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プロゲーマー志望者とチームをつなぐ「スカウトリーグ」が発表。第1回トライアウト大会への事前登録受付を開始
ワンダーリーグ 代表取締役の北村勝利氏によると,スカウトリーグとはプロゲーマーやストリーマーの志望者と,新たな才能を探すプロチームのスカウター(スカウト担当者)をマッチングするサービスとなる。
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「スカウトリーグ」公式サイト
現在,プロゲーマーやストリーマーが若年層の注目を集めており,中学生の将来就きたい職業ランキングの上位に入るほどの人気を博しているものの,業界への入り口が未整備である,と北村氏は指摘する。そこで「eスポーツ業界への登竜門であり,プロ野球の合同トライアウトや芸能界のオーディションのようなもの」(北村氏)というスカウトリーグを設立し,若い人材の流入を増やしていきたいと述べた。
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志望者がスカウトリーグにプロフィールを登録すると,スカウターはこれをチェックしてチャットでコンタクトを取ることが可能となる。なお,未成年の場合,登録には親権者の承諾が必要になるとのこと。
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また,志望者が出場するゲーム大会「トライアウト大会」を開催する予定だという。これをスカウターが観戦することで,志望者の技量を確認できる。
すべてのスカウターに公開される「レギュラー大会」の定期開催に加え,特定のプロチームが人材を発掘したい場合にはスカウトリーグと共催の形をとって,非公開の「共催大会」を開くことも可能だという。
2020年9月に「VALORANT」のレギュラー大会と,プロチーム「REJECT」による共催大会「PUBG MOBILE」の開催が予定されている。現時点では登録者とスカウターが共に自宅から参加するオンライン開催とのことだが,ストリーマー部門は志望者を会場に集める無観客開催の可能性もあるという。北村氏は,初年度にこうした大会を50回前後実施したいと述べた。
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スカウトリーグでは,親をはじめとした一般社会への認知も重視している。前述したようにプロゲーマーやストリーマーが若年層から人気を集める一方,親を対象としたアンケートでは「避けて欲しい職業」としてランクインすることもあるそうだ。現状を踏まえて,優勝者には表彰状やトロフィーを贈呈するといった取り組みを行っていくとのこと。
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北村氏は,スカウトリーグのゴールを「藤井聡太氏のような若きスターを発掘し,日本eスポーツ産業の発展に貢献すること」と述べて,発表会を締めくくった。
発表会の終了後,日本フェンシング協会会長の太田雄貴氏をゲストに迎えて「withコロナ時代における『スポーツ』と『eスポーツ』」と題したパネルディスカッションが行われた。
現在,コロナウイルス感染防止の観点から,多くのスポーツ大会が中止を余儀なくされている。太田氏によると,とくにアマチュアスポーツでは練習すらままならない状態が続いているという。
そこで日本フェンシング協会では,9月26日に第73回全日本フェンシング選手権大会をオンライン開催することを決定した。大会の運営資金をクラウドファンディングで募り(関連サイト),さらに選手への「投げ銭」システムを導入。また,普段の大会では見られないところにもカメラを入れたりと新しい試みが予定されている。
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一方,eスポーツについて北村氏は「オフライン大会の収益が重要だったケースもあるものの,オンラインへの移行は比較的容易である」と見ている。オンラインが主流になることでマイナータイトルの大会も開かれるようになっていくのではないか,と今後の展望も語られた。
こうした状況で重要になるのが,一般社会からの認知である。太田氏は「eスポーツを通してどういう人材を育てたいのか」というビジョンを持って取り組んでいくことの重要性を問いかけた。
スポーツにおける選手の理想には「文武両道」(ここでは優れたスポーツ技量と一般社会における社会性を両立すること)というビジョンがあるものの,なかなか実現できていないのだという。太田氏によると,学校では体育会系のヒエラルキーが高く,会社でも体育会系派閥のようなものが存在し,社会性の獲得よりスポーツ技量の向上を優先することが許されているのが,その理由とのこと。これでは選手の視野を狭め,スポーツ以外の選択肢を狭めることにもつながるという。
eスポーツでは「ゲームで学んだことは,異なるジャンルにも活かせる」ことを,選手の周囲にいる人々が教えていくことが理想ではないかと述べている。
eスポーツの世界でもプロ引退後,いかに生きるかというセカンドキャリアの問題が議論されつつある。そうした意味でも,スポーツに深く携わる太田氏の提言は意義深いものだったと思う。
「スカウトリーグ」公式サイト
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