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「池袋STORIA ゲームミュージックイベント vol.1」が開催。作曲家・伊藤賢治氏が,アナログレコード化された自身の楽曲8曲をお披露目
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印刷2018/10/01 11:18

イベント

「池袋STORIA ゲームミュージックイベント vol.1」が開催。作曲家・伊藤賢治氏が,アナログレコード化された自身の楽曲8曲をお披露目

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「池袋STORIA ゲームミュージックイベント vol.1」が開催。作曲家・伊藤賢治氏が,アナログレコード化された自身の楽曲8曲をお披露目
 スクウェア・エニックスは2018年9月26日,「池袋STORIA ゲームミュージックイベント vol.1」を,東京・池袋のTHEATER CAFE & DINING STORIAにて開催した。
 本イベントは,STORIAが掲げる“気軽にみんなでゲーム音楽を楽しむ場の提供”というコンセプトに沿った催しの1つで,ゲームの音楽や映像を食事とともに楽しむというものだ。

 その記念すべき第1回は,“イトケン”こと作曲家・伊藤賢治氏が登場。スクウェア・エニックスのタイトルに提供した楽曲の中から,思い入れのある楽曲を自身で選び,それがアナログレコード化されたものを,来場者とともに鑑賞した。

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作曲家・伊藤賢治氏
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イベントのMCを務めた乾 曜子さん

 イベントの冒頭で,伊藤氏はスクウェア・エニックスに入社した1990年当時を,「3か月の試用期間があったはずなのに,『植松さん(作曲家・植松伸夫氏)が忙しいからとにかく手伝って』といわれて作曲したのが,『Sa・Ga2 秘宝伝説』の曲だった」と振り返った。のちの伊藤氏の活躍を踏まえると,入社早々に第一線に投入されたスーパールーキーというイメージだが,氏自身は「植松さんのお手伝い」くらいの意識だったという。

 会場では,まずレコードのA面に収録された以下の4曲が披露された。

●A side(カッコ内は収録アルバム)

・オープニングタイトル(ロマンシング サガ -ミンストレルソング- オリジナル・サウンドトラック)
・Rising Sun(聖剣伝説 25th Anniversary Orchestra Concert CD)
・七英雄バトル(Re:Birth II/ロマンシング サ・ガ バトルアレンジ-閃-)
・四魔貴族バトル1(Re:Tune Romancing Sa・Ga BATTLE ARRANGE)


 伊藤氏は,この4曲について「自分の代表曲として,皆さんに耳馴染みのあるであろう楽曲を選んだ」と説明。
 また伊藤氏自身,アナログレコード化したこれらの楽曲を聴いたのは今回が初めてとのことで,「CDとは音の密度が違う。アナログレコードは針を通して音が鳴るので,暖かさがある」と感想を述べ,「とくに四魔貴族バトル1は,ロック系だけれども暖かい音になっていた」と話していた。

 伊藤氏といえばバトル曲が人気だが,会場で披露された「七英雄バトル」は,現在公演中の舞台「SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜」にて,また異なるアレンジバージョンが聴けるとのこと。

 「四魔貴族バトル1」は,2018年3月にリリースされた「Re:Tune Romancing Sa・Ga BATTLE ARRANGE」収録のバージョンだが,2017年の舞台「ロマンシング サガ THE STAGE〜ロアーヌが燃える日〜」に登場したビューネイが和服姿だったことにアレンジのヒントを得たという。

会場では,伊藤氏自らがレコードに針を落とした
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 続いて,レコードB面収録の4曲が披露された。こちらの選曲は,伊藤氏によると「自分の我を通したもの」になっているそうで,ゲームのエンディングまで到達しないと聴けない曲や,少し古いけれどもぜひ聴いてほしい曲などをそろえたという。

●B side(カッコ内は収録アルバム)

・栄光のラズール王国(パズドラ バトルトーナメント -ラズール王国とマドロミドラゴン- オリジナルサウンドトラック)
・TVCM part1(チョコボの不思議なダンジョン2 - オリジナル・サウンドトラック)
・胸に刻んで(サガ スカーレット グレイス オリジナル・サウンドトラック)
・いざゆけ!怪傑ロビン -マカロニ ver.-(インペリアル サガ オリジナル・サウンドトラック)


 伊藤氏は,まず「栄光のラズール王国」について,作曲家の田中公平氏がアレンジを手がけていることを紹介。なんでも田中氏は,他人が書いた曲のアレンジをめったにやらないそうなのだが,スクウェア・エニックスのスマホゲーム「DEMONS' SCORE」で伊藤氏と共演したことが縁となり,この曲のアレンジを引き受けてくれたという。

 また2曲めの「チョコボの不思議なダンジョン2」の楽曲については,本当は「突撃!! -TVCM ver.-」を収録する予定だったとのこと。
 また会場で披露された「TVCM part1」のピアノが伊藤氏自身の演奏であることや,本作の音楽が伊藤氏作曲による初めてのオーケストラ楽曲であること,そして名だたる演奏家の前で伊藤氏が指揮を執ることとなり極めて緊張したことが明かされた。

 3曲めの「胸に刻んで」は,ソプラノ歌手・野々村彩乃さんのボーカルが印象的だが,その収録を北海道にあるスタジオで行い,伊藤氏も立ち会ったとのこと。

 ラストの「いざゆけ!怪傑ロビン -マカロニ ver.-」は,声優のKENNさんと杉田智和さんのボーカルをフィーチャーしている。レコーディングでは最初にKENNさんのパートを,続いて杉田さんのパートを収録したのだが,後日,杉田さんのパートを聴いたKENNさんが「これはズルい!すみませんが,もう一度やらせてもらえませんか?」と伊藤氏に直談判したという。
 また杉田さんによる「君は誰だ,オレはアレだ」という歌詞の部分は,当初メロディに合わせて歌っていたが,伊藤氏のリクエストによりセリフ調に変更されたことも明かされた。

 自身の楽曲がこうしてアナログレコード化されることについて,伊藤氏は「レコード世代なので嬉しい。自宅のレコードラックに自分のレコードを入れられるのは幸運だと思います」とコメント。ちなみに伊藤氏が初めて買ったレコードは,当時一世を風靡したイモ欽トリオのデビューアルバムだったそうだ。

 さらに会場の機材をセッティングしたスクウェア・エニックス サウンドチームの五十川祐次氏がトークに加わり,伊藤氏が高熱をおして「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」のレコーディングを行ったときのエピソードが披露された。
 五十川氏によると,レコーディング当日は10曲前後のオーケストラ楽曲を収録するべく,非常にタイトなスケジュールだったという。高熱にうなされる中,何とかオーケストラパートのディレクションを終えた伊藤氏は,合唱パートのディレクションを他人に任せ,最後の自身のピアノソロ収録に備えたというが,その間ずっと「何てブラックなスケジュールなんだ(苦笑)」と考えていたそうだ。

 そんな伊藤氏のピアノソロ収録に立ち会っていた五十川氏は,「フラフラになっていて,ピアノにたどり着いてもしばらく動かなかった」「少し弾いては休んでを繰り返したので,1曲収録するのにすごく時間がかかった」などと当時を振り返りつつ,「そのおかげで切ない感じの曲になった」と話していた。

スクウェア・エニックス サウンドチームの五十川祐次氏が,会場に設置されたアナログレコード再生用の機材の解説をする一幕もあった
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今回使用した機材は,民生用のレコードプレイヤーにDJ用ミキサーとレコーディング用のモニタースピーカーの組み合わせとのこと。それぞれ4〜5万円台で市販されているので,一般家庭でも比較的そろえやすい
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一方,ケーブル類はアナログレコードならではの音質にこだわってチョイスしたという。とくに電源ケーブルは,1本あたり数万円もするハイクオリティなものとなっている
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 イベントの終盤では,来場者から事前に寄せられた質問に,伊藤氏が答えるコーナーも設けられた。
 「イトケンさんが選ぶ,音楽の素晴らしいゲームは?」という質問には,まずスーパーファミコンの初代「スターフォックス」が挙げられ,伊藤氏は「度肝を抜かれた。もともと好みの作風だったこともあるが,格好いいと思った」とコメント。
 また田中公平氏が手がけた「サクラ大戦」シリーズの楽曲も好きで,とくに「3」の一連の流れがいいという。

 「作曲に一番苦労した曲と,その理由を教えて」という質問には,「バトル曲は,ないアイデアを絞って作るので苦労する。その中でも『四魔貴族バトル2』のイントロは1週間くらいかかった」と話していた。

会場に用意されていたキーボードで,伊藤氏の実際の作曲過程を披露する一幕もあった。それによると,何となく即興で弾いてピンと来たコードをもとに,2日くらいかけて段階的に曲の形を整えていくという
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 「ゲーム音楽は昔と今で大きく変わっているが,作曲上で変わった部分,逆に変わっていない部分は?」という質問には,「自分はメロディ先行なので,作曲で変わったところはない。イントロがあって,Aメロ,Bメロがあって,サビがあってという作りを意識しているので,ゲームのBGMにしろ主題歌にしろ,あまり変わらない」と回答。
 ただスマホゲームの楽曲に関しては,端末内蔵のスピーカーの性能を踏まえ,低音で迫力を出せない分,メロディをより全面に押し出すといった配慮をしているとのこと。

 「『サガ フロンティア』には複数のラストバトル曲が存在するが,どのような順序で作曲していったのか。また,とくにチャレンジした曲があれば教えてほしい」という質問には,「最初はアセルスの曲だった。挑戦だと思うのは,T260Gのテクノ調の曲。YMOやクラフトワーク,電気グルーヴといった新旧のテクノを聴き込んで作った」との回答がなされた。
 またエミリアの曲はプログレ調で転調したり変拍子が入ったりしているが,植松氏から薦められたエマーソン・レイク&パーマーやキング・クリムゾンなどのアルバムを聴いて作ったとのことである。

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 「コンサートで演奏して楽しい曲は?」という質問には,「絞れない」との回答が。伊藤氏は自身の出身校で演奏したときのエピソードを披露し,「世代の違う10代の子達が,音楽に乗ってくれたことが嬉しかった」と感想を述べていた。

 「舞台『SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜』の楽曲完成度は? 最高ですか?」という質問には「最高です!」と一言。「自分の思った以上の出来。とくに作曲家の関 美奈子さんの壮大なアレンジは圧巻」と語り,また伊藤氏自身もキャストの歌唱指導を行ったことを明かした。

 「アナログレコードでゲームミュージックを聴くことの意味は? またアナログレコードで聴きたいゲームミュージックを教えて」という質問には,「例えば今回のように,しっかりした環境を整え,皆で空間を共有して鑑賞するのはいい経験だと思う」と回答。
 またボーカル入りのゲームミュージックが増えていることから「歌モノを集めたレコードは聴いてみたいかも」と話していた。

イベント終了後には,伊藤氏のサイン会も行われた。来場者は色紙のほか,サントラCDなど思い思いのグッズにサインを入れてもらっていた
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 今回,会場で披露された楽曲のアナログレコードは商品化され,伊藤氏のサイン入り,かつ数量限定で販売する予定があるとのこと。
 また本イベントの模様および披露されたアナログレコード鑑賞は,後日,STORIA内に常設されている「STORIA ミュージック・スペース」にて可能になる予定だ。いずれも詳細は,STORIA公式サイトや公式Twitterなどをチェックしてほしい。

STORIA公式サイト

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