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電王戦,なんで勝てたんですか?――「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第15回は,「BM98」を開発した伝説的なプログラマー・やねうらお氏がゲスト
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印刷2013/12/24 10:00

インタビュー

電王戦,なんで勝てたんですか?――「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第15回は,「BM98」を開発した伝説的なプログラマー・やねうらお氏がゲスト

クソゲー担当の全国スコアラーだった昔


4Gamer:
 えっと,結局ちゃんとプレイしたって意味では,どのゲームが最初になるんですか?

「グラディウス」(画面はPCエンジン版)
(C)Konami Digital Entertainment
やねうらお氏:
 なんだろう。ちゃんとプレイしたのは「グラディウス」が最初かもしれないですね。「グラディウス」は一応,僕は“1000万点プレイヤー”なんですよ。

川上氏:
 へえ。凄いですね。

やねうらお氏:
 あの頃,僕はとあるゲーセンの常連で,そこには全国スコアラー達が集まっていたんですけれど,その仲間のなかで,「おまえはこのゲームで全国1位を取れ!」みたいな役割分担があって。

川上氏:
 分担があるんですか(笑)。

やねうらお氏:
 あったんですよ(苦笑)。で,僕はいつもクソゲー担当で。「ずんずん教の野望」とか,マイナーなゲームばっかりやらされてました。

4Gamer:
 「ずんずん教の野望」で全国1位だったんですか(笑)

やねうらお氏:
 あ,いや。「ずんずん教の野望」は,全国1位のスコアは出したんですが,申請した月に,永久パターンが発覚して。全国スコアのルールだと,永久パターンが発覚すると,もうスコア集計は打ち切りなんですね。だから,「ずんずん教の野望」で正式な1位にはなってないんですけど。他には,「ピストル大名の冒険」とかも僕の担当だったんですけど,こんなゲームみんな知らないだろうなぁ……(苦笑)

4Gamer:
 じゃあ「グラディウス」も,そうした担当の一つだったんですか?

やねうらお氏:
 「グラディウス」は別に担当じゃなかったんですけど,面白いからずっとやってました。「グラディウス」は,ほんとに頭オカシイくらいプレイしていて。実は今度,ニコニコ動画にプレイ動画をアップしたいなと思ってるんですけど。

4Gamer:
 どんなプレイ動画ですか?

やねうらお氏:
 えっと,ピアノでBGMを完璧に弾きながら足でレバーとボタンを操作して,ノーミスクリアを目指すっていう奴を……(笑)

一同:
 (爆笑)

川上氏:
 そんなことが可能なんですか。

やねうらお氏:
 はい,可能だと僕は信じてます。ただ,一周目だと簡単すぎて面白くないので,3周目以降のステージを足でプレイするって挑戦を,ここ何年かずっとやっているんです。でも,それがなかなかクリアできなくて。これが完璧にやりきれたら,ニコニコ動画で100万再生くらい狙えるんじゃないかと,毎年そういう気持ちでずっと頑張ってるんですけど。

川上氏:
 面白すぎる(笑)。それ,完成したらニコファーレで発表会やりましょうよ。

4Gamer:
 完成記念イベント的な……。でも,失敗した動画でもいいから,一回見てみたいですね。

やねうらお氏:
 いやいや。でも最近,だいぶ良い感じに仕上がってきたので,もう少し待ってください。毎年,熱病のように一週間くらいかけてがーっと挑戦してるんですけど,もう1〜2か所調整すれば,かなり精度がよくなるはずです。

川上氏:
 あるいは,毎年好例の年末企画とかにして,やねうらおさんが挑戦する様子を生放送でだらだら見守る,駄目だったらまた来年頑張るみたいなものでもいいかも。きっと,ダイオウグソクムシに続くヒットコンテンツになりますよ!


「ラグナロクオンライン」が人生そのものだったあの頃


4Gamer:
 ところで,やねうらおさんはオンラインゲームとかは遊ばれなかったんですか?

やねうらお氏:
 オンランゲームって,あれは終わりがないゲームじゃないですか。だから本当は,僕みたいな人間はやっちゃ駄目なんですけど,「ラグナロクオンライン」だけはかなり遊び込みました。オンラインゲームは,あれが最初で最後ですね。

川上氏:
 それは相当やったんですか。

「ラグナロクオンライン」。一時期は,街の通りを埋め尽くすほど個人露店が並んでいた
ラグナロクオンライン
やねうらお氏:
 本当に廃人レベルでプレイしてました。「ラグナロクオンライン」では,僕は商人をやっていたんですけど,基本的には転売をうまくやればお金は儲かっていくから,全然狩りとかにはいかなくて。でも,お金だけはめちゃくちゃ持ってるみたいな,そういうプレイヤーで。
 「ラグナロクオンライン」のβテストが終わって本稼働するときに運営によるアイテムのリセットがあったんですけど,あのリセットがなかったとしたら,RMTで換金したらリアルで一軒家が買える程度のゲーム内の資産がありましたね。

4Gamer:
 実はかなり名の知られたプレイヤーだったりしたんですか?

やねうらお氏:
 そうですねぇ。例えば,強いギルドの人らって,レアアイテムとかをゲーム内のお金に換金したりするわけですが,高額のアイテムになってくると,それを扱える商人は数えるほどしかいなかったんです。だから強いプレイヤーの多くは,必然的に私のことを知ってるみたいな状況でした。例えば,「ラグナロクオンライン」の日本公式大会「RJC」が初めて開催された2005年に優勝し,翌2006年も連覇したCafeteriaという強豪ギルドのギルドマスターとも当然の如く私は知り合いで,いまでも彼とはリアルで付き合いがあります。

川上氏:
 ちなみにハンドル名はなんだったんですか。

やねうらお氏:
 えっと,その時は「まいにちあゆみ」っていうキャラでしたね。

川上氏:
 なんか凄い名前ですね(笑)。じゃあ,この記事を読んで「ああ,あのキャラはこの人だったのか!」と反応する読者さんもいらっしゃるということですね。

やねうらお氏:
 そうかもしれませんね(苦笑)。まぁ,別に素性を隠してたわけでもないですが。

4Gamer:
 ふうむ。あの,ここだけの話,「ラグナロクオンライン」をプレイしている頃って,より快適に遊ぶためのツールとか,システムを開発したりってことはしなかったんですか? やねうらおさんって,お話を聞いている限り,かなり根っからのハッカー気質ですし……。

やねうらお氏:
 えっとね……。

川上氏:
 ああ,絶対作ってそう。

やねうらお氏:
 いや,それがですね。「ラグナロクオンライン」では,僕はそういうことにはいっさい手を出さなかったんです。それまでいろんなゲームを逆アセンブルしまくっていた僕ですが,「ラグナロクオンライン」は,普通に睡眠時間を削ってプレイしていて。僕は商人だったから,街で露店を開いていたんですけど,寝るときも,30分おきに目覚ましをかけて,売れてるかどうかチェックしてみたいな。

川上氏:
 マクロとかも組んでなかったんですか?

やねうらお氏:
 あのですね。当時の僕にとって,「ラグナロクオンライン」での生活って,リアルの人生よりもウエイトが大きかったんですよ。だから,万が一にでもBANされてしまったら,それこそ本当に人生が終わってしまうというか。そういう恐怖感があって(苦笑)

一同:
 (爆笑)

川上氏:
 神聖すぎて手を染められなかったと。

やねうらお氏:
 はい。あの時は「ラグナロクオンライン」が僕の人生のすべてでしたから。キャラが消されるっていうのは,命を奪われるに等しいわけです。実際,リアルの世界でも悪いことしたら刑務所に入らなきゃいけないし,そんなことしたら自分の人生が駄目になってしまいますよね。そういう感覚とまったく一緒だった。技術的には,たぶんいろいろできないこともなかったとは思うんですけどね。

川上氏:
 いや,僕もそういう気持ちはとてもよく分かるんですよ。煩わしい現実の世界のことは忘れて,ゲームの世界に没頭したいって願望が僕にもありましたから。

やねうらお氏:
 でも川上さんも,なんかちょっとだけMMORPGをされてたみたいな話がありましたよね。

川上氏:
 ああ,それは「ウルティマ オンライン」ですね。僕は3日間で止めちゃったんですけども。

やねうらお氏:
 というか,よく3日で止められましたよね。僕だったら無理ですわ(苦笑)

川上氏:
 いや,なんというんですかねぇ。「ウルティマ オンライン」ってあまりに面白くて,僕は飲まず食わずで本当に3日間ぶっつづけで遊んでたんですが,3日めに差し掛かった頃に,それまでの人生で体験したことがない感覚……要するに「あ,倒れる」って感覚を味わって(笑)

一同:
 (笑)

川上氏:
 あ,これは続けるとヤバイぞってその時に直感したんですよ。身体的に持たないし,会社も潰れると。だから,最後の気力を振り絞ってアンインストールボタンを押して,最後まで見届ける前に寝た!みたいな。そういう感じだったんですよ。
 でも僕,そこで「ウルティマオンライン」に,あの黎明期最初の盛り上がりに乗れなかったのが,本当に悔しくて。その後もしばらくは,別のゲームから新たに参加することにさえ,自分の中では拒否反応がありましたからね。



ドワンゴって一言で表すなら「泥船」だと思ってる


川上氏:
 いやぁ,やねうらおさんって,ホントに生き方が素晴らしいよね。まさに僕が理想とする生き方をしていて(笑)

やねうらお氏:
 ははは(笑)。でも私,実はドワンゴに入りたかった時期があるんですよ。

川上氏:
 え,そうなんですか!

やねうらお氏:
 そもそも,将棋ソフトを作り始めたきっかけだって,ドワンゴさんが原因でしたからね。「やねうら王」って4年ぐらい前に作り始めたんですけど。

川上氏:
 原因?

やねうらお氏:
 いや,あの。というのもですね。以前,お正月にドワンゴに面接に行く夢を見まして(苦笑)

川上氏:
 マジですか(笑)

やねうらお氏:
 コンピューター将棋で一番強いってことは,一番強いAIを作れるってことなんやと。で,「ソーシャルゲームとか作るときに優秀なAIが要るでしょ?」「どや? 雇わんか?」みたいな,そういう夢を見て。「これだ!」と思い立って,それで将棋ソフトの開発に取り組み始めたんですよ。

一同:
 (爆笑)

川上氏:
 まぁ,当時のドワンゴに来られても,ちょっと困ったでしょうけど(笑)

4Gamer:
 でも,やねうらおさんって,以前から会社をいくつか経営したりしてるんですよね?

やねうらお氏:
 まぁ,細々とですけどね。ただ僕は,会社の立ち上げは好きですけど,経営をしていくこと自体は好きじゃないので。なんか思い付いて,会社を立ち上げるところまではやるんですけど,最初の骨組みだけ作った後は他の人に任せてしまうことが多いんです。RPGとかでも,どのステータスに振るのが一番強いんだ?とか,そういうのを考えるのは好きだけど,レベル上げの作業とかは嫌いですからね! だから最近は,あんまり仕事はしてないんです。

川上氏:
 じゃあ今度,ぜひウチで講演というか,勉強会の講師をしてください! 絶対にエンジニアの刺激になると思う(笑)

やねうらお氏:
 ぜひぜひ。でも,今日改めて思いましたが,ドワンゴって本当に不思議な会社ですよね。なんか経営ゲームとして考えると,すっごい危なっかしいプレイというか,毎回綱渡りみたいなことをしてますし。

川上氏:
 ほんと,綱渡りですよね。

やねうらお氏:
 正直,お金を儲けるだけなら,もっと簡単な方法があるだろうとは思うんです。だけど,きっとそこであえて綱渡りしているのが,川上さんというか,ドワンゴの良さなんだろうなぁとも感じていて。

川上氏:
 綱渡りしたくてしてるわけでもないけど……。

やねうらお氏:
 それに,なんかドワンゴって,一言で表すなら,僕は「泥船」だと思ってるんですよ。

4Gamer:
 ああ,放っておいたら沈んでしまう的な。

やねうらお氏:
 そうそう。

川上氏:
 確かにねぇ(苦笑)

やねうらお氏:
 ところが,川上さんやドワンゴって会社には,「これは泥船だから,みんなで下から支えてあげないといけない!」みたいな。そう思わせる魔力みたいなものも,同時にあるなって感じていて。ニコニコ動画だってそうですよね。そういうのがなかったら,あれって単なる泥船でしかなくて,海に出た瞬間に沈んでたはずなんですけど。

4Gamer:
 そうですね。

川上氏:
 そう言われると,確かに僕って,よく泥船を設計するんですよ(笑)

4Gamer:
 これまでの連載のお話からしても,その辺,ちょっと確信犯的なものは感じますけども。

川上氏:
 だってさ。何かサービスを作るときって,いろいろな道や方法があるじゃないですか。で,5〜10年は持つけど作るのが大変な方向と,直近1〜2年を目くらましするだけの方向がって,どっちを選ぶかっていうと,僕はたいてい後者を選んでしまうんです。

4Gamer:
 それはなんでですか?

川上氏:
 それに掛かるコストだったり,5年後のことを想像すると,なんかね,とりあえず1年くらいうまい事やれればもういいじゃん!みたいな感じになるんですよ。だいたい,5年後どうなるかなんかどうせ予測できないし,そもそも,僕自身も5年後なんか働いていたくねーとか,そういう発想が常に頭の中にあって。長期的なプランっていうのが,いまいちピンと来ないんです。

やねうらお氏:
 よく会社を売らなかったですよね。

川上氏:
 だって,誰も買ってくれなかったんだもん(笑)

やねうらお氏:
 泥船だからですか(笑)

川上氏:
 たぶん,そう(笑)。実際,全盛期の堀江さんにも,「ドワンゴは高いから買わない」って言われましたからね。でも本当は,誰かにドワンゴを譲って,もう終わりにしたいって,そういう気持ちは常にありました。

4Gamer:
 ふうむ。

川上氏:
 だから,僕の理想っていうのはね。どこかの会社がドワンゴに買収を仕掛けて,それに必死に抵抗するんだけど,負けてしまって,やむなく追い出される――みたいな。そういうシチュエーションを,僕はずっと夢見てたんですけどね。でも実際は,誰もドワンゴなんて欲しがらなかったっていうか。そんな感じなんですよねぇ。

やねうらお氏:
 なるほどぉ。まぁとりあえずは,僕も泥船を支える一人になりますっていうか,頑張って電王戦を戦いますよ!

川上氏:
 ありがとうございます。じゃあ,今日のところはこんな感じですかね?

4Gamer:
 そうですね。

やねうらお氏:
 今日はとても楽しかったです。ありがとうございました!

(つづく)


川上量生(かわかみのぶお):
ドワンゴ代表取締役会長。1968年,愛媛県生まれ。京都大学工学部卒業後,ソフトウエア専門の商社勤務を経て,1997年に株式会社ドワンゴを設立。携帯電話向けサービス「いろメロミックス」などをヒットさせ,同社を東証一部上場企業へと成長させた。近年では,ニコニコ動画を成功に導くなど,独特の考え方をする実業家として知られる。2011年1月に突如としてスタジオジブリに入社し,プロデューサー見習いとして,鈴木敏夫氏に師事している。なお,本連載をまとめた川上氏の初の単著「ルールを変える思考法」も発売中。

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