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会社経営はクソゲー過ぎる!――ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第9回
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印刷2012/12/27 09:00

インタビュー

会社経営はクソゲー過ぎる!――ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第9回



 連載第9回めとなる,ドワンゴ・川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」。今回は,元ドワンゴの社員で,現在はユビキタスエンターテインメントの代表を務める清水 亮氏がゲストとして登場。起業や経営とはどういうことなのか? それをゲームに喩えて説明してもらいながら,いろいろな話を語ってもらいました。

 清水氏といえば,主にスマートフォンをターゲットとしたゲームライブラリ「enchant.js」や,投稿型ゲームサイト「9leap (ナインリープ)」などのサービスを立ち上げたことでも知られる人物。以前に4Gamerでもインタビューをしたことがある同氏ですが,その軽妙な語り口は非常に特徴的です。
 ドワンゴの昔話に始まり,経営者あるある話やベンチャーネタ,理想の職場環境とは何か,さらには「人間の幸せ」についてなど,多岐にわたる内容を,いつも通りの座談会形式でお送りします。
 経営者は,何を考え,どんな気持ちで仕事に取り組んでいるのか。いつものように,雑談混じりのぐだぐだな内容となっておりますが,とても興味深い内容になっているので,ぜひご一読ください。

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ゲームは僕にとって“生き別れの兄弟”みたいなもの


4Gamer:
 今年ももう年末ですけれど,今日はなんの話でいきましょうか。

川上氏:
 はい。今日は,“ゲーム好きの経営者”という切り口で,元ドワンゴの社員で,今は独立して会社を経営している清水くんに来てもらいました。

清水氏:
 よろしくお願いします。それで,今日は僕,なんで呼ばれたんですか?

川上氏:
 えーと,この4Gamerさんで続けている連載って,一応,「ゲーマーは経営者に向いている」「ゲームには経営にも通じる要素が含まれている」って建前で毎回やらせてもらっているんだけど,本当は自分のゲーム人生自慢をしたかっただけで。前々回くらいに「ブラウザ三国志」の話をして,僕自身のゲーム体験談は一通り話し終えちゃったんですよね。

4Gamer:
 えっ。建前だったんですか……。

川上氏:
 そこで連載を終わりにしてもよかったんですけど,なんか評判もいいみたいだし。だったら今度は,実際に現場で活躍している“ゲーム好きの経営者”と対談をしようっていうコンセプトに切り替えて。いろいろと企画を練ってみたんだけど,よく考えたらそんな経営者なんて,世の中にはあまりいないわけですよ。

清水 亮(しみずりょう):1976年生まれ,新潟県長岡市出身。ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO。電気通信大学在学中にマイクロソフトの次世代ゲーム機向けOS開発に携わり,1998年にドワンゴ入社。同社の携帯電話事業の立ち上げなどに関わりながら,2002年に退社。2003年にユビキタスエンターテインメントを設立した
清水氏:
 東証一部上場企業の経営者で,そこまでガチでゲームを遊んでいるのって川上さんくらいですよね。

川上氏:
 なので,いきなり手詰まり気味になっちゃったんだけど,その狭い選択肢の中から,まずは手頃な清水くんあたりでいいか……という感じ?

清水氏:
 なんかメチャクチャだな(笑)。

川上氏:
 というわけで,まずは確認しておきたいんだけど,そもそも清水くんってゲーマーなんですか?

4Gamer:
 そこからですか……。

清水氏:
 まぁゲームは好きですよ。元々ゲームを作っていましたし,最近もまた作ってますしね。ただ「ゲーマーか」って言われると,なんか違う気もする。ゲーマーっていうのは佐野くん()みたいな人のことですよね?

※佐野将基:ドワンゴ ニコニコ事業統括本部 プラットフォーム事業本部 第一企画開発部 第七セクション担当セクションマネージャー。ドワンゴ設立初期の社員の一人で,当連載の第5回第7回にも登場したゲーマー

川上氏:
 そうですね。あれはあれで,ちょっと特殊だと思うけど。

清水氏:
 だとしたら,僕はゲーマーではないですね。昔のドワンゴにいた面々って,本当に「これぞゲーマー!」って感じの人達が多かったけど,彼らには全然勝てなかったし……。

川上氏:
 いや,その基準で考えたら,僕だってゲーマーじゃないよ(笑)。

清水氏:
 だいたい,ドワンゴが立ててた「DOOM」とか「Quake」のサーバーはレベルが高すぎて入れなかったし。

川上氏:
 世界でもかなり強い部類だったよね,きっと(苦笑)。

清水氏:
 だから当時は,「DOOM」とか「Quake」よりも,「Age of Empires」とかをよく遊んでました。「Age of Empires」は相当やったかな。人生を狂わせるゲームですよね,あれは。

4Gamer:
 ん……(苦笑)。

川上氏が最近ハマっているという「にゃんこ大戦争」。いわゆるタワーディフェンス系のゲームなのだが,シュールな絵柄ながらも妙によく出来ていて面白い。ちなみに川上氏曰く「2万円くらい課金したら,適当にボタンを押すだけで勝てるゲームになってしまった……」とのこと
会社経営はクソゲー過ぎる!――ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第9回

川上氏:
 その前はなにやってたの? 最初に清水くんのゲーム人生を聞かせてよ。

清水氏:
 ゲーム人生ですか。ゲームは僕にとって“生き別れの兄弟”みたいな感じなんです。一言で言うと。

川上氏4Gamer:
 ……生き別れの兄弟?

清水氏:
 つまり,僕が小学校の頃に「ファミリーコンピュータ」が出たんですけど,周りの友達がみんな買ってもらってるなかで,僕は買ってもらえなかったんですよ。

川上氏:
 あー,僕もファミコンとかは買ってもらえなかったな。中一くらいの時だったけど。

清水氏:
 隣の家にはファミコンを持ってる奴がいて,だからそいつの家に毎日遊びに行ってたんですけど,ある日「来るな!」って言われちゃって……。

4Gamer:
 それ,当時はよくあった光景ですよね。

一方,清水氏が最近ハマったゲームとして挙げていたのは「8歩の塔」というフリーゲーム。クリック操作のみでひたすら塔を登っていくというシンプルな内容だが,かなり中毒性が高い
会社経営はクソゲー過ぎる!――ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第9回
清水氏:
 でも子供だから,どうしても「スーパーマリオがやりてえ!」とかって思うわけです。それで仕方が無いから,BASICでプログラムを組んでゲームを作って。で,文字がジャンプするのを見て「これがマリオだ」って思い込むような……(笑)。 僕のゲーム人生はそういうスタートだったんですよ。

4Gamer:
 ああ,それで「生き別れ」なんですか。

清水氏:
 はい。ファミコンを買ってもらえなかったばっかりに,僕は,ゲームのメインストリートを歩けなかった人間なんです。例えば,学校で「ドラゴンクエストってすごいぜ!」みたいな会話をみんながしている時でも,「ドラゴンクエスト? なにそれおいしいの」って状態でしたし,最初は「ドラゴンクエスト」がテレビアニメなのかマンガなのかも分からなかったくらいで。

川上氏:
 僕の場合は,小学生の時にはファミコンすら発売されていなくて,なにかというと,「インベーダーゲーム」とかの時代だったんですが,当時はゲーセンに行くお金がなかったんだよね。だから「プログラムを作って,自分でゲームを作って遊んだらタダじゃん!」みたいなね。そこが原点の一つですよ。

4Gamer:
 でも実際,30〜40代のプログラマーの方とかって,そういう人がかなり多いですよね。

清水氏:
 多い多い。ゲームをタダでやりたくてプログラミングを始めたって奴は相当いると思う。

川上氏:
 「マイコン BASICマガジン」とかは完全にそういう本だったしね(笑)。 だから,そういう意味では,最近はプログラマーが育ちにくい環境だとも言えるよね。

清水氏:
 まったくおっしゃるとおりです……。だからこそ,僕自身は「enchant.js」や「9leap (ナインリープ)」をやってるところもあるんだけど。

4Gamer:
 ところで清水さんは,ボードゲームとかは遊ばれなかったんですか?

清水氏:
 ボードゲームは,社会人になった後で……というか,ドワンゴを辞めた後に結構やりました。ドワンゴを辞めた時に,なぜか「もっとボードゲームを研究しなければ!」とか思い立って。当時,「オフィス新大陸」の坂本さんって方に,よくボードゲームの集まりに呼んでもらって遊んでいたんですよ。

4Gamer:
 坂本犬之介さんですか。ボードゲーム界隈では有名な方ですよね。

川上氏:
 ボードゲームは本当に面白いのにねぇ。その後のTRPGブームも含めて,全部ファミコンにやられちゃったってのが本当に悲しいんだよね。

清水氏:
 あと,ハマったゲームって言えば……「軍人将棋」とかかな(笑)。

4Gamer:
 なんでまた,軍人将棋なんですか?

清水氏:
 いや,川上さんは覚えているかどうか分からないけど,昔,ドワンゴの社内で軍人将棋が猛烈にはやっていたことがあったんです。その時に超遊んでいたんですよ。

川上氏:
 あったあった。

清水氏:
 たぶん,川上さんが会社に来なくなった頃だと思うんですけどね。タダでさえロクに働かない連中が,一時期,朝から晩まで軍人将棋をやっていたという。

4Gamer:
 ……ドワンゴの昔の話って,聞けば聞くほど「よく潰れなかったな」って思うんですよね。

清水氏:
 本当にね。僕もその後,独立して会社を起こしたわけですけど,自分が社長になってみて改めて「川上量生は天才だ!」って思いましたもん。あの状態でみんなに給料を払って,ちゃんと会社を維持できていたわけですからね。それは本当に凄いことだなと実感しましたよ(笑)。



「会社でゲームを遊ぶこと」の是非


川上氏:
 清水くんってさ。会社でゲームを遊ぶってことに対して,どういう風に考えているの?

清水氏:
 なんですか,その「ドワンゴ的なやり方を肯定しろ」みたいな質問は!

川上氏:
 いや,今のドワンゴはもう,ゲームを遊んだら駄目な会社になっているんだけどね。でも昔は,就業時間中にみんなゲームばっかり遊んでいたじゃないですか。というか,そもそも就業時間がどこからどこまでなのかの判定が難しかった(笑)。

清水氏:
 僕も,ドワンゴで「裁量労働制を導入します」って言われた時,「え,これ労働だったんだ」って思ったぐらいですからね。「別に労働してなくない?」みたいな(笑)。

4Gamer:
 当時の状況ってどんな感じだったんですか?

清水氏:
 んー,一番覚えているのは「COMMANDOS()」ってゲームをみんなでマルチで遊んでいたときですね。

※第二次世界大戦の真っ只中,選ばれた数名により構成されたチームを率い,敵の後方かく乱や捕虜の救出などの危険な任務を行うストラテジーゲーム。各隊員が得意とするスキルを最大限に活用し,達成不可能と思われるミッションを遂行する。パズル性の高いプレイ内容が特徴

4Gamer:
 「COMMANDOS」とは,また懐かしい響きですね。

画面は「COMMANDOS 2」より
会社経営はクソゲー過ぎる!――ユビキタスエンターテインメントの清水 亮氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第9回
清水氏:
 あのゲームって,うかつに銃でも撃とうものなら,すぐに敵に囲まれて死んでしまう,そういうシビアな内容だったじゃないですか。だからマルチプレイも,それぞれのプレイヤーが慎重に行動しないといけなくて。凄い集中してみんなで遊んでいたんですけど,気がついたら3日経っていたということがあったんです。朝起きて,次に窓を見て「日が沈んだなぁ」って思ったら,それが3日目の夕方だったという(苦笑)。

川上氏:
 でも,当時のドワンゴは本当にそれが普通だったよね。

4Gamer:
 よく会社として成立してましたねぇ……。

清水氏:
 僕も「これで給料もらっていいのかな?」って思ってましたからね。

川上氏:
 でも,あれってさ,僕は「仕事するうえでの理想の環境」だと思っているんですよ。プライベートと仕事の境界がないって,僕は一番幸せなことだと思うんだよね。そもそも,ドワンゴを裁量労働制にした最大の理由って,会社でゲームが遊べるようにしたかったからだし。

清水氏:
 確かに,あの頃は幸せでした。

川上氏:
 だって人間,1日24時間しかないわけでしょう。その中の8時間を,ほぼ毎日仕事をして過ごしているわけじゃん。だとしたら「仕事の時間は仕事として割り切る」という考え方は,僕からすると「仕事の間は,自分の魂と体を売る」って話に思えちゃうんだよね。本来は,拘束されないで好きなことをやって,ちゃんとお金がもらえるっていうのが幸せなハズでしょう。

清水氏:
 それは本当にそうですよね。

川上氏:
 だから僕は,「遊びと仕事の境目がない環境」っていうのをずっと維持したかった。

4Gamer:
 なんでそれが維持出来なくなったんですか?

川上氏:
 一つにはドワンゴの上場の準備の時に「それはまずい」って話になってしまったんです。労働基準法に違反している!とか言われて(苦笑)。

清水氏:
 ちゃんとタイムカードを押して家に帰んなきゃいけないとか,当時,本当に理不尽に感じましたからね。まぁ心の中では,今も理不尽に思ってますけど。

川上氏:
 みんな楽しくて会社にいるのに,なんで帰んなきゃいけないの?ってね。別に会社が無理やり帰るなって言ってるんじゃなくて,本当に楽しいから会社にいたいというだけなのに(笑)。

清水氏:
 うんうん。

川上量生氏
川上氏:
 だから,理想の職場環境を実現するためには,労働基準法って本当に邪魔でしかないなと,当時思って。

一同:
 (爆笑)。

4Gamer:
 そういう話って,今はすぐに「ブラックだ」ってことにすり替えられちゃいますよ!

清水氏:
 いやでも,僕が会社を作った時も,最初に心がけた部分はそういうところですよ。ずっと会社にいたいみたいな雰囲気というか。そういうのって大事ですよね。

4Gamer:
 でも,そういう環境の維持ってかなり難しくないですか?

川上氏:
 うん,難しいです。皆がその価値観を共有できていればいいんですけど,やっぱり仕事は仕事として会社に来るって人が1割〜2割くらいの割合を超えてくると,崩壊するんですよ。

清水氏:
 ああ,確かに。組織が大きくなるにつれて,あるいは社員が歳を取ると,そういう環境は維持しづらいなって思います。あの時のドワンゴは,社員がみんな若かったですからね。

川上氏:
 そうそう。そんなわけで,ドワンゴは上場後に普通の会社になってしまったんだけど,そっちの方(ユビキタスエンターテインメント)はどうなの? 会社でゲームをしてもいいの?

清水氏:
 就業時間中にですか? そうですねぇ……別に禁止って言ったことはないですけど,やってる人はいないですね。あ,でもゲームを作ってるチームはずっとゲームをやってますね。自分達のじゃないゲームを。他社のゲームを普通に楽しんでやってます。

川上氏:
 なるほどね。

清水氏:
 ウチの連中は主にソーシャルゲームを遊んでいるんですけど,「ヤバイ,攻められた!」とか言いながらやってる。でも仕事が忙しいはずだから,「おいおい,お前ら仕事しなくていいのか?」とかってちょっと思うんですけど,それを言っちゃおしまいだなと思って黙ってます(苦笑)。

4Gamer:
 ゲームメディアの編集部にしても,みんながずっとゲームをしてるわけじゃないですからねぇ。

清水氏:
 あ,あと,ウチには映画を一日中見てる社員とかはいますね。

川上氏:
 ん,それは仕事として?

清水氏:
 はい。仕事というか,「見なさい」って言って見せてる感じですけど。

川上氏:
 うーん。僕は「それはちょっと違うな」って思うんだけどね。

4Gamer:
 どういうことですか?

川上氏:
 なんというか,「これは仕事だから」とか言って,会社で堂々とゲームを遊んでいる奴は蹴り飛ばしたくなるんだよね。そうじゃないんだっていうか。「本当はゲームなんかやってる場合じゃない,仕事をしなきゃいけないんだけれど,どうしても楽しいからやってしまう」っていうなら許せるんだけど。

清水氏:
 そこは難しいところですね。だって「会社でゲームを遊んでる」って現象は一緒ですから。仕事なのかプライベートなのかっていう境界線は引きづらい。

川上氏:
 そうなんだけど,僕は仕事と思って遊んでいる人間はなんか許せないんだよねぇ。「研究だから」とか言う人って,なんか勘違いしてる奴が多い気がするんだよなぁ……。


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