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学生クリエイターのためのコンテスト「ゲームクリエイター甲子園2021」発表授賞式レポート。総合大賞は「LUMINO La ruta naturaL」
コンテストの最大の特徴は,エントリー期間内なら「いつでも作品を応募」でき,また「何度応募し直してもOK」という点だろう。ほかのチームの作品に刺激を受けて,応募済みの作品を手直して再応募するといった,同種のコンテストではあまり類を見ないような取り組み方も可能なのだ。
今回が3回目となるこの催しに参加した学生の数は,前年の倍以上である1447人,集まった応募作品は671本にものぼった。また,高校生以下のクリエイターが手がける作品が増えたことを受け,新たにU18部門も設けられている。
作品の審査にあたったのは稲船敬二氏,大谷智哉氏,タツナミシュウイチ氏,榊原 寛氏,山口邦雄氏,今村孝矢氏といった豪華な顔ぶれ。「作品の独創性」「内容の伝わりやすさ」「継続して遊びたくなるか」「完成度」「作品から伝わる熱意」「商品化の可能性」という6つの観点から採点を行った。
そして数ある応募作品の中から,Twitterの一般投票によるユーザー大賞には「超将棋」が選ばれた。
Fortgsが手がけた「超将棋」は,将棋盤の上でコマを弾いて相手の王(玉)を盤外に落とせば勝ちになるという,おはじきのようなルールのゲーム。ただ,コマの動きには物理演算が働き,コマが進む方向や距離は将棋のルールをある程度反映したものであるため,シンプルながらも熱い駆け引きを楽しめる。
以前よりSNSで話題となり,ゲーム配信などで遊ばれていることも多い。
ゲームクリエイターズギルド「超将棋」
審査によって選ばれる総合大賞は,てーぶるぱんちの「LUMINO La ruta naturaL」に決定した。空間を「区切り」,その上下左右がメビウスの輪のようにループするという仕組みを使い,迷子の精霊を助けていくアクションパズルゲームだ。
パズルのルールが斬新であることに加えて,世界設定やビジュアルの見せ方,BGMといった面が商業レベルの域に達していることが,受賞の要因とされている。
ゲームクリエイターズギルド「LUMINO La ruta naturaL」
てーぶるぱんちのチームリーダー 谷川海童さんは総合大賞の発表を受けて,「全体的な完成度を高める中で,グラフィックは特に重視したポイント。膨大な開発リソースを割きました。受賞を糧にして,今後もゲーム作りをがんばっていきたいです」と今後の意気込みを明かした。
「Among Us」「天穂のサクナヒメ」をはじめ,少人数で制作されたインディーズゲームが話題になり,ヒットすることは珍しくない。若い才能を発掘するコンテストの意義は,企業の人材確保や学生の就職活動だけに留まらず,ますます大きなものになっていくことだろう。
なお,イベントの模様はアーカイブが全編公開されている。学生ゲームクリエイターの作品,多数の特別賞や審査員のコメントなどを,ぜひチェックしてみよう。
ゲームクリエイター甲子園2021 公式サイト
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