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[gamescom]ガチャは日本だけのものじゃない。ヨーロッパ市場で受けるガチャの作り方とは
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印刷2016/08/20 21:12

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[gamescom]ガチャは日本だけのものじゃない。ヨーロッパ市場で受けるガチャの作り方とは

[gamescom]ガチャは日本だけのものじゃない。ヨーロッパ市場で受けるガチャの作り方とは
 昨今のスマートフォンゲームを語る場合,「ガチャ」を無視することはできないだろう。無論,ガチャのない優れたゲームはいくらでもあるが,一般的に言ってガチャをマネタイズに取り入れたゲームのほうが高い売上を達成している傾向があるのもまた事実だ。

 そんなガチャの仕組みと,それをどうしたらヨーロッパ市場で利用できるかという講演が,gamescomと同じ会場で開催されたGDC Europeで行われていたので,レポートしたい。ガチャのヨーロッパローカライズのみならず,ヨーロッパ勢がどれくらいガチャを研究しているかを測る意味でも,貴重な講演である。


「ガチャ」はどう研究されているのか


 登壇したのはGoodgame StudiosのPhilipp Klueglein氏Julian Tietz氏だ。Goodgame Studiosは,日本でも「Empire: Four Kingdoms」「Goodgame Empire」といったタイトルをリリースしている。

Philipp Klueglein氏
Julian Tietz氏

 講演はまず,ガチャの起源から始まった。このあたりは詳しく説明しても仕方ないので,写真を見ていただきたい。日本にもリサーチに来ているだけあって,正確な調査がなされている。

ゲーム内のガチャではなく,カプセルトイの販売機までしっかりとさかのぼっていた。本筋とはまったく関係ないが,「いらすとや」の素材が使用されているのに驚き
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オンラインゲームで最初期にガチャが導入された作品として「メイプルストーリー」を持ってくるあたりも,実にリサーチが行き届いている
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ガチャのユーザーインタフェースや演出のサンプルとして,「パズル&ドラゴンズ」と「モンスターストライク」が引用されていた。また,ゲーム内通貨(soft currency)と有料通貨(hard currency)によって違うガチャが実装されているといった部分にも踏み込んで解説されている
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ガチャ実況が人気コンテンツになっている,という紹介
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日本のガチャ(右端)は,他国のガチャに比べ,演出も作りこまれている
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出現するアイテムも,高いレアリティのものは,より手の込んだグラフィックスになっている,という例
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日本文化において,「キャラクター」「コンテンツ」が大きな位置を占めているという紹介。「日本には全県に,その県を代表するキャラクターがあります」という言葉には,会場から驚きの声が上がっていた
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キャラクターとコンテンツの強さを生かして,コラボレーション企画が一般化しているという話。こういったキャラの強さを作りあげるために,登場するキャラクターごとに個別のシナリオを用意することが多いといった解説もあった
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キャラクターが重視されるとはいっても,ゲーム内でキャラクターが占めるウェイトはゲームによって異なるという解説。なお,Klueglein氏は霧島さんが一番好きとのこと。メガネ教団 in Europeである
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ガチャで排出されたキャラクターが重複した場合の,合成・レベルアップ・売却といった手段の紹介
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イベントや安売り(10連で+1など)も盛んに行われているという紹介
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 以上を踏まえて,日本におけるガチャのまとめが発表された。それによると,

ガチャとは,アイテムをランダムに販売する(一種のギャンブル要素)形式。ここで販売されるアイテムの種類が膨大なのも特徴。

 また,販売されるアイテムには,

・レアリティによる出現頻度の差がある

・ゲーム内での有利不利にとどまらず,見た目の(あるいは情緒に訴えるような)良さでも差がつけられている

・ゲームメカニクスの中心となっている

・そのアイテムを獲得した後も,そのアイテムに対して成すべきことがいろいろある(成長させたり,進化させたり,デッキを組んだりといった具合)

・ゲームが提供する課題を,完全にそれだけで解決するものではない

 ……といった特徴がある,とまとめられた。

 ここまで,事例に対する細かな主義主張ないし例外事案は諸々あるとは思うが,実によく調査され,まとめられているように思う。
 さて問題は,これを踏まえて,いかにヨーロッパ市場に「刺さる」ガチャが作れるか,という点だ。


ヨーロッパ市場において必要なこと


 最初に,一般的な日本のゲームはGrind Cycle(レベル上げの循環)とGacha Cycle(キャラクターの循環)がある,という分析がなされた。後者はGacha Cycleと銘打たれてはいるが,これには若干誇張があって,「ガチャが強く影響する,キャラクター育成パート」と考えるほうが無難だ(なお,以下の講演では,架空の「ダンジョンに潜って宝探しをしながらキャラクターを育成するゲーム」が題材とされた)。

 一般的なGrind Cycleは,

・入るダンジョンないしアリーナを選ぶ
・ダンジョンに送り込むモンスターを選ぶ


・ダンジョンを探索する
・スキルを使うなど各種判断をする


・キャラクターやゲーム内通貨,あるいは有料通貨などを得る

 このループでできている。

 一方で一般的なGacha Cycleは,

・ガチャで新しいモンスターを得る
・新しい施設を作る


・チームの編成をする
・キャラクターの合成などを行う
・補助アイテムを使ったり合成したりする


・キャラクターやゲーム内通貨,あるいは有料通貨などを得る

 このループで構成されている。

[gamescom]ガチャは日本だけのものじゃない。ヨーロッパ市場で受けるガチャの作り方とは

 この構造は,アジアでは非常にうまくいっているが,ヨーロッパにおいては「物足りない」印象を与えることが多い。このため,講演では,Grind Cycleを拡張して,

・入るダンジョンないしアリーナを選ぶ
・ダンジョンに送り込むモンスターを選ぶ


・【追加】陣形設定
・【追加】ユニットの配置


・ダンジョンを探索する
・スキルを使うなど各種判断をする
・【追加】スキルの相乗効果も判断材料に加える


・キャラクターやゲーム内通貨,あるいは有料通貨などを得る

 という設計にしたほうが,よりヨーロッパのプレイヤーの心をつかみやすいと解説された。

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「クラッシュロワイヤル」という成功例の分析


 さて,とは言うものの,本当にヨーロッパでもガチャをマネタイズの中心としたゲームはヒットするのだろうか? この疑問に対しては,近年世界的な大ヒットとなった「クラッシュ・ロワイヤル」がサンプルとして提示された。

 「クラッシュ・ロワイヤル」を先ほどのガチャの定義と特徴に照らしてチェックすると,上記の7項目中,4項目が該当し,ほかの3項目もNoとまでは言い切れないものになっている。つまり,「世界的に成功したガチャゲーム」と言って問題ない構造なのだ。

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 また,実際のところ「クラッシュロワイヤル」はとても儲かるように作られている。現存するカードをすべてコンプリートし,また完全にアップグレードし切るために必要な費用は以下の写真が示すとおりだ。

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 これらのデータを踏まえると,ヨーロッパで受けるガチャ(ないしガチャを含んだキャラクター育成)の構造としては,以下の様な点が要点として見えてくる。

・透明性
何が得られるかが分かっていて,かつどれくらい得る必要があるかが計算できる

・無課金層に優しい
無課金プレイであっても,あまり大きな制限が発生しないようにする

・ゲーム内通貨の価値が高い
ゲーム内通貨はリアルマネーとの交換レートが悪くなるように設定されており,かつゲーム内部において大きな価値を持つ。かくしてたくさん遊んだプレイヤーへの報酬が,相対的に高くなる。

・ソーシャルなつながりへの影響が薄い
課金してガチャを回したからといって,ソーシャル面で有利になったりはしない

 また写真では指摘されていないが,「ダブってしまったカード」の価値を可能な限り高く設定するというのも,ヨーロッパのプレイヤーによっては良い印象を与えるという。
 プレイヤーが「ダブった,ラッキーだ!」と思うくらいでいいというわけだ。

 ちなみにヨーロッパにおいても,いわゆる「ガチャ実況」は人気コンテンツとなっている。これを踏まえ,ガチャの結果をシェアできるようにしておくというのもまた,効果的だと指摘された。

ガチャ実況はヨーロッパでも安定人気
[gamescom]ガチャは日本だけのものじゃない。ヨーロッパ市場で受けるガチャの作り方とは

登壇者たちがサービスしている「Goodgame Empire」をガチャゲーム指標とくらべてみたところ。「クラッシュロワイヤル」のようにはうまく適応できていない,という残念な結果に
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ヨーロッパのユーザーもガチャは好き


 最後に本講演のまとめとして,「ヨーロッパ市場でヒットするガチャを作るためにすべきこと・すべきでないこと」が語られた。

・ダブりを活用できるようなデザインを目指す
このまとめでも筆頭にくるくらい,重要だという。

あまりに単調なゲーム構造は避ける
アジアのガチャゲームの場合,オートプレイがかなり多い。オートプレイそのものが悪いわけではないが,いわゆる「Grind Cycle」はもうちょっと凝ったほうがいい。

キャラクターに集中する
日本ではキャラクターが人気の中心となるが,これはヨーロッパでも変わらない。

ガチャの結果がゲーム内で有益かつ意味ある選択につながること
ゲームの進行に影響を与えないようなガチャは,ヨーロッパではあまり受けない。

ガチャの結果をたくさん用意しておくこと
ローンチ時には最低でも80種類はほしい。もっとも,ゲームデザインによってこの数は減らすこともできる。

西洋のゲームにおいても,ガチャはゲームの中心として機能する
「ガチャゲームはアジアないし日本でしかヒットしない」というのは偏見である。

ただし,マネタイズをガチャだけに頼ってはならない
各種サービスへの課金など,クラシックなマネタイズと組み合わせないと大変なことになる

ソーシャルな共有は重要
SNSや動画配信勢との連携は重要な意味を持つ


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 質疑応答ではコンプガチャ問題や昨今の法的問題なども議論されたが,言うまでもなくヨーロッパと日本では法制度も違うので,各国の基準に合わせた運用は欠かせない。

 一方で興味深かったのは,現状,ヨーロッパのデベロッパが日本のガチャシステムを「右から左」で持ってくる場合が多いため,排出率の表示などを,その意味を理解することなく行っているケースが見られるということだ。そのため,ガチャは適切なローカライズが必要であろう,とも指摘された。

 ガチャというマネタイズには国内でも賛否が分かれるし,個人的には「飽きた」と言いたくなる面はある。だがこのように海外の目でガチャが解析されることで,逆に見えてくるものもあるように思える。

 その上で,ヨーロッパ勢がここまで精緻に日本のガチャを研究している(発表したのはあくまで「入門編」だという)こと,そして彼らが独自にガチャのローカライズを図っていることは,まさに現在のスマートフォンゲーム市場で戦っているデベロッパにとっては,大いに考えるべき事案と言えるかもしれない。

 事実,登壇したKlueglein氏もまた「僕もガチャではないマネタイズ方法を模索しているし,きっともっと良い方法はあるはずだ」と語っていた。そこまで含めて,ゲームにおける国際競争の激しさを感じさせられた講演だったと言える。
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