2009年のファミスタ日本一プレイヤーが決定
NHN Japanは8月29日,「
プロ野球 ファミスタ オンライン 3」の公式イベント
「第3回 ファミスタ オンライン 全国トーナメント 〜決勝大会〜」を開催した。
本決勝大会は,7月2日から15日にかけてのオンライン予選で,上位成績を収めた20名が,ラゾーナ川崎にて腕を競い合うというもの。オンライン予選には約1万4000人ものプレイヤーが参加しており,その中から日本一のファミスタプレイヤーを決定しようというわけだ。
決勝大会はトーナメント形式で,各試合は6回イニングまでで行われる(延長有り)。選手カードは2009年版のみが使用可能,そして操る選手や装備品のキャパシティを示す“デッキWP”の上限は,700というレギュレーションだ。
ファミスタオンラインにおける6回までのプレイ時間は,だいたい16〜20分前後で,当然ながら実際の野球と比べるとスピーディな展開だ。そんな試合の実況をプロのアナウンサーが行うというのが,本イベントの面白いところだ。今回の実況を行った
斉藤一美氏は,ラジオ文化放送の“ライオンズナイター”を担当している,現役バリバリのアナウンサーである。
斉藤一美氏はプロとしての腕を存分に発揮。プロ野球の膨大な知識を聞くだけでも面白かったが,西部ライオンズの選手にはとくに力が入っていたようだ
 |
 |
この実況っぷりがとにかく強烈。早いペースの試合運びに負けじと,矢継ぎ早に実況を続け,時折「空振り三振ーーー!!」「打った,二岡また打ったーーー!!」などといった絶叫が会場内に響き渡る。この臨場感を文章で伝えるのはとても難しいが,強引に例えるならテンションが妙に高い早口言葉を,息継ぎを行わずに延々と続けている,といった姿が近いかもしれない。
BNGの三小田氏は「参加した皆さんからファミスタが好きなんだなというのが伝わってきました。作り手としてこんなに嬉しいことはないです」とご満悦
 |
また解説を務めた,バンダイナムコゲームスの
三小田晋久プロデューサーとの息もピッタリ。先述の通りWPの制限があることから,プレイヤーは有名選手ばかりをデッキに揃えることはできない。実際のプロ野球では2軍にいる選手も登場するため,斉藤アナですら選手名がパッと出てこないケースが時折ある。そのような場合でも,三小田プロデューサーから「この選手は***のチームでですね」といった的確な解説がすかさず入るのだ。
これまで数多くのゲームイベントを取材してきたが,実況解説のトークだけでも楽しめる,といった経験はなかなか珍しい。しかも試合内容を単純に実況するだけでなく,各選手の経歴や今期ペナントレースの状況などを巧みに織り交ぜてくるのだ。個人的には,あたかもプロ野球を観戦している気分で,思わずビールと枝豆が欲しくなってしまったほどだ。
本イベントはアミューズメントパーク内の一角にて行われた。偶然訪れた子供連れなどの来場客が,足を止めて見入っている姿もちらほら
 |
 |
イベントの主役である各選手達のプレイを見ていくと,特殊効果が得られる“アシストカード”を使った際に,試合が大きく動いたケースが目立った。例えば攻撃側がアシストカードの「ラッキー7」を使うと,そのイニング中は全打者が“絶好調”の状態(打席で構える際にバットを揺らすアレ)になり,一挙に大量得点が狙いやすくなる。
磯山さやかさん
 |
ただし,守備側のプレイヤーもそれを黙って見過ごすわけはなく,投手のスタミナがイニング中は常時MAX状態になる「ガソリンタンク」や,25mの向かい風が吹く「強風↓」などのアシストカードで対抗する。とくにガソリンタンクを使った際は,160km/h代の剛速球が連発し,力と力が真正面からぶつかり合うパワーゲームとなる。このタイミングで点を入れられるか,あるいはきっちり守れるかが,試合結果を大きく左右していたようだ。
そんな激戦が繰り広げられるなか,スペシャルゲストとして
磯山さやかさんが登場。磯山さやかさんは,過去のファミスタで公認マネージャーを務めており,実際のゲーム内でも,マスコット的なチームの「磯山ミルフィーユ」や,アシストカードの「磯山さやかの応援」(全員の守備力と肩力が+10という効果)などで登場している。高校の頃は野球部のマネージャーだったという過去のエピソードや,最近のプロ野球で注目している選手などのトークを交えつつ,各選手を応援していた。
決勝戦まで駒を進めたのは,
“masa464646”選手と
“8オレゴン”選手だ。2人とも日本ハムをベースにしたデッキ構成で,これまでの試合での失点数はそれぞれ4点/3点と(8オレゴン選手は不戦勝あり),守備力の高さで共通している。
その秘訣はプレイヤーのテクニックはもちろんのこと,日本ハムにダルビッシュ有選手が含まれている点も大きいだろう。前回のWBCで,名実共に日本球界を代表する投手となった彼だが,こういったデータが毎年反映される本作においても,プレイヤーの人気はとくに高いようだ。
そのため決勝戦の試合内容も,最初はダル対ダルの投手戦になるかと思われた。しかし,そこはファミスタ日本一の決定戦であるからして,一筋縄にはいかない。masa464646選手は8オレゴン選手の堅い守りを切り崩し,毎回得点の勢いで点を重ねていく。
とくに目ざましい活躍をしたのは二岡智宏選手で,両チームを合わせると,なんとこの試合だけで4本ものホームランを量産していた(実況するほうは混乱していたかもしれない)。
そして最終回となった6回裏,9対5と追い詰められた8オレゴン選手は,起死回生を狙うべくアシストカードを投入。それに対抗するためmasa464646選手が繰り出したカードは,なんと先述した「磯山さやかの応援」。この茶目っ気のある演出には,ステージ上で見守っていた磯山さんも大喜び。彼女のリアル応援が届いたのか,8オレゴンの猛攻打線をシャットアウトでゲームセット。ファミスタ日本一の栄冠は,masa464646選手の頭上に輝いた。
今回のイベントを振り返ると,選手のプレイももちろんそうだが,実況解説のうまさがとくに心に残った。本職のアナウンサーである斉藤氏も,最初にこの仕事のオファーを受けたときは,「ゲーム展開があまりにも速すぎるため難しいのでは」と感じたらしい。ちなみに斉藤アナは本イベントの終了後,横浜スタジアムでのナイター中継の仕事へ向かった。「きっと物足りなく感じるでしょうね(笑)」と語っていたが,本当にそうかもしれない……。
全体的に見ると,イベントとしては大成功の内容であった。本作の大会はこれまで半年のスパンで行なわれているが,来年のペナントレースが始まる頃に,次の大会を再び見てみたい。また,今回の決勝大会はスタッフによるビデオ録画が行なわれていたので,こちらも何らかの形で公開されることに期待したい。