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ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
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印刷2011/12/03 00:00

テストレポート

ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

今回,NVIDIAから,後述する3D Vision 2対応ディスプレイと,3D Vision 2用メガネの製品ボックスを貸し出してもらい試用している。ただし,NVIDIAからはメガネと赤外線エミッタを同梱した3D Vision 2 Kitも発売されている
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 NVIDIAが2011年10月に発表した新しい3D立体視システム「3D Vision 2」。今回は,この技術が以前のものとどう違うのか,なにがどの程度改善されているのかを検証してみたい。

 さて,NVIDIAの3D Visionは,液晶シャッター方式による3D 立体視システムである。ドライバレベルで処理されているので,多くのゲームタイトルで立体視映像を楽しめるというのが利点だ。同社製GPUしかサポートされていないものの,PC用の立体視システムとしてはスタンダードの位置を占めているといってよい。

 以下のテスト内容を理解していただくため,動作原理も詳しく紹介しておくと,3D Visionでは,フレームシーケンシャル方式の立体視映像,つまり,交互に現れる右目用の画像と左目用の画像にタイミングを合わせて左右の目でメガネ部の液晶シャッターを開閉している。右目には右目用の画像だけ,左目には左目用の画像だけを表示してやろうというわけだ。これは,かなり古くからある手法ではあるのだが,昔出回っていたものと比べて,2倍のフレームレートによる画面書き換えを行うことで,液晶シャッターの開閉による画面のチラツキを目立たなくしているのが特徴となっている。

新しい液晶シャッターメガネ。偏光フィルタを使っているので,理論上,動作していないときでも明るさは半分になる
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 とはいえ,少なくとも逆側の絵が出ている間はシャッターが閉じられているので,通常の画面に比べて,どうしても映像が暗く感じられるという欠点があった。また,液晶の反応速度にはどうしても限界があり,次の絵を描き終えても液晶が完全に次の状態になるまでには数ミリ秒の時間がかかる。その間は2枚の絵がブレンドされたような状態(ゴースト)になってしまう。液晶ディスプレイにとって,3D Visionが要求する120Hzという高速動作に完全に追くというのはかなりハードルが高く,これまでも若干ゴーストが出る場合があった。これらの問題に対するNVIDIAの回答が3D Vision 2だと思えばよい。

NVIDIA 3D LightBoostに対応したQosmio X770(部分)。3D Vision 2用の赤外線エミッタが液晶画面のフレーム部に内蔵されている
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 3D Vision 2では,「NVIDIA 3D LightBoost」(以下LightBoost)という技術が新たに採用されている。LightBoost対応ディスプレイでは,画面書き換えの途中にはバックライトを消灯しておき,書き換えが終わった瞬間だけ通常より明るくバックライト点灯を行うことで,左右画像の混ざったゴーストを解消し,明るい画面を実現しているという。
 3D Vision 2発表時に対応デバイスとして紹介されたのは,東芝製のノートPC「Qosmio X770/X775」とASUSTeK Computerの液晶ディスプレイ「VG278H」の2種類だが,いずれも日本での発売日は未定。現在日本市場向けに発表されているものでは,BenQ製液晶ディスプレイ「XL2420T」がある

新旧のメガネでの形状の違い(奥が従来型で手前が新型)。いずれも左側のつるの下からUSBケーブルをつないで充電できる
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 また,メガネ部の形状も刷新されており,ガラス部分がより広くなり,ガラス周辺の縁が分厚くなって外光を遮蔽するような構造になっている。もちろん「完全に」ではないが。

 なお,従来型3D Vision(以下,便宜上,3D Vision 1と表記)に必要だった赤外線エミッタは,3D Vision 2だと,液晶パネルの額縁部に内蔵されるケースが多くなるという見通しをNVIDIAは示している。今回テストしたVG278Hをはじめ,現在発売されている製品については,ディスプレイ側に赤外線エミッタが搭載されている。赤外線エミッタのためにUSBポートを消費しなくて済み,かつ,接続周りがシンプルになるのは嬉しいところだ。
 ただし,BenQから発売予定となっているXL2420Tの場合は,3D Vision 2対応ではあるものの赤外線エミッタが内蔵されていないディスプレイなので,赤外線エミッタ同梱のパッケージを導入する必要がある(※3D Vision 2では,3D Vision 1向けのエミッタも制限なしに利用できるので,そちらでもかまわない)。


3D Vision 2対応液晶ディスプレイVG278H


 3D Vision 2のテストで借り受けた液晶ディスプレイ製品がASUSのVG278Hだ。国内発売予定となっているが,発売日は未定。まずは,このディスプレイから紹介してみたいと思う。なお,今回は一般的な表示性能などについての検証は行わないのでご了承を。
 VG278Hは,TN液晶を使用した27インチの液晶ディスプレイである。丸い台座に本体を乗せた形状で,上下位置の調整,スイーベル(左右の首振り),チルト(上下の首振り)に対応している。

ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 サポートされている入力は,DVI-D,HDMI,D-Sub 15ピンの3種類。
 DVI-Dはデュアルリンク接続なので,3D VisionでのフルHD&60Hzで高品位な立体視ゲームプレイが可能となっているほか,HDMIはHDMI 1.4に対応しているため,Blu-ray 3DやPlayStation 3などと接続しての立体視映像も楽しめる。

入力端子。右の二つはヘッドフォン出力と音声入力
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

スイッチ部。全体にシンプルな構成
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 TNパネルとしては視野角が広めだが,視野角による色ムラがないわけではない。正面から左右30度を超えた角度になると,ちょっと赤みがかる傾向がある。また,バックライトや導光管の都合によるものか,真正面から見ると上部に少し暗い部分があるのが分かる。正面からやや見下ろし気味に見ると全体にフラットな明るさになる感じである。

上部にある赤外線発光部は,上下に角度を微調整することができる
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 このディスプレイは画面が27インチと大きく,3D Vision 2対応という点以外では,表面はノングレア処理であり,120Hzに対応したディスプレイということで,PCゲーム用としてはかなり理想的な部類の製品だ。
 ただ,一般的なゲームプレイで大画面がいいかどうかは議論のあるところだ。画面が大きいと迫力は出るのだが,視点を動かさないと画面の隅々まで認識できないので,画面端に情報が集中しているゲームなどはあまり向いていない(少し離れてプレイしよう)。が,こと立体視に関しては,視野いっぱいに広がる映像がもたらす没入感はなにものにも代えがたい価値がある。クリアで明るい映像も悪くはない。しかし,それ以上に大画面であることの意味は大きい。

※初出時,液晶パネルをIPSパネルとしておりましたが,事実誤認があり,実際はTNパネルでした(IPSにしては視野角狭いなとは思っていたのですが)。確認が不十分であったことをお詫びして訂正いたします。

3D Vision 2動作の確認


 さて,3D Vision 2がどのように動作しているのか,今回はハイスピードカメラを使って確認していきたい。立体視というのは,画面で伝えることが難しく,どうしても主観的な評価で伝えることしかできなくなりがちなのだが,なるべく「どう見えるのか」を具体的に示していければと考えている。

 今回は3D Vision 1用ディスプレイとしてSamsung SyncMaster 2233RZを使用し,映像を比べてみた。まず,メガネを通さない状態でどのように見えるのかを確認してみよう。以下,順に,3D Vision 1ディスプレイと3D Vision 2ディスプレイをハイスピードカメラで撮影した映像である(1000fps撮影)。ハイスピードカメラの解像度が極端に低いので,ララ・クロフトがどっかの宇宙人みたいな顔になっているのだが,そこは気にしないように。



 約10秒の映像だが,実際には0.01秒間にディスプレイ上で起きていることを分かりやすくしたものだと思ってほしい。
 従来世代では,左右の書き換えが順に行われており,液晶の書き換え速度などもよく分かるのに対し,3D Vision 2では,書き換え途中を黒画面にして隠すようになっている。
 なお,カメラの露出補正が働いている可能性があるので,この映像の輝度が正確に画面の輝度を示すものではないことに注意してほしい。だが,見た目の感じもだいたいこんなものではある。少なくとも,ぱっと見で3D Vision 2のほうがかなり明るく感じられるのは確かだ。

 また,動画では下から上に明暗が移動しているようにも見えるのだが,これは別に液晶ディスプレイ側がゾーンに分けてバックライト制御をしているという奴ではないようだ。そういう製品も一部にはあるのだが,今回はカメラを縦向きにして撮影しても同じ方向に出てきたので,カメラ側のCCDのデータスキャン方向とタイミングずれの問題だと思われる。とりあえず,気にしなくていい。

 というわけで,上の映像からコマ送りで静止画を切り出してみると,実際の動作がより明確に分かる。1周期が約8コマで繰り返されているので,9コマずつ抜き出して並べてみた。1コマが1ミリ秒に相当する。

上が3D Vision 1,下が3D Vision 2

 ご覧のように,3D Vision 1では,だいたい9コマのうち前半6コマと後半6コマに左右の映像が表示されており,途中の3コマくらいはかなり混ざった状態になっていることが分かる。応答速度5ミリ秒というスペック値とだいたい合致している結果だ。
 それに対し,3D Vision 2では,8コマ中の2コマ分だけ表示されており,遷移中の画面はほぼ隠されている。

 余談だが,今回久しぶりに3D Visionをセットアップしてみて,3D Vision 1環境でも,以前見たときよりゴーストが減っているような印象があった。前はもっとゴーストがくっきり出ていたような……。確認してみると,3D Visionドライバでは,過去のアップデートで何度かシャッタータイミングを調整していることが分かった。印象が違うのもそのせいかもしれない。


メガネ側の動作を比較する


テスト中の様子
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 それでは3D Vision 2の動作時に,メガネ側のシャッターの動きはどうなっているのだろうか。先ほどのムービーは,画面を直にハイスピードカメラで撮影したものだが,今度は液晶シャッターメガネ越しに撮影して液晶シャッター部の動きを確認してみた。
 ただし,3D Vision 2の動作時の画面を写すとバックライトの明滅が撮影されてしまうので,横でディスプレイを3D Vision 2動作させておいて,赤外線信号をメガネに受信させながらメガネ越しに壁を写している。順に,新型メガネと従来型メガネを通してみた映像である。映像的にはまったく面白くもなんともないものだが,どれくらいの周期で明滅しているかを確認していただきたい。



 コマの抜き出しを行ってみよう。微妙にタイミングが違うので,まったく同じ形というわけにはいかないが,だいたいの周期は読み取れるはずだ。

●新型メガネ

●従来型メガネ

 どちらのメガネも,だいたい2コマ明るくなって,15コマ暗くなる周期が続いている。片目あたり60fpsの動作なので,計算上16.7ミリ秒周期になるわけだが,そのとおりに動いていることが分かる(1コマあたり1ミリ秒)。しかし,どうやら,メガネ側は新旧で動作の違いはほとんどないようだ。
 ただ,1コマ内の明るさのバラつきは,ミリ秒以下の応答速度を反映しているともいえるので,明るくなり始めから明るくなり再び暗くなるまでの面積をよくよく見比べると,3D Vision 1のほうが,若干,シャッターの開期間が長いようにも見える。おそらく0.1〜0.3ミリ秒程度の違いと思われるのだが,微妙に高速型のシャッターになっている可能性はある。この件についてNVIDIAに問い合わせたところ,少なくともメガネ側シャッターの液晶は以前のものとは異なることが確認できた。主に低消費電力化を主眼として新しいものに変更されているとのことだが(メガネの駆動時間は40時間から60時間に伸びている),液晶の特性も若干異なるようだ。

 いずれにせよ,先ほど見たバックライトの明滅とほぼ同期してシャッターの開閉が行われていることが推察される。

 では,3D Vision 1ではどうだろうか。同様に3D Vision 1の動作をしているディスプレイを,新旧のメガネ越しに撮影したムービーを掲載する。



 今度は壁ではなく画面を写しているのだが,先ほども確認したように,明滅しない3D Vision 1の状態での画面なので,映像の明滅は液晶シャッターの動作によるものである。
 コマの切り出しは省略するが,結果を見ると,こちらもだいたい2コマ明るくなって15コマ暗いという周期が,メガネの新旧を問わず繰り返されており,メガネ側の動作は3D Vision 2と同じ周期になっていることが分かる。

 今回は残念ながらテストとしては確認はできなかったのだが,3D Vision登場時のドライバと比較すると,液晶シャッター側の開時間の配分が変わっているようだ。一応,3D Vision 2登場前のドライバと比較してみたものの,結果はまったく同じだった。もっと古いドライバを試す必要があったのだが,時間切れで果たせなかった。初期のものはもっとゴーストが多かったので,途中で改善されたと推測できる。
 また,以前のテストでは,動作を100Hzにした場合,関東50Hzエリアでの蛍光灯などのちらつきがほぼ抑えられていたのだが,今回のテストでは,100Hz動作にして外光との干渉によるちらつきが残っていた。これもデューティ比(ONとOFFの割合)が変更されたためではないかと推測している。
 
 以上の動作を模式的な図にすると以下のような感じだ。


 どうせシャッターが閉じているのだから,バックライトを明滅させることに意味はあるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。結論からいうと,意味はある。LightBoostの第一義は,明るさを上げることにあるからだ。
 一般に,LEDに定格以上の電流を入れると,輝度は上がるものの寿命が著しく短くなる。ただ,瞬間的に大電流を流す場合にはLEDにダメージを与えないことが知られており,LEDの仕様書には通常の定格電流以外に,パルス順電流という定格も設定されている。これは,瞬間的に流してよい最大の電流量を規定するものである。ものによって異なるのだが,瞬間的にであれば通常の4倍くらいの電流を流しても大丈夫といった感じだ。当然,瞬間的にはそれだけの高輝度が実現できる。テレビなどの赤外線リモコンが,どの方向に向けていても動作するのはパルスを使っているからである。
 VG278Hのバックライトで使用されているLEDの仕様は不明なのだが,2ミリ秒未満の動作でデューティ比1:7〜1:9くらいなら,パルス駆動の条件は満たしていると考えてよいだろう。つまり,3D Vision 2では,バックライトをパルス駆動させているから,瞬間的に明るい画像が得られているわけで,LightBoostされていないディスプレイではここまで明るい画像は得られないのだ。


3D Vision 2はどれだけ明るくなったのか


 ということで,実際に画面の明るさを比べてみよう。以下は,3D Vision 2で動作しているディスプレイを,新型/従来型のメガネ越しに撮影した画像である。撮影は,フルマニュアルで,シャッター速度1/15秒,絞りF4.5,フォーカス固定,センサー感度ISO 100相当,ホワイトバランス固定で撮影している。LEDバックライトのホワイトバランスにはちょっと悩んだのだが,白色光の基本ということで太陽光モードに固定してある。調整は一切していないので,色味自体は,実際に見えるものとは異なっている。

ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
3D Vision 2 メガネなし
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
3D Vision 2 従来型メガネ
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3D Vision 2 新型メガネ
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3D Vision 1 メガネなし
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
3D Vision 1 従来型メガネ
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
3D Vision 1 新型メガネ

 メガネなしの状態では3D Vision 1のほうが3D Vision 2ディスプレイより明るいくらいなのだが(デューティ比を考えると当然の結果),メガネをかけた途端に状況は一変する。メガネの新旧を問わず,3D Vision 2のほうが明るくなっていることが分かる。

 テスト内容を詳細に見ていくと,1/15秒の露出なので,丸々パルス4周期分と余り3ミリ秒くらいの露光が行われることになる。つまり4回分は確実にシャッター開の時間があり,タイミングによってはまれに5回分入るかもしれないといった感じだ。


 理論上の明るさの較差は最大25%だが,何枚か撮って比較しているので極端に異なるものは採用していない。数%の誤差で収まっていると思ってほしい。シャッターのタイミングで微妙に明度が変化する可能性があることを考えると,メガネの新旧で差はないと思ってよい。


 次に,グレースケールに単色化して,だいたい同一部分での明度を測定したところ(左半分で,船の手すりに囲まれた空の部分),明るさは,

 3D Vision 2 103〜104 
 3D Vision 1 62〜63

といった感じだ。
 だいたい同じ範囲で切り出してヒストグラムを取ってみたのが以下の図になる。

上:3D Vision 2,下:3D Vision 1
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力 ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力 ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 明るい側の小さな山のピーク値の部分で比較すると,

 3D Vision 2 116 
 3D Vision 1 72

となる。実測で1.61倍の明るさとなっている。平均値で比較すると,1.86倍であり,「2倍明るい」とする売り文句はあながち間違ってはいない。


3D Vision 2でゴーストは減ったのか


 ゴーストについては,一般的なテクスチャを使った3Dゲームではほとんど気にならない。3D Vision 1でも同様だったのだが,わずかに見えていたゴーストが一段と薄くなったのは事実である。具体的にどれくらいなのかをメガネ越しに撮影しているので確認していただきたい。ちなみに,先ほどから,Tomb Rader Undergroundの画像を多用しているのは,この画像が3D Visionドライバで標準添付されているもののなかで最もゴーストが分かりやすいものだからである。
 撮影条件は上記のものと同じ,1/15秒,F4.5なのだが,なにぶん暗すぎるので,以下の画像だけは,同じ条件でサムネイルのみ画像補正を行っている(具体的にはガンマ補正1.6)。

●3D Vision 1
左:新型メガネ,右:従来型メガネ
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力 ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 まず,3D Vision 1の結果である。船体の輪郭が空に浮き出ていたり,足の部分が二つずつ見えるのが分かる。新旧のメガネでさほど大きな違いはない。

●3D Vision 2
左:新型メガネ,右:従来型メガネ
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力 ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 3D Vision 2で動作させた場合,このシーンでのゴーストは,空の部分に船体のラインがうっすら出ているのが確認できる。なんにせよ,3D Vision 1よりはかなりゴーストが抑えられている感じだ。
 見た感じ,新旧のメガネでほとんど差はないのだが,足の部分だけは新型メガネに軍配が上がっている。先ほど見たように,ほんの少しだけメガネ側のシャッター用液晶の反応速度が速いのだと思われる。

 通常のゲームではこのようにはっきりゴーストが見えるケースは少ないのだが,トゥーンシェーディグのゲームではゴーストがはっきり見える局面が多い。
 ちなみに,3D Vision 2用のゲームとしてNVIDIAのSteven Zhang(スティーブン・ザン)氏にイチオシを聞いてみたところ「個人的には『ソニコミ』の体験版」ということだったので,早速ダウンロードして試してみた。

ゲーム画面を立体視用にキャプチャしたもの(一括ダウンロード)。裸眼立体視平行法で立体視可能だ。画面の大きな人や慣れていない人は,Webブラウザの表示倍率を75%などに下げて試してみよう
3D Vision 2でメガネ越しに撮影した画像と部分拡大図。腕や顔のラインではっきりゴーストが見える
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

写真にするとゴーストはあまり目立っていない。顎のラインや口などがごくうっすら出ているか?
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

これも画面だと身体のラインなどがゴーストになっているのだが,写真だとおへそのあたりでうっすら出ているかなという程度
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 上に掲載した映像を見ても分かるように,コントラスト差が大きなところではあまり芳しくない結果となった。写真だと最初の画像を除いてゴーストがほとんど目立たないのだが,実際の画面では輪郭線などがそれなりにくっきり見える。

 また,ベタ塗り部が多いためか,あまり立体感は出てこない。紳士諸兄がご期待と思われる「おっぱい」についても,いま一つ立体感は感じられない。これもアニメ塗りの弊害といえるだろう。むしろ,最も向かない部類のゲームじゃないかという気がした。
 立体感については裸眼立体視でも確認できるので,参考画像を追加で挙げておこう。

使用したJPSファイルの一括ダウンロード


3D Vision 2の使用感


ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力
 以上,できるだけデータに基づいた検証を行ってきたのだが,立体視の評価となると,客観的なデータでは示しにくい部分も多くなる。以下では3D Vision 2を実際に使ってみての使用感をレポートしてみよう。多分に主観が入ってくるので,そのあたりはご容赦を。
 
 以前テストしたときには,50Hzの電気が供給されている地域では100Hzでの動作が最も快適だったのだが,前述のとおり,今回のテストでは若干ちらつきが気になる結果となった。ちらつかない光源を用意するか,周囲を暗くしてプレイしないと目が疲れやすくなるかもしれない。これは3D Vision 2でなくても同様である。もっとも,このあたりは,今後のドライバアップデートで改善される可能性はある。

 「画面以外の周囲の景色も明るくなるのでマウスやキーボードも見やすいぞ」とNVIDIAのレビュアーズガイドには記載されているのだが,明るいのは画面だけの気はする。少なくとも,一般的な使用環境では違いは体感できなかった。暗い場所で使用する際に,画面からの発光量が多いから周囲の視認性が上がるということだろうか。

 また,ガラス部分の面積が20%広くなり,視野角が広くなったとされているのだが,3Dメガネ部の形状が変わってフレームが少し厚くなった関係で,装着した状態でメガネのガラス部分(およびメガネの縁)が目から少し遠くなっており,実際の視野角は以前のものとほとんど変わらない。厳密に比べてみると,ちょっと狭くなっている感じだ。
 メガネ形状の変化による外光の入り込み具合は,若干軽減されたかも? というレベルで体感上大きな差はない。というか,暗い環境でプレイというのが前提になっている感があるので,そもそも外光を気にする必要はあまりない。

ガラスは大きくなったものの,縁の厚みが増しているので視野角はほとんど変わっていない
ハイスピードカメラで検証する「3D Vision 2」のメカニズムとその実力

 とはいえ,現時点で3D Vision 2と3D Vision 1を比較すると,明るさがはっきり違うのは厳然たる事実である。上記の明度比較写真ではかなり暗く思えるかもしれないが,これは比較用にカメラ側の設定をすべて固定しているためである。人間の目は明度に応じて自動的に感度調整を行うため,実際に覗き込んだときには必要十分な明るさにはなっている。

 本来なら昨年は立体視のゲーム環境が普及する年だったはずなのだが,立体視対応テレビは軒並み苦戦している。導入コストが数十万円からという割にはコンテンツが少ないというのではいたしかたないだろう。それらと比べると,3D Visionがある分だけでもPCでの立体視は恵まれている。非常に多くのゲームがなにもしなくても立体視で楽しめるのだ。そして,ここにきて3D Vision 2が登場し,すでに述べたように画面の高輝度化やゴースト軽減など,画質改善が確認できた。ゴーストが皆無になったわけではなく,外光のちらつき問題など課題は残っているが,確実に進歩している。
 PCでも立体視ゲームを楽しむ人はまだまだ少数派なのだが,ハイスペックGPUなどを生かす意味でも一度は立体視環境を試してみてほしいところだ。
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