インタビュー
「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー:ハンゲーム提携と今後の展開,そしてシーズン4.0以降について
プレイヤー数が増えると懸念される
トラブル増加の対応策は?
4Gamer:
今までお話があった要素をすべてひっくるめて,今回のチャネリングでどれくらいのプレイヤー増を見込んでいますか?
![]() |
全然読めないというのが正直なところです。MHF自体,1年経過したサービスですし,2007年のオープンβテストほど凄いことにはならないと,数字自体は少し厳しく見積もっています。
1年前の公式サイトのアクセス数を振り返ってみると,オープンβテスト開始当日は,テスト前日の数十倍というアクセスでした。我々もさまざまなデータを集めて準備を進めているのですが,第2次オープンβテスト当日にクライアントをダウンロードしてMHFを始めるというお客様がどれだけいらっしゃるかまでは,確実な数字を読めていません。こればかりは当日にならないと分かりませんが,ご迷惑をおかけしないように最大限がんばります。
4Gamer:
第2次オープンβテストで入門区を増やす予定はありますか? 最近はけっこうワールド数を絞り込んでいたイメージがありますけれども。
杉浦氏:
当然,増やします。現在までは各サーバーで2000人,3サーバー合計で6000人しか収容できませんでしたから,確実に足りなくなるでしょう。たとえば7月1日に「シーズン3.0前夜祭 誰でもMHF、第2弾! 期間限定クエスト大量同時配信!」でハンターライフコースを無料開放したときは,同時接続で8000人,アクティブでは万単位で増えました。それを考慮すると,今回はそれよりもっと増えてもおかしくないですから。
4Gamer:
なるほど。準備は万端といった感じですが,それでも月額料金を払っているプレイヤーにとっては,今回の第2次オープンβテストでサーバダウンなどのトラブルが発生するなど,思うようにプレイできない状態にならないかが心配だと思うのですが。
杉浦氏:
これはハンゲームのお客様をないがしろにするという意味ではないのですが,第2次オープンβテスト期間中のトラブルでは,実際に料金をお支払いいただいているダレット会員を優先するのは当然と考えています。
たとえば,認証時点で問題が起きるのであれば,ダレット会員を優先的にログインさせる形を取りますし,場合によっては第2次オープンβテストであるハンゲーム側を一度ストップさせる形になります。それでも対処しきれない場合には,何かしらお詫びという形で誠意を見せる必要があるでしょう。これだけ大きなことをやるわけですから,当然そのリスクは見込んでいます。
4Gamer:
アクセスが集中してログインすらできないといった事態が発生した場合に,たとえば新サーバーを増設する予定などはありますか?
杉浦氏:
プレイヤー数の増加次第ですが,可能性としては考慮しています。ただ,MHFのこれまでの経過や現在のオンラインゲーム市場の規模を考えると,そこまでする可能性は低いかなとも思います。またMHFは,ほかのオンラインゲームよりも2〜3倍の同時接続がないとマッチングが上手くいかないという不満が生まれがちですから,単純にサーバーを増やせばいいというものでもありません。
新サーバーに関してはいろいろご意見をいただいてまして,たとえばハンゲームからのお客様専用サーバーが作れないかというものもあります。しかしそれはそれで,もし十分なプレイヤー数が集まらなかった場合に,ハンゲームのお客様に不満を抱かせてしまいます。数万単位の同時接続が増えない限り,新サーバーを作っても現在のサーバー1〜3と同等の環境にはなりません。今回の提携やオープンβテストの目的と手段が入れ変わってしまい,意味がなくなってしまいます。
4Gamer:
なるほど。会員数が確保できなければ,新サーバーを導入するメリットよりデメリットのほうが大きくなってしまうわけですね。
杉浦氏:
ただ,もし新サーバーを導入するようなことになるのであれば,事態がある程度落ち着くまで,ハンゲームのお客様は新サーバーでのみキャラクターを作れるというような処置を取ると思います。期間を置いて,様子を見ながら従来のサーバーも利用できる形にするということですね。その時には,もちろんダレット会員も新サーバーを利用できるようになると思います。
4Gamer:
ところで,プレイヤーの絶対数が増えるとプレイヤー間のトラブルも増えることが予想されます。MHFにはいわゆるGM(ゲームマスター)はいませんが,どのような対応を考えていますか?
杉浦氏:
今までのMHFのプレイヤーはダレット会員という一つのコミュニティだけで構成されていました。そこに今度はハンゲーム会員という大きなコミュニティが加わるわけですから,そこには考え方や慣習の違いなどさまざまな摩擦が生まれる可能性もあるでしょう。それによって,ゲーム内の暗黙のルールや慣習の一部に対して両者で見解が異なることがあるかもしれませんが、それは時間が解決してくれるものだと信じています。
ただ,不正行為や迷惑プレイヤーとなれば話は別です。迷惑登録機能やチャット部分の強化などは当然考えていまして,シーズン4.0でもいくつか反映される予定です。そういった,ゲームを楽しむコンテンツ以外の要素の強化は,年明けのリファインアップデートで実装できないかと検討しているところです。技術的に対処できる部分に関しては,可能な限りやっていきましょうということですね。
4Gamer:
現在でも,全体チャットでの雑談の是非をめぐってプレイヤー間で口論になることが時々あります。今回のオープンβテストで,初心者の一時的な増加に伴ってワールドチャットが活発になり,それに伴って口論などが飛び交って“荒れた”状態になることが懸念されるのですが,何か対応策は用意しているのでしょうか?
杉浦氏:
今回は第2次オープンβテストとして全コースの無料開放を予定していますが,実は一点だけ,「ハンゲーム会員のお客様は,第2次オープンβテスト期間中ワールドチャットを使えない」という制限があります。ハンゲーム会員のお客様は多少不便を感じるかもしれませんが,トラブルを避ける意味で今回はそういった措置を取らせていただきました。申し訳ありません。
4Gamer:
もともとワールドチャットはハンターライフコースでしか利用できない,つまりお金を払わないと利用できない機能ですから妥当なところですね。迷惑行為を目的に,無料期間を悪用する人がいないとは言い切れませんから。
杉浦氏:
もしそれでも迷惑行為があるようでしたら,運営に通報していただければ,きちんと確認したうえで必要なペナルティを課します。我々がお助けしなければならないラインを超えていたら,そこはきちんと対処します。
ただ,オープンβテストにおけるチャットの賑わいというのは,独特の楽しさがあると思うので,それを全面的に禁止するのもどうかと思うんですよ。クエストメンバー募集チャットしか流れないというのは,あまりにも味気ないでしょうし。
もし,初めてログインして聞きたいことがあるなら,「今いる場所」でのエリアチャットを使って質問していただければと思います。
4Gamer:
度を越さない,ハメを外しすぎない程度ならってことですよね。それではここで,第2次オープンβテストについての意気込みをお願いします。
杉浦氏:
新しいお客様を増やして,既存のお客様に新しい出会いの機会を提供することもまた我々の重要な仕事です。今後も新しいお客様を増やすことと,新しい試みは意欲的に続けていきます。ご迷惑をかけないようがんばりますので,ご理解いただければと思います。
またハンゲームのお客様には,おそらく,今のハンゲームにはないタイプのゲームだと思いますので,無料期間やお試しの段階でぜひ一度入門区に降り立っていただきたいです。どういうゲームなのかプレイしていただいて,気に入ったら続けていただけると嬉しいです。
待望の新フィールド「峡谷」と
最強(?)の新モンスター「ベルキュロス」
4Gamer:
それでは12月17日に実装されるシーズン4.0について,聞かせてください。まだプレビューサイトも全部公開されていないので,限定された内容になるとは思いますが。
杉浦氏:
このタイミングでお話できるのは,まず「峡谷」です。正式サービス開始時に実装した「樹海」以来,約1年半かかりましたが,ようやく新しい複数エリアタイプのフィールドをお見せできました。峡谷はベースキャンプの部分からも分かるとおり,ものすごく切り立った地形になっていて,峡谷らしい雰囲気が出ています。大昔は海の一部だったという設定がありまして,そういう設定が生かされた見た目のエリアも存在する作りになっていますね。
また峡谷は,六つのエリアとベースキャンプで構成されています。エリアが六つなのは,多いほうがいいという意見と,むしろ闘技場のように一つのエリアだけでいいという意見の中間を取った形です。エリアの数が少なめな分,各エリアに凝ったギミックを配置しようという意図があります。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
4Gamer:
そのギミックについて詳しく教えてください。
杉浦氏:
さまざまなギミックが用意されているのですが,その中には,新モンスターの「ベルキュロス」狩猟時に重要な役割を果たすものや,ほかのモンスターの狩猟時に役立つものがあります。
![]() |
お,ベルキュロスが峡谷に登場するであろうことは,シーズン4.0のメインビジュアルからもなんとなく想像できましたが,ほかにもモンスターが登場するんですね。どんなモンスターが登場するんですか?
杉浦氏:
ベルキュロスのほかは,ラージャンとティガレックス,そしてエスピナス亜種が登場します。
![]() |
4Gamer:
おお,エスピナス亜種は勝ち組限定のクエストで樹海頂部に現れましたが,通常のクエストでやっと塔以外のフィールドに登場するわけですね。では,新モンスターのベルキュロスについて教えてください。
杉浦氏:
まず対象ハンターランクは81以上になります。今まではハンターランク51か71での追加が中心だったんですが,ハンターランク61や81といった区切りのボリュームも厚くしていこうという考えからです。また,ハンターランク100以上を対象としたベルキュロスの「剛種クエスト」が登場します。
4Gamer:
おや? ハンターランク100以上のベルキュロスは変種ではないんですか?
杉浦氏:
はい。以前運営レポートで告知させていただきましたが,剛種クエストはハンターランク100以上対象の古龍のクエストが当分の間は中心になりますが,その剛種クエストにベルキュロスも登場することになりました。また特殊古龍武器も「剛種武器」に呼称が変更されますが,ベルキュロスの剛種武器も存在します。
4Gamer:
歯応えのある上級者向けクエストということですか。ところでベルキュロス自体は飛竜種ですよね。剛種の素材はどういう表記になるのでしょう?
杉浦氏:
ハンターランク100以上のベルキュロスからは「飛竜種の○○」といった汎用素材が手に入ります。仕様的には,現在配信中のハンターランク100以上のクシャルダオラ,キリンと同じですね。したがって,生産可能な武器はハンターランク81以上のものと,100以上の剛種武器の2種類になります。
4Gamer:
81のものを強化すると剛種武器になるのではなく,別物というわけですか。そのあたりは実装済みの特殊古龍武器と同じ扱いですね。
杉浦氏:
そうです。HR81のものも強化できますが,まったく別物です。
従来,剛種クエストは「ハンターランク100以上の古龍」という位置付けだったのですが,我々としては新モンスターがそこに絡まないのはもったいない。またお客様から見てもつまらないだろうということで,剛種クエストをよりおもしろくするにはどうすればいいか話し合って,古龍限定にするのはやめたんです。したがって今後は,新モンスターだけではなくほかのモンスターの剛種が登場する可能性もあります。
4Gamer:
なるほど。剛種の扱いは上級者向けという感じですが,バリエーションが増えるのは楽しみですね。
![]() |
それと,年が明けてしばらく経ったら,亜種とは異なる形で“第2のベルキュロス”をお見せできる予定です。まだ詳しくは言えないのですが,12月17日に登場するベルキュロスがすべてではないんですよ。見た目というよりは別の部分でですが。
4Gamer:
うーん,これはまた分かったような分からないような……。
杉浦氏:
シーズン3.0で実装したアクラ・ヴァシムは,いろいろとギミックを入れたこともあってお客様からの評価は高かったのですが,アップデートから2週間程度でそのギミックがほぼ攻略されてしまい,1か月を過ぎると「パターン化して少し飽きてきた」というご意見がありました。さすがはオンラインゲーム,インターネットでの情報収集と相性がいいと言いますか……我々としては複雑な気分ですが。
そこで開発スタッフがいろいろ考えて,なるべく攻略法などに1か月単位で変化が出るように,お客様への新たな提案を今回試みた,というわけです。
11月14日に公開する壁紙をよく見ると分かるので話してしまいますが,年末には古龍剛種としてテオ・テスカトルを配信し,関連したSP防具も実装されます。加えてL/Rシリーズの防具も十数種類登場します。
![]() |
![]() |
シーズン4.0のパッケージ特典防具のリアンシリーズは,デザインのコンセプトが今までとは違うベクトルですよね。
杉浦氏:
実は,リアンシリーズは腰の布飾りがヒラヒラ動くようになっているのですが,これは開発スタッフから「優れた能力はなかなか付与できないので,特別にお金を頂戴している以上は見た目だけでもなにか特典を付けてあげたい」という提案から実装に至りました。実際にご覧になって,ご感想をいただけたら幸いです。
4Gamer:
最近は生産したい防具が多すぎて手が回らないと思っていたのですが,これはさらに大変なことになりそうです。
あと,プレイヤーが気になるのは「超激運のお守り」や「プーギー牧場」,それと新スキルでしょうか。
![]() |
超激運のお守りは,1クエストで1個消耗するタイプのアイテムで,ハンターライフ継続コースに課金していただいたお客様に,一定数プレゼントする形になります。クエストに持っていくと激運の効果が発動するのに加えて,報酬で手に入る素材が増えるという効果があります。まあ100%効果が得られるわけではないですし,プレゼントする数も限られていますから,本当に“お守り程度”の効果という風に認識してもらえたらと思います。12月17日に公式サイトで詳細を発表しますので,気になる方はそれを確認してから,利用するかどうかを決めていただければと思います。
新スキルは,パッケージ特典の防具のリアンシリーズにも新スキルが含まれているので,ある程度は想像がつくかもしれませんが,詳細は発表をお待ちください。一番いいなと思う新スキルは,ベルキュロスの素材から生産できる防具にちゃんと用意させていただきましたが,お客様の評価が気になるところです。そのほかの情報は検証中のものもありますので,発表までもうしばらくお待ち下さい。
あとはちょっと気が早いのですが,2009年最初の大型アップデートではさらなる新モンスターと,そして新拠点の追加やメゼポルタ広場の完全リニューアルなどの準備がすでに進んでいます。まだお見せできませんが,期待してお待ちください。
4Gamer:
シーズン4.0ももちろんですが,それ以降の続報にも期待したいと思います。本日はありがとうございました。
このインタビューから,今回のチャネリングがMHFとハンゲーム両方が本気で取り組んだものであることは理解できた。ハンゲーム会員に期待する新規プレイヤー層や若年層の捉え方,そして新サーバー増設についての考え方などから,単に有料プレイヤーが増えればそれでいいと思っているわけではなく,既存/新規それぞれのプレイヤーが快適に過ごせる場を提供しようとする姿勢がいくぶんなりとも感じられたのではないだろうか。あとは第2次オープンβテストから正式サービスにかけて,トラブルが起きないよう願うばかりだ。
今回は,ハンゲームとの提携の話に紙面の多くを使ったが,シーズン4.0情報に関しては,12月17日の実装までにもう一度詳細なインタビューを敢行する予定だ。楽しみに待っていてほしい。
![]() |
![]() |
![]() |
(2008年11月7日収録)
- 関連タイトル:
モンスターハンター フロンティアZ
- この記事のURL:
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.





































