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「FFXI」のオフラインイベントに歴代ディレクターが勢揃い。10年の歴史から生まれた開発エピソードが明らかに
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印刷2012/06/25 16:14

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「FFXI」のオフラインイベントに歴代ディレクターが勢揃い。10年の歴史から生まれた開発エピソードが明らかに

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 スクウェア・エニックスは2012年6月23日と24日の2日間,MMORPG「ファイナルファンタジーXI」PC / Xbox 360 / PS2)(以下,FFXI)のオフラインイベント「A DECADE OF FINAL FANTASY XI VANA★FEST2012」(以下,ヴァナフェス)を開催した。

 大小さまざまなアトラクションが行なわれたが,同作の歴代ディレクター達を集めてのトークセッションもその1つ。コンシューマ機初のMMORPGとして2002年に登場し,10年わたって運営され続けている本作のさまざまなエピソードが紹介されたのだ。本稿では,このセッションの模様を,会場で行なわれたそのほかのアトラクションの様子などを添えてお届けしよう。

この日のためだけに作られたムービー「プロジェクトXI 開発者たち」も披露された。人気テレビ番組風のつくりで,テーマ曲は中島みゆきさんの「地上の星」
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トークセッションの聞き手を務めたのは,FFXIプロデューサーの田中弘道氏と声優の加藤英美里さん


ヴァナ・ディールの骨組みを作り上げた

石井浩一氏のこだわりとは


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 “レジェンダリディレクター”として最初にステージに招かれたのは,現在ゲーム開発会社のグレッゾで代表取締役を務めている石井浩一氏。FFXIでは10年以上前の開発初期段階において,ゲームコンセプトなどの開発作業に深く関わった人物である。

 石井氏によると,FFXIの世界“ヴァナ・ディール”を構築するときには,初代「ファイナルファンタジー」の透明感ある幻想的な世界を目指したという。ファイナルファンタジーの対応ハードであったファミリーコンピュータとはマシンスペックが比較にならないほど高くなっていたため,自分達なりのファイナルファンタジーをあらためて表現したい,という強い想いがあったそうだ。

 とはいえFFXIを開発を始めた頃は,MMORPGというゲームジャンルが社内外にあまり浸透しておらず,作業の多くが手探りの状態だったとのこと。同社にとっても初のオンラインゲームということもあり,面と向かって「オンラインゲームなんて成功するわけがない」と言われることもあったそうだ。当時のスタッフはそういった横槍に対して「今に見てろよ!」という思いを胸に,開発を続けていった。外野からの声をエネルギーをに変えるタフさが,ゲーム開発者には大切なのかもしれないと石井氏は当時を振り返って語る。

 続いて話題はFFシリーズの醍醐味でもある多種多様な乗り物に移った。FFXIでも,“チョコボ”“飛空艇”などは欠かすことのできない存在になっているが,これらの要素を導入するときには,乗っている本人だけでなく,それをほかのプレイヤーが見た場合にも,同期や座標が合うことにこだわったという。

 例えば,フィールドエリアを冒険中に頭上を見ると飛空艇が目に入ることがあるが,それらの場所は運行状況にきっちり反映されている。逆に飛空艇から眼下を見た場合も,エリアの景色が反映されるのはプレイヤーもご存知のことだろう。

 便利な乗り物に乗れば冒険は行いやすくなるが,それだけがすべてではない。一見,無駄に思えるようなことにも,大切なものがあると石井氏は語る。例えばマイキャラは最初徒歩で冒険し,次第にチョコボ,船,飛空艇などが利用できるようになる。こうやって少しずつ段階的に移動手段を開放させていくことで,プレイヤーが世界の広さをより深く実感できるようにしたかったのだそうだ。

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 もし,序盤から飛空艇に乗れたとしたら,今とは大分違ったプレイフィールになっていたかもしれない。これに対し加藤さんは,サルタバルタ地方で長いあいだ見上げてきた“星の大樹”が,飛空艇に乗ったとき眼下に小さく見えたのが凄く感動的だったと,プレイヤーならではの感想を述べていた。

 来場客の中には,石井氏がディレクターを担当していた頃のFFXIをプレイしていない人も多かったかもしれない。だが,石井氏が紛れもなくヴァナ・ディールの骨組みを作ってきたスタッフの一員だと感じさせるトーク内容であった。

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河本信昭氏,小川公一氏,松井聡彦氏もエピソードを紹介


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 続いて登場したのは河本信昭氏。FFXIでは開発初期において主に“バストゥーク”地方のシナリオを手がけ,拡張ディスク「プロマシアの呪縛」などではディレクターを担当した。現在河本氏は,「ファイナルファンタジーXIV」PC / PlayStation 3)のリードプランナーとなっている。

 河本氏らのスタッフは,コンテンツを実装した後にプレイヤーの反応を調べるべく,開発者であることを隠して一般プレイヤーと共に冒険することが多いという。得られるフィードバックは大いに参考になるものの,手塩にかけて開発したシナリオの反応がイマイチだったりすると,落ち込んだりすることもあるそうだ。

 そのほかには,サンフランシスコで開催されたFFXIのオフラインイベントの思い出話も紹介。コスプレイヤー達のクオリティの高さに驚いたものの,記念撮影をするチャンスがなく残念だったとのこと。それを受けた田中氏が,ミスラのコスプレをしたコンパニオンに囲まれている写真を自慢げに披露。河本氏はちょっと羨ましそうだった。

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 3番目に登場したのは,河本氏の後を受けてディレクターに就任した小川公一氏。主に「アトルガンの秘宝」「アルタナの神兵」を開発しているときの苦労話を聞かせてくれた。

 数ある苦労の中でも,モンスターの大群から首都を防衛するバトルコンテンツ“ビシージ”の立ち上げ時は,首都に攻め込む前にモンスターが全滅させられてしまったり,たとえ攻め込んでも,ポップ位置で大勢のPCに待ち伏せされたりと,困難の連続だったという。多対多のバトルを盛り上げるべく試行錯誤を重ねていったそうだ。

 アルタナの神兵を開発する際は,当初“タブナジア”“ひんがしの国”などが候補に挙がったもの,スケジュール等の都合上,従来コンテンツのリソースを活用できる“過去のヴァナ・ディール”に決定。初期に作ったオブジェクトの名残りは,“ブンカール浦〔S〕”の北部にある,ヴァイキング風の集落に残っているそうだ。

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 最後の登場となったのは,現在はFFXIVでリードバトルプランナーを担当している松井聡彦氏。FFXIのディレクターを担当していた期間は短いものの,松井氏が陣頭指揮を執ったバージョンアップは,FFXIプレイヤーから高い評価を受けている。

 松井氏はゲーム内の膨大なパラメータと格闘することが多く,バグの多さに悩まされていたそうだ。クリスマス関連のイベントでモンスターを出現させたところ,その膨大すぎるHPを前にしたプレイヤーが興味をなくしてしまったため,年末の休暇の最中に出社して修正。そのほかにも,謎の巨大生物が出現するイベントの際に“古代の剣”の特殊効果が原因で起こったバグや,ハロウィンイベントでもらえる“トリックスタッフ”の利用制限など,慌てて修正したエピソードを語ってくれた。

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 なお松井氏は24日のヴァナフェス閉幕式にて,FFXIに“プロデューサー職”として復帰することが発表された。現在のプロデューサーである田中氏は勇退し,スクウェア・エニックスからも退職となる。田中氏が去るのは残念だが,新体制によるFFXIの今後に期待したい。


会場で行われたさまざまなアトラクションを紹介


 ヴァナフェス会場にて行われたほかのイベントについても,写真多めでざっくり紹介していこう。

ナイズル島をモチーフにした特設バトルコンテンツ“ヒロインズタワー”。ステージイベントの参加チームは,リリゼットとナシュメラに挑戦した。リリゼットの分身術,ナシュメラのオートマンン2体による強烈な連携などに参加チームは苦戦していたようだ
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来場客参加型の早押しクイズでは,ステージで絶叫させるなど一筋縄ではいかない問題の数々に挑んだ。司会者のトークも巧みで会場内は大盛り上がり
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来場客が会場内に点在するヒントを辿って挑む“ライブクエスト”。かなり難しそうな問題で,会場内では来場客同士が相談している様子がそこかしこで見られた
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水田直志,伊賀拓郎,岡部磨知の3名による新ユニット「Nanaa Mihgo's」は24日も登場。“Kazham”“Voyage”“Rolanberry Fields”の素敵なアレンジで来場客を魅了した
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ステージイベントのトリを勤めたのは植松伸夫氏が率いる「EARTHBOUND PAPAS」。“Distant Worlds”やFFシリーズの人気曲をロックアレンジで披露した
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