インタビュー
[インタビュー]ZETA DIVISION 西原大輔氏に聞く,eスポーツ専門スクールを開校する理由。人材育成事業は将来のeスポーツ業界への投資
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eスポーツの専門スクールといえば,プロプレイヤーやストリーマーを主に育成する教育機関のイメージがあるかもしれない。ZETA DIVISION GAMING ACADEMYはそうした華やかな舞台に立つ存在だけでなく,現在の国内eスポーツ市場においてビジネス系・裏方系の人材が不足していることを鑑み,イベント運営やスポンサー営業,チームマネジメント,配信・演出,データ分析,そしてコンテンツ制作といった職種の育成にも主軸を置いている。
先日行われた開校発表会の直後,GANYMEDE 代表取締役 西原大輔氏に,スクール事業の参入を決断した経緯や今後の展望をうかがった。
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ZETA DIVISION,eスポーツ人材育成専門スクールの開校発表会を開催。国内有数の実力と人気を誇るプロチームが教育産業に踏み出す理由
GANYMEDEとバンタンは2026年3月19日,「ZETA DIVISION GAMING ACADEMY POWERED BY VANTAN」開校発表会を都内で開催した。GANYMEDEが運営するプロeスポーツチーム「ZETA DIVISION」が,バンタンによるサポートのもとで展開するeスポーツ人材育成専門スクールだ。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
ZETA DIVISION GAMING ACADEMYのカリキュラムには,ZETA DIVISIONならではの知見やノウハウが盛り込まれるとのことですが,あらためてご説明をいただけますか。
西原大輔氏(以下,西原氏):
我々はスクール事業の専門ではないので,カリキュラムはバンタンさんと一緒に作成していくこととなります。ただ,チームを運営しているからこそのコミュニティと直結する部分のナレッジやノウハウは,国内において最も蓄積していると自負しています。そこをカリキュラムにしっかり盛り込んでいきたいですね。
そして,現場体験の提供です。ZETA DIVISIONは東京ゲームショウを筆頭に大小さまざまなイベントにエントリーしています。それらにスタッフとして参加できる経験は,本当に我々でしか作れない価値ですので,ZETA DIVISION GAMING ACADEMYの魅力の1つとして捉えていただけると嬉しいです。
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4Gamer:
率直に,どのような人材が育ってほしいとお考えですか。
西原氏:
やはり社会性や人間力のある人材です。私自身,好きなものに没頭するパワーが学ぶ力に変換されるタイプなのですが,学生の皆さんも「こうなりたい」「この場所で自分が輝くんだ」という強い信念を持って入学してくださると予想しています。
そういった気持ちは成長するうえで重要な要素ですから,そこを伸ばしていけると業界に強い人材が輩出できると期待しています。
4Gamer:
現在,日本は少子化によって教育事業の縮小傾向があります。その点に懸念はなかったのでしょうか。
西原氏:
めちゃくちゃありましたよ(笑)。ただ,GANYMEDEとしては,スクールをあまり営利事業としては捉えていないんです。
もちろん,きちんとした収支構造を確立して,事業として成立させる必要はあります。そのうえで,これまでeスポーツチームやコミュニティの側に「教育事業を推進しよう」という企業が多くなかったことから,「だったら我々がやる価値はあるのでは」という判断に至りました。
4Gamer:
使命感のようなものがあったと。
西原氏:
決して,嫌々やっているわけじゃないですよ(笑)。
今まで我々が必要だと思ってやってきた,チームやコミュニティの運営を社会的にどう広げていくかと考えたときに,やはり人材育成や,若い段階からeスポーツに触れてもらう機会を作ることは欠かせない。それによって,eスポーツ全体の産業としてのレベルや,競技的なレベルを押し上げられるだろうという期待があるんです。
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たとえば日本の野球は世界レベルですが,それは大人達が教育の中に野球を組み込んで,幼少期から野球に触れる機会を増やしたことが理由の1つですよね。そういったイメージで,親御さんを含めてeスポーツの文化やコミュニティを知ってもらう,密接に関わってもらうといった部分のハードルを下げる意味で,ZETA DIVISION GAMING ACADEMYのようなスクールが必要だと考えたんです。
4Gamer:
将来を見据えた国内eスポーツ業界に対する投資ですか。
西原氏:
そうですね。ただ,少子化により若者の取り合いになっていることは事実だと思うのですが,ZETA DIVISIONに関してはその感覚はないんですよ。
というのも,我々を見てくださっているのは若者ばかりですから。「少子高齢化で若い人材がどこにもいない……」といった懸念は,あまりありません。
4Gamer:
ZETA DIVISIONが実力を備えたプロチームであり,若年層を中心に人気だからこその見方ですね。
西原氏:
ありがたいことに若者文化の中に我々がいるということは,明確な強みの1つになっています。
またビジネスの話では,たとえば広告費を使って世間にアピールし,入学希望者を集めるようなことをしなくても,ある程度の認知も訴求もできているのではないかと感じています。
4Gamer:
若年層の多くは,eスポーツといえば花形のプロプレイヤーやストリーマーに注目して,何なら自分もなってみたいと憧れるでしょう。ただ,第一線で活躍できるのは,ほんの一握りです。スクール事業では,そうした現実も伝えていかなければならないと思います。
西原氏:
カリキュラムに沿った授業の中で社会性や裏方の業務について学んでいくうちに,現実の厳しさや難しさも自ずと分かってくると思います。私自身が直接言ってしまうかもしれませんね,「本当に厳しいよ」って。
野球の世界でいえば,毎年多くの高校生が甲子園大会に出場しています。でも日本の野球人口は本当に多く,甲子園に出場するだけでも大変なことですよね。さらに甲子園に出場した高校生の中からプロになれるのは,ほんの一握り……これはプロプレイヤー,ストリーマーを目指す厳しさとまったく同じ話なんですよ。
4Gamer:
フィジカルスポーツの場合,幼少から専門的なトレーニングを受けていないとプロ選手になるのは厳しい,という認識がかなり広まっていると思います。
西原氏:
ゲームの場合,フィジカルスポーツよりも簡単に始められるなど間口が広いことから,「プロプレイヤーを目指そう」と考えやすいと捉えています。
また,eスポーツが急速に成長したことの弊害なのか,いまだにeスポーツがマイナーな世界,狭い業界だと捉えている人が多いです。その中には,eスポーツが好きな人やeスポーツカルチャーの中にいる人も含まれています。
その認識があると,プロプレイヤーを目指すことのハードルの高さを感じにくくなります。
電車内などで,eスポーツチームの選手や大会結果,昨晩のストリーマーの配信について話しているのを耳にすることも珍しくありません。それって,「昨日のテレビ番組」や「注目のお笑い芸人」の話題と同じレベルですよね。皆さんが考えているよりも,eスポーツは広いコミュニティになっているという感覚を持っていただいたほうがいいと思っています。
4Gamer:
実力や技量が試されるプロプレイヤーやストリーマーは無理かもしれない。それでも,eスポーツに関わる職種に就きたいという人は多いのでしょうか。
西原氏:
GANYMEDEやZETA DIVISIONで仕事をしたい,と言ってくれる人は少なくありません。正直なところ,求人プラットフォームを使わなくとも多くの問い合わせをいただいている状況です。おそらく,どのeスポーツ事業者も同様だと思います。
ただ,我々は大企業ではないので,新卒を採用・育成して数年後に戦力として……といった組織構造を持ち得ていませんので,新卒や未経験の人材は採用しにくいところがあります。それでも,時間をかけて実践的に学んだり,現場を体験したりしている学生が応募してきたら,一目置かれますよね。
これがもし,ZETA DIVISION GAMING ACADEMYで3年間学んできた学生であれば,素性が分かっているので安心感もあります。授業やワークショップなどを通じて,我々スタッフと関わりがあり,しかも優秀であればすごく採用しやすくなるでしょう。
4Gamer:
履歴書のみの経験者より,3年間の頑張りを見てきた学生のほうが安心して採用できると。
西原氏:
どの業界でも同じだと思いますが,3か月とか半年とか,一緒に働いてみないと分からないことはあります。その人の素養や性格などを,ある程度見極めてからの採用は安心感が違います。
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4Gamer:
ZETA DIVISION GAMING ACADEMYの卒業生全員を,GANYMEDEやZETA DIVISIONで受け入れることは現実的に難しいと思います。プロプレイヤーやストリーマーとして競合チームへの加入を希望した場合,紹介や斡旋をしてもらえるのでしょうか。
西原氏:
もちろんです。そこはチーム同士の勝負の話ではなく,人材育成というソリューションとしてのブランド力のほうが重要だと捉えているので,卒業生にはいろいろなeスポーツチームや事業者で活躍してほしいです。
それが,将来的に「ZETA DIVISION GAMING ACADEMYの卒業生は優秀だ」と信頼につながることを期待しています。
4Gamer:
最後に,eスポーツの世界に興味を抱いている若者に向けてアピールをお願いします。
西原氏:
GANYMEDEは,これまでZETA DIVISIONを運営してきた中で,コミュニティと誠実に向き合って,ここまで歩んで来れたと思っております。私自身,「ゲーミングコミュニティを大きくしたい」という強い気持ちを持って業界に飛び込み,GANYMEDEを設立しました。
そのときの気持ちは今も変わらず,ZETA DIVISION GAMING ACADEMYでもコミュニティに対して誠実であるという姿勢をしっかり継承します。
eスポーツは急成長を遂げていますが,なかなか踏み入るきっかけの少ない業界です。ZETA DIVISION GAMING ACADEMYには,業界への分かりやすい入口という役割も持たせていますので,eスポーツに興味があって,就職を目指す皆さんに注目していただきたいです。我々も万全の準備をして,全力で皆さんをお迎えする所存です。
4Gamer:
どうもありがとうございました。
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