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ドコモがアップルになれなかった理由とは――iモード開発の舞台裏が語られる「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第14回は,絵文字の生みの親・バンダイナムコゲームスの栗田穣崇氏がゲスト
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印刷2013/11/12 00:00

インタビュー

ドコモがアップルになれなかった理由とは――iモード開発の舞台裏が語られる「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第14回は,絵文字の生みの親・バンダイナムコゲームスの栗田穣崇氏がゲスト

「リアルユーザー」がサービスを作るべき


栗田氏:
 着メロ時代のドワンゴの話でいうと,僕的に印象深いのは,あの“複数のゲームをまとめて一つにする”っていう奴なんですよ。あの手法を最初にやったのはドワンゴでしたよね。あれは,「ルールを変えに来たな」って思って。

川上氏:
 いや,あれはルールを変えにいったというよりは,“そういうルール”だったんだもん。僕らはただそこに適応しただけですよ(笑)。

4Gamer:
 ん,何があったんですか?

栗田氏:
 いや,あの当時のiモードでは,サービスのメニューから入っていくお客さんの割合が大きくて,メニューの順番っていうのが,ビジネスの上でかなり重要なファクターだったんですよ。

4Gamer:
 ああ,AppStoreでいう,ランキングみたいな。

栗田氏:
 そうそう。ドコモ側としては,そこは公正な形にすべきだろうって考えていて,人気順=会員数順で並べていたんですね。まぁランキングですよね。人気のものが上に来ますよと。で,最初はタイトル単位でメニューが並んでいたんですけれど,ドワンゴは,自社のゲームを一つにまとめるってことを,一番最初にやったんです。

4Gamer:
 会員数を合わせて,より上位に表示されるように?

栗田氏:
 そう。そのために,課金も全部まとめてしまった。それを見て,コナミや他のメーカーも追随して,僕らは僕らで,「ゲームパック」ってカテゴリを作ったりして。僕から見ていて,結構印象に残る動きだったんですよ。

川上氏:
 いや,あれはですね。ランキング対策っていう意味合いも確かにあったんですけれど,それだけではなくて。ビジネスモデルとして,各タイトルをバラバラに立ち上げて展開していくよりも,一つにまとめて,そこに対して新作を投入していった方が明らかに効率的だっていう。純粋な売り上げの数字上の理由からなんですよ。
 あの時,コンテンツプロバイダの戦略はいくつかあって。さっき話に出たインデックスやサイバードなんかは,たくさんの新作タイトルを次々に作って,そのタイトル自体は使い捨てにするってやり方。メンテナンスコストとかも最低限に抑えて,最初に掴まえたお客さんから惰性で儲ける,新しいお客さんは次のタイトルで掴まえるってモデルだった。

4Gamer:
 ちょっと一時期のソーシャルゲーム市場にも近い感じですね。

川上氏:
 でもそれは,ユーザー数が減っていけば,最低限のメンテナンスコストすらだんだん払えなくなっていくし,そもそもエンターテイメントのビジネスって意味では,焼き畑に近い手法だから,そういうのはやりたくない。だから僕は,全部一か所にまとめて,タイトルも数を絞って,プロモーションから何からをそこに集中させた方が得だと思っただけなんですよ。

栗田氏:
 でも,やっぱり最初にそれをやったのが凄いと思いますけどね。

川上氏:
 それに,あのやり方自体は着メロ事業の「いろメロミックス」の方が先で。ゲームに適用したのはその後なんですよ。

栗田氏:
 そういえば,そうだったかも。

川上氏:
 「いろメロミックス」も,着メロサイトとしては後発だったから,他社と差別化しようといろいろ研究していて。あの時は,栗田さんには本当にお世話になりました。

栗田氏:
 いえいえ。「いろメロミックス」の成功は,横澤くん()や坂本くん()の頑張りの結果でしょう。

※横澤大輔(よこさわだいすけ):ドワンゴ 執行役員 CCO。「いろメロミックス」「ニコニコ動画」をはじめとして,ドワンゴのさまざまな事業/イベントを手がけてきた人物。ニコニコ超会議では統括プロデューサーを務めた。ドワンゴコンテンツ(旧・CELL)の代表取締役会長でもある。本連載の第6回,および第11回に登場。

※坂本義親(さかもとよしちか):ORSO代表取締役社長。大学在学中に横澤氏と共同で有限会社CELLを立ち上げ,「いろメロミックス」を成功に導いた。その後も,数々の携帯電話向けサービスに携わっている。

川上氏:
 いや,本当にあの二人のおかげだよね。最初,ドワンゴで着メロサイトをやるって決めたときに,「彼らが秘密兵器だ!」とか言って,社内で紹介したんだけど,みんなポカーンって感じで(苦笑)。

栗田氏:
 そのときはまだ二人とも10代,18〜19歳だったじゃないですか。そりゃポカンともなりますよ!

4Gamer:
 その話も結構凄いですよね。なんで川上さんは,そんな若者に全部任せようって決断をしたんですか?

川上氏:
 いや,だってさ。そのときのドワンゴの携帯チームの一番の問題って,どう考えても,みんなが「リアルユーザー」じゃなかったことなんですよ。自分では使わない,自分では遊ばないって人が,携帯向けのコンテンツを作っていたんです。そんなの,どう考えたってうまく行くわけがない。

栗田氏:
 それは間違いなくそうですね。僕も,iモードの仕様を決めるときって,とにかく自分が欲しいと思うものをぶち込むって感じのやり方をしていたんです。それが許されたからうまくいった側面ってあったと思います。

川上氏:
 絶対そうですよ。そもそも,僕は着メロサービスに参入するにあたって,競合相手の状況を凄く頑張って調べたんですよ。で,そこで分かったのは,どこの大手サイトも,やっぱりね,オッサンが作っているわけですよ。

栗田氏:
 そうですね。

川上氏:
 それも,どちらかというと,社内的には主流に乗りそこねた人達というか……。

栗田氏:
 そうそう(笑)。主筋じゃない方向ですよね。

川上氏:
 非主流派が,「お前は携帯でもやってろ」って感じで回されてるわけですよ。

栗田氏:
 当時はみんなそんなでしたよね。

川上氏:
 だから僕は「テレビCMの撃ち合いとか,非主流派だと社内で決裁を通すのが難しい勝負に持ち込めれば,後発でも勝てるな」と思って,着メロ事業に参入することに決めたんです。


いろメロミックスのエイプリルフール企画がニコニコの原点?


栗田氏:
 しかし,ドワンゴって今は「ニコニコ動画」のイメージが強いと思いますけど,いろメロミックスの時から変なことばっかりやってましたよね。

川上氏:
 え?(笑)

栗田氏:
 例えば,エイプリルフールコンテンツをiモードで一番最初にやったのも,確かドワンゴ(いろメロミックス)だったような。

川上氏:
 ああ,そうかも。

4Gamer:
 エイプリルフールコンテンツ?

栗田氏:
 4月1日だけの特別なサイトを作るみたいな,ある種のキャンペーンなんですけどね。ドワンゴのは,ちょっとあり得ないレベルだったというか……(笑)。

4Gamer:
 いったい何を……。

川上氏:
 いや,いろメロミックスのサイトって,ユーザーが一番使うボタン(機能)は検索だったんですけども,それを押すと,「曲を探しに行く,あなたは旅に出ました!」とかいって,いきなりアドベンチャーゲームが始まるということをやったんです。最終的には,ドラゴンを倒してお姫様を助けるんだけど,「見事に助けました!」とだけ出て,そこで終わる。で,そのあとも曲が探せない,みたいな(笑)。

4Gamer:
 ええええーっ。

栗田氏:
 ね,あり得ないでしょ(苦笑)。

川上氏:
 あの時って,昼の12時までで,午前中だけで2万通くらいのメールがきたんです。普通は1日100件も来ないんですけど,その日だけはめちゃくちゃ来て。

4Gamer:
 どんな内容のメールだったんですか?

川上氏:
 そりゃ「ふざけんな!」って(笑)。

一同:
 (爆笑)。

川上氏:
 あの時って,みんな「ゲームをクリアしたら曲が探せる」って思ってたんだよね。だから,ゲームが終わるまでは黙々とプレイしていて,終わってから「なんで探せないんだ!」って怒っていて。

4Gamer:
 そりゃあ……。

川上氏:
 ちゃんとゲームを遊んじゃうところを含めて,今の若い子達は本当に純粋だな。冗談が全く通じない!って思って。むしろビックリしました(笑)。

栗田氏:
 そのあたりのノリというか,企業文化は,今のニコニコにつながってる感じがありますよね。悪ふざけ感というか。上場企業でそれが出来るのは凄いことだと思いますよ。

川上氏:
 まぁただ,半分は怒りのメールだったんだけども,残りの半分は絶賛で。最終的に1日で3〜4万通のメールが来たんです。反響って意味ではもの凄くて,激怒している人も退会まではしなかったし,入会者はもの凄く増えたんです。だから,あれがニコニコの運営の原点だって言われれば,確かにその一つかもしれないですね。



お金を払わないPC側と,お金を払ってる携帯側


川上氏:
 というか,もっと何か裏話的なことってないのかな。

栗田氏:
 裏話。裏話ねぇ……(笑)。

4Gamer:
 あの。僕的に一つ気になるのが,iモード時代のネットベンチャーの盛り上がりと,昨今のソーシャルゲームの盛り上がりとで,何か共通点だったり,あるいは違いみたいなものってあるのかというところです。そのあたりはいかがですか?

栗田氏:
 なるほど。そういう意味でいうと,iモードの時っていうのは,やっぱり「亜流」の文化だったというか。本流じゃない(エリートじゃない)人達がやってたって印象が僕の中ではかなり強いかな。ソーシャルゲームは,もうちょっとこう,本流っぽい感じがあるじゃないですか。誰もが有望視していますし。

4Gamer:
 確かに。

川上氏:
 まぁソーシャルゲームって意味でいうと,ソーシャルゲームって課金で批判されているじゃないですか。さっきの話と逆説的になるけど,iモードのサイトでも,課金まわりで悪どいところはありましたよね。

栗田氏:
 ん,どの辺のことをおっしゃっているんだろう。そういうのって,ドコモ側でかなり排除していたはずなんですけど……。

川上氏:
 いや,退会メニューがないところとか。

栗田氏:
 ああ! そういうことか(笑)。

川上氏:
 退会メニューがないというか,ドコモの人が監視している昼間の時間帯だけメニューがあって,夜になると消えるってサイトがありましたよね。

栗田氏:
 あったあった!

4Gamer:
 え,そんなのがあったんですか。

栗田氏:
 深夜の方が退会する人が多いから,0時ぐらいに消しちゃうみたいな。

川上氏:
 まぁでも,そういうのを差し引いて考えても,iモードの功績は大きいですよね。ネットサービスにちゃんとお金を払う文化を作ったというか。

栗田氏:
 そうですね。コンテンツにはお金を払うのが当たり前みたいな空気があるのは,日本の携帯コンテンツ市場の大きな特徴だと思います。ニュースとか天気予報とかにさえ,ちゃんとお金を払うなんて他の国ではあまり見られない。

川上氏:
 ニコニコが成功した理由の一端も,iモードのおかげだと思っているんですよね。iモードに慣れた世代のユーザーがたくさんいたので,そういう人達がプレミアム会員になってくれたんです。

4Gamer:
 なるほど。

栗田氏:
 確か,ニコニコ動画を作る前に,川上さんと少しそういうお話をしたことがありましたよね。PCインターネット側は,ほとんど広告モデルみたいなものが主流なんだけど,携帯インターネット側はちゃんと課金モデルが成立している。確か川上さんは,「PC側でも課金モデルは成り立つはずだ。携帯の文化(お金を払う)をPC側に持っていこうと思っている」みたいなことをおっしゃっていて。実際,その通りに動いていましたよね。

川上氏:
 お金を払わないPC側が未来なのか,お金を払ってる携帯側が未来なのかっていう議論をしていましたよね。

4Gamer:
 そのときの結論はどんなものだったんですか?

川上氏:
 基本的には(お金を払う)携帯の方が未来なんだけど,実際のところは「最終的には中間地点ぐらいのところに落ちるだろう」という感じでした。

4Gamer:
 なるほど。

栗田氏:
 昨今は,海外でもようやく携帯インターネットのコンテンツ市場が立ち上がって来たんだけど,現状,GoogleとAppleにほとんど握られてしまってる流れじゃないですか。そこに関しては,コンテンツ側にいる人間として危機感は感じますよね。

川上氏:
 本当にそうですよね。そもそも,スマートフォン向けのコンテンツ市場って,多くの人は「GoogleとAppleが作ってくれた」とか思ってるんだけど,日本の携帯コンテンツのマーケットから見たら,あれはむしろ“市場破壊”だったわけじゃないですか。

栗田氏:
 いや,おっしゃる通りですね。実際,日本国内の携帯コンテンツのマーケットって,ゲームを除くとかなり小さくなっているんですよ。

川上氏:
 海外のIT業界――要するにPC側の人達からすると,コンテンツにお金を払うって文化がそもそもなかったから,今の形でも御の字なのかもしれないけど,コンテンツ会社からしたら決してよい流れではない。
 例えば,ロイヤリティの30%って話にしたって,一見するとそこまで高くないように思えるけど,売上に対する制作コストを差し引いたら,実は利益の半分以上は持っていかれる計算にもなる。iモードでドワンゴを含めて,多くの会社が成長を維持できたのは,9%という代行手数料の低さも大きかったわけだし。

栗田氏:
 まぁただ,あれはビジネス的な狙いがあって9%にしていたかというと,そういうわけでもなくて。単に元々ある仕組みをそのまま使っただけなんですよね。元々ダイヤルQ2であった決済の仕組みを持ってきただけで。

川上氏:
 そうみたいですね。だから以前,夏野さんに「9%って英断をした夏野さんは凄いですね」って言ったら,夏野さんは渋い顔をして「もっと高くすべきだった」って言ってた(笑)。

栗田氏:
 うん。あとは,当時のドコモ的には,コンテンツよりもパケット代で利益を出していたから,実際のところコンテンツのロイヤリティはどうでもよかったんですよ。

4Gamer:
 ああ,当時はまだ定額制じゃなかったですからね。

栗田氏:
 そうそう。ドコモ的には,あくまでパケ代を増やすことがメインで,そのための手段としてコンテンツがあればよかったんです。まぁだからこそ,コンテンツプロバイダ側への縛りというか,条件(ビジネス的な)が緩かったという背景はあったと思います。


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