販売台数
※Wikipedia(List of best-selling game consoles)より

第6世代
PlayStation 2:1億5500万台
Xbox:2400万台

第7世代
PlayStation 3:8740万台
Xbox 360:8400万台

第8世代
PlayStation 4:1億1720万台
Xbox One:5800万台

第9世代
PlayStation 5:5000万台(2023年12月時点)
Xbox Series X|S:2100万台(2023年6月時点)

 実際,2月15日にソニーグループが公開した2023年第3四半期の連結決算報告会において,SIEの暫定CEOを兼任する十時裕樹氏は,この期間中(2023年10月〜12月)にPlayStation 5の累計販売台数が5000万台に達したものの,同期間中に当初予想していた2500万台を販売することができず,2100万台に留まったと公表している(関連記事)。これが大きな要因となり,ソニーグループの株価も5日間で3.41%低下することになった。

 ちなみに,任天堂のゲーム用ハードウェアは,それぞれの世代の中間あたりにローンチされることが多く,とくにゲーム機の性能として,いずれの世代に属するかという定義が難しい。しかも,現行のNintendo Switchは携帯ゲーム機という特性も備えており,据え置き型であるXbox Series X|SやPlayStation 5のコンセプトとは大きく異なっている。

 Nintendo Switchは2017年にローンチしているが,2023年末日時点で1億3936万台という累計販売台数が発表されており(外部リンク),任天堂にとって最も売れたゲーム機である「ニンテンドーDS」を近く抜き去ることになるかもしれない。いずれにせよ,任天堂ゲーム機の手堅い人気は,「ゲームビジネスは必ずしも最新テクノロジーでなくてもいい」ということを,強く認識させるものには変わりないだろう。

XboxとPCのクロスプラットフォームタイトルとしてリリースされた「Palworld」は,2月1日時点でSteam上で1200万本の販売を記録し,Game PassでプレイできるXboxでは700万プレイヤーがダウンロードしているという,サードパーティタイトルながらも希代のヒットを飛ばしている
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1つにつながり始めたMicrosoftやSIEの動き


 当連載の「第619回:PCゲームの復権とコンシューマ機の将来」を掲載したのは,まだPlayStation 5やXbox Series X|Sが正式にアナウンスされていない2019年7月29日のことだったが,その頃からパブリッシャが「サブスクリプションサービス」を重視する傾向は顕著なものになっていた。なお,PlayStation Plusのサービス利用者は4740万人(2023年3月時点),Xbox Game Passは3400万人(2024年2月時点)とされている。

 Netflixなどの成功にみられるように,サブスクリプションサービスは,ユーザーが月払いをしてくれるという手堅さがビジネス面で魅力であり,Microsoft Gaming部門CEOのフィル・スペンサー氏も以前から「Xbox機の累計販売台数は重視しない」ということを何度か述べてきた。実際,エクスクルーシブタイトルをXboxとPC向けにリリースして,Game Passでクロスプレイ化(1つのゲームを購入することで,2つのプラットフォームでプレイ)することでアピールしている。

 つまり,Microsoftにとってのゲームビジネスにおける最大の勝機は,Game Passというサブスクリプションサービスの市場浸透であり,それゆえにBethesda SoftworksやActivision Blizzardといったブランドの巨額買収を重ねてきたわけだ。「ディアブロ IV」は,2023年6月のローンチから5日間で,6億6000万ドルの売り上げを達成し,30年を超えるBlizzard Entertainmentの歴史にとって最高の初週販売を記録したわけだが,それが1年足らずしてサブスクライバー向けに提供されるコンテンツとなるということが,Game Passをさらに魅力あるものにするはずだ。やがては「コール オブ デューティ」シリーズもGame Pass入りしていくはずで,既に十分なほど整っているライブラリがさらに強固なものとなる。

 加えて,ゲームのライブサービス化の流れは加速しており,コミュニティをどれだけ自分たちのゲームにつなぎとめるかが,大きな課題の1つになっている。その傾向は「フォートナイト」や「Roblox」などが牽引するトレンドを見ても明らかだろう。コンシューマゲーム機のグローバルセールスがすでに頭打ちになっている現状,潜在的な市場として残されているのはライバルプラットフォームであり,そこに「エクスクルーシブタイトルをマルチプラットフォーム化させる」という新たな戦略が生まれてきているわけだ。

映画やドラマの配信がDVD/ブルーレイの販売本数を激減させたように,Game Passというサブスクリプションサービスは,ゲームのデジタル販売にネガティブな影響を与える諸刃の剣でもある。Microsoftは,それを承知で攻勢をかけていると見ることもできるだろう
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 こうした戦略は何もMicrosoftに限ったことではなく,SIEも共有している。ソニーグループによる連結決算報告会において,十時裕樹氏もPlayStation 5とPC版が同時発売されて成績が好調な「HELLDRIVERS 2」に対する見解として,「今後,こうしたマルチプラットフォーム化戦略は,能動的に計画すべき事業展開の1つ」と述べていたとされる。事実,Bungieが開発中のリメイク版「Marathon」も,PCだけでなくXboxプラットフォームでリリース予定であることは,すでにアナウンス済みなのだ。

 もう1つ,Microsoftの掲げる「Play Anywhere」(どこでも遊べる)というモットーを究極的に煮詰めていくと,それは「ゲーム用ハードウェアを持ち運べるNintendo Switchのコンセプト」に近付いていく。ValveがSteam Deckをリリースした際にMicrosoftは積極的に協力して,「Xbox Cloud Gaming」という正規アプリ(β版)も公開しているが,「Microsoft Flight Simulator」や「Forza Horizon 5」,そして「Starfield」のような高性能なゲームを携帯ゲームとして遊べることに筆者自身も感動を覚えている。しかも,ハードウェアパーツの高性能化や軽量化は日進月歩で,ASUSのROG AllyやLenovoのLegion Goなど,ポータブルゲーミングPC市場は活況を呈している。

 つまり技術的には,Xboxが第10世代に到達する前に,ポータブル版がローンチするだろうというウワサや,最近取り沙汰され始めている「PlayStation Vita 2」なるもののウワサは,その真偽がどうであれ,次の動きとしては理にかなっている。こうして昨今の発表やトレンドを考察していくと,プラットフォームホルダーたちの動きすべてが,1つの未来に向けてつながっているようにも見て取れる。それは「コンシューマゲーム機がなくなる」のではなく,「高性能にポータブル化する」ということなのかと思う次第なのだ。

MicrosoftによるActivision Blizzardの買収で忘れてならないのが,スマホという携帯ゲーム機市場を主力とするKing.comの「キャンディクラッシュ」だ
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最新モデルの「Steam Deck OLED」は描画能力も向上しているうえ,Xbox Cloud Gamingはもとより,ほとんどの“ソフトウェアプラットフォーム”で遊べてしまう。これは既存のコンシューマゲーム機にとって脅威であろう
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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